【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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 何故か予定外にレオナが目立つ。





スーパーロボット大戦【魔を滅する転生機ーOG】っぽい噺――どうせ戻らぬ世界なら【閃姫】を掬って増やしてみよう

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 DC戦争はDC総帥ビアン・ゾルダークが駆る特機――究極ロボ・ヴァルシオンをユートが斃してしまう事で終結、アニメでもあった辞世の句を詠んでヴァルシオンの爆発にて木端微塵のミジンコちゃんに御成り遊ばされた……というのが表向きの話である。

 

 彼方側でも同じ事に成るのは判り切っており、そして彼方側と此方側の大きな相違点と成っているのが、油断の出来ない存在が一人なのか二人なのかという事実だ。

 

 此方側と彼方側の同じ部分としてはビアン・ゾルダークに頼まれ、シュウ・シラカワが最終決戦を視ているという事が有るのだけど、彼方側だと更にイングラム・プリスケンが加わっている。

 

 下手な事をしたら排除に来るのは間違いないだけに、イングラム・プリスケンが居る中での説得行為ははっきり云って難しい。

 

 イングラム・プリスケンは超空間で銃神対銃神という内輪揉め? をしており、アストラナガンとクォヴレー・ゴードンが駆るディス・アストラナガンの戦闘で相討ち、その勢いに呑まれて彼方側のアウレフ・バルシェムに憑依をした。

 

 それに気付いた彼方のユーゼス・ゴッツォーがイングラム・プリスケンに枷を嵌める事により、【スーパーロボット大戦α】の世界と同様に自らの手駒として扱った。

 

 つまり、イングラム・プリスケンとクローンであるヴィレッタ・バディムは彼方側のみの存在、此方側には居ないからこそカイ・キタムラ少佐がイングラム・プリスケンの立ち位置に居たのだ

 

 お陰様でシュウ・シラカワには見破られていたきらいは有るが、特に何かを言うでも無くて普通にグランゾンで飛び立って行ってしまったから、ユートがビアン・ゾルダークを説得してしまった事をハガネの部隊の者に気付かれていなかった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 裏木星に浮かぶ星帝ユニクロンのインナースペース内、其処は太陽系にも等しい広大なる空間で惑星が幾つも浮かんでいる。

 

 例えば、農業プラントのユニウスセブンが滅ぶ前に助け出した人達が住まう食糧生産惑星ユニウスセブン、海の生物を住まわせる海洋惑星オーシャン、冒険者やギルドなどが存在する敢えて中世ヨーロッパくらいの文明な惑星アドベンチャー、様々な美食を可能とする美食惑星トリコなどといった惑星が存在していた。

 

 今現在、ユート達が居るのは魔導や科学の研究や開発をする惑星マギテクノス。

 

 その中心的な建物の会議室の一つにDC戦争の首魁であったビアン・ゾルダーク、そしてユートとレオナ・ガーシュタインが顔を突き合わせる。

 

 それっぽく究極ロボ・ヴァルシオンは大爆発をしたけれど、その中に居たビアン・ゾルダークがこうして無事に救い出されているのは彼がユートの説得に頷いたから。

 

 流石に頷かないなら救出するなんて真似はしなかったが、彼にも此方側の未来については少しばかり思う処があったらしくて、中々に骨は折れたけど最終的には頷いていた。

 

 男なのに助けた理由? ユート自身は誰かに対して口にはしないけど、有り体に云えば彼が多方面での大天才というやつだからだ。

 

 それは最早、天災と呼べるレベルの存在だから死なせるには余りにも惜しい。

 

 EOTI機関でエクストラ・オーバー・テクノロジーを得ていたとはいえ、究極ロボ・ヴァルシオンやヴァルシオーネを造り出して、サイバスターのサイフラッシュの概念を知っただけで模倣をしたサイコブラスターを造って、それを搭載してしまえるだけの頭脳を持ちながら機動兵器の操縦にも堪能であり、政治的な手腕をも持ち合わせているからこそ一癖も二癖もある連中を纏め上げる事が出来たのだから。

 

 謂わば、政界のウィザードとイルムガルト・カザハラとジョナサン・カザハラとかマリオン・ラドムとかカーク・ハミルなどがデジクロスでもして超進化でもしたかの様な存在であったと云う。

 

 操縦者にはリン・マオをプラスしても良いが、取り敢えず凄まじい人間でありながら人生を覚り切ったかの如くで、DC戦争にて討ち死にをしてしまう訳だから勿体無かった。

 

 そんなビアン・ゾルダークは興味深そうな顔でMSによる戦闘のビデオを鑑賞中、彼の説得として平行異世界の地球に存在した人型機動兵器による戦闘を見せるという約束が有ったからだ。

 

 今の内容は【機動戦士ガンダム】に於ける最初期の戦闘、つまりザクⅡを相手にアムロ・レイが初めて動かしたガンダムで撃墜をした場面。

 

「ふむ、まるで最初のゲシュペンストやリオンの闘いを視ている様な錯覚さえ覚えるな。ガンダムとか云ったか、確かにMSとはPTやAMとは別の設計思想から造られたらしい。とはいえ、異星の徒とは無関係な地球人同士の闘いか」

 

 確かにビアン・ゾルダークも地球人同士で闘いを引き起こしたが、其処には地球の守護をするべき“剣”を選別するという大儀が有った。

 

