◇◇◇◇◇
「う、う~ん…」
リュウギが目を覚ましたのは、日のあたる小さな池だった。
「痛ってぇ…曲がるなら曲がるって言ってくれよ…」
リュウギは怪我をした腕を行けで洗いながらつぶやいていた。血でにじんでいない池の水を少し飲んだ。
「しっかしずいぶん落ちたなぁ…研究所までどれぐらいかかるか…」
「…スペルビアにもこんな自然があるんだな――――」
近くの葉っぱに触れながら呟いた。その時、奥の草むらが揺れる音が聞こえた。
「珍しいね。こんなところに人が来るだなんて。」
「誰だ!?」
リュウギは大剣を構えた。
「いきなり物騒だなぁ。僕は丸腰だよ?」
「えっ?ああ…ごめん」
その青年は銀髪をしていた。「ごめん」と聞いて、少し微笑んだ。
「驚かせちゃったかな。しかしスペルビアの…しかもかなり奥地に。一体何しに?」
「ちょっとしたアルバイト…みたいなもんで。オイルリーフってのを探しにきたんだ。」
「オイルリーフ・・・僕の世界では聞いたことがないな。こんな奥地に生えているのかい?」
「そうらしい。あんたも道に迷ったのか?」
「そんなところだね。いかんせんここらに来たのはほとんど初めてで…」
「あんたこそ何をしにここに?」
「…探し物をしに来たんだ。君と同じさ。」
「はぁ…」
銀髪の青年はリュウギの持つ剣をじっと見つめた。
「その剣…一回見せてくれるかな?」
「さすがに見ず知らずの人に武器を見せるわけにはいかない。」
リュウギは断った。
「まぁ…そうだよね。ただ、僕は少しその武器のことを知っている」
「・・・は?」
「僕なら君の武器の力をもっと引き出すことができる」
「何言ってんだ?これは父さんから貰ったんだ。俺の母さんと知り合いぐらいしか知らない…それに、母さんにあんたみたいな知り合いはいない。」
「厳密には君の持っているそれではないけどね。」
「…どういうことだよ」
「まぁ、一つヒントだけあげるよ」
「ヒント?」
「その武器の本当の力を出すためには…願うんだ。自分が何をしたいのか、何のためにそれを振るうのか…それは君の欲しい力を発現させる。」
「わけの分からないこといって、俺を混乱させようとしてるのか?」
「まさか。」
すると、突然奥からさきほど聞いた野盗たちの声が聞こえてきた。
「…あいつら!?」
「早速僕が言ったことを試してみると良い。しかしいきなり言われても何をすればいいか分からないだろう?」
「君の敵は人間だけじゃない。敵はブレイドも引き連れている…敵はブレイドさえ倒せば無力化する――――言いたいことは分かるね?」
「見つけたァ!」
屈強な男が、ブレイドの剣を持って襲い掛かってきた。
リュウギは大剣で攻撃を受け止める。
「そんなこと言われたって…つまりどうすればいいんだよ!?」
「親分、俺にもやらせてくださいよぉ!」
横のひょろひょろな小さい男がブレイドの武器であるボールを投げつけてくる。
「ぐぅっ!?」
銀髪の青年は少し離れた。野盗は二人しかいないが、ブレイドを5体も連れている。
「ブレイドさえ倒せば無力化する…つまり…」
ドライバーはブレイドの力無しでは戦うことはできない。戦う為には自らの拳を振るうしかなくなる。
つまり、倒せばいいのはブレイドだけ。ブレイドを倒す…
そう強く念じた時、大剣の円形部に新たな文字が浮かび上がった。「剣」――――――――
「うおおっ!」
リュウギが男を退け、後ろのブレイドを貫いた。その瞬間、ブレイドはコアクリスタルへと戻った。
「ミチ…?ミチィ!」
男はもう一人のブレイドから武器を受け取り、再びリュウギへと攻撃を繰り出す。
「貴様ァ!よくもミチを!!」
リュウギは攻撃を避け、また別のブレイドに攻撃を加える。
たったの一撃で、次のブレイドもコアクリスタルに戻った。小さな男が連れていたブレイドに狙いを定め、一刀。残る二体のブレイドも裂き、二人のドライバーはただの人間へと戻った。
「こ、こいつ…たった一撃でブレイドを!?」
小さい男は恐れ、コアクリスタルを置いたまま逃げていった。
「貴様ぁ…覚えていろォ!」
屈強な男はコアクリスタルを持ち、逃げ去っていった。
「僕の言ったとおりだろ?」
リュウギは大剣を構えたまま震えていた。
「俺・・・一撃でブレイドを…コアクリスタルに…」
「君が得た力・・・それはブレイドを一撃でコアクリスタルに戻す能力だ。たとえできなかったとしてもブレイドには大きなダメージを与えることが出来る。」
「あんた…一体何者なんだ・・・?」
「それはいずれ分かる。僕の探し物はもう見つかった。君も、オイルリーフ以上のものを手に入れた。」
「新しい力・・・」
リュウギは剣を地面に突き刺し、頭を抱えた。
「しかしこれが君の剣の持つ本当の力ではない。いや、君自身の力と言うべきかな。」
「もしも本当にピンチに陥った時、思い出すといい。君自身の持つ光…誰かのために、それが自分だとしても、救う為に力を使いたいと願うんだ。」
「それが君の持つ
◇◇◇◇◇
気が付くと、リュウギはベッドの上で目を覚ました。
「ようやく目が覚めた?」
目の前にはミントが座っていた。
「あぁ…俺、いつの間に?」
「なかなか戻ってこないから探しに行ったんだよ。倒れてたからここまで運んできたの。感謝してよね」
「あぁ、ありがとう」
「全く。探すのに苦労したんだぞ…」
ツバキが隣でぼやいた。
「ごめんも!逃げるのに夢中で助けられなかったんだも!」
すると、奥からウマが土下座しながら現れた。
「私もあの時助けに行けばよかったです。すみません…」
アスカもウマの後ろから現れた。
「いや、いいっていいってそんな。俺ももうちょい気が付いてればよかったんだし…」
リュウギは頭をかきながら言った。ミントはそっと立ち上がり、奥へと歩いていった。
「今日はタルタリ焼きだよ~。分かったらほら、立って夕飯作り手伝って!」
「マジで!?」
リュウギは目を輝かせながら、ベッドから勢い良く立ち上がった。