「母さん…」リュウギは目の前の人の頬に触れた。
「わ、私はあんたの母さんじゃないよ!!」
ミントが手を振りほどき、顔を赤くして大きく後ずさりした。
「なんだ、ミントか」
「“なんだ”って何よ“なんだ”って!」
ミントは怒って腕を組んだ。
「なかなか起きないから心配してたってのにぃ・・・」
「ああ、ごめん」リュウギは頭を下げた。
「ま、無事で良かったよ」
「ところでツバキとかは・・・」
「俺ならここだが」
ツバキががばりと立ち上がった。
「あぁー、居たんだ」
リュウギが言った。ツバキはムッとした顔をした。
「ところでここは・・・」
リュウギがそう言うと、ミントが突然ライトを照らした。
「暗いところでしっかり照らせるんだ。」
「明るくなったけどどこだか・・・。そういえばウマ達は?」
「分からないの。このあたり探して見たんだけど見つからなくて・・・」
「ここには流れつかなかったか・・・無事だといいけどな。」
「まだ奥の奥までは調べてない。いるかもしれないだろ?」
そう言ってツバキは奥へと歩き出した。
「あっ、一人で勝手に行かないでよ!」ミントとリュウギが走ってついていく。
しばらく歩くと、暗いのはだんだんと無くなり、不思議に壁や植物が光っている洞窟のようなところへ出た。
「うーん、なんだか見覚えあるんだけどな・・・」リュウギが腕を組んであたりを見渡す。
「来た事あるの?」
「ああ。昔母さんと来たことが・・・」
すると、突然上の方から声がした。
「お?あんなところに遭難者か?」
突然二人の強面のドライバーがブレイドを連れて降りてきた。
「誰!?」ミントが身構えた。
「なぁに、悪いようにはしないさ。あんたらここで迷ってんだろ?」男の一人が言った。
「迷ってるというか・・・迷い始めたというか・・・」リュウギが答えた。
「ならブレイド含めて3人ご案内!」
3人は二人のドライバーにつられて、さらに洞窟の奥へ進み始めた。
「大丈夫?なんか怪しくない?いきなり囲まれていやらしいこととかされない?」
ミントがひそひそとリュウギの耳元でささやいた。
「お前にはいやらしいこととか考えないだろ。」
「しっつれいね!私だって一応女…」
「どうやら着いたみたいだぞ?」
ツバキが言うと、二人とも静かになった。
開けた場所にいくつものテントとお店が立ち並び、たくさんの人がそれぞれに暮らしている様子が見て取れる。
「ここって・・・村?」
「ああ。しかも傭兵団の村だ!」
リュウギが突然二人のドライバーを追い越し、村の奥へと進んでいく。
「あっ!いきなり走り出さないでよ!」
リュウギがしばらく走ると、目の前に赤い鳥のような姿をしたブレイドが現れた。
「おいおいリュウギ!お前が来るだなんて聞いてないぞ!」
「久しぶりだなスザク!」
リュウギはそのスザクという鳥にようなブレイドと握手を交わした。
「そのー・・・お知り合い?」ミントが聞いた。
「ああ。ここはフレースヴェルグ傭兵団だ。昔っから時たまお世話になってたんだ」
「フレースヴェルグ・・・あの一番人気の!?傭兵団!?」ミントが驚いた。
「ってことは…ここはインヴィディアだ!」
「その通りだ。お嬢ちゃんいきなりドライバーさんに脅されて怖かったろ?」スザクが言った。
「そりゃあ強面の男がいきなり現れたら・・・」
ミントは体を抱きながら言った。
「というかリュウギ、こんな大傭兵団と友達なんて意外と人脈広いんだね~」
「って言ってもここくらいしか知り合いはいないけどな…」
リュウギが頭をかきながら言った。
「ところで、何の用があってここに来たんだリュウギ?」
「実は海で荒波に飲み込まれてさ。気付いたらインヴィディアに」
「それは大変だったな。まぁとにかく今はこの村でゆっくりするといい。」スザクが言った。
「ところで、ノポンもここに流れ着いてこなかったか?」リュウギが聞いた。
「ノポンねぇ。ついさっき一匹来たぜ。」
◇◇◇◇◇◇
「ももーっ!離すも!ウマは美味しくないも!」
「あっ!ウマ!」ミントが叫んだ。
「ああーっ!ミントにリュウギ!助けて欲しいも!野蛮な人たちに食われるも!」
「別に食べようとしてるわけじゃなさそうだけどな・・・」リュウギが言った。
たくさんの子供達がウマをふかふかと触っていた。
「これ見てもそう言えるも!?子供達がウマのことを食べようとしてるんだも!アスカは見てて助けてくれないんだも!!!」
「はいはい。今助けますよ」
ミントが子供達を離した。
「はー、死ぬかと思ったも!」
「ありゃどう見てもじゃれあってるようにしか見えなかったけどな・・・」
「いや、すみません。私にはちょっと手が負えなくて。」アスカが奥から現れた。
「ウマが波に飲まれて気絶しているときにサウラーに食われる夢を見たらしく・・・」
「ほんと怖かったんだも!!!」