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暫くレオナとクスハが歓談をしていると、翠色に塗られたストライクダガーが格納庫へと近付いてきて着地をする。
コックピットハッチが開いて出てきた見た目が少女を見て、驚愕に目を見開いてしまうレオナは顎が外れるくらいに口を大きく開いていた。
「カ、カトライア様っっ!? え、でも見るからにわたくしより年下で?」
矢張り混乱をするだろう、見た目はレオナでもよく知る人物だったが、然し彼女が知っているのは自分より一回りは歳上であった筈なのだ。
絶賛大混乱中のレオナを見ても特に思う事など無かったのか、長い翠の髪の毛をポニーテールに結わい付けた少女は笑顔で口を開く。
「初めまして、私はカトライアと申します。貴女もテストパイロットでしょうか?」
「え、初めましてって? カトライア様! わたくしですわ! レオナ・ガーシュタインです!」
「レオナさんと仰有るのですね」
「っ!?」
笑顔で噛み合わない会話をしてくるカトレアに対して、レオナはさっぱり意味が解らないと困惑してしまうとユートの居る方へと向き直る。
「ユートさん?」
「確かに彼女はカトライア・F・ブランシュタインで間違いない。だけど言ったろ? 部位欠損が酷くて顔も女性として考えれば視れたものじゃないくらいにぐちゃぐちゃだったよ。更に宇宙空間に投げ出されて息の根が止まっていたから、甦生をして息は吹き返したものの記憶障害で中学生くらいのレベルまで意味記憶を喪失、エピソード記憶に関してはまるっと喪ってしまっていたんだ。今の姿は失った部位を残された部位から再構成をしたから、見た目も中学生と変わらないくらいに成ってしまったんだ。しかも再構成したから完全に新品に成っているしな」
「し、新品って……」
ナニを考えたのか丸判りなくらいに赤面をしてしまうレオナ、そしてその考え自体は間違っているという訳では決して無くて、再構成を成されたカトレアの肉体は本来ならば既婚者として一部に永久欠損が在った筈だったが、その欠損部位すらも修復……とはまた違うけど埋まっていた。
どの道、記憶が無かったのだからカトライアがユートとセ○クスをしたら普通に初めての痛みを感じる事に成り、実際に今はあっさりと受け容れていても最初は大事な部位から流血している。
「ふぅ、取り乱したわ。つまり貴方が言っていたわたくしとライディース以外の生き残りというのがカトライア様だった訳ね」
「そうなるな」
しかも記憶が無い。
いずれにせよ夫だったエルザムは既に亡いのだから、下手に記憶を持っていて悲しい思いをするよりはマシだと考える外に無かった。
溜息を吐いたレオナはニコニコして自分を見ているカトライアをチラッと見遣り、再び溜息を吐くと自分を納得させるしかないと考える。
最早、カトライアは自分の知る彼女では無くなっているのだ……と。
「取り敢えずもう良いわ。要するにわたくしは、彼女……カトライア様と新しい関係を築けばって事で宜しいのかしら?」
「そうだな」
記憶が無いならそうするだけだ。
「それで、わたくしの機体は?」
「少し奥にクスハ機より蒼が深いストライクダガーが在るだろ? あれがレオナの機体だよ」
確かに深い蒼のストライクダガーが。
「パーソナルカラーって処かしら? どうして蒼なのかは不明ですけれど」
「その内に判る」
彼方側に行ってズィーガーリオンを視たなら、どうして今の色に塗ったかは一目瞭然だから。
TーLINKシステムを装備したストライクダガーに違和感は無い、コックピットへと入ったレオナは操縦棹を握ってアシストペダルを踏む。
それに伴って……
「レオナ・ガーシュタイン。ストライクダガー、出ます!」
同時に動き出すストライクダガー。
動かして初めて解る素晴らしさというべきか、ストライクダガーの追従性はまるでレオナを熟知した彼氏だと云わんばかり、進みたい位置を確認して軽くフットペダルを踏んだだけでしかないのに進みたい距離が判っているとばかりに機体が、
レオナの行きたい場所にエスコートをしてくれるくらい正確に動くのだ。
そう、レオナ・ガーシュタインの意図する侭にストライクダガーは自由自在、腕を挙げたいと思えば機体の腕が挙がるし、走りたいと思えば普通に機体が駆け出してくれるみたいに。
今までシミュレータによる練習が主だったのもそうだが、だけど実機で全く戸惑わず玄人顔負けに操れるというのは爽快感が違う。
其処へシステム音が響く。
《戦闘難易度Gを開始します》
同時に空中に顕れる人型をしていない機体が、レオナのストライクダガーへと迫り来る。
難易度Gはプラクティカルモードとも呼ばれ、クスハやカトライアも初めは此処からだった。
それはゾヴォーク系量産型無人機ガロイカとされる機体で、見た目から地球連邦側がこの機体を呼ぶ時は
「ユートさん、アレは?」
〔いずれ現れる異星人が所有する無人機、謂わば単なる雑魚に過ぎないな。プラクティカルモードだから体当たりくらいしかして来ないしレオナは気楽に落とせば良いよ〕
「了解しましたわ」
レオナはビームライフルを選択すると……
「落ちなさい!」