「儂らもやらかしたが此処までとはな。コロニーの独立が奴の……マイヤーの死で無くなってしまったが、こうまでコロニーの独立を赦せぬものなのだな……」

 

「コロニーの独立が云々より、自分達が支配をしないと気が済まないのさ」

 

「だから独立を赦せぬ……か」

 

 溜息を吐くしかない。

 

「話してあった彼方側も大して違わないけどね、マイヤー・V・ブランシュタインは生きているからコロニーの一部独立は成ったし、コロニー統合軍が組織されてDC戦争にも参戦をしているよ。勿論だけどDCに呼応をする形で……ね」

 

「そうか……そうか……」

 

 同士と成る筈だったマイヤー・V・ブランシュタインがエルピス事件で一族諸共に死亡した為、ビアン・ゾルダークはディバイン・クルセイダーズのみで連邦軍と闘わざるを得なかった。

 

 とはいえ、彼方よりの脅威に打ち克てる者達――“剣”の選定こそが主軸、実の処を云えば必ずしもDCとコロニー統合軍が勝利をする必要性が有った訳でな無い。

 

 敗北をして尚も“剣”は在るから。

 

 とはいえ、此方側の連邦軍が果たしてどれだけの“剣”と成れるか見物ではあるが……

 

「おう、そうそう。連邦軍との闘いで破壊されてしまったヴァルシオンを再建しても良いかね?」

 

「構わない、資材は好きに使えば良いよ。但し、使った分は確りと書類に残して貰うけどな」

 

「勿論だとも。何なら量産型ヴァルシオンでも造ってみようかと思うが如何なものだね?」

 

「悪くは無いかな。彼方側では好き勝手に造られていたけど、オリジナルの製作者が手ずから造る量産型ヴァルシオンってのも見物だからね」

 

 基本的な能力で云えば、クロスマッシャーによる遠距離攻撃とディバインアームによる近接攻撃を熟し、AB(アンチ・ビーム)フィールドでビーム攻撃を減衰させてある程度を防ぐ厚い蒼色をした装甲の機体。

 

 当然ながら機動性や運動性は必要最低限なものでしかないが、命中精度はべらぼうに高いという割と敵対したら面倒臭い究極ロボ(笑)である。

 

 尚、ラスボス級のパイロットが乗っていた場合の回避率は滅茶苦茶な模様。

 

 オリジナルは紅蓮に燃ゆるばかりの緋の装甲であり、ユートとしてはどちらかと云えばオリジナルの色の方が好きだったりする。

 

(そう云えば、量産型じゃなくヴァルシオン改って名前だったよな。別に改良点なんて主武装を削った事で、コストパフォーマンスが少し良くなった以外には無かった気がするんだけどな?)

 

 何と、空間兵装の湾曲フィールドと重力兵装のメガ・グラビトンウェーブを削ったのだ。

 

 まぁ、この二基こそが高コストの大きな理由ではあるのだろうけど、アニメ版では名前や兵装だけなら【超重神】っぽい特機型AMグラビリオンを造っていたくらいだし、普通にヴァルシオンもオリジナルと同じスペックの物を造れば良かった様な気がしている。

 

 どちらにせよ、ユートの機体好みは運動性優先で全長もパーソナルトルーパーくらい、特機が嫌いな訳では無いし超闘士系は割と好きな方だが、飽く迄も好みという意味に於いては矢張りPTの方に軍配が上がるだろう。

 

 そういう意味では装甲に偽装を施して本来の姿を誤魔化したヴァルシオーネ、大きさや機動性や運動性を鑑みれば充分にアリだった。

 

 中身は兎も角として……だ。

 

「さて、インスペクターが現れるまでにはもう少し時間が有るし、折角だからレオナ用の機体を造ってしまおうかね」

 

「わたくし用の? 今使っているゲシュペンストは違いましたの?」

 

「あれは対DC用のカスタム機、対インスペクター用の機体には別の機体を準備するさ」

 

 幾ら世紀の大天才たるビアン・ゾルダークが率いようと所詮は使われている機体がC級で、乗っているパイロットなんかは殆んどがD級以下ばかりの雑魚でしかない。

 

 嘗ての戦技教導隊だったテンペスト・ホーカーみたいなA級、テンザン・ナカジマみたいなB級のパイロットも中には居るが……

 

 尚、等級はゲームでの『だいたいこんなもんか』みたいな実力のいい加減なモノでしかない。

 

 とはいえ、此方側の連邦軍ハガネ部隊もそれなりの人員が何人かは居たにしても、其処まで突出をしたパイロットは彼方側に比べてしまうと矢張り少なかった。

 

「インスペクター事件に関わるであろうクスハとレオナには専用機を用意する」

 

「クスハとわたくしに……ですか。となると矢張りTーLINKシステム関連かしら?」

 

「それが表立ってくるのは間違いないんだけど、困った事にクスハの機体は鋼鉄のコクピットくらいしか無いし、レオナの機体はこの時期だと精々がガーリオンくらいしか存在してないんだよな」

 

 L5戦役での闘いは割と酷い。

 

 リョウト・ヒカワがロバート・H・オオミヤと共に、リオンの改修をしたアーマリオンくらいは出てくるものの、後はRTXー009ヒュッケバインや超闘士グルンガストなどは有るが、それ以外ではハガネにも碌な機体が配備されないのだから。

