“ウモンの造船所”
「ここがウモンさんの造船所だ。」
リリオがボロく、壊れかけの建物を指差す。
コアクリスタルを狩るテロリスト、ペルフィキオの一員であるドライバーのショットとの戦いの中で、リュウギとミントはトリゴの給水塔を破壊してしまった。
してしまったというより、ショットを倒す為にやむを得ず。
給水塔を破壊したのに簡単にスペルビア行きの船に乗せてくれるなんて都合の良いことは起こらないと、さすがに悟った二人は、傭兵のリリオの紹介でスペルビア行きの船に乗せてくれることになった。合法ではない、かといって違法かと言われると微妙なライン。
しかし、それでも今はスペルビアへ行くのが先であるので、そんなことは気にせず二人…いや、ミントの新しいブレイド、“ツバキ”も入れた3人はリリオの案内に従う。
「おぉーリリオ!こんなところに何しに来たんだも?」
緑色の老人ノポンが建物の中から出てきた。この人が造船所の主、ウモンさんだろうか。
「実はスペルビア行きの船がなくなっちゃってさ…船を借りたくて。」
「あぁ、またなんかやらかしたのかも?」
「もう泥棒まがいのことはしないって。」
リリオとウモンは古くからの知り合いなのか、そんな会話を交わす。
3人はそれをボケーッを見つめている。
「その子達は誰だも?」
「あぁ、俺の知り合いだ。世界樹まで行く為にスペルビアに行きたいんだとさ。」
「世界樹まで?どうしてだも?」
「まぁ、色々と…」
リュウギが自分の頭を撫でながらいう。
「…深くは聞かないでおくも。丁度整備したばっかりの船があるからそれを使うといいも。」
ウモンはそう言うと、造船所の中へと案内する。
中もボロボロで、こんなところで
そんな造船所の中心に、小さな
「乗り捨てOKだも。こいつは自分で帰ってくるから心配はしなくていいも。」
ウモンはその
「操作はリリオにやってもらえばいいも。もう出発するも?」
「はい!できればもう。」
ミントが喜んで声を出す。ウモンは少し驚いたようだ。
「それならいってらっしゃいも。」
三人、そしてリリオとクロヒョウが
リリオがハンドルを握ると、すぐに船は動き始める。
「ところでさミント。」
「ん?何?」
「リストさん達には…どうするんだ?何も言ってないけど…」
「あー…確かに。」
「それなら後で俺が説明しとくよ。」
リリオが運転しながら言った。
「スペルビアまで送り届けた後はすぐにグーラに帰るし。二人も急いでるだろ?」
「…まぁ。ずっと滞在して捕まったら嫌だし。」
「そんじゃ、明日の朝には着けるようにスピード上げていくぞ。」
リリオが足元のアクセルのようなものを踏むと、船はさらに加速していく。
◇◇◇◇◇
巨大なアルスト大陸の一部、周りと違って光のまったく当たらない場所――――――
そこに大きな黒い船が停泊し、周りは基地のようになっている。
「ふっふーん!もっもっもー!」
黒い船の中…ではなく、その上から黒い毛のノポン、ガーンが現れた。
「いいもの見つけちゃったもー!これでガーン様は昇格間違いなしだもー!」
「ずいぶんとご機嫌ねぇガーン。」
黒い船の中から、長髪の女性が複数の手を持つブレイドを率いて現れた。
「アリア!ふっふーん!お前には教えてやらないもー!これは俺の手柄なんだも!」
「どうせ大したことじゃないんでしょ?」
「今度ばかしはすごいんだも!ま、教えないからせいぜい悔しがるといいも!」
「…ところで、あんたコアクリスタル狩りは?」
「それなりに手に入れたも。」
ガーンはどこからか袋を取り出した。その中には大量のコアクリスタル。
「まぁ。ずいぶんとあるじゃない…こんだけあれば数体犠牲にしても替えが効くわねぇ」
黒い船の中から、大量のコモンブレイドが現れる。アリアというこの人物のブレイド達だろうか。
「アリアは何やってたんだも?」
「ちょっと暇つぶしで流れ者ドライバー達を始末してたの。ねぇラゴウ?」
複数の手を持つラゴウというブレイドは、無言でうなずく。
「ところで、ボスと“アイツ”は何やってんだも?」
「ボスは最近連絡ないわねぇ。アイツならあの女を探してる。ついでに故郷でお仕事中みたいだし?」
「いつボスが帰ってきてもいいように、ガーン様はここでゆーったりしてるも。アリアはアイツのところに行ってこいも。」
「私もちょっとゆーったりしようかねぇ…ん?」
アリアが基地の奥に目を向けた。
「ここに来るのも久々だな。元気にしてたか?」
金髪の男性、アルジェントが二人の目の前に現れた。
「前よりもブレイドの数が増えたな。狩りのついででか?」
「えぇ。面白いことは見つかったの?」
「俺にとっては面白いが、お前らにとってはどうだかな……?」
「どうしたんだも?」
「残念な話だが、ショットが死んだ。ついでにバクエンもな。」
その宣告を受け、アリアは目を丸くして驚いている。ガーンは知っていたかのような顔だ。
「ま、なんとなくそんな気はしてたも。あんな部下いなくなってせいせいするも。」
アリアは軽蔑の眼差しでガーンを見つめるが、そんなことはガーン自身気にしてはいなかった。
「あ、そうそうアルジェント。お願いがあるんだも!」
「なんだ?お願いって?」
「人工ブレイドの設計図、盗んできてほしいだも。」
「なんだ?失くしちゃったのか。」
「そうだも。崇高な計画を進めるために必要になるも。お願いだも~」
「仕方ねぇなぁ。つまんなくはなさそうだしな。」
「休憩しなくていいの?」
「休んでて面白いことに出会えなきゃ損だしな。首長くして待ってろよ~?」
アルジェントは黒い船に乗り込む。中に居た数多のブレイド達が降り終わった後、黒い船は出発した。
「さて、アルジェントが帰ったきたら私も出発しようかなぁ。さて、休憩タイム。」