接近すら赦さず数機のガロイカをピンク色をしたビームで貫いた。
ガロイカは星星間連合=ゾヴォークの使っている雑魚機体、既に地球で何らかの交渉をしているであろうゾガル=ゲストや、今に現れるであろうウォルガ=インスペクターの共通規格品。
どうせ見棄てるだけの世界線に過ぎないけど、ユートは自他共に認める女好きだから美女美少女はせめて救いたい、そんな歪つに極まる邪心に沿って動いているとはいえ全力は尽くす。
この戦闘シミュレータもユーキに頼んで造らせた逸品で、遊戯王に出てくるソリッドビジョンに実体化を成さしめたシステムとなっており、出てくる敵は実体を伴う映像に過ぎない。
だからどれだけ撃墜されようが無制限に出しても経済的に痛痒を受けない為、今みたいにレオナが次から次へと落としても爆発したらパリンと、それこそソードアート・オンラインのアバターや魔物や道具の如くポリゴン片へと変わって無へと還るだけであったと云う。
だけど受けるダメージは本物、シミュレータとはいえ実体化されているからには攻撃を受けたらその部位はダメージとして残り、そうなったなら修復をしないといけなくなるのは道理。
まぁ、壊れたら直すだけ。
生命さえ失わなければ機体など寧ろ壊れた処で修復するし、無理なレベルで損壊をしたのならば造り直すだけでしかない。
だけど少なくとも、レオナのストライクダガーが其処まで損壊する事は無さそうだと、モニターを視ながらユートは確信をして頷いていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
カトライアとレオナを【OGATA】で保護をして二年間、その間にも何人かの人材――女性オンリーだが――を勧誘していたし、カトライアだけでなくレオナともいつしか褥を共にする事になったりと色々なイベントを熟す。
リン・マオの紹介でリオ・メイロンとも仲良くなれたのはラッキーだったろう。
クスハ・ミズハ、リオ・メイロン、レオナ・ガーシュタイン、カトライア・フジワラの四名にて暫定的だが新生PTXチームの発足もしていたし、新生PTXチームの副司令的な意味でレフィーナ・エンフィールドを据え置いた。
そして新西暦一八六年の一一月三日にDC総帥のビアン・ゾルダークによる地球連邦に対しての宣戦布告、とはいえ此方側の世界線ではコロニー統合軍が既にカリスマたるマイヤー・V・ブランシュタインが死んで居ない為に機能しておらず、実質的にはDC軍のみで地球連邦と戦争をする事になっていた。
だけど、地球連邦側もハガネ隊のみが出撃をしている状態でしかなく、しかもヒリュウが冥王星で墜ちた事で艦長ダイテツ・ミナセと副長をしていたショーン・ウェブリーが死亡していたから、ハガネを運用する艦長は全くの別人である。
汎用戦闘母艦ヒリュウ改も存在していない為、コロニー統合軍が無い事がDCの不利益に成り得なかった反面、本来ならばコロニー統合軍に居たかも知れない人材がDCに流れていた。
それは兎も角として、ユートは現段階で連邦側から得に何かを言われたりはしていなかった為、アースクレイドルというちょっと大きな施設へと訪れており、其処の支配者とは違うけど纏め役をしている女性と会っている。
三十路か少し下かくらいの年齢ではあるけど、見た目には可成りの美女であるのは間違いない。
「初めまして……では無いな」
「ええ、一応は会った事もありますね」
彼女の名前はソフィア・ネート、アースクレイドルの科学者の一人にして主任という立場だ。
「それで、彼の【OGATA】のCEOである貴方が態々このアースクレイドルを訪ねて来たのは、どういった理由か伺っても宜しいでしょうか?」
「勿論……と言いたいけど、先ずは結界を張っても構わないかな?」
「は? 結界……ですか? アースクレイドルは科学の最先端を駆使して建造された物ですのに、随分と何と言いますか……ファンタジー色に溢れた御話しですね」
ソフィア・ネート博士は困惑気味な思考を笑顔で取り繕うものの、矢張り困惑をしていますという表情が僅かながらに出ている。
「結界というか魔法だな。言っておくが魔法というのは科学と必ずしも相反する訳じゃ無いんだ。そう、丁度こんな具合に……ね」
ユートが取り出したのは【魔法少女リリカルなのは】系統に属する魔法の杖、即ち魔導科学により造られているマジックデバイスという物だ。
マジックデバイスに魔力を籠めると、ユートの魔力光である漆黒に染まった真正古代ベルカ式の魔法陣が床に顕れる。
「魔法陣?」
小首を傾げる様が十代の小娘を思わせるくらいには可愛らしい。
「結界展開」
「今ので結界とやらが?」
「まぁね、今の僕達は周りから視たら談笑をしている様にしか見えないだろうな」
この結界は護りの為というよりは、周囲からの視線を誤魔化すのが目的となるモノである。
「魔法というモノですか……」
「そうだね」
科学者であるが故に魔法という現象が物珍しくもあり、否定したくても目の前で使われてしまってはそれも出来やしない。
逆に科学者だからこそ目の前で起きた現象に対する興味が尽きない、エネルギー源は? 魔法陣の効果は? 何が出来て何が不可能なのか?
