この作品も構想もオチも考えてはあるんですが筆が進まない。誰しも悩むところ。
◇◇◇◇◇◇
ジークが向かった先は王宮テオスカルディア。ジークの父であり、ルクスリア王国の王であるゼーリッヒ王の王宮である。
王宮の前では王宮の使いと思われる兵士が話を交わしていた。
「おーい!ワイやで、ジークやで~」
ジークが腕を振って兵士たちに声をかけた。
「殿下!?無事だったのですか!?」兵士が驚いた様子でジークを見た。
「何言っとるんや。ワイが死んだかと思ってたんか?」
「それはインヴィディアに発った後に消息が途絶えてましたから…」兵士が言った。
「ま、まぁ色々あってな…」ジークが自分の髪をくしゃくしゃになでた。
「王子がスリにあったりしてなぁ…」サイカが言った。
「ところで、オヤジいるか?」ジークが聞いた。
「ゼーリッヒ王なら居ますが…」
「じゃ、お邪魔させてもらうで?」
ジークはずけずけと奥へと歩いていった。
玉座に座る白いひげを生やした老人。古ぼけた杖を横にたずさえていた。隣の兵士からの報告を受けているところ、目の前にジークが現れた。
「親父ぃ、久しぶりやなぁ!」
老人は咳を一度してから声を上げた。彼こそがルクスリアの王ゼーリッヒだ。
「ジークか…この頃便りがないと思っておれば、こう唐突に現れるとはな」
「いや…まぁ色々あってなぁ」ジークが頭を掻きながら言った。
「しかし久しく顔を出したということは、それなりに重要なことでも?」ゼーリッヒ王が聞いた。
「親父に聞きたいことがあってな…」ジークは深呼吸をした。
「どうして世界樹に行くために手形が必要になったのか…前までは手形なしで行けたはずや。親父なら知ってるかと思ってな」
ゼーリッヒ王はそれを聞いて一瞬間を置いてから口を開いた。
「残念だが、お前の思うような答えは私の口からは言えない」
「そういうと思ったで?」
そう言うとジークは自らの名前が書いてある書類を広げて見せた。
「手形さえあれば世界樹まで行けるんやろ?親父が言わないならわいが直接見てくる。行きたいっちゅう仲間のためにもな」
「あー、確かにな」サイカが横でうなずいた。
「直接見に行くか…」ゼーリッヒ王は少し考えた。
「どうや?不純な動機やないで?」
「すまないが、今快く手形を与えることはできん」ゼーリッヒ王は広げられた書類にハエをはらうような手でおしのけた。
「ええっ!?なんでや!?息子の頼みなんやで!?」ジークは驚いて目を丸くした。
「――――今、ということだ。明日まで少し考える時間が欲しい」
「なんや、手形だけでそんな考えるんか?」ジークは疑いのまなざしを向けた。
「まぁまぁ王子。親父さんもこう言うとるし今日は一旦帰るで?」
「しゃあないな。じゃ、また明日来るで~」ジークは書類をひらひらさせながら玉座の間から出て行った。
ゼーリッヒ王は重い腰を上げ、近くの兵士を呼んで言った。
「スペルビアのカルマ皇帝にこのことを報告してくれ。なるべく早めにな。明日までに返事がもらいたい」
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「なかなか品揃え良いねぇ~…」ミントは店の商品を吟味していた。
「どうですお客さん?今なら500Gでこの高級ツボが買えるんですよ~!お買い得ですよ~」
「うーん、ツボはかさばるかなぁ…」ミントはツボを売っていた店を後にした。
ミントはテオスアウレの町を観光していた。思ったよりも広く、人も多いほうだ。
いろんな店が立ち並び、衣類や家具、食べ物のほかに本屋も見かけた。特に気になったのは「英雄アデルの歴史」。少し立ち読みをしていた。
「どうです?こちらの本なんかもおすすめですよ?」
「あ、そういうのはいいです…」ミントはやや引きながらその本屋を後にした。
「結構見たし、そろそろ帰ろうかなぁ…」ミントがそう思い、後ろを見ながら歩きだした途端、誰かに当たりその人は倒れてしまった。
「ああっ、すいません! 大丈夫ですか?」
ミントが手を伸ばしその人を起き上がらせる。身長は高い大人だが貧弱そうな体でやせ細っていた。ぼろぼろの服を着ていたが、その服にはどこか高貴な印象も感じられた。ひげと髪はぼさぼさで青色をしていた。
「い、いえ…大丈夫です」
その男は立ち上がるとすぐに立ち去ってしまった。
ミントはその男に対して、不思議な感覚を抱いた。
「今の人、ただの人じゃない…」
「そらそうやろ。あれは浮浪者や」
ジークが突然ミントの後ろに現れた。
「うわぁっ!?びっくりした!?」
「ホームレス問題はルクスリアの問題のひとつ。急激に経済成長したもんでそれに乗ることができず堕ちた人が多くてなぁ。どうや?観光は楽しめたか?」
「そっちこそ、手形はどうだった?」ミントが聞いた。
「ま、それは宿に帰ってからやな」