 

 ゲームでは隠し機体でRTXー008Lのヒュッケバインが手に入り、グルンガストと同じくらい火力を期待する事も出来るのだが……

 

 それでも量産試作機のグルンガスト弐式だとかヒュッケバインMkーⅡが配備されただけマシで、L5戦役後で起きたインスペクター事件での新型や改修機ラッシュに比べれば可成り落ちる。

 

(そういや、レオナのゲシュペンストに付けていたキック技ってアーマリオンにも在ったな)

 

 今更だがアーマリオンもブレイクフィールドを脚に纏ったキックが在った筈と気付く。

 

 彼方側で云うL5戦役が始まる頃が此方側でのインスペクター事件の始まり、この違いをユートはイングラム・プリスケンがアウレフ・バルシェムに憑依したか否かだと考えていた。

 

 超空間での銃神同士の闘い、あれがどういった意図のモノかは計り兼ねるけれども、【α世界】では少なくともディス・アストラナガンの原型機たるベルグバウは、大破をしたアストラナガンとヴァルク・ベンがジョグレス進化した機体だし、シナリオ上でもイングラム・プリスケンとクォヴレー・ゴードンは同化している感じだ。

 

 ならばアレは精神世界での主導権争いとも取れるのかも知れない。

 

 いずれにせよ、“虚空の使者”としてのイングラム・プリスケンは一人しか存在しないのだろう、彼方側に憑依したという事は必然的に此方側ではアウレフ・バルシェムに憑依しなかったと云う。

 

 結果、ユーゼスがネビーイームに興味を示す事も無い侭に時は過ぎ去り、ゾガルの干渉が殆んど失敗だった事もあってウォルガが動いた。

 

 此方側でエアロゲイターが現れず、インスペクター事件が起きた理由はこの辺りであろうか?

 

 DC単体でのDC戦争にインスペクター事件、流れ的には無印【第二次スーパーロボット大戦】~【第三次スーパーロボット大戦】だ。

 

 アインストが現れなかったらその流れの侭に、【スーパーロボット大戦EX】と【第四次スーパーロボット大戦】の流れに成ったのかも知れない。

 

 彼方側ではエアロゲイターというか、メキボスが云う処の『哀れな放浪者』が侵攻をしていたから見合わせた形だったのだろう。

 

「レオナの機体はこれからだが、クスハの機体は元から仲間にする心算だったから予め造り始めていたんでね。既に殆んど完成しているから格納庫に見に行ってみるか?」

 

「わたくしはイレギュラーだったと?」

 

「ああ。彼方側の知識は既に有ったのと、前世の記憶……クスハからしたら虚憶で僕にとってみれば実憶となるモノからね」

 

「虚憶? それに実憶とは?」

 

「虚憶ってのは詰まる話が既視感……デジャヴの事だよ。よく有るだろう? 何だか識っている気がするとか、視た事が有る様なとかね」

 

「確かに割と聴くわね」

 

「そんな実態を伴わない記憶を虚憶と云うんだ。因みに実憶ってのは実体験に伴う記憶だね」

 

「ではクスハにとっては虚憶で、貴方からしたら実憶というのは?」

 

「世界は一大劫による死と新生を繰り返しているんだが、その中には前世と同一性を持った存在という者も偶に居るんだ。そんな前世の朧気な記憶が既視感として脳裏に甦る」

 

「同一性? つまりクスハはその一大劫を経て同じクスハ・ミズハとして生まれ直したと?」

 

「正しく!」

 

 それが【スーパーロボット大戦α】の世界に於ける虚憶、勿論ながら全く違う関係を持った人間も出来ている。

 

 【スーパーロボット大戦α】でも無関係では無かったが、今回では可成りがっつりした人間関係を築いていたりするから面白い。

 

 それがSRXチームのリュウセイ・ダテとの幼馴染みという関係、前世では間違いなくリュウセイの母親であるユキコとは会った事は於ろか名前すらも知らなかった筈だ。

 

 況んや、『ユキコ小母様』と呼んだ事など皆無であったろうに。

 

「それが貴方にとっては実憶、実体験を伴っているのですか?」

 

「そうだ」

 

 ユートも若かった……というのはどうかと思われるし、何ならあの時よりもよっぽど酷いと思われる事を欲望の侭にやらかすから未だしもマシ。

 

 それは【スーパーロボット大戦α外伝】が終わって、後の世に“封印戦争”と呼ばれる事と相成った【第二次スーパーロボット大戦α】の事。

 

 ガンエデンの側により拐かされたブルックリン・ラックフィールド、ゲームでも黒い虎王機に乗って現れる事で憔悴していたクスハだったが、リアルではそれがゲームの比では無いくらいには憔悴し切っていた。

 

 そんな彼女は元々が“バルマー戦役”が始まる前までは同じ城南学園に通い、クラスメイトでもあったから実は頑張ればブルックリン・ラックフィールドを抜いて付き合う事も不可能では無くて、それなりに仲が良かったのだがユートは如何せんマオ社でテストパイロットをしており、その頃はヒュッケバインMkーⅡのテストに忙しかったので彼にクスハをまんまと取られた形となる。

 

