◇◇◇◇◇◇
その日の夜は珍しくミントの手料理ではなかった。ミントは自慢の腕が振るえないことに少し不満げな様子だった。
そして翌日。全員準備をしてから宿屋を出た。
「じゃあスザク、行ってくるよ」
「また暇があったら顔出しに来いよ」
「ああ。」
そう言って全員はフレースヴェルグの村を後にした。
しばらく進むと、リリオが言っていた崩れた道を見つけた。
「これがリリオが壊したっていう・・・」ミントが道をかがんで見た。
「想像以上にぶっ壊れてるも。近づいたらこっちの足場もぶっ壊れそうだも!」
ウマがそう言って後ろに下がった。
「なんだお前ら、来るの早いな」
後ろからリリオとそのブレイドが現れた。
「さて・・・ここで俺達の絆の力を見せるとするか!」
「しょうがないわね」
クロヒョウはしぶしぶといった感じでリリオに近寄った。
「道よ、元に戻れェーッ!」
リリオはツインリングを天にかかげ、土の力をこめて放った。
・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・何も起きないぞ?」
ツバキが言った。
「あれ?おかしいな・・・土の力よ!」
何も起こらない。
「なぁクロヒョウ、なんでだと思う?」
「単純に私一人の力じゃちょっと無理だってことよ。」
「そんな・・・」リリオがうつむいた。
「土の力があればいいんだも?」ウマがツインガンを手にして言った。
「まぁ、一体じゃ無理なら2、3体でやらないといけないからな・・・」
「なら、俺たちも手伝おう」
ツバキがミントにナックルクローを手渡した。
「え?何するって?」
「今コイツがやったようにするんだ。難しいことじゃない」
リュウギ以外が全員崩れた道の前に立った。
「じゃあアスカ、土の力お願いするも!」
「了解です!」
「ではいくぞ・・・」リリオが力を溜めている。
「「土よ戻れーッ!」」
「つ、土よ戻れぇー・・・」ミントが少し恥ずかしげにしながら叫んだ。
すると、崩れていた道はみるみる元通りになり、頑丈な土の橋になった。
「おぉー!」リュウギは拍手した。
「はぁー・・・あんなこと言うなんて恥ずかし恥ずかし・・・」
ミントが顔を真っ赤にしながら顔を叩いた。
「初めてにしてはなかなか上手かったぜ?」リリオが肩を叩いた。
「別にあんなセリフ言わなくても良かったんじゃないの?」
「まぁ・・・気合を込める為だ。無言でやるより良いだろ?お前らだってアーツ放つときは技名言うだろ?」
「それとこれとは別だって!」
「ま、面白かったからいいんじゃない?」リュウギが直った橋を渡りながら言った。
「お、面白かった!?」ミントが走って追いかけた。
「いやぁ…若いっていいよな」リリオが腕を組んでうんうんとうなずきながら言った。
「リリオの兄ちゃんは何歳なんだも?」
「次の誕生日で30になる。時間が経つのは早いよな…」
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直った橋を渡り、インヴィディアの奥へと向かう一行。
「ずいぶんと開けたとこに来たな」ツバキが見渡していった。
インヴィディアの象徴ともいえる光る花びらが舞うその景色はとても美しいものだった。奥には街が見え、それもまた美しい造形だった。
「あれがフォンス・マイムかな?」ミントが言った。
「その通りだ。なかなか立派な街だろ?ここからでも見えるほど大きい。」リリオが言った。
「・・・って、なんであんたまだついてきてるの!?」ミントが驚いた。
「フォンスマイムに俺のところの傭兵団の本部があるからな。帰るのはなんだかんだ1ヵ月半ぶりか・・・」リリオが遠くに見える街を見ながら言った。
「とにかく。今はフォンスマイムまでまっすぐ進もう」リュウギが言い、全員歩き出した。
「残念だったな、ここから先は通させへんで!」
突然フードをかぶった二人組が巨大な亀に乗って岩陰から現れた。
「何あれ・・・観光名物?」ミントが指さして言った。
「やれやれ、またこいつか・・・」リリオが頭を抱えて言った。
「ここから先に進みたけりゃ、有り金・持ち物全部置いていけや!」
「極端だも」
「だから誰?」ミントが聞いた。
「ふん、この顔見たらきっと腰抜かすで・・・」
二人組はフードを外した。
「ふっ・・・」男はドヤ顔でリュウギ達を見つめた。
「だから誰よ?」ミントがばさりと言った。
「なんやと!?このワイを知らんやと!?」
「はぁー・・・遅れてる。遅れてるわ」隣の女性・・・ブレイドが言った。
「ならここで覚えていってもらうで!ワイの名は・・・」
「ジーク!」「B!」「
「と書いてアルティメットと読む!アルスト最強のドライバーや!」
「へー・・・」リュウギが一つ知識を覚えたようにうなずいた。
「でも亀に乗ってたらなんというか・・・迫力ないよ?」ミントが言った。
「それもそうやな」男とブレイドは亀から降りた。
「てか、ドライバーならワイのこと知ってるかと思ったんやけどなぁ・・・なぁ、ワイってそんな知名度ないか?」
「そうか?ウチはドライバーの中でも有名なほうやと思うで?」
「ハハッ!そうよな、そうよなぁ!」ジークという男とそのブレイドが言った。
「あのー・・・盛り上がってるところすみませんけど、通させて・・・」
「アカン。通りたければこのワイに勝ってみぃ!」
男は大剣を見せ付けて威嚇した。
「いや、いい」
リュウギはそのまま男を避けて進もうとする。
「いやちょっと待ちぃや!」
二人はリュウギたちの前に再び立ちふさがった。
「なんだよ、めんどくさいドライバーさんだね!」ミントが言った。
「ところでその巨大な亀なんだも?」
「こいつはカメキチ!ワイらのアイドルや!」
「ずいぶんとでかいアイドルだな」ツバキが言った。
「しかしまぁここまで舐められたらドライバーの名がすたるで!ってわけで言うわ」
「いいか、最近のインヴィディアはどうにもモンスターが凶暴で並みのドライバーなんかが進んだらすぐに死んでまうんや。分かるか?」
「はぁ・・・」リュウギが小さく答えた。
「せやから、せめてこのワイに勝てないと・・・」
「フォンス・マイムまで行くのは無理やで!」
再び男は大剣を見せ付けて威嚇した。ついでに笑顔も見せた。
「うわぁ・・・こいつマジもんだ・・・」リュウギが引いた。
「どうする?」リリオがツインリングに手をかけて言った。
「来るなら…やるしかない!」リュウギは大剣を取り、構えた。
「ほぉ?ようやくやる気になったようやな・・・!」
「ほら、カメキチあっちに下がっとき」その男のブレイドが巨大な亀を戦線から下げたところで、戦闘が始まった。