ゼノブレイド2.5   作:ナマリ

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ぼくもぶれいどいーたーになりたいなー


“想い”

 

 

 

ミントとリュウギはトリゴの街を駆け抜けていく。いつもは飽きるほどスペルビアの兵士がいるのだが、何故か全く見当たらない。

 

「さっきの兵士達って全員だったのかな?」

 

「兵士が居ない隙に狙うってわけか…」

 

二人はガレグロの丘を越え、基地隣のコアクリスタル保管庫へと向かう。

兵士が管理しているこの保管庫に近づく街人は全く居ない。瀕死の兵士が二人居たとしても、気付かないようだ。

 

「見て!扉が開いてる…」

 

焦げた兵士と血まみれの兵士がその扉の横に倒れていた。

それを発見した途端、ミントとリュウギが駆け寄る。

 

「大丈夫ですかっ…?」

 

すでに息も切れ切れ。血まみれの兵士は声も出せぬほど苦しんでいた。

リュウギは腕に兵士を抱えている。

 

「治せる…?」

 

ミントがリュウギに聞く。しかし、首を横に振る。

 

「どちらか片方だけしか…。今の俺じゃそれが限界だ。」

 

血まみれの兵士が震えながら、懐から写真の入ったロケットペンダントを取り出す。

途切れ途切れながら、声を出す。

 

「私の家族だ―――彼はまだ若い。  ―――――助けられるなら、彼を助けてくれ…」

 

炎に焼かれ、焦げた兵士を見る。

 

「―――分かった。ごめんなさい。助けに来るのが遅れて…」

 

「いいんだ。とにかくあいつにコアクリスタルを奪われてはならない―――」

 

兵士は切れ切れの息で、苦しそうに声を出す。

 

「私の家族に、悔いはなかったと伝えてくれ―――」

 

そういい残し、兵士の息は絶えた。

 

 

「リュウギは若い兵士さんを頼む。私は先に行く。」

 

「相手はドライバーだぞ。ミント一人じゃ勝てない。」

 

「でも時間稼ぎぐらいにはなれるよ。」

 

「―――せっかく助けた命、無駄にすんなよ」

 

ミントは走り出して保管庫の中へと入っていく。

リュウギは胸の金のコアクリスタルを光らせ、焦げた兵士に手をかざす。

鎧に残った焦げ跡こそは消えないが、兵士の体がだんだんと回復していく。

兵士は目を開け、体を支えられながら起こす。

 

「あなたは…?」

 

「俺のことはいい。そこの兵士さんを連れて逃げてください。」

 

「イツガ…」

 

イツガ、この血まみれの兵士の名だろうか。

 

「しかし…ショットがこの中に…」

 

リュウギが首を横に振る。

 

「それは俺がなんとかしますから、逃げてください。」

 

「…分かった。すまない。」

 

兵士は既に息絶えた兵士を連れ、トリゴの街へと向かう。

リュウギは胸に手を当て、拳を握り締めた。

 

 

 

 

 

―――私はね、ずっと後悔してるの。

 

 

 

―――どうして?

 

 

 

―――助けられる命を助けられなかった。 だからこそあなたに言いたい。

   救える命があるなら、救ってあげて。

 

 

 

 

 

 

頭の中に、母の言葉が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

「そこまでよショット!」

 

突然後ろから聞こえた声に、ショットが振り返る。

 

「なんだぁ?騒がないようにしたってのに…」

 

その顔を見てショットは驚いた。バクエンも体の炎がさらに燃え上がった。

 

「あん時のサルベージャーのガキ…なんで生きてやがる?」

 

「まぁ一度死んだけど…でも今は生きてる!よくも私を一回殺してくれたわね!」

 

「ハッ!生き返ったってわけか?邪魔すんなら…もう一度殺してやるよ!」

 

ショットはクリスタルをありったけ詰めた袋を置き、(つるぎ)の鞘に手をかけ、構える。

 

「うぉーっ…煽ったはいいけど殺気がすっごい…」

 

ミントも短剣に手をかけ、互いに見つめあう。

 

「いち…にのぉ…さん…ッ!」

 

ショットが(つるぎ)を抜き、走り出した。ミントはその攻撃を受け止めようとするが、反撃の間もなく後ろへと飛ばされる。

 

「ぐっ…やっぱり私一人じゃダメか…」

 

「なんだ?その程度の覚悟でここまで来たのか?」

 

ショットが近づく。その(つるぎ)は既に炎を帯びていた。

ショットが(つるぎ)を振ろうとした瞬間、ミントとショットの間に炎の壁が割って入る。

 

「チッ、またお前かよ…」

 

