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リュウギ達はフォンス・マイム港で出航の手続きを受けていた。
港には何艘もの巨神獣船が停泊しており、中には整備を受けている船もあった。
「ねぇジーク、ルクスリア行きで・・・いいんだよね?」ミントが受付でチケットにサインしていた。
「ん?ああそうやで」
「じゃあこれでよし・・・っと」
「あれ、お金は払わないのかも?」ウマが財布を取り出した。
「サルベージャーなら無料で船に乗せてもらえるんだよーん」ミントが言った。
「そうだったのかも!ウマもまだまだ世に疎いも」
「出航まで6時間かぁ・・・どうやって時間潰そうか」
「それまで宿屋で休もう。昨日は相当疲れたしさ」リュウギが言った。
「そうですね。無理は禁物です」
一行は宿屋へと戻った。昨日の騒ぎがなかったかのように街はいつも通りの風景に戻った。
宿屋では出発への身支度をした。ミントはその中でも早めに終わらせ、こっそりと宿の外へと出た。
ツバキは自分の身支度の途中、彼の好きな小説である「ブレイド戦術~上級者編~」が無いことに気が付いた。
「おいミント、貸した俺の本はどこに・・・」
ツバキがあたりを見回しても、ミントの姿はなかった。ツバキはとりあえず一番近かったリュウギに声をかけた。
「なぁ、ミントどこに行ったか知らないか?」
「ミントなら外に行ったの見たけど・・・」
「ったく、外か・・・」
「俺、身支度終わったし探してこようか?」
「ああ頼む。俺はあの本がないと安心できないんだ」
そんなわけで、リュウギはツバキに頼まれミントを探しに町へ出た。
どこにいるかと見渡すと、案外あっさりと見つかった。ミントはパジェナ劇場の前に立っていた。
「あ、いたいた・・・」
リュウギが近づこうとしたが、劇場の中からイオンが出てきた。少し下がり、建物の陰から様子を見ることにした。
「あらミントちゃん」
「イオンさん・・・」
ミントは突然頭を下げた。
「ごめんなさい!私達もうインヴィディアから発たないといけなくて、劇場が閉まるっていうのに何もできなくて・・・」
「それにツナヨシって奴のことも・・・」
イオンは首を振った。
「いいの。劇場は潰れるわけじゃないから」
「それにあなた達のせいじゃない。ツナヨシのことを見抜けなかった私のせい、攫われた私のせい。あなた達を危険な目に遭わせて、むしろこっちが謝りたいくらいよ」
「もし、何かできることがあったらと思って来たんです」
「何かすること・・・ねぇ」
イオンは腕を組んで考えた。
「なら、一つだけ頼みがあるわ」
「ツナヨシを連れ戻してきてくれる?」
「ええっ!?ツナヨシを!?」
リュウギは陰ながら不安そうな顔をした。
「あいつを連れ戻すって・・・」
「あの人、本当はあんなのじゃないの。きっとペルフィキオに関わったせいで・・・」
「前にも言ったとおり、あの人は師匠であるおじいちゃんを尊敬しているの。だからあんな狂った姿は見たくない。だから一発ひっぱたいて目を覚まさせてほしいの」
「分かりました!一発どころか百発ぶん殴ってきます!」ミントは自分の胸を叩いた。
「お願いね。それまでにはここで準備して待ってるから」
ミントがイオンとの話を終わり、宿へと戻るかと思いきや別のほうへと歩き出した。
「ったく、どこに行くんだよ・・・」
リュウギはついていることをバレないように隠れながらミントのあとを追う。
「・・・ってなんで俺はストーカーみたいなことを」
するとミントが急に止まった。
「あっリリオ!探してたんだよ~」
ミントはリリオを見つけるとそちらのほうへ歩み寄った。リュウギはそれもまた背後から様子を見ることに。
「あぁミント、ルクスリアに行くんじゃないのか?」
「まだ出航まで時間があってさ。ちょうど会えて良かった」
「俺を探してた?」
「変な人ねぇ。リリオなんかに用があるなんて」クロヒョウがミントに近づいた。
「変な人ってなんだよ!?一応は俺のブレイドなのに・・・それで用ってのは?」
「それはね・・・」
それを見ていたリュウギは目を丸くして驚いた。
◇◇◇◇◇◇
「ええっ!?リリオに仲間に入れるのかも!?」
「なんだよ、俺が居ると不安か?」
なんとリリオがリュウギ達の仲間に入るというのだ。
「ええやないか!騒がしいのはワイ嫌いやないで!」
「そうそう!リリオも結構役立つってこと知ったし・・・ね?」ミントがリリオを見つめた。
「ようやく分かったか!」
「でも一応"傭兵"としてついていくだけだから・・・」クロヒョウが言った。
「その通り。最後には代金貰うからな」
「なんだ、用心棒じゃねぇか」
「それで、傭兵団の人達とは大丈夫だったのか?」リュウギが聞いた。
「ああ、そうだな・・・」
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「話の途中に抜け出すなんてなぁ・・・」
ランプひとつしかない薄明かりの部屋の中で、リクスはリリオを見ていた。
「・・・すまない」
「お前、この部屋をよく見てみろ。」
リリオはそう言われ、部屋をなめまわすように見た。
「俺達アニマ傭兵団は、あのフレースヴェルグと違って金も場所もない。フォンス・マイムの格安のボロ家を借りてなんとかやってるんだ」
「かつてこのアニマ傭兵団はインヴィディア一の傭兵団だった。だがだんだんと他の傭兵団に流れ人は居なくなっていった」
「俺達はイラーダ村の生き残りだ。サルベージャーとして行き詰っていた俺達をナルマさんが拾ってくれた」
リクスは深く息を吸い、神妙に言った。
「だから俺達は借りを返さないといけない。遊んでる場合じゃないんだ」
「俺は遊んでるわけじゃない!」リリオは正座から立ち上がった。
「ならどうしてすぐに帰ってこなかった?」
「それは・・・金が無くて・・・」リリオは顔を落とした。
「それはお前が傭兵としてしっかり仕事をせずに金を払ってもらわなかったからだ」
「他の傭兵団に世話になって、プライドはないのか?」
「俺はプライドだのそんなので動いてるんじゃない。しっかりと感謝してる」
「なら、もうふざけた仕事はしないことだな」
「依頼はきちんと遂行して、終わったら金を貰ってすぐに帰ってこい」
「あの時は集団で野盗に囲まれて・・・」
リリオは拳を握って深く下を見つめた。
「俺、依頼されたんだ」リリオが口を開いた。
「依頼・・・?」
「あぁ。ミントに旅についてこいって」
「あの女の子にか?」リクスは顎をさすった。
「俺の腕を見て、仲間に欲しいって」
「それは傭兵としての依頼か?」
「・・・ああ」
「終わったら本当に戻ってくるか?」
リリオは下を向いたままだった。
「・・・約束できないんなら」
その時、部屋に一人の老人が入ってきた。
「ナルマさん・・・」リクスが言った。この杖をついた、既に70は過ぎたであろう老人がナルマだった。
「どうしたリクス?なぜリリオに行かせない?」ナルマは腰をさすりながら言った。
「しかし、このままリリオに勝手にさせればアニマ傭兵団は・・・」
ナルマは2回咳払いをした。
「この傭兵団も長くはない。もう縛られなくてもいい」
「ですが・・・」
「借りを返したい気持ちはよく分かる。だがもう充分に返させてもらったよ。この傭兵団のことを考えてくれたということをね」
リクスは下を向いた。
「リリオ、行ってこい。私の弟子としてしっかりと働いておくれ」ナルマはリリオの肩を叩いた。