 尚、ユートはリアル系主人公の行っていた通りの事を行いつつ、相棒となっていたレオナを行方不明にする事も無く動いていた。

 

 ユートが関わった【スーパーロボット大戦α】の世界は、スーパー系とリアル系+男女分けによる四種類という括りは無くて、クスハとブリットとタスク・シングウジとリルカーラ・ボーグナインが東城学園の学生、レオナとリオ・メイロンとリョウト・ヒカワとユウキ・ジェグナンが月側のマオ社寄りと成っていた。

 

 詰まる話、レオナは【スーパーロボット大戦α】の世界に於いてはユートの同僚だったので、彼女を此方側で発見した際には何を置いても確保をしたかったのである。

 

 あの世界では何人かを性的き喰ってはいても、残念ながら正式な【閃姫】契約はしていない。

 

 なので、普通に死に別れた。

 

 【スーパーロボット大戦OG】の世界にして、此方側の地球はユートとしてみれば既に切ってしまった地、だからこそ自らが行脚をして仲間に成れそうな者を見繕っている。

 

 この侭では優秀な人材がアインストにより無為の死を得るだろうし、そんな最悪な死に方はさせるだけでも勿体無いのだろうから。

 

 どうせ此方側の地球は守護者の――剣の不在でアインストに滅亡させられるだけ、ならば死に逝くかも知れぬ者の中から気に入った人間をポッケナイナイしても構うまい。

 

 置いていけば死ぬだけである。

 

 アインストヴォルフ……の前身、名前自体は無いからアインストベーオウルフとでも呼ぼうか、キョウスケ・ナンブの成れの果てであるソイツに殺害されたパイロットは多い。

 

 故に勿体無い精神で女性パイロットや博士号を持つ女性をスカウト、最終的には全員では無いが性的に喰っちゃって【閃姫】契約をしていた。

 

 【閃姫】契約は別に悪い事では無い、ヤる事をヤるのだからアレかも知れないが単なる快楽快感を得るだけでは無くて、様々な恩恵が在ると云うのも無視が出来ない要素であるのだから。

 

 格納庫に着いてレオナが見たのは青い装甲を持った女性的なフォルムの特機、青い装甲はまるで鱗を敷き詰めたかの様な模様が張り巡らされて、しかもその輝きは何処か神秘的な美しさを秘めている気がするし、機体その物がまるで神像でも見ているかね如く荘厳とした雰囲気を醸し出す。

 

「ハァ、ハァ……」

 

 玉の様な汗が流れ、視ているだけでユートとの閨事の際に頭が真っ白になるあの瞬間を迎えたかの様な、背筋にピリピリとした感覚が走り抜け性的に何度もイッたみたいな軽い雷撃が駆け抜けたかの如くあの感じが全身を襲った。

 

 アレだ、よく巫女だか何かが神? か某かとの交信をした時に陥るとされる感覚だろうか?

 

「TーLINKシステムを感じた時に似ているけれど、それとは何倍も? いいえ、その何百倍もの違和感を感じていますわ」

 

「元々は超機人を参考に造った機体なんだけど、それ以外にも世界各国の神像も参考にしている。

装甲も魔導金属を洗礼した物を使っているから、この機体自体が神像にも近いんだ」

 

「神像……」

 

「参考にした超機人は龍王機、この機体の名称は()()()と云う」

 

「天龍姫」

 

 茫然自失とした表情で天龍姫を見つめるレオナは念動力の持ち主、ユートはこの念動力の使い手を一種の巫覡(かんなぎ)体質であると定義していた。

 

 正確には女性を(かんなめ)、男を(かんなぎ)と呼ぶ。

 

 尤もこれは古い呼び方だから現代ではまた別の呼び方に変わっている可能性もあるが、ユートからしたら呼び方は割かしどうでも良い事。

 

(単なるTーLINKシステム搭載機だと思わないだけでも充分過ぎるな)

 

 実際に“バラルの園”でもイルイとはマシアフであり、ガンエデンの巫女としての側面を持っている事から見当違いをしていない証左となる。

 

 最高位の念動力者=サイコドライバーであるのだとされ、【スーパーロボット大戦α】の世界ではリュウセイ・ダテが候補者に挙がった。

 

 まぁ、この世界には無かった事にされた設定なのかサイコドライバーなんて言葉はとんと聴かないのだが、それでもイルイの存在がガンエデンの巫女なのは変わっていない。

 

「超機人の龍王機が元だけど、アレは虎王機との合体でないと人型には成らない」

 

「合体?」

 

「必神火帝 天魔降伏 龍虎合体……又は虎龍合体とする事で龍虎王か虎龍王に合体するんだよ」

 

 因みに、合体後は順逆転身で龍虎王→虎龍王と虎龍王→龍虎王に成れる。

 

「つまりはパートナーが必須」

 

「そうなる。龍王機と虎王機にそれぞれが乗り、互いに合体の意を以て唱える事で合体をするから合わないパートナーだと苦労が堪えないな」

 

 実際に【スーパーロボット大戦OG】に於いて、龍王機に乗ったクスハと虎王機に乗ったブリットは相性も良く、双方が足りない部分を補い合ったからこそあれだけの戦闘にも耐えられた。

 