紅緋色の大剣を持ったリュウギがゆっくりと歩いてくる。大剣の中心には「炎」の字が浮かび上がっている。

少年は悲しげな目でショットを見つめる。

 

「約束したよなぁ?邪魔された借りはいつか返すと…ッ!」

 

ショットは(つるぎ)を大きく振り上げ、リュウギへ落とす。すぐさま大剣を構えて受け止める。

 

「お前のせいでスペルビア行きの船が止まった…それに…」大剣でショットの(つるぎ)を払いのけた。

 

「お前のせいで…母さんの想いを…叶えられなかった…」

 

「想い?なんだそりゃあ?」

 

ショットが次々とアーツを繰り出していき、リュウギがそれを受け止めていく。

 

「誰も死なせないって…!でも今の俺じゃそれができなかった…!」リュウギは強く拳を握る。

 

「ガキのくせにいっちょ前なこと言いやがって!せいぜい自分の力不足を悔いるんだなぁっ!」

 

「黙れぇーっ!」

 

リュウギが剣をはねのけ、ショットへと攻撃を繰り出していくが、ショットも同じようにそれをはらいのけていく。

 

「所詮ガキだな…あんときと攻撃の仕方がまったく変わってねぇ…」

 

攻撃を受け止め、次々とカウンターを繰り返し、ついにリュウギの腹を叩く。

 

「ぐぅっ…」

 

「アッハッハ!いい気味だなぁ…おとなしく見逃してくれるなら命を助けてやってもいいぜぇ?」

 

「誰が逃げるか…俺はまだ…」

 

腹に加えられたダメージは大きい。大剣を支えにしてようやく立ち上がる。

 

「…ったく、しぶとい奴だなぁ…バクエン!」

 

ショットがブレイドに剣を投げ渡し、バクエンはあの攻撃を繰り出した。

 

「フレイムトルネードッ!」

 

炎の竜巻。コアクリスタルも共に巻きながら立ち上っていく。

 

「水の力…俺に手を貸してくれ…」

 

リュウギがそう唱えると、大剣の文字が「水」へと変わった。

そして炎の竜巻とはまったく逆、水の竜巻を繰り出す。

しかし、前よりも高い火力なのか、すぐにその水の竜巻は蒸発し消えてしまった。

 

「そんな…っ!」

 

「くたばれぇっ!」

 

炎の竜巻がリュウギを包み込み、リュウギはその中で悶える。

 

「リュウギ!」

 

ミントは走り出すが、床に落ちたコアクリスタルにつまづいて転んでしまう。

炎の竜巻の中から、リュウギが現れた。苦しみ、嗚咽する。

 

「うっ…ぐぅっ…」

 

「はぁ…たいしたことねぇ奴だな…」

 

ショットがリュウギの髪を掴み上げ、その顔に語りかける。

 

「二つの属性の操るだなんて珍しいブレイドだと思ったが…ハッ、珍しいだけだったなぁ…!」

 

ショットはその固い拳をリュウギの腹へ入れる。

 

「ぐぅはぁ…っ」

 

ミントはそれを拳を握りながら見つめている。

 

「私が…もっと強かったら…」

 

ミントが足をつまずいたコアクリスタルに目をやる。

 

「コアクリスタル…」

 

コアクリスタル。それは亜種生命体“ブレイド”を生み出す不思議な結晶…

常に青い光を放ち、八面体の形をしている。

生まれながらにして武器を持ち、ブレイドを使役するドライバーに力を供給する。

コアクリスタルから生まれたブレイドは人との絆を大切に想い、それを微かながら記憶し、次の世代へ受け継いでいくという。

ドライバーが死ねば、ブレイドはコアクリスタルに戻る。

今つまづいたこのコアクリスタルにも、かつてドライバーが居て、共に戦ったのだろうか。共に絆を深めたのだろうか。

 

 

気付けば、ミントはコアクリスタルを手に取っていた。

 

「ミント…何やってる…!」

 

リュウギがショットに腹に蹴りを入れられながら、ミントを見つめていた。

 

「あぁ?同調しようってのか?」

 

ショットがミントに気付く。

 

「やめろ…お前は同調できないんだろう…?」

 

「同調できない?ハッハッ!血まみれになるところをこれから見るのかぁ…見ものだなぁ?」

 

ショットがリュウギの腹に足を乗っけ、手を膝に乗せミントを見る。

 

「確かに私は同調できなかった。―――でも、このままじゃやられるだけ…」

 

ミントはコアクリスタルを握り、胸に近づける。

 

同調する時の光、そして衝撃波が発生する。

 

「お願い。―――私に力を貸して―――」

 

ショットは黒い笑みを浮かべ、リュウギは苦しむ顔を浮かべている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はツバキ。これからは俺が君を守る。」

 

 

 

 

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