専門外ではあるがもっと視たかった。
「さて、話を始めようか」
「そ、そうね……」
視たかったけど話し合いが先だ。
「僕がアースクレイドルに来た理由はこの施設が意味を成さなくなるからだ」
「意味を成さなくなる……ですか?」
「そう」
ユートは説明する、いずれDC戦争が終結を迎えてアースクレイドルから裏切者が現れる事を、それによるクレイドルの秩序崩壊とソフィア・ネート博士はメイガス・ゲボと一体化させられて、いずれはアンセスターと成り果てるかも……と。
「貴方には未来でも見えるのですか? アースクレイドルに裏切者とか、私がメイガス・ゲボとの一体化をされるだとか……」
「おかしな事か?」
「……え?」
「多からずながら予知能力者は間違いなく居る、リクセント公国のお姫様やマオ社のラーダ・バイラバンが予知能力を持っている。まぁ、予知能力持ちが幸せかどうかは兎も角としてね」
他にもギリアム・イェーガーも予知能力を持っているが、もう居ない筈な上にこの世界線で彼はギリアムでは無くヘリオス・オリンパスと名乗っていたから挙げなかった。
因みに、ラーダ・バイラバンは本来ならクエルボ・セロから被験体だったのを救われて恋人同然の仲に成っていたが、今現在から見ると三十路に近い年齢ながら美女だからユートが助けている。
不純な理由だけど、ラーダが今はマオ社に出向させてはいるものの【OGATA】所属であると云えば、彼女とはどういった関係に落ち着いたのかが判ろうというもの。
無論、彼方側にも同じ立場で存在はしているのであろうけれど、ユートが向かう時間軸次第ではクエルボ・セロに先を越される可能性があった。
故に此方側で優先的に助けたのだ。
男だったら? 知らんがなとは云わないけど、助けたとしてもアフターケアまではしない。
美女ならばするのか? と訊かれたら三大欲求の強過ぎる雄なれば当然であったと云う。
現在はマン・マシン・インターフェイス構築の為にマオ社へ出向中だが、彼女が【OGATA】に居た場合の仕事は秘書官や養護員やヨガの講師などが含まれる。
夜の閨? 含まれますとも。
処女では無かったから割かし簡単に――とはいえそれなりに日数は掛けて口説いた――頷いてくれたし、ユートとしては日照りにならないのだから感謝もしている。
予知能力持ちだからそれに則した機体の試験をしてくれるのも助かる話。
実際、原典でもシュッツバルトに乗って闘っていたりするから、操手としての能力自体は余り高く無いけど色々と手広くやれるのも良い。
原典の精神コマンドからして補助職向きなのは間違いないし、今は精神的にも穏やかであるからクスハも看護師的な意味で教師として視ている。
こうして名有りな操手を先立って確保しておくメリットだ。
「仮に予知能力だったとしても、そうでなかったにしても、ネート博士に不都合は無いだろう?」
「それは……そうですが……」
不都合は無いけど予知能力とか如何にもな力を使えるなら怖いとは思う。
「然し、ならば今の内に裏切る者を捕らえてしまえば良い話では?」
「言いたい事は理解するけど、どんな理由で捕らえる心算だ? 大義名分も無しに捕らえたりしたら寧ろネート博士が更迭されかねないぞ」
「うっ!?」
「今は未だ何もしてないのに捕らえるなんてのは不可能だ。かと言って裏切ってから動いたら遅いんだから完全に後手後手だな」
「ならどうしろと?」
裏切者はアースクレイドル内でもソフィア・ネート博士に次ぐ権力者なだけに、下手な騒ぎ立てをしても却ってマイナスに働くだけであろう。
抑々の話、向こうは造反の準備を粛々と進めて来たのだからこそ、あらゆる方向性で某か有っても問題が起きない様にしている筈だから。
「はっきり言えば仮に裏切者による崩壊が起きなくても、DC戦争でどちらが勝利を収めるにせよ転移を使える敵が現れるからアースクレイドルではどうにも成らない。此処に転移対策なんてしてはいないだろう?」
「転移!?」
驚愕に目を見開くネート博士。
「いったい何を根拠に!」
「人類に逃げ場無し!」
「それは……」
「DC総帥ビアン・ゾルダークが曰く……だな。その理由は異星人が何らかの接触をして来たからであり、明らかに地球産ではない特殊なマテリアルが持ち込まれてもいるからだ」
