ホムラとヒカリでいったら自分は僅差でホムラ派です。
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野盗にさらわれたミントのサルベージャー仲間を助けるために、まずは襲われたキャンプ地へと向かった。
もう朝も近いというのに、グーラの下層は未だに暗い。
「ずいぶんと色んなもの盗まれたみたい…」ミントがテントの中から出てくる。少年は消えた焚き火の近くで木の実を拾った。
「これは―――あいつら、例のコアクリスタル狩りの奴らか?」
「ん、何か見つけた?」
「なぁ、お前らって―――どうしてここにサルベージしに来たんだ?」
「うーん…ゴルトムントの掲示板でいいサルベージポイントがグーラにある…って書いてあったから。」
「あぁー…そりゃ詐欺だな。」
「へ?詐欺って?」
「近頃、サルベージャーとかドライバー狙ってウソの情報貼り付けたりする奴らが多いんだよ。つまり―――」
ミントの表情が曇った。
「あいつら、最初から私達を狙ってた…ってこと?」
「そうだろうな。だから夜に襲撃したんだ。」
「それって―――騙されてたってこと!?」
ミントが声を荒げた。
「何それぇ!腹立つ奴らぁ!」
少年は拾った木の実をミントに見せる。ミントはそれを見て不思議そうな顔をする。
「何それ?」
「野盗の落としていった物だ。これはグーラの上層でしか取れない…たぶん、上層にアジトがあるはずだ。」
少年は歩き出し、上層へと向かう為に奥へと進んでいく。
「あ、ちょっと待ってよ!」
二人は森の奥へと進み、今にも落ちそうなツタを登りながら、だんだんと上層へと近づいていく。
光が見えてきた。そのまま光へと進むと、外には大きな平原。“ゴルドア大平原”が広がり、
太陽がちょうど出てきた所だ。
「あー!久々に太陽の光浴びた!」
ミントが手を挙げて大きく伸びをする。
平原には多くのアルマや、ヴォルフ達がそれぞれに生活している。遠くには縄張りバルバロッサが見える。
いつものように平原を徘徊しているようだ。
「トリゴの街からここに来るときにあのデカゴリラに襲われてね…うちの傭兵すぐに倒れちゃってさ。逃げるの
大変だったよ…」
「バルバロッサに襲われてよく生きてたな…」
少年が少し感心したような声で答えた。平原を見渡すが、野盗の姿は見えない。ふと足元を見ると、そこには
大きな猫が歩いたような足跡があった。
「これは―――リリオのブレイドの足跡かな?」
「ってことは、この足跡を追っていけば奴らのアジトに辿り着くかな。」
少年が足跡を見ながら、前へ前へと進んでいく。ミントもそれに続くように歩いていく。
「そういえばさ、なんであんたはあそこに居たの?」
「あそこって?」
「ほら―――オルゴール取り返しに来たってことは、ずっと付いてきてたってことでしょ?」
「―――まぁ、取り返すチャンスを伺ってた。結局寝静まった後になったけど。」
「私が拾った後からはずっと?」
「そうだな。落としたオルゴールどこだって探してて、お前が拾ったのを見かけてな。」
「そん時に普通に返してって言えば良かったのに…」
「いや、だってさ―――いきなり知らない人に声掛けるって―――気まずくないか?」
「気まずいって…あんたもしかして、人見知り?」
「―――そんだけで人見知りって決め付けんなよ。助けにいくのやめるからな。」
「あぁっ、ごめんごめん!助けてくれたらご飯とかおごってあげるし、ね?」
「ならいいけど。」
どこまでも続きそうな足跡をひたすら辿りながら、出会ってまだ数時間の少年と会話を交わし続ける。
ミント曰く人見知りなその少年に何か話題を振っても、すぐに途絶えてしまう。
しかし、あることを尋ねると、思ったよりも話が弾んだ。
「あんた一人みたいだけどさぁ…仲間とか居ないの?」
「ん?別にいないけど…」
「ずっと一人でうろちょろしてたの?」
「うろちょろって何だよ。旅してるんだ、旅。」
「へぇ、旅人かぁ。自由でいいねぇ」
ミントは少年に笑いかけた。
「そんな自由ってもんじゃない。飯食うために金稼ぐのも大変なんだよ。」
「お金稼ぎならサルベージとかやってみたら?ゴルトムントなら体験するの安いし。」
「サルベージは苦手だ。昔やって溺れかけたことがある…」
そう言うと少年は苦い顔をする。
「あぁ…そりゃ災難だったね。」
