"セイリュウ"
アルジェントとの戦いの直後にメレフらスペルビア軍に襲撃されたリュウギら。トラの手助けにより、その場からなんとか逃げ出すことが出来た。
「ねぇ、思ったんだけどこの船ってどこに向かってるの?」
ミントがウマのほうを向いて聞いた。
「うーん…たぶんそのまままっすぐ進んでるだけだと思うも。」
既に夜は明け、既に朝日も昇っていた。
「じゃあ行き先とか関係なく?」
「恐らくはそうかと。」アスカが答えた。
「えぇー…このまま進んだって何もないよ?」
「そこ、ハンドル着いてる。」
リュウギが立ち上がり、船についていたハンドルのところへ歩き出した。
「あっ、本当だ…っていうか、体大丈夫?」
「少し休んだからな…たぶん。」
「たぶん…って」
「もっと体を大事にしてほしいも!」
ウマが一喝した。
「それで、どこに向かう?」
ツバキが声を上げた。
「あ、ツバキ居たんだ」
「最初っから乗ってたのにな…」
ツバキはため息をついた。
「俺の…家でもいい?」
リュウギが言った。
「リュウギの家?」
「どうしてメレフが母さんのことを知っていたのか…知りたくてさ。母さんに聞こうと思って。」
「お母さんそこに居るのかも?」
「ああ。5年ぶりぐらいかな…家に帰るのは。」
「あんたの家って
そんなミントの一言に後押しされ、一行はリュウギの住んでいた家…巨神獣のところへ行くことになった。
リュウギが運転する船は他の巨神獣らを過ぎていき、小さな入り江に着いた。
「ここらへんにいるはず…」
リュウギが船で入り江の中に入ると、小型、でも大きい巨神獣が目の前に現れた。
「…誰じゃ?こんなところに…」
巨神獣が口をきいた。
「ア、アルスが喋ったも…!」
「ひいじいちゃん!俺だよ!俺!」
「その声は…まさかリュウギか?」
巨神獣がこちらを振り向いた。
「おぉー!懐かしいのお。かれこれ5年ぶりじゃなあ!」
「元気にしてた?」
「わしはまだまだ現役じゃ!これでも泳ぐ速度はまだ変わらんぞ?」
「この人…人かな?」
「いや、違うと思う」
ツバキが指摘した。
「この方がひいおじいちゃん?」
「なんじゃ、お客さんを連れてきたのか?」
「ああ。ちょっと母さん達に会いたくなってさ」
「とうとうリュウギもホームシックになるとはのう」
リュウギが船から巨神獣に乗り移った。巨神獣の上には茶色い屋根の2階建ての一軒家が建っていた。ところどころにツタが伸びており、あまり手入れされていないように見える。
玄関には一つのポストがあった。リュウギがその中を確認するが、何も入っていなかった。
リュウギは家のドアを開け、家の中を駆け巡る。
「母さーん!母さーん?」
「人がいるような気配はしないけど…」
ミントが家をじーっと見ながら言った。
「なあひいじいちゃん、母さんは?」
「言い忘れとった。母さんは何やら用事があるから数か月は帰ってこないぞ」
「ええっ!?」
「あらー…」
ミントがリュウギを見ながら言った。
「そんな…久々に会えるかと…」
「まぁまぁ。そんなに気を落とすなよ」
ツバキが肩をたたきながら言った。
「で、またどっか行くも?」
「いや、疲れたしな…」
リュウギは腕を組んで考えた。
「あの、巨神獣さん」
ミントが巨神獣に向かって声をかけた。
「なんじゃ?」
「今日一日、泊めてもらえませんか?」
「別にわしはいいが…リュウギはどうだ?」
「確かに休んだほうがいいよな。無理に疲れてる中で動くのは危ないし。」
「それじゃあ一日巨神獣の家でお休みするも!」
巨神獣がそれを見てコホンと咳き込んだ。
「わしにもちゃんと名前というものがあるんじゃが。」
「どのような名前ですか?」
アスカが聞いた。巨神獣は再び咳をした後に言った。
「セイリュウじゃ。泊まるのはいいがどんちゃん騒ぎだけはしてほしくないから頼むぞ」