「そ、そうね……」
ソフィア・ネート博士はビアン・ゾルダークと知り合いだし、アースクレイドルを建設したのだって地球人類冬眠計画みたいなもの。
若しも異星人との戦争になり勝てなかった場合の一種の救済措置にも等しい計画、そんな計画のトップがまさか異星人の存在を知らされていない筈も無いのだから。
ユートは此方側の歴史に詳しい訳では無くて、だから二年間の間にまさかライティース・V・ブランシュタインが、ヒュッケバインの暴走事故で死亡してしまうとは思わなかった。
レオナがこの事実を知ってまた落ち込んでしまった上に、ブランシュタイン家の血筋は傍系であるガーシュタイン家の自分だけになってしまう。
尚、ユートは特殊なマテリアル――トロニウムを一個パクった他に、廃棄される予定になっていたRTXー008Lヒュッケバインと更に同型機であるRTXー009ヒュッケバインをマオ社から譲渡され、公式な記録上ではどちらのヒュッケバインも廃棄された事になっていた。
実際には、当機をそれっぽいガワで作り替えたゲシュペンストを廃棄している。
ゲシュペンストの開発に【OGATA】が関わっており、思っていた以上の高性能機に纏まったのとリン・マオとの交流が有ったのが理由だ。
どうせ廃棄するならば……と。
処で、リン・マオやイルムガルト・カザハラが居るならばと昔に捜してみた結果として見付かったのが、パトリシア・ハックマンとミーナ・ライクリングとグレース・ウリジンもイングラム・プリスケンが居ないという事もあり、リン・マオとイルムガルト・カザハラを含めて連邦とは無関係にPTXチームを作って隊長を務めた。
男共? 居る事が初めから判っていたイルムガルト・カザハラは兎も角、他の連中なんぞ態々捜したりする筈も無いのがユート・クオリティ。
抑々にして、パトリシア・ハックマンやグレース・ウリジンやミーナ・ライクリングはユートが仲好くしたいから捜したに過ぎないのに、恋人の候補と成るであろう男共を捜してどうしろと?
リン・マオとイルムガルト・カザハラの場合は既に手遅れだっただけである。
まぁ、原典のPTXチームとは違って使っていた機体はゲシュペンストでは無くストライクダガーであったし、チームもリン・マオがマオ社に戻ったのを切っ掛けに解散をしていた。
イルムガルト・カザハラはその後、軍属となった事を本人から聴いている。
嘗ての約束――契約に則りイルムガルト・カザハラにテスラ・ライヒ研究所を紹介して貰って、カザハラ博士と会わねばならないとある人物へと会いに行こうと考えたが、ユートが暇を見てテスラ・ライヒ研究所へ向かった際、会わねばならない筈の人物が病にて既に亡くなっていた事を嘗ての恋人から聴いた。
亡くなっていた人物の嘗ての恋人はユートを識らなかったし、思い出す事も無かった事から彼女では無いと判断をしている。
それは兎も角、ユートは転移の出来る存在として異星人を挙げていた。
ソフィア・ネートはDCの総帥ビアン・ゾルダークとは或る程度懇意だし、異星人の脅威に彼が前々から備えていたのも知っている。
何よりアースクレイドルの出資者の一人でもある訳だから、ビアン・ゾルダークがどれだけ本気で地球の危機を謳っているか理解もしていた。
「どれだけ速いエンジンを造ろうが光を越えるのは困難を極めるが、星の海を転移が出来るのであれば確実に奴らは地球に来れる。その一端となるのが地球に幾つか存在するトロニウムだ」
「そうですね……」
トロニウムはゲストが与えたマテリアルでは無い筈だし、彼方側では地球にメテオ3が落下してきてそれを調査した結果に獲た筈の代物だけど、何故か出自が不透明なトロニウムがこの地球には存在しているのだ。
此方側でも困難だったがSRXは存在していたのだから、間違いなくトロニウムの一つはSRXを構成する機体の一つたるRー2に搭載される。
此方側は知らないが、彼方側にはトロニウムが六個だけ与えられているから、使われた機体の数も当然ながら六機だけ――正確には使われずに残っていたりもするが――と成っていた。
「そして一番の問題がアインストだ」
「アインスト?」
