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男性に連れられて、リュウギの母親がいたというレストランの中へ。
なかなか盛っているレストランで、人々の話し声の騒ぎがとてもうるさいほどだった。
「う~ん・・・」リュウギが目を凝らしてあたりを見渡した。
「居ないねー・・・」ミントも同じくあたりを見回す。
そこに先ほどの男性が、レストランのレジから歩いてきた。
「すまない。君の母親らしい人は既にお店を出てしまったらしい・・・」
「でも、それならまだ近くにいるかもだも!」
「よし、探しに行こう!」リュウギが言った。
そう言った途端、レストランの奥からクロヒョウに手をまわしたリリオが現れた。
「あっリリオ」ミントが見た瞬間に言った。
「すまない!実は俺お金が無くて食事代払えなくて・・・何でもするから払ってくれないか!?」リリオは手を合わせてお願いした。
「いきなり図々しいも」
「ってか、なんでここに居るの?」ミントが聞いた。
「いやぁこっぴどく叱られたからさ・・・やけになって来たものの」
「なんでお金を持ってないんですか?」アスカが聞いた。
「財布を忘れてさ・・・ハハハ」
「言っとくけど、そんな理由でお金を払いは・・・」ミントが言おうとしたが、あることを思いついて続きを言った。
「払ってもいいよ。その代わり傭兵さんのリリオにお願いがある」
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「なるほど、母親探しをリリオさんに任せるとは・・・」アスカがうなずきながら言った。
「リュウギは自分で探しに行きたかった?」ミントが聞いた。
「いや、むしろこうやって買い物もできるし、ついでに母さんも探せるし」
リュウギは店のリンゴを手にとって言った。
「ね?名案でしょ?」ミントがアスカのほうを向いて言った。
「これとか母さん喜ぶかな・・・」リュウギが花屋の近くで一つの草をとって言った。
「何これ?マタタビ?」ミントが草を見て言った。
「うん」
「いやぁ、こんなもので喜ぶとは思えないも・・・」
だんだんと日が沈み、巨神獣の中であるこのインヴィディアの中も増して暗くなり始めてきた。
「モンスターの素材売ると以外にお金が手に入るもんだねぇ」ミントが買い物袋を両手に持ちながら言った。
「サルベージの方が儲かると俺は思うが」ツバキも買い物袋を持っている。
「インヴィディアはサルベージポイントぜんぜん無いからさ・・・」ミントが答えた。
「ウマ、持つのもう疲れたも・・・そろそろ宿屋に戻ろうも?」
「そうだな。帰るとするか・・・」リュウギの合図で、全員宿屋へと戻った。
夜になると宿屋に泊まる人は多くなるらしく、宿屋の外にまで行列が出来ていた。リュウギたちは既に数日分の部屋をとっていたため、泊まる宿がなくなるということはなかった。部屋に戻り荷物をしまうと、ミントは例のごとく宿屋の厨房へと買った材料を持って歩いていった。
「にしても、なかなかリリオ来ないな」リュウギがミントの作ったタルタリ焼きをほお張りながら言った。
「お母さん、いないんじゃないかも?」ウマもほお張りながら言っている。
「食べながら喋るのは行儀が悪いよ?」ミントがリュウギとウマの頭を叩いて言った。
「お前が言えたことかよ・・・」リュウギが言った。
「サボってる可能性もなくはないが・・・」ツバキがそっと言った。
「確かにあるかもね。リリオのところ行こうか・・・」
ミントがそう言った瞬間、宿屋の下の階から駆け抜けてくる音が聞こえてきた。その音はだんだんと近づき、リュウギ達の泊まっている部屋に入ってきた。
「うおっ!?リリオか!?」扉の近くに立っていたツバキが衝撃で倒れた。
「リュウギのお母さん見つかったの?」ミントがタルタリ焼きを口にほお張りながら聞いた。
「お前もやってんじゃん・・・」リュウギが呟いた。
「いや、違う・・・パジェナ劇場のイオンさんが誰かに攫われたって・・・」
「え"え"っ"!?」
ミントはすぐに飲み込み、扉を開けて走り出した。
リュウギたちもすぐにその後をついていった。
外では野次馬たちがパジェナ劇場の前にたむろしていた。
ミントはその間をかきぬけて、劇場の前に貼ってあった一枚の紙を見た。
「イオンは預かった 分かっているだろう? 来い」という文が書いてあった。
「何これ・・・」ミントはそれを見て驚愕した。
「何があったんですか?」アスカが野次馬の一人に聞いた。
「ついさっきだ。一体のブレイドがいきなりイオンさんを攫ってこの貼り紙をはりつけてどこかに消えたんだよ!あんな目の前で誘拐するだなんてなぁ・・・」
「そんな堂々と・・・」アスカが驚いた。
すぐにミントは再び人の間をかきわけてリュウギ達の前へ。ミントは貼り紙のことを話した。
「"来い"・・・一体誰に向けて?」
「誰にだなんてそこはどうでもいいの!イオンさんを助けに行かないと!」
「どうやら既に国の保安隊が捜索しているらしいが・・・」リリオが言った。
「だからって何もしないわけにはいかないよ!!私達も探そう!」ミントが一喝した。
「あ、ああそうだな・・・」
すると突然、リリオの同僚であるリクスが現れた。
「リリオ。どこをほっつき歩いているのかと思ったらこんなところに・・・」
「リクス・・・すまないが俺はちょっと用事があってな」
「悪いがその用事に耳を傾けている暇はない。団長がお呼びだ」
そう言うとリクスはリリオの耳を引っ張った。
「うおおい・・・」リリオがそのまま引っ張られていってしまった。
「と、とにかく・・・イオンさんを探さないと!」
「少し心当たりがあるんだ」リュウギがつぶやいた。
「心当たり?」
「イオンさんが居る場所・・・あまり人が来ない場所・・・」
リュウギは腕を組んで考えて言った。
「カラムの遺跡・・・たぶんあそこだ」
「母さんから、あそこにフレースヴェルグの前の団長の墓があるって聞いたんだ」
「それでどうしてカラムの遺跡になるの?」
「そこで一度人が誘拐されたことがあったらしくてさ。今回みたいに・・・」
「なるほど、それを知ってカラムの遺跡に行った・・・という可能性もあるな」ツバキが言った。
「それで、カラムの遺跡はどこにあるんだも?」
「あっちだ」
リュウギが指を指した先はインヴィディアの大階段があるセーヴィント宮殿広場。
「あの大階段を登った上にある」
「か、階段登るの・・・確かに誰も近づかないわけだ・・・」ミントが肩を落として言った。
「でもそんなこと言ってられない!イオンさんを助けに行こう!」ミントが腕を挙げ、全員大階段のほうへ走っていく。
「あれは…」
一人の女性が、走っていくリュウギ達を後ろから見ていた。