そんな話を続けているうちに、気付けば双樹の丘へと着いていた。ここから眺めるゴルドア大平原も中々の絶景である。
「野盗共はこんないいところにアジト構えてんだ――贅沢だねぇ。」
ミントがそう言って振り向くと、少年が足跡の先を眺めていた。
「穿岩の門…昔、ここに野盗の本営があったんだって。」
ミントが少年の見つめる岩の門を、同じように見つめながら言った。
「たぶん、そこがアジトだろうな。よく注意して行こう。」
少年が踏み出す。岩の門を通り、鳥のような姿をしたチアル・ランナーを横目に進んでいくと、洞穴が
目に飛び込んできた。
「あそこが野盗のアジト…」
「足跡が続いてる。きっとあの中だ。」
少年は岩の後ろに隠れながら、洞穴を覗く。
「―――ん?誰も居ないぞ―――」
少年は洞穴のほうへと走り出す。ミントもそれに続いていく。
洞穴の中には数十個の腐った木の実や肉が入った箱が無造作に並べられており、中心には焚き火の痕のような
ものがある。
「随分昔のやつみたいだな。奴らのアジトはここじゃない―――?」
ミントは肩を落としてがっくりした。腐った食べ物の入った箱に腰をかける。
「はぁーあ。せっかくここまで来たのにぃ…」
「でも、この足跡は新しい物だ。このあたりのモンスターに似たような足跡を持ってる奴は居ないし…」
「途中で間違えたのかもしれないよ? 戻ってまた探しに…」
ミントが立ち上がった途端、カチッという音が鳴った。箱が壊れた音でも、何かを落とした音でもない。
その音が鳴って数秒後、ゴゴゴゴという音と同時に三人通れるほどの穴が壁に現れた。
「こんなものを搭載してるだなんて…」
「箱が扉を開けるスイッチだったのか。じゃあ奴らの本当のアジトはこの先ってことか―――」
少年が現れた穴をくぐっていく。細い道を壁の松明が照らしており、穴は地下へと続いている。
ミントは少年に続いて穴をくぐっていく。
しばらく先に進むと、少し広い通りになってきた。2つに分かれる道を左に進み、さらに広くなると同時に、
誰かが奥から歩いてくる。
「やっばい、見つかる!」
ミントは小さな声で少年の肩を叩き、後ろに下がって見つからないよう隠れた。
「はぁ…めんどくせぇなぁ…とっとと始末すりゃいいのに。」
野盗だ。松明を持ってぶつぶつ愚痴を吐きながら横切っていった。
野盗は気付いていないが、少年がそろりと野盗の後ろへ行き、大剣で思いっきり殴った。
「ひっ、いきなり大胆に…」
ミントが口を押さえて言った。
「峰打ちだ、安心しろ。」
少年は倒れた野盗の持ち物を漁り、数本の鍵を手に入れる。
「やっぱり。きっとどこかに閉じ込められてるんだ。」
少年は鍵をポケットに入れて先へ進む。ミントは倒れた野盗を落ちていた棒でつんつんとつついた。
まったく起きない。
さらに先へ進むと、今までで一番広い場所に出た。野盗が使う武器が乱雑に地面に置かれていて、天井には
クモの巣がたくさん張っている。数人の野盗が輪になって何かを囲んでいる。
「一体のブレイド…チッ、取れるコアクリスタルは一個だけか…まぁ仕方ねぇ、レアブレイドなだけマシだ。」
「どうするショット?とっとと殺すか?」
野盗の囲む中心には、仲間達を襲ったドライバーとそのブレイド、そしてリリオとクロヒョウがそこにいた。
リリオは手錠をかけられていて、クロヒョウは両手と両足を縛られていた。
「悪いけど、私はコアクリスタルに戻ってもあんた達には従わないから!」
「おやおや猫ちゃん?ブレイドは同調したドライバーに嫌でも従うってルール知らないのか?」
ドライバーのブレイドがクロヒョウを煽る。
「よせよバクエン。前の記憶がねぇからそんなルールだって曖昧にしか覚えてないんだぜ?」
バクエン、ショット…ミントはその名前に聞き覚えがあるようだった。見つからないように隠れながら
助けるチャンスを伺う少年とミント。
「ショット…もしかしてあいつら、ペルフィキオの奴ら…?」
「ペルフィキオ?なんだそれ?」
「知らないの?今指名手配されてるテロ組織。コアクリスタルを狙ってるっていう…」
「テロ組織…随分やばい奴らに喧嘩売ることになるなぁ…」そう言って、少年は大剣に手をかけた。
「―――なんだ?この変な感覚は…?」ショットのブレイド、バクエンが不思議な感覚に囚われる。
「どうしたバクエン?」
「ブレイドか…?だが…」