◇◇◇◇◇◇
「あー、お腹一杯になったね!」
ミントが腹をぱんぱん叩きながら言った。
「ウマは昨日の飯も一緒に出しちゃったも…」
「あんなに旨くて最悪な料理は初めてだ…」
ウマとリュウギの二人は少し顔色を悪くしながら家を出た。
「俺達ブレイドは排泄…なんてあまりしないが」
「なんとなく悪いものを食べたという感じはします」
アスカとツバキの二人が言った。
「そんなにヤバかった?ごめんね。いつも自分の調子に合わせて作っちゃうもんで」
「まぁ、悪い才能ではないと思うけど…」
リュウギがつぶやいた。
「さて!みんな出発の準備は整った?」
ミントが大声を出すと、全員ポーチやら鞄を取り出した。
「セイリュウさん!一日ありがとうございました!」
「なんじゃ?もう行ってしまうのか?」
「ここにずっと居るわけにもいかないしさ。俺達にも目的ってものがあるし」
リュウギがいまだに腹を抱えながら言った。
「寂しくなるのぉ。まぁわしは昼以外はずっとここにおるから、たまに顔を見せにきてくれよ」
「セイリュウさんはお昼何をなさっているのですか?」アスカが聞いた。
「そりゃあ運動に決まっておるじゃろ。ずっとここにいたら体がなまってしまうからな」
セイリュウが答えた。
「じゃあひいじいちゃん、また」
「おう。気を付けるんじゃぞ」
一行は船に乗り込み、ミントとウマとリュウギはセイリュウに腕を振りながら別れた。
「で、どこに向かう?」
ツバキが聞いた。
「少なくともグーラとスペルビアには行けないな…」
「お尋ね者だしね。」ミントが答えた。
「そういえば、リュウギ達って何が目的なんだも?」ウマが聞いた。
「世界樹に行くんだ。俺の父さんが昔居なくなって…」
「私はリュウギに助けてもらったから恩返しついでに世界樹の道案内…だったんだけど、世界樹に行くには通行手形が必要だのなんだので…」
「俺はミントのブレイドだからついて行ってるだけだ。」
ツバキがそっけなく行った。
「ウマはどうするの?研究所は…スペルビアにはウマも戻れなさそうだけど」
「ああ。ウマには助けてもらった…けど、あんまり巻き込みたくないしな。」リュウギが言った。
「ウマは…」
ウマがうつむきながら言った。
「ウマには…その…あの研究所以外、帰るところがないんだも」
「帰る場所が?」ミントが聞いた。
「はい。ウマには昔いろいろと…」アスカが言おうとしたが、ウマに止められた。
「そのことは今言わなくてもいいも!ウマにとってはあそこが居場所なんだも。そこに帰れないなら、リュウギ達に着いていくしかないも。」
「そう…なんだ」ミントがうつむいて言った。
「ってわけでウマの心配はしなくていいも!リュウギ達のお手伝いするも!」
そう言った途端、突然大きく船が揺れた。
「何だ!?」
運転をしていたツバキが言った。
「嵐!?でも雨雲なんか空には…」
リュウギが上を向きながら言った。海を見てみると、波がとても荒くなっている。
「まずいも!船の中に水入ってきてるも!」
「ちょっと待て!俺がなんとかする!」
リュウギが大剣の文字を「水」に変え、海の水をしずめようとする。
「ダメです!効きません!」アスカが船にしがみつきながら言った。
「クソッ、駄目か!」
船の中に水が大量に入ってきていて、ところどころからギシギシという音が聞こえる。
「まずい!このままじゃ壊れ…」
ミントがそう言った途端、船が破壊してしまい、全員海に投げ出され荒波にもまれて流されていった。
「ミントー!ウマ―!…」
そうリュウギは叫んだが、あえなく波にもまれ沈んでいった。
やがて荒波はもとの穏やかに海に戻った。それを見て静かに、誰かが笑った。
「これで計画が楽に進むといいのだが。」
そう言うと、その人物は持っていたサーベルを腰に据えた。
◇◇◇◇◇◇
『ママ、あれって何?』
『傭兵団だよ。依頼とかそういうのを受けて、ドライバーの人たちが仕事をするんだ』
『すごーい!』
『傭兵…なんだか、あの人のこと思い出すなぁ』
『あの人?誰?』
『かつて私たちのために命を賭けて守ろうとしてくださった、この傭兵団の元団長です』
『そうそう。体デカくて顔も怖かったけど、いい人だったな』
『ねぇ、リュウギ』
『何?』
『私はね、ずっと後悔してるの』
『どうして?』
『助けられる命を助けられなかった。 だからこそあなたに言いたい。
――――――救える命があるなら、救ってあげて。』