"ヴァンダムの墓"
前日の争いが嘘のように綺麗な青空だった。
カラムの遺跡にぽつんと建てられた墓の前で、リュウギは合掌した。
「その人って誰の墓なんだ?」リリオが聞いた。
「母さんと父さんが世話になった人らしくて。前に母さんとインヴィディアに来たときに教えてもらったんだ」
「ヴァンダム・・・ワイも名前なら聞いたことがあるなぁ」ジークがつぶやいた。
「しかし戦いに集中して墓があるの気付かなかったなぁ」ミントが言った。
「あぁ。何はともあれ墓が壊れなくてよかったよ」リュウギはポケットからタオルを出して墓石を拭き始めた。
「――――私も最近、お墓参りしてないなぁ」墓石を拭いているリュウギを見つめてミントが言った。
「で、これからどうするも?」
「ねぁジーク・B・極・玄武・・・さん?様?」ミントがが悩ましげにジークの名前を呼んだ。
「ハハッ!ジークでええで」ジークは笑いながら言った。
「ねぇジーク。あんたって王子様・・・なんだよね?ルクスリアの」
「せやで。それがどうしたんや?」
「私達、世界樹に行きたいの」
「ほぉ?なんでや」ジークは腕を組んだ。
「母さんとの約束なんだ。世界樹にいる父さんを探しにいきたくて」
「それで行くには王様とかの手形が必要らしくて・・・色々あってとれなくて。ジークは王子様らしいし・・・だったら好都合かなって思って」
「なんや、意外と図々しいんやな」
「っていうか、なんであんたここに居るんだ?」ツバキがジーク達を見て言った。
「何や、ついてきて悪いんか?」
「それでジーク、お願いできる?」
「もちろんやで!その代わりルクスリアへの渡航代は負担してくれるよな?」
「まぁそのぐらいなら!」ミントはうなずいた。
「すまんなぁ、王子今一文無しなんや」ジークのブレイドがミントに耳打ちした。
「王子様なのに?」
「スリにあってなぁ…仕方なくバイトとかで小銭稼いでたんや」
「それを言うなや・・・」ジークがためいきをした。
「そういえば気になったことがあるんだも」
「なんや?」
「どうしてジークは助けに来てくれたんだも?」
「それはやな―――― 最初に戦ったとき、お前らなかなか強くてなぁ。他のドライバーらに比べれば格上でな。気に入ったんや。それに・・・」ジークが言葉を溜めた。
「なんか、お前ら見てると懐かしく感じてな。どうもちょっかい出したくなったんや」
「へんな奴だも」
「へんな奴ってなんや!?へんな奴って!?」
「それにワイ、ツナヨシいう奴らが大階段登っていくの見てたんや」
「「「ええっ!?」」」
「けどまさかそいつらがペルフィキオだなんてなぁ。お前らが上っていったからちょいちょいと後を追ってたんや」
「俺も抜け出して階段を上る途中に会ってな」リリオが言った。
「しかしジークさんがいなければ私達は負けてました。」アスカが言った。
「まぁ恩人だしねぇ。王子様にちょっとだけ貸し作っておきたいし」ミントが言った。
「そんじゃ交渉成立や!よろしく頼むで~」
「あ、そうそうウチは自己紹介してなかったなぁ。サイカやで!簡単やからすぐに覚えるはずや」ジークのブレイド、サイカが自分を指さして言った。
「お前達の旅の安全を願ってるぞ。じゃあな」
リリオが手を振って歩き出した。
「あれ?リリオはついてこないんだ」ミントが言った
「団長にこっぴどく叱られたからな。これ以上空きを作ったらそれこそ俺はクビになっちまう」
「それではみなさんごきげんよう」クロヒョウがミント達にお辞儀をしてリリオについていった。
◇◇◇◇◇◇
インヴィディア近海に、一艘の巨神獣船が近づいていた。
「カルマ陛下、まもなくインヴィディアへと到着します」
「本当にインヴィディアで合っているのか?」カルマ皇帝は指をこすっている。
「はい。目撃者の証言によると少年らの乗った船はインヴィディア方面に向かったと」
「しかし・・・」カルマは一息置いてから言った。
「女王陛下に何の報せもなく巨神獣船を近づければ何事かと騒ぐであろう」
「いえ、既にラゲルト女王への報告は済ませております」
「ならば良かった。下がってよい」
兵士は頭を下げてその部屋を去った。
カルマは部屋の奥にある皇帝専用に赤と金で飾られた椅子に腰をかけた。
インヴィディアの巨神獣へと近づくスペルビアの巨大な巨神獣船。逆にインヴィディアのほうからは一艘の巨神獣船が出発した。
その船にはリュウギ達を見ていた女性が乗っていた。
「この船はルクスリア行きゲンブ港到着となります。途中インヴィディア領アヴァリティア商会商人港へと停泊します」と、放送から聞こえてきた。
「あれはスペルビアの巨神獣船・・・」
「インヴィディアへと向かっていますね」
女性は顔を下げ、海を見た。
「お嬢様・・・」
「大丈夫。後悔なんてしてないよ」