ゼノブレイド2.5   作:ナマリ

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寝ているミントに忍び寄る謎の影。一体何者…?


“謎の少年と野盗”

ズザッ――――ズザッ――――

 

 動物の足音と違うのがすぐ分かった。テントの中から見えるその影は人の姿をしていた。

ミントは目を細めて寝たふりをしながら、その影を目で追う。

すると、その影がテントの中へと入ってきた。

 

「どこだ…おーい…」

 

 声から察するに少年だろう。寝ている人を起こさないように小さな声で何かを探す。

ミントのいるところへ近づき、ミントのリュックの中をガサガサとあさる。

 

「あったあった…」

 

 ミントの拾ったオルゴールを発見すると、それを手に掴んでゆっくりとテントの外へと向かう。

少年がテントの外に出た瞬間。

 

「誰ぇ?」

 

 ミントが少年に聞こえるような声で、イタズラに声を出した。

少年は驚いたようで、少し飛び上がった。

 

「にゃ、にゃ~ん…」

 

 少年はとっさに猫の鳴きマネをしてやり過ごそうとする。

 

「なんだー、猫かー。」

 

ミントは軽い口調で返事をする。

 

「へへっ、ちょろいな…」

 

 少年がそう言って歩き出した。

 

「―――こんなところに猫がいるわけないでしょーが!」

 

ミントがテントから飛び出て少年に飛びかかる。

 

「うわっ!起きてたのかよ!?」

 

少年は飛び出したミントを見て即座に走り出した。

 

「待てぇい!ドロボー!」

 

 

 

 ミントが暗い森の中を駆ける少年を追跡する。足元は倒れた木やコケが生えていて走りにくいが、少年も同じように走りにくいらしく、逃げる、追うどっちも遅いスピードだった。

 

「はぁ…はぁ…待てーい!」

 

ミントはだんだんとスピードを上げ、ついに少年に追いついた。腕を掴み、引っ張って後ろに投げた。

 

「ぐおっ…いきなり何すんだよ…!」

 

仰向けになった少年はミントに腕を掴まれながら、不服そうに言う。

 

 

少年は()()()()をしており、背中には紅緋色(べにひいろ)の大剣を背負っていた。大剣が背中に当たり、苦悶の表情を浮かべていた。

 

 

「私の拾ったオルゴール、返してもらうからね!」

 

ミントは少年が手に持っていたオルゴールを奪い取った。

 

「やめろって!おい!」

 

「ふぅ、取り返したぁ。」

 

少年は腕を振り払い、立ち上がってムッとした顔になった。

 

「これ、俺が落としたオルゴールなんだよ」

 

「本当にぃ?証拠は?」

 

「証拠たって…人の物盗むのは良いこととは言えないぞ」

 

「盗んだんじゃなくて“拾った”の!サルベージャーの合言葉その2!」

 

 ミントはオルゴールを持った手とは反対の手を出し、ピースサインを出す。

 

「拾った物は誰のものでもサルベージャーの物!」

 

「嘘つけ。本当の合言葉は“助けられたら助け返せ”だろ。」

 

「あー…そうだった…かなぁ?」

 

少年はその瞬間にミントの手の中からオルゴールを奪い取り、闇の中へと消えていく。

 

「ああっ!逃げるなこのドロボー!」

 

ミントが追いかけようとするが、時すでに遅し。走り去る音は聞こえるが、姿は見えなくなった。

 

「あーあ。逃げられちゃった…」 

 

「まぁいいか。速く戻って寝よ…」

 

ミントは消えたオルゴールと少年を諦め、ジメジメした森の中を進み、キャンプ地へと戻る為に歩みを進める。

だんだんとキャンプ地へと近づくにつれ、なぜか違和感を覚える。

 

 

「―――なんだか騒がしいな」

 

 

既に寝静まったはずなのだが、キャンプ地がどうも騒々しい。その上、なんだか熱気まで感じる。

だんだんと近づくと、そこには驚くべき光景が待っていた。

 

数十対のターキンと、それを率いている野盗。その中に一人のドライバーとブレイド。

ブレイドによるものなのか、あたり一面に炎が広がり、仲間達は逃げられない状態で野盗達に拘束されていた。

 

「あれって―――野盗!?それにターキン…どど、どどうしよう―――!」

 

ミントが地団駄を踏んで焦る。

傭兵のリリオがツインリングを持って野盗に戦いを挑むが、ターキンに後ろから頭を殴られて気絶した。

 

「あぁ、まったくあの傭兵は―――」

 

ミントは気付かれないよう、燃え移っていない木の後ろに隠れて様子を伺った。

 

「チッ、ドライバーは一人だけかよ…」

 

一人のドライバーがリリオとクロヒョウを掴みながら言う。クロヒョウは必死に抵抗しようとするが、既に縄で縛られてしまっていた。

 

「おい野盗共、とっととこいつら連れて戻るぞ!」

 

ドライバーが野盗とターキン達に合図を出し、ターキン達はテントや台車の中から色んなものを盗んでいく。

仲間達がうつむいている中、リストが突然こちらを向く。

 