「ネート博士はエリ・アンザイ女史と知り合いだったと思うんだが?」
「え、ええ。親友と言っても差し支えが無い程度にはエリとは気安い間柄ね」
同じ倶楽部だったのも在るし。
「彼女のライフワークは勿論知ってるよな」
「LTR機構に所属をして、考古学を専攻していたから今も考古学をしてる筈よ」
「そんな彼女の現在のトレンドは、超機人と呼ばれる古代中国に眠る機動兵器だ」
それはソフィア・ネートも聞いていた。
伝説に謳われる存在――超機人、それは明らかにオーパーツであるとしか思えない古代人が造りし機動兵器、しかもそれが絵空事では無い証拠とも呼べる物が実は先達て見付かったらしい。
トウゴウ家にそれを示す品物が見付かったと、ソフィア・ネートはエリ・アンザイから聴いた。
その超機人は四機から存在し、龍と虎と他にも二機が確実に在る様な記述が見られたのである。
それは中国山東省地区の蚩尤塚にて眠りに就いている訳だが、エリ・アンザイも後々に呼ばれる“L5戦役”が終決してから発掘をしていた。
発掘状況からあの頃には既に発掘をしていたのかも知れないが……
とはいえそれは彼方側の話、此方側では少なくともゲシュペンストMkーⅢとの闘いに居ない様子であったし、ひょっとしたら此方側では発掘が成されなかったか早々にアインストに破壊されたという可能性もあるが、この世界線でエリ・アンザイが超機人を発掘するのは不可能。
ユートが既に持って行ってるから。
エリ・アンザイが超機人発掘に可成りの労力を割いているのを知りながら、ユートはこの世界線では最早“バラルの園”は顕れないであろうとし、根刮ぎ全てをユートのイルイが得たこの世界でのイルイの力を以て、“バラルの園”に存在していたガンエデンやクストースや中国に居た四神の超機人や四霊の超機人も持ち出したのである。
何ならアラビア半島はナフード砂漠に眠っていた“バラルの園”までもを。
イルイの魂は二人分でしかも片方はユートとのエロエロな関係に在った【閃姫】、更に自分自身の出自を認めて【スーパーロボット大戦α】という世界のナシム・ガンエデンをも自在に操れる程に念動力を高め、完全なるサイコドライバーとして覚醒をした彼女をこの世界のナシム・ガンエデンとはいえ操れるものでは無かったらしくあっという間に陥落せしめた。
尚、当たり前だけどイルイがユートの【閃姫】に成るべく契約をした際は、ナシム・モードとでも云うべき姿にまで肢体を成長させていたので、この世界のイルイの魂を取り込んで見た目を完全に昔の無垢な記憶喪失美幼女、つまりは出逢って間もない頃の姿に肉体を再構成している。
閑話休題
「超機人の存在意義は百邪の殲滅にある」
「百邪?」
「地球に仇為す存在の総てを引っ括めた言葉で、侵略者な異星人なんかも広義では百邪だな」
正しく地球に、人類に仇為す百鬼夜行をぶっ飛ばす存在として造られたのが超機人。
とはいえ、超機人はガンエデンの配下に納まってしまった上で龍王機と虎王機のみがバラルから離反をしてしまい、反逆者として追われる羽目に陥ってしまった過去の機人大戦。
詰まる話、純粋に人類の味方と云える超機人は龍王機と虎王機のみに成っていたという。
即ち、ガンエデンも龍王機と虎王機の尺度では百邪の一つに過ぎないと判断されたのである。
尤もユートはイルイの力を使ってバラルの園を完全に掌握し、彼女は一大劫を越えて再び自らの意志を以てガンエデンと一体化をした。
今やイルイは自ら、まるで人化したウルトラマンが光に戻るかの如くガンエデンに成れる。
当然ながらバラル側の超機人も掌握していて、皇龍王や雀王機や武王機も掌握していた。
そして邪魔になりそうなバラル側の人間には、つまり孫 光龍達にはこの際だから綺麗さっぱりと御退場を頂く。
龍王機と虎王機は言いたい事も有りそうではあったけど最早、この世界が完全に終末へと向かっているのを把握したらしく、ガンエデンを抑えられるのであれば……と強念の持ち主であるユートに膝を付いた形となっていた。
ガンエデンを抑えられたのはイルイが此方側のイルイの魂を獲たからこそ、即ち彼方側のガンエデンに関しては掌握が不可能という事。
