「う~ん…」
リュウギが包丁を持ちながら、食材を睨んでいる。
「どうしたの?」
「剣は使えるんだけどさ…包丁ってのはなんというか…扱うのが難しいというか…」
「なぁに?ヘタれてんの?ほら、貸してみなさい!」
ミントは包丁を奪い取り、魚を思いっきり真っ二つにした。
その後は丁寧に鱗を取り、骨を引き抜いて4枚になるまでカットした。
「ほら、これぐらいできるでしょ?」
ミントがリュウギに包丁を手渡すが、リュウギは不服そうな様子。
「ミントは料理上手いけどさぁ…俺はこういう細かい作業は苦手で・・・」
「トリゴリウト弾きがそれ言う!?」
そんな言い争いをしていると、後ろからトラが現れた。
「ご飯まだかも?なんならハナ
「大丈夫!料理は私一人でなんとかなるって!」
ミントは洗剤とスポンジをリュウギに手渡した。
「なんだこれ?ソースでも作るのか?」
「皿洗い!これは食い物じゃありません!」
二人がそう言っている間、ブレイド研究所に一人の男の影が忍び寄る。
「ここが研究所か?ずいぶんとボロっちいなぁ…」
ドンドン。と扉を叩く音が聞こえた。
「トラが出るも」
トラがずんずんと扉のほうへ向かっていく。ウマは奥のほうでなにやら作業をしていて、ミントとリュウギは料理の手伝いをしている。
「はーい、どなたですかも…」
突然、爆発音と共にトラが吹き飛ばされた。
「うおっ!?何だ!?」
リュウギが皿洗いの手を止め、置いていた大剣を持って構える。ツバキも奥から現れ、料理の腕を止めたミントに武器を投げ渡す。
「い、いきなり何するんだもー!」
「ご主人、大丈夫ですかも!?」
開いた扉のところには、金髪の男が立っていた。
「ノポンか…なぁ、人工ブレイドの設計図は…どこにある?」
「い、いきなり吹っ飛ばした奴に渡すわけないも!」
「渡す気はないか…なら、無理にでも手に入れるか?」
男はトラを思い切り蹴り飛ばし、トラは巨大な機械に埋もれてしまった。
「ご主人!?ご主人!?しっかりしてくださいも!!」
「し、師匠ー!よくも師匠を!!」
ウマはアスカからエーテルツインガンを受け取り、男に向かって銃を撃った。
男はその銃撃を避け、研究所の中へと入っていく。
「あ、おい待て!」
リュウギとミントは男の後を追う。
そこはトラの研究室だった。壁にはハナら人工ブレイドの設計図にそれらの武器などが飾られていた。
男はその設計図を奪い取り、飾られていた人工ブレイド「ハナJD」の武器セイバーも奪った。
「おい、それを返せ!」
リュウギは剣を振りかざし、男に振り下げたが、セイバーにより防がれた。男はそれをひるがえしてリュウギのわき腹に一刀した。
「ほぉ?なかなか振り心地がいいじゃないか。この俺にぴったりの武器だなぁ?」
ミントはナックルで男に殴りかかる。いくら早く殴っても男の防ぐスピードはとても速く、まったく効かなかった。そして窓ガラスを破り、ミントは外に投げ出されてしまった。
「うぅ・・・ぐっ・・・」
ミントは強いダメージを受け、腹に受けた痛みにもだえていた。男は壊れた窓から出てミントの髪を握り顔を上げさせた。
「知ってるぞ…この蒼い蒼い瞳…俺がかつて殺した男にそっくりだ。」
「あんたが殺した…男?」
悶えながら男に聞く。
「その男は一人じゃなかった。女と、それとガキとも一緒だったなぁ…」
それを聞いた途端、ミントは目を見開いた。
「なるほど。お前はあの時のガキかぁ!俺はこう見えても記憶力が良いんだよ!」
「うあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ミントが男の手を振りほどき、男の腹に殴りこめようとするが、手で押さえられ、そのまま吹き飛ばされてしまった。
リュウギやウマ、ツバキらが研究所の中から飛び出してきた。
「ミント!!大丈夫か!」
リュウギがミントの傍へと駆け寄る。
「あいつだ…あいつが私の父さんと母さんを…!」
「ミント…」
リュウギはミントを話した後、男に剣を向けた。
「お前―――――誰なんだ!?何が目的で…」