 そういう意味でなら男女で乗るべきなのかも知れない、実際にトウゴウ家の先祖達にしてみてもクスハとブリットとは逆だけど男女だった訳だ。

 

「女性的なフォルムなのは?」

 

「乗るのがクスハ、名前が天龍姫だぞ? 専用機に成るのに男らしいフォルムは必要かな?」

 

「……そうかもね」

 

 例えばヴァルシオーネ、アレも乗っているのが美少女なリューネ・ゾルダークだったから赦せるのであって、厳つい見た目のオッサン辺りが出てきたら殴っているであろう。

 

 ビアンみたいな……

 

 フェアリオンも乗っているのがラトゥーニと、シャイン・ハウゼンだからこそ良いのである。

 

 これにゲンゾウ・ムラタやテンペスト・ホーカーが乗っていたら? それで『ロイヤル・ハート・ブレイカー!』だの『ブレイクですわ!』だの言っていたらどう思うだろう?

 

 まぁ、人の趣味はそれぞれだから自分と無関係な所でヤる分には好きにすればよいのだけれど、矢張りユートとしては居る所でヤられるのはちょっと勘弁願いたい。

 

 天龍姫はそのフォルムは誰がどう視ても女性的なもので、文字通り胸部装甲はクスハの巨乳に合わせて何気にでかく形作っていたし、普通に揺れるので男共も慣れるまでが大変であろう。

 

「えっと、わたくしの機体もこの様な女性的な形で造られるのかしら?」

 

「筋骨隆々な男々した機体が好みだって云うのならそうするが?」

 

「それは是非とも止めて下さいませ」

 

 何だか何処ぞの本好きと結ばれた神官長を思い出すキラッキラな笑顔で拒否られた。

 

「ゲシュペンストみたいなタイプ、ガンダムっぽいタイプ、拒否られたけど筋骨隆々な……ソウルゲインみたいなタイプ、変型機構付きなグルンガストみたいなタイプ、或いは合体機構を付けたタイプと色々と在るがどうする?」

 

「合体?」

 

「ちょっと待ってろ」

 

 ユートがバッと腕を振ると仮想デバイスが空中に顕れて、仮想モニターに連動する仮想キーボードを叩くとライブラリーを呼び寄せる。

 

 ライブラリー内には『超電磁ロボ コン・バトラーV』とか『ゲッターロボ』とか『超電磁マシーンボルテスⅤ』とか『絶対無敵ライジンオー』とか『勇者聖戦バーンガーン』など、古今東西な合体ロボとカテゴライズをされたロボットの名前がずらり勢揃いしていた。

 

「どれが観たい?」

 

「言われてもさっぱり判りませんわ。どれがどれなのやら……」

 

 『私、困りましたわ』みたいに頬へと手を添えながら小首を傾げるレオナ。

 

「判らないなら判らないで適当に選ぶのもアリっちゃアリだが、三体合体や五体合体や巨大合体みたいなのも有るんだよな」

 

「巨大合体ですか? 三体合体や五体合体なら何と無く想像も出来ますが……」

 

「じゃあ、それから観るか」

 

 そう言ってユートが映し出したのは【勇者エクスカイザー】で、抑々が“巨大合体”なる言葉自体がこの作品で出てきたもの。

 

『キングローダー!』

 

 車がエクスカイザーに変形、更に光を発して喚ぶキングローダーが人型に変形してエクスカイザーが内部に入り込む、蓋が閉まるみたいに変化をして胸部には獅子が現れた。

 

『巨大合体キングエクスカイザー!』

 

 そして“巨大合体”の意味が良く判る名乗りを叫んでポージング。

 

「成程、だから巨大合体」

 

 レオナも納得したらしい。

 

 小型ロボが巨大なサポートメカと合体をしているタイプ、勇者シリーズに多く見られた合体でありエクスカイザーもその手のもの。

 

 他にもマイトガインやジェイデッカーやゴルドランやファイヤーダグオンやバーンガーンが当てはまり、ファイバードとダ・ガーンXとガオガイガーはまた別物であったと云う。

 

「超合体……ねぇ」

 

 合体にも種類が有り、通常の数体合体や巨大合体に加えて超合体にも話が及んだ。

 

「超合体、若しくはグレート合体やスーパー合体なんて呼ばれたりもするな。これは主役級ロボと二号ロボの二機が合体をするものだね」

 

「というと?」

 

「エクスカイザーの例で挙げれば、キングエクスカイザーが大破しても中身のエクスカイザーの方は無事、だからエクスカイザーは新たに巨大合体をする為のサポートメカを用意する。ドラゴンジェットと巨大合体してドラゴンカイザーに成る。そして少ししたらキングローダーも修復されて、改めてキングローダーとの巨大合体をしてから更にドラゴンジェットとも合体。これを超巨大合体グレートエクスカイザーと呼ぶ」

 

「だから超合体とかグレート合体」

 

 勿論、グレート○○とは限らない、ロボットによってはゴッド○○とかファイヤー○○とか呼ばれるし、ゴウザウラーはキングゴウザウラーという名前的にはエクスカイザーの初期合体名だ。

 

「う~ん、そうなると二号ロボに誰かしらパートナーが必要に成りませんこと?」

 

「超AI式なら不要だけどな」

 

 マイトガインみたいに一号が超AIのマイトガインで、二号ロボに旋風寺舞人が乗るマイトカイザーとしたグレートマイトガインも在る。

 