「そんな百邪の中にアインストと呼ばれる存在も居てね、奴らは普通に湧き出て来るからアースクレイドルに引き篭っていても、クレイドル内に湧いて出たら何ら意味を成さないだろう?」
「そんな莫迦な!?」
それに転移は割かし普通に使える連中も多く、先にも述べた通り星の海を航るなら転移は必須。
機体レベルでは不可能なのが救い。
「異星人は何とかなっても、残念ながらアインストを相手に地球は亡びるしか無いだろう」
「アースクレイドルやムーンクレイドルでも防げないから?」
「転移対策不足もそうだが、ビアン・ゾルダークの言葉を真面目に受け取らなかった時点で地球に救いは無いね。しかも可成り重要戦力をアインストに奪われているのに気付きもしない」
「……え?」
ベーオウルフ――キョウスケ・ナンブが早い内にアインストに感染して絡め取られ、シャドウミラーが“プラン
DC戦争の最中は大人しくしてはいるのだが、いずれは牙を剥くであろうベーオウルフ。
現在のDC戦争ではベーオウルブズとシャドウミラーの両隊は、連邦軍特殊鎮圧部隊と連邦軍特殊部隊として或る意味では共闘をしている。
何しろ、今のベーオウルフ――キョウスケ・ナンブ大尉は飽く迄も人間として振る舞っているのだから下手な事はしないし、シャドウミラーを率いるヴィンデル・マウザー大佐も今は未だ連邦に見切りを付けている訳では無いのだから。
「兎に角だ、裏切者に転移する敵と来ては博士が提唱するアースクレイドル計画も無意味に成る。この侭、貴女がどれだけ心血を注ごうと裏切者もアインストも一切の考慮はしちゃくれない」
「つまり、貴方はしてくれると?」
何と無くだけど読めた気がした、要はヘッドハンティングみたいなものだ。
「少なくとも研究費に糸目は付けない」
「確かにそれは魅力的だけど、ヘッドハンティングをしたいのは私だけかしら?」
「……そうだ。残念ながら裏切者の手の者が貴女の周りにも居るだろう。況してや裏切者本人なぞ何を況んや……だしな」
「確かにね」
「それに、言っちゃ何だが貴女をヘッドハンティングしたいのは才媛だからだ。一山幾らな凡骨なんて連れて行こうとは思えんよ」
実際にメイガスの調整は基本的にネート博士が独自にやっており、これに関してはアースクレイドルのナンバー2的な存在であるイーグレット・フェフすら門外漢だからと触れさせはしない。
自分以外は信頼が出来ないのだ。
「……判りました。来るべき日が来れば貴方に従いましょう」
「そうしてくれると助かるよ」
ユートはソフィア・ネート博士と握手をしながら笑みを浮かべるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
DC戦争も佳境を迎える。
然しながら、彼方側でも起こるのであろう同じDC戦争でも此方側は苦戦の一途を辿っていた。
というのも、先ずを以てSRXチームが組まれていないハガネにはダイテツ・ミナセ中佐が艦長を務めておらず、戦闘指揮官にイングラム・プリスケン少佐が抑々の話で存在すらしていないし、ラトゥーニ・スゥボータがスクールでの呼び名のラトゥーニ11としてゲシュペンストに乗っている辺り御察しで、ライディース・F・ブランシュタイン少尉はヒュッケバインの一件で死亡、アヤ・コバヤシ大尉もハガネに所属すらしていなくて、はっきり言ってしまえば完全なる戦力不足。
ハガネとは特に関係が無い所でベーオウルブズやシャドウミラーが勝利を納めるが、矢張りというか局地的な勝利を納めても意味が無かった。
リュウセイ・ダテ曹長とラトゥーニ11とイルムガルト・カザハラ中尉ときて、戦闘指揮官としてカイ・キタムラ少佐、更にヒリュウ改が存在しないからかカチーナ・タラスク中尉とラッセル・バーグマン少尉が居る。
そしてハガネの副長はテツヤ・オノデラ大尉なのだが、肝心要の艦長は何とリー・リンジュンだったものだからさぁ大変。
マサキ・アンドーと乗機サイバスターは仲間にならないし、リョウト・ヒカワもリオンの爆発に巻き込まれて死亡してしまう。
尚、彼方側で彼が艦長を務めたシロガネは未だに修復が終わっていないらしい。
一番強力な機体は超闘士グルンガストであり、次にカイ・キタムラ少佐のビルトシュバイン。
Rー1は何とか受領したけど、Rー2とRー3に関しては調整不足も甚だしい上にパイロット候補が中々見付からないとか。