「俺の名前はアルジェント。ペルフィキオの新顔でな。ちょっと設計図取ってこいって言われたから仕方なくな?」
「そんな軽口叩けるのも今だけだも!アスカ!」
ウマがアスカに武器を渡し、アスカは二つの銃を合体させてライフルへと変形させ、渾身の一撃をアルジェントに喰らわす。
「やったも!?」
しかし、アルジェントは立ったまま微動だにしなかった。
「ったく。今のは…なかなか痛かったな」
アルジェントはそう言うとセイバーに炎を纏わせ、炎の弾丸をリュウギらに喰らわせた。
リュウギは水の力で防ごうとするが、その圧倒的な火力に水はすぐに蒸発してしまった。
「ダメだ・・・!この炎、ただの炎じゃない!」
「どうした?その程度かよぉ!」
セイバーを無尽に振り回し、リュウギはその圧倒的な力の差に押し負け、地面から火花を散らしながら転がされた。
ミントはナックルクローにこれでもかというほど力を込めてアルジェントに飛び掛る。
「どうしてッ!!どうして私の父さんと母さんを!!」
「退屈だったんだよ?分かるか?」
「人の期待を裏切り殺す…これ以上に心が躍ることがあるか?ないよなぁ!」
アルジェントはミントの攻撃を跳ね返し、ミントは投げ飛ばされた。飛んでいったナックルをツバキが拾い、再びアルジェントに攻撃を繰り返す。
「愉快犯というわけか!貴様ほどの外道は見たことが無いな!」
「生まれたばかりのくせによく言う奴だなァ!」
ツバキは腹にセイバーの一撃を喰らい、激しく後退した。
「あぁ…つまんねぇなぁ」
「もっと張り合えるかと思ったのによ…なぁ?」
アルジェントは倒れたリュウギを見下ろしながら言った。
「どうすっかなぁ~…今ここで殺すか?でもそうだとつまんねぇしなぁ…」
アルジェントはセイバーを地面にうちつけてかちかちと鳴らし、刃の先をそれぞれに向けた。
「たった一人でこの強さとは…」
「攻撃を与える隙がない…」
床に倒れこんだツバキと、アスカがエーテルの弾丸を撃ちながら言った。アルジェントは弾の一つ一つを弾き返している。
リュウギが息をとぎれとぎれにしながら、水の大きな弾丸を作り出し、アルジェントに向かって放つが、巨大な炎に包まれ、水蒸気爆発を引き起こし、全員吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。そんな中でもアルジェントは平然としていた。
「どうして・・・?あれだけの攻撃を受けたのに…」
「いまいちなんだよなぁ?もう少し気張ってくれないとなぁ…」
アルジェントが地面にセイバーをかちかちと打ち鳴らし、数回鳴らした後止まり、セイバーはミントのほうへ向けられた。
「まずはお前からだ。両親のもとへ送ってやるぜぇ?」
アルジェントはミントにセイバーを向けながら近づく。
「どっちに行くかなぁ…天国か、地獄か…」
ミントは必死に怪我をした足を引きずりながら後ずさる。
「その恐怖に歪んだ顔を見るのは最高だなぁ・・・」
アルジェントは笑いを浮かべながら近づいていく。
アスカはウマに片方を渡し、二人はアルジェントに銃を撃つが、まったく効果はない。
「あいつは炎の力、それもただの炎じゃない…水の力じゃ弱くて打ち消せない…」
リュウギが剣を地面に突き立てながら言った。その時、ある言葉を思い出す。
――――――――その武器の本当の力を出すためには…願うんだ。自分が何をしたいのか、何のためにそれを振るうのか…それは君の欲しい力を発現させる――――――――
欲しい力、ミントに迫るアルジェントを倒す力…
剣に力を込め、それを強く願う。
すると、突然頭にイメージが流れ込む。赤く光る瞳に白い機械的な顔。ずっと眠ってい
たそれは突然息を吹き返し、備えていた二つの武器を展開させ、それを“こちら”側へ向けた。
「うおおおぉぉぉぉぉーっ!!!」
リュウギは大剣を空に掲げた。アルジェントはミントに向けたセイバーを下ろし、リュウギのほうを見た。
大剣の中心の円形の穴には新たな文字が浮かび上がっていた。「光」――――