「超機人は四神の超機人は兎も角、四凶や四罪の場合は操縦席みたいなのは在るけどな、どちらかと云えば超機人の生贄を据え置く場所だからね。一応はあれらも超AI式と云えるのかな?」

 

「確か龍王機と虎王機が四神の超機人でしたか、ならば四神というからには他にも二機居ますね」

 

「四神――龍王機は青龍、虎王機は白虎を象った超機人。他は朱雀を象る雀王機、玄武を象る武王機が存在しているよ。合体すれば雀武王と武雀王に成れるな」

 

「雀武王と武雀王……ですか。わたくし、彼方側のわたくしとは同一性は有れど別人ですわね」

 

「そりゃ、極めて近く限り無く遠い世界ってのはそういうもんだ。平行して存在する世界、選択肢の数だけ平行世界さ存在するし、些細な選択肢なら収束もされる。“無限-1”といって、限り無く無限に近い数が在る概念だからね。平行世界に居る同一存在だって何処かの瞬間には別人の如く、違う選択肢を選んでいる可能性があるからなぁ。例えば此方側では殆んど全滅したブランシュタイン家も、カトライアのみ死亡してコロニー統合軍の成立も成った。代わりにライディースはエルザムに対する隔意も出来てしまったけどな」」

 

「そんな事が!?」

 

 それもある程度の時間が経過して、ライディースがエルザムの想いを理解した事で解決した。

 

「それで? 彼方側のレオナ・ガーシュタインとは別人アピールしてどうした?」

 

「だから……彼方側のわたくしと違う判断をしても訝しいと思わないで下さいという事です」

 

「ああ、確かに僕は彼方側のレオナ・ガーシュタインの方が馴染み有るからな」

 

 コロニー育ちなだけにジガンスクードに嫌悪感を露わにし、それに楽観的な思考で笑いながら乗るタスク・シングウジに怒りを覚え、然しながらテンペスト・ホーカーとの死闘で決して遊び心で乗っているのでは無いと知り、ほんの少しずつではあったけど彼へと心を開いていったし、だからこそ他の女に(うつ)つを抜かせばムカッてしていた、命懸けの闘いを前にして口付けを交わしもした。

 

 尚、矢張り此方側のレオナもジガンスクードには言いたい事が山程に有った様子。

 

 因みに、この世界のジガンスクードは大破しながらも形が残っていたから、後に引き揚げられて新たな剣――ジガンスパーダとして量産された。

 

 その姿は彼方側のジガンスクードの改修後では無く、元々のジガンスクードと似た形で量産をされてシャドウミラーに奪われたらしい。

 

 それは兎も角、レオナが選んだのは雀武王に近い姿や武装の“天雀姫”と後に名付けられる機体、これにより四人の新生PTXチームの機体は見事に四神の超機人それぞれに分かれる事に。

 

「御待ちになって!」

 

「どうした?」

 

「四人とはTーLINKシステムに適応した四人という意味ですわね?」

 

「勿論」

 

「ならばカトライア様は含まれませんわ。それに嘗てのPTXチームの三人も。だとしたらわたくしとクスハとリオ……他にも居ましたの?」

 

 ユートが通信機を手にする。

 

「そう言えば未だ紹介してなかったな」

 

 そして来る様に要請をすると、レオナの知らない元気な声で応えると緑色のストライクダガーが降りて来て、軽やかに格納庫へと戻って来たかと思えばコックピットハッチが開いて少女が紐伝手に地面へと着地した。

 

「ハイ、来たよユート!」

 

「な゛っ!?」

 

 更には、ユートに対し愛しい人に頬擦りをするかの如く抱き付いて、頬を朱に染めながら全身でハグッて来た癖の有る赤毛で褐色肌の少女。

 

 よく鍛えられているがシックスパックなどでは無いしなやかさを備えた肢体、目を惹き寄せる程に大きな胸部装甲はクスハ並かそれ以上であり、括れやお尻も含めて随分と男好きをする肉体美。

 

「ほら、自己紹介しろ」

 

「うん? ああ、貴女とは初めましてだったね。(あたし)はリルカーラ・ボーグナイン、カーラって呼んでくれると嬉しいな」

 

「え、ええ。わたくしはレオナ・ガーシュタインと云いますわ」

 

 握手を求められたので返す。

 

 リルカーラ・ボーグナインの名前はレオナも教えられていたが、よもやいつの間にか仲間入りをしているとは思いも寄らなかった。

 

「彼女がウチに来た際にはレオナが居なかったからな。クスハとリオには同じ資質持ちだったから真っ先に紹介をしたんだけどね」

 

 ユートの説明によると、彼方側と同じく彼女はエアロゲイターでは無くインスペクターに家族を殺され――掛けたが、ぎりぎりユートが間に合った形で救われたのだとか。

 

 吊り橋効果みたいなものや家族を救われた事への感謝など綯い交ぜになり、ユート自身は普通と称しながらも整った顔立ちも有ってか一目惚れに近い感じに成っていた処を、女の視線で視ているリルカーラ・ボーグナインに仕事? として誘ったら条件付きながら頷いたのである。

 