RーGUNなど組み立ての目処すら立たなかったみたいだけど、これはイングラム・プリスケンが存在していないのだから彼のクローンでもあるヴィレッタ・バディムも存在していないのは然る事ながら、ラーダがマオ社へは単に出向していただけで触れてないのが理由。
パイロットでは無いが、クスハ・ミズハだったりリオ・メイロンだったりは所属してない。
女性陣が居ないのはユートが原因だったけど、マサキ・アンドーやリョウト・ヒカワに関してはリー・リンジュンが悪い、副長に過ぎなかったからテツヤ・オノデラも強くは出られなかったろう事を鑑みれば、彼方側に於けるダイテツ・ミナセ艦長がどれだけ偉大な人物だったかが判る。
実際、マサキ・アンドーがさっさと去っていったのもリョウト・ヒカワが爆発に巻き込まれてしまったのもリー・リンジュンの所為で、貴重過ぎる戦力をむざむざと喪ってしまったのだ。
それでも一応だけどユートとレオナが参戦を促されて仕方無く参戦、DCの旗機となるビアン・ゾルダークの乗機ヴァルシオンを討ち取った。
尚、レオナには実戦用に量産型ゲシュペンストMkーⅡを用意して与えてある。
通常の核融合ジェネレータでは無くプラズマジェネレータを搭載、此方側では量産型とはいえど普通にテスラ・ドライブで空を飛べるから飛翔力を上げる改造が成された機体で、レオナのパーソナルカラーとして機体色は深めの蒼を採用。
武装は射撃系を中心に。
マオ社から受領したロシュセイバーも有るし、何ならゲシュペンストの右足へブレイクフィールドを展開した――豪烈ゲシュペンストスマッシュなる蹴り技も持っているから、格闘武装に関しては充分に過ぎるくらいだからだ。
因みに、威力こそ充分で地形適応もオールSな武器を試しに紹介してみたら――『ちょっと趣味ではありませんわね』と断られた。
強いのに、ブーストハンマー。
ユートの量産型ゲシュペンストMkーⅡは彼方側の未来でも行われた“ハロウィンプラン”に近く、故に名称も量産型ゲシュペンストMkーⅡ改として登録されてて、更に【機動戦士ガンダムSEED】の世界で自由気侭に改造したガンダムアストレイ・シルバーフレーム――ドラゴンアストレイを参照にして改造を施した物。
流石に空間兵器や重力兵器までは搭載していないのだが、精神兵器の類いは拙いながらこの世界にも存在していたから搭載しており、更に云うと“白龍皇の光翼”に近い光の翼を装備させているのだが、テスラ・ドライブを越える機動性や運動性を獲得している為に連邦の連中が技術を寄越せと目茶苦茶に煩わしい。
DC戦争が終わってちょっと平和に成ったかと思えばこれだ、シャドウミラーのヴィンデル・マウザー大佐がクーデターを起こすのも納得だ。
次の闘いはインスペクターが相手、エアロゲイターでは無い訳だけど調べてみたらマイらしき人物にせよ、ジェニファー・フォンダにせよアヤ・コバヤシらしき人物にせよ死亡していた。
ユキコ・ダテは彼方側と同じくで妊娠に伴って念動力を喪失した為に、研究所を出所して一般人として暮らしている事が判っている。
尤も、彼女の念を受け継いだリュウセイ・ダテが連邦軍入りしたのは皮肉であろう。
因みに、ユキコ・ダテもユートが勧誘をしていて誘いに乗ってきたので、リュウセイ・ダテは全く知らないけど今のユキコ・ダテは三六歳には見えない――元から見えなかったけど――くらいには若々しい外見で息子でも見違える程に。
然しながら、現在が三六歳なら産んだのがその一八年前に成るから仕込まれたのは更に一年前の一七歳の時、明らかに結婚などしていないであろう時期に仕込まれた辺り、或いは子供に才能が出るかの実験と称してヤったのかも知れない。
シングルっぽいからヤり逃げでもしたのか? 若しくは勝手をして粛清でもされたか。
いずれにせよ、息子が自分の為に軍属に成ってしまったと悔やんでいたので肉体的に一切の瑕疵が無いくらいには修復、その際に息子を産んだのが原因の部分に関しては肉体を若返らせる事により解決したから、今のユキコ・ダテは生理年齢が一五歳にまで若く成っている。