「ミント―――?」

 

「あぁ?」

 

ドライバーがリストの向く方へと目をやり、ミントの存在に気付く。

ミントは驚き、しりもちをつく。

 

「まぁだ仲間が居たのか。見たところドライバーではなさそうだな…おいターキン共!」

 

ドライバーの男がターキン達に指示を出す。

 

「逃げろミントッ―――!早く――!」

 

「あのサルベージャーのガキを始末しろ。ガキは生かしておくと厄介だ!」

 

ターキン達が短剣や弓矢を持ってこちらへと向かってくる。野盗とドライバーは仲間達を連れて奥へと消えていく。

 

「あ…あぁ…!」

 

ミントは再び、来た方向へと戻るように逃げる。ターキン達自体の足は速くないが、彼らは弓矢を持っていた。

 

「来ないで!来ないでぇ!」

 

ドライバーでもなければ戦いに長けているわけでもない。しかもターキン一体ではなく数体を相手にするなど

無理というもの。ミントは逃げるしかなかった。

 

しかし、一体のターキンが放った矢がミントの足へ直撃し、ミントはその場に倒れこむ。

 

「うぅ―――ぅっぐ――」

 

突き刺さった部分から血がだんだんと溢れ出てきた。痛みのあまりこれ以上走れそうにはない。

ターキン達がだんだんと近づいて来る。中には木の上からこちらに弓矢を向けてくる者もいる。

 

「こんな――所で――」

 

ターキンの一体が短剣をミントに向けて振り上げた。もうダメだ――――――――――――

 

 

 

 

そう思った瞬間。

 

 突然炎がミントを狙ったターキンを包み込み、ターキンは燃える体を近くの水溜りで消化し、どこかへと去っていく。

紅緋色(べにひいろ)の大剣を持った、銀髪の少年が目の前に立っていた。

 

「おい!大丈夫かよ――――」

 

「さ…さっきのドロボー!」

 

「んなこと言ってる場合かよ!」

 

 まだ数体のターキンが残っていて、少年へと剣を向け、襲い掛かってくる。

少年は大剣を振りかざし、ターキンからの攻撃を巧みに退けていく。

 

「あぁもうめんどくせぇ! フレイム――――ノヴァ!」

 

 大剣を回転させ、吹き出た炎がターキン達を襲う。

ターキン達はこの攻撃に怯えたのか、次々と逃げていく。

 

「また来たら厄介だ…おい!逃げるぞ!」

 

「へ?逃げるって――――」

 

少年はミントの手を引いて走り出す。

 

 

 

「ちょ―――ちょっと待って!いきなり走らないでよ…痛ッ!」

 

ミントは少年の手を握りながら立ち止まり、先ほど怪我した部分を押さえる。まだ血が出ている。

 

「怪我してたのかよ…大丈夫か?」

 

少年はしゃがみこみ、持っていた布で怪我をした足を巻く。

 

「あ、ありがと…」

 

ミントは少年を見ながら照れくさそうに礼を言う。

 

「早く逃げるぞ。じゃないとまたターキン共が追いかけてくる。」

 

少年は再びミントの手を握って走り出そうとする。

 

「だから待ってって!助けに行かない――――っと!」ミントは握られた手を振りほどいた。

 

「嫌だ。厄介事には巻き込まれたくないんだよ。」

 

「そんなこと言わないでよ!みんなは――――――私の大事な仲間と師匠なの!見過ごして私だけ逃げるわけにはいかない!」

 

「んなこと言うなよ…俺は関係ない。」

 

「そりゃそうだけどさ…さっきあんたの戦い見たけど、なんか強そうだし。雇った傭兵よりも」

 

「んな…」

 

「頼りになるのはあんたしか居ないの!お願い!」

 

ミントが手を合わせて頼み込む。

 

「頼まれたって俺は…」

 

 

 

「分かった――――じゃ、これは返さないからね。」

 

ミントは懐からオルゴールを取り出す。

 

「――――ん゛に゛ゃ゛っ゛!?なんでお前がそれ持ってんだよ…」

 

「さっきターキンとの戦いで落としてた。こっそり拾ったの。」

 

「サルベージャーの前職はひったくりか?」少年が嫌味交じりに言う。

 

「うっさい。返してもらいたかったら助けに行く。いいね?」

 

 

「――――分かったよ。助けに行けばいいんだろ、助けに。」

 

少年はしぶしぶ承諾した。

 

「その代わり、助けに行く以上のことはしないからな。護衛とか…」

 

「分かってるって!あんたって結構優しいんだねぇ?」

 




紅緋色の大剣を持つ謎の少年…一体何者なのか?

ここでキャラクター紹介

〈リリオ〉
自称、アニマ傭兵団最強のドライバー…とは名ばかりで、まともに仕事をしてくれない傭兵。
グーラのイラーダ村出身の28才。昔はサルベージャーだったが、ふとしたきっかけでドライバーになり、その後は仲間のために傭兵として働くようになった。
黒い豹のような姿をしているブレイド、クロヒョウが相棒。クロヒョウの性別はメスで、リリオに厳しい態度をとるときもある。
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