 条件は家族の保護、彼方側に行くなら自分も付いて行くけど家族も連れて行って欲しいのだと、切なる願いとして頼まれたから二つ返事で了承をしたら、感極まったリルカーラ・ボーグナインから唇を重ねられた。

 

 陽気な楽天家ではあるが決して軽い訳では無いものの、惚れればそこら辺も多少ながら緩くなるのか? 完全に雌の目で視られていた様だ。

 

 当然ながら女性遍歴も説明をした上でだけど、それでもリルカーラ・ボーグナインはユートと共に在る事を選んだのだろう。

 

「まったく、貴方ときたら……それが解っていながら此処にいるのですけどね、わたくしも」

 

 苦笑いをしているレオナ、何だかんだ云ってもユートとの生活はガーシュタイン家での張り詰めた生活よりは気楽だし、望めば勉学も機動兵器のパイロットもさせて貰ええ上に給与も出る。

 

 会話は苦に成らない、寧ろ愉しいとさえ思えたから自然と……そう、極々自然と夜会で二人切りの時に唇を近付けて自ら欲してしまっていた。

 

 惚れたら敗けとは誰の言葉なのか窺い知れなかったけど、いつの間にかユートに抱かれても良いとまで思っていたらしく、唇を軽く重ねるだけのキスはいつの間にか激しく舌まで口内に容れての絡み愛にまで発展、ボーッと頬を赤らめながらも見つめるユートの姿に愛しさが込み上げてキて、遂に決定的な科白――『下さいませ』と呟いてしまい、ユートが頷いたかと思えば徐々に唇が首筋から肩から胸元へと移動、それが全然嫌では無くて寧ろゆっくりし過ぎてもどかしい程。

 

 だけど大切に、宝石の如く磨き上げるかの様に接して貰っている自覚も有るからか、糅てて加えてそんなもどかしい動きでも充分に過ぎるくらい快感に酔い痴れていたから、はっきり云ってしまえばマグロな状態というかまな板の上の鯛といった(てい)で、本当に決定的な一発を大切な部位に挿入されるまで嬌声を上げ喘ぐだけであったと云う。

 

 そんな夜を越えて璽来、夜の御相手としての謂わばローテーションに組み込まれている。

 

 だけどレオナは自分の気持ちに正直に成るには少し遅かったのでは? ――と考えている。

 

 ユートとの初めての出逢いと交流はDC戦争が始まる二年前、コロニー・エルピスがテロリストにより襲撃を受けて毒ガスを撒かれたあの日で、然しそれと同時に大ダメージを受けたカトライアとも交流をしており、命に関わる故に彼女を優先した結果だから其処は仕方がない。

 

 まさか、自分との本格的な交流を始めた数日前には体を重ねるくらいに気安い関係に成っていたとは思わなかったし、同僚のクスハとも先立って肉体関係にまで発展をしていたらしい。

 

 天下のマオ社の常務ユアン・メイロンの娘であるリオ・メイロン、ユアン常務は嫌々だったらしいものの本人達ての希望とリン・マオ社長からのお達しにより出向……というかもう転職に近い処か既に嫁入りしてくる気満々だった。

 

 そんな彼女にだけは先駆けて関係を持ったが、リオも割とすぐにローテーションに入っている。

 

 そりゃ、そうだ。

 

 流石に花嫁衣装という突飛な格好はしていなかったけれど、リオの荷物は手荷物と呼ぶには大きくて多くてまるで引っ越しの様相だっただけに、本人は【OGATA】のCEOであるユートに嫁ぐ心算で来ていたのだろうから。

 

 ユアン常務が憮然としていたし。

 

 パーソナルトルーパーに乗りたいと声高に叫んでいたけど、ユートは待っていましたとばかりにストライクダガーというモビルスーツに乗せた。

 

 リオは何かが違うし騙されているとは思っていたものの、レオナやクスハやカトライアやパトリシアやグレースやミーナといった新生PTXチームの全員がストライクダガーに乗っていたからか、リオも黙って従う事にしたらしい。

 

 ユートは原作厨では無い、若しそうであったら仮にカトライアが救えそうだからと云っても救わなかったであろう、だけど原作――原典の雰囲気は幾らか大事にするからかイルムガルト・カザハラやリン・マオと、PTXチームを組んでいたかも知れないパトリシア・ハックマンを筆頭に召し上げた後、普通に訓練ではストライクダガーを使わせたけどすぐにゲシュペンストを与えているし、クスハには龍虎王を思わせる天龍姫を与えた。

 

 流石にクスハへ例えば雀武王に似た機体を与えるにはイメージがね?

 

 何しろ原典ゲームだけでは無く【スーパーロボット大戦α】の世界でも、クスハがグルンガスト弐式に乗ってブリットが行方不明、後に龍王機に乗り換えてブリットの虎王機と龍虎合体をしての龍虎王、更に“封印戦争”ではブリットが行方不明になって黒い虎王機で襲撃、龍王機は龍人機として再生して後半は矢張り龍虎王に。

 

 【第三次スーパーロボット大戦α】に於いては雀武王とも仲違いを解消したのか、雀武王の持つパーツを装着した真・龍虎王にまで至った。

 

 これで別の雰囲気に成る様な機体をとまでは思えない為、クスハにはゲシュペンストから早々にマオ社から譲り受けたグルンガスト弐式の一号機を与えている。

 