勿論、意識――記憶の上ではそうじゃないけど肉体的には新品と成ったにも等しい状態であり、少なくとも他の男の手垢が付着した変な癖までもが消えている訳で、彼女自身も当時の意識が甦ったらしくてリュウセイ・ダテを女手一つで育てたほんわかママンな雰囲気は可成り消えていた。
あれは飽く迄も一八年間をシングルマザーという状況下で、息子であるリュウセイ・ダテを育てていく上で培われたものだったのだろう。
その資質が彼女の中に少しの片鱗くらいは有ったのだとしても。
それ故にか若返らせる前後で意見を変えているのだが、三六歳の時はリュウセイ・ダテの母親としての意識が強いからか共に行くのを頷けなかったのに、一五歳バージョンに成ったら共に在るのを即効で認めたのである。
リュウセイ・ダテへの母親としての愛情が無くなったのでは勿論無く、母親というより女としての意識の方が強く出たからであろう。
元より息子は兎も角、夫? に当たる人物に対して特に感情を持っていなかった処へ若返って、意識そのものが肉体に引っ張られたからか随分と愉しそうだし、折角若返ったのだからとユートとのデートをしてみたりと、今までの鬱憤を晴らすかの如く、まるで喪ったナニかを取り戻そうとするかね様に笑顔を浮かべて人生を楽しんでいた。
それ故にか、意外と早く心も肢体も開いてくれたので【閃姫】としての契約を交わす。
肉体は新品に成っていても最低でも一度は男に肢体を開いた経験持ち、
枠組みとしては隊内のお母さん。
見た目は一五歳にまで若返ったけど、本質的にはリュウセイを一八年間育ててきた母親である。
それに、彼方側と同じくクスハとは顔馴染みだったからか……
『嘘、ユキコ小母様!?』
『もう、クスハちゃんったら。今は私の方が年下なんだから小母さん呼びは止めてね?』
『は、はぁ……』
なんてやり取りがあったと云う。
確かに生理年齢――肉体的な年齢という意味では一八歳のクスハより一五歳のユキコ・ダテの方が僅かに若いのは確かだ。
お母さん枠なユキコ・ダテの基本的ないつもの仕事としては、『私は専業主婦です』謂わんばかりの家事炊事の全般に及ぶ。
違いは茶々丸型ガイノイドが支援をしてくれているから、趣味に時間を使う事が前よりもずっとやり易く成っている事であろう。
茶々丸型ガイノイドは【OGATA】の部門の一つである【
妊娠出産の為の
そこら辺は人間と何も変わらない肌の柔らかさ滑らかさ温もりが有り、発汗もすれば唾液や涙も出るし傷付けば出血だってするから人間と見紛うばかりだったと云う。
勿論だけど初めからそうだった訳では無くて、最初の茶々丸は普通に科学と魔法の合の子として機械の躯躰を与えられたガイノイド、魔法と相性を良くする為に多少の有機物は使われていたが、飽く迄も魔力式の人造人間であった。
そんな茶々丸が変わったのはユートと出逢って間もなく、人形契約で主と成ったエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの命令でユートを襲撃したら破壊されてしまい、その後には回収されて拙い虚ろな魂は補強が成され聖霊化して肉体は新たに再構成をされる事で、茶々丸はガイノイドから一種のエヴォリュダーと化す。
生機融合進化体、量産型の茶々号達も茶々丸と似た様な過程で造られた存在なのだ。
生機融合進化体の量産とは正にクレイジーな事をしているが、様々な事に対応が出来る人工知性体でありながら生身でもあるのはシャドウミラーのWシリーズも同様で近い。
オリジネイターである茶々丸は既に名前も変えており、エヴァンジェリンの従者では無くユートの【閃姫】として契約を果たしている。
事実として無限の龍神オーフィスとは【閃姫】契約が叶わなかった。
最初は見た目が女性体だけど男性体にも成れる特殊個体だからか? とも考えたけど、実際には両性具有体の者でも【閃姫】契約が出来た事から違うのだろうと考え、まつろわぬアテナと契約が出来なかった時点で神の域とは契約不可能であると結論付けている。
尚、二人のガブリエルとは契約が出来たという事で高位天使は可能だった様だった。
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実にDC戦争後もはっちゃけます。