 そしてインスペクター事件も起きたのだから、そろそろ新たに天龍姫の出番であろう。

 

 そういう意味ではレオナが乗るならズィーガーリオンがイメージに当て嵌まる訳で、然しながらそれをするとタスク・シングウジのニヤニヤが浮かぶので絶対にしない。

 

「既にリサーチ済みでね、クスハの天龍姫は決定している。そしてリオは出来たら近接戦闘に強い機体を、カーラは逆に中・遠距離型の機体をという要望が出ている。それにレオナが身軽で中・近距離型をというなら四神を模した機体を新生PTXチームの各々に与えよう」

 

 それが一番に解り易いから。

 

「レオナは雀武王を模した機体、リオは虎龍王を模した機体、カーラは武雀王を模した機体だ」

 

「名前は?」

 

「決まってないが、天龍姫に併せて名付けるのなら天雀姫と天虎姫と天武姫に成るな」

 

 中国で発掘された超機人を基型としながらも敢えて日本語。

 

「パトリシアにはグルンガスト壱式、ミーナにはヒュッケバインL、グレースにはヒュッケバインMkーⅢをそれぞれに割り当てる。カトライアにはヒュッケバインMkーⅡをだな」

 

 とはいえ、それも全てはインスペクター事件の終盤での話に成るのだが……

 

 その後すぐにユートとレオナは連邦政府からの仕事として出向、リー・リンジュンが艦長を務めるスペースノア級万能母艦・壱番艦シロガネへと乗り込みDC残党との闘いに備えよとの事だったのだが、当然ながら無償奉仕はしないとして件のヒュッケバインMkーⅡ及びヒュッケバインMkーⅢの受領を求めた。

 

 まぁ、交渉をしたのはユーヤ・オガタであり、ユートでは無いから知った事でも無い(笑)

 

 初代ヒュッケバインこそ廃棄した――事に成っている――が、通常動力たる核融合ジェネレータを使ったMkーⅡやMkーⅢは開発していたのだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 欧州地区はビスケー湾でシロガネはDC残党と激しく戦闘を行っていた。

 

「チィッ、早く戦闘を終わらせろ! 貴様ら弛んでいるぞ!」

 

 大した指示を出すでも無く口出しをしてくるのは我らが艦長殿、あんなんでも学生時代には何と“パーフェクト”とか呼ばれていたらしい。

 

 今回は積載容量が大きなモジュールを装備しているシロガネ、トロニウム・バスターキャノンを持つハガネや回転衝角を持つクロガネでは無いから必殺の威力――切札に欠ける。

 

 相手は艦隊であり、空にはグレイストークというアードラー・コッホの座艦と他のストーク級、海中には凡そ一〇艦にも及ぶキラーホエール級が悠々と動き回り、更にはAM系列機となるリオンやガーリオンやバレリオンやシーリオンなどが可成りの数で展開をしていた。

 

 それはリクセント公国から離脱していたお姫様たるシャイン・ハウゼンが誘拐され、執事であるジョイス・ルダール卿がハンス・ヴィーパー中佐により()()をされ、生き残りのDC部隊として戦場に身を置いていたトロイエ隊が、DC残党共がアースクレイドルを占拠した事を報告してきたのが切っ掛け。

 

 とはいえ、シロガネの艦内も安心安全安定には酷く欠ける辺りが艦長の器を示していた。

 

 キラーホエール級からヴァルシオン改と思われる巨体が吐き出される。

 

 ヴァルシオン改の三号機にはテンザン・ナカジマが乗り、四号機にはテンペスト・ホーカー少佐が乗り込んで、一号機にはシャイン・ハウゼンが()()()()()()()()()()()()()

 

 巨大複合企業財団【OGATA】は赤ん坊の穿くオムツから機動兵器、老人が最後に入るであろう墓石までもを造り出すのが仕事だ。

 

 この作戦ではゲシュペンストMkーⅡ改として、蒼い機体へと乗り込んだレオナとはまた異なっていて、ユートが乗っている機体はゲシュペンストでは無いがPTくらいの約二〇m程の物。

 

 ビアン・ゾルダークが自身のヴァルシオン再建を掲げる最中、新たにヴァルシオンの三号機とも云える機体を造ったので頂戴してきた。

 

 それがPTタイプのリトル・ヴァルシオンで、名称はヴァルシオールであると聴かされている。

 

 この作戦での肝は誘拐されたシャイン・ハウゼンの救出、ライディースがテクネチウム基地でのヒュッケバイン起動実験で死亡しているのだから当然、シャイン・ハウゼンが心の拠り所とする事が出来ない訳だけれど、巨大複合企業【OGATA】のCEOという立場の先代に連れられて出逢いを得たユートが彼の代わり足り得た。

 

 そしてヴァルシオールと同じくらいの大きさである二〇m級のヴァルシオン型、即ちそれこそがビアン・ゾルダークの娘たるリューネ・ゾルダークが駆るヴァルシオーネであったと云う。

 

 

.




 多分、シャドウミラーが居た世界では起きなかった気もするけど、解り易い事件の方が導入もし易かったので敢えてシャイン誘拐事件勃発。

 彼方側との差違はルダール卿がハンスに頭を撃ち抜かれて死亡、リクセント公国はアーチボルトがどうこう以前に全てが燃えて無くなりました。


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