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宿屋に戻り、ジークは王宮でどのような対話をしたかを話した。
「手形はもらえなかったのか?」リリオがアデル焼きを頬張って言った。
「明日もう一度来るよう言われたけど、もらえんと思うんだよなぁ…」ジークは腕を組んで言った。
「そうそう簡単に世界樹には行けないってことや。今も昔も」サイカがジークの肩を叩いた。
「だけどもらえなかったら?」リュウギがミントに聞いた。
「そうしたら…船借りて無理やり世界樹に忍び込む?」ミントがナックルでジェスチャーをしながら言った。
「そんなの法外だし、リスク高すぎるも」ウマがつぶやいた。
「だよねぇ…」ミントは落胆した。
「ま、親父は頭固いが意外と柔軟なところもある。そこにワイは賭ける」ジークが真剣なまなざしをして言った。
「聞くまではわからないからな。もし行くことになったときのためにしっかりの体力は備えておくことだ。寝るぞ」
ツバキがそう言うと、みんなは疲れたからなのかだんだんと部屋に戻り寝始めた。
しかしミントはなかなか寝付けない。リュウギもだった。
「布団が冷たい…」ミントがぼやいた。
◇◇◇◇◇◇
雪に覆われたこのルクスリアだが、朝が来たのは明確に分かった。雪により薄暗いが、夜よりも明るい。単純な理由だった。
朝日の光に照らされリュウギは目を開けた。
いつも通りミントが先に起きて朝食を作っていた。リュウギはみんなを起こし、朝ごはんへの支度を始めた。
みんなと同じように準備をする中、リュウギは窓の外にルクスリアの兵士たちがたむろっているのを見た。
「なぁジーク、あれって王宮の…」
「あぁ、ワイのこと探しとるんかなぁ?ちょっと行ってくるわ」
ジークがそう言うと、荷物をほったらかしにしたまま宿の外へと向かった。外で兵士たちに軽く会釈をしてから話を始めた。
「ほーら、みんなご飯できたよー!」ミントが料理をもって机に置いた。
「まーたタルタリ焼きかもー?」ウマがぼやいた。
「いいでしょ美味しいんだから!」ミントがフォークとスプーンを用意しながら言った。
「そうそう。食えないよりはずっとマシだよ」リリオがタルタリ焼きを口に運びながら言った。
「リリオは昔貧乏だったの」クロヒョウが横から言った。
「別にいいだろ、村が無くなってたんだから」
そのような話をしている中、ジークは外で兵士たちと話していた。
「親父がなぁ…それで、行くのはワイとサイカだけか?」ジークが言った。
「いえ、お連れ様達も一緒に来てほしいとの願いで」
ジークはそれを聞いて腕を組み、少し考えた後に答えた。
「わかった。その代わり何もしないって約束はできるか?」ジークが顔をこわばらせて言った。
「も、もちろん、それは…」兵士がうろたえながら答えた。
「んじゃ、頼むで~」ジークが兵士の肩を叩いて宿の中へと戻っていった。
「いや~、腹減った。さっそく朝飯食べよ…」ジークがそう言いながら部屋に戻ると、既にリュウギ達がすべてたいらげていた。
「ああーっ!ワイの分は!?」ジークがまっさらの机を見て言った。
「あ~…ごめん、全部食べちゃった」ミントが頭を下げながら言った。
「なんでや~!!」ジークが後ろに倒れた。一日の原動力である朝飯がないとは…そんな気分だった。
「まぁまぁええやん、後でアデル焼き食うたら?」サイカが倒れたジークの頭を撫でて言った。
「そうやな…ワイだけで食うたるからな!?…ってか、なんでサイカまで全部食べとんねん!?」ジークがつめよった。
「まま、過ぎたことは水に流して…」サイカが引きながら言った。
「ところで、兵士たちはなんと言っていたんだ?」ツバキが聞いた。
「ああ、手形のことについて、ワイとリュウギ達に話があるんだと」
「話?」リュウギが言った。
「ま、何もしないとは約束したから大丈夫やと思うが…」ジークが言った。
「何もしない?何かされるんだったの?」ミントが聞いた。
「え?ああ、まぁ心配しなくていい。とっとと親父んところいって手形もらってこようや。」
ジークの発言に少し疑問を抱くミントだったが、今はその言葉を信じることにした。
◇◇◇◇◇◇
王宮に向かうリュウギら一行。王宮は少し古ぼけた遺跡のよう。ジーク曰くこの王宮とこの都市は古くからあるという。遺跡のように古ぼけているのも納得だ。
王宮に変わった様子は全く見られなかった。兵士たちは相変わらず同じところを警備していた。ジークに連れられ、王宮の奥へと入っていった。
そしてたどり着いたのは玉座の間。そこに座っていたのは白いひげを生やした老人。この人がルクスリア王であろうか。そうとうな年であるのは一目見て分かった。
ジークは王に対して手を軽く振った。
「よう、親父ぃ」
ある程度王に近づくと、ミント以外がひざまずいた。ミントは一瞬何をしているのかと思ったが、そういえば王の前であったと思い出し、ミントもおぼつかないながらもひざまずいた。
ジークはひざまずかなかったが。
「それで、どうして全員で来いって言ったんや?ただ断るってわけじゃないやろ?」
「その通りだ」王は座りながら答えた。
「ジークよ、私からはどうして世界樹があのような状況になったかは説明できない。しかしお前達が行きたいというなら、条件付きで行くのは許可しよう。」
「条件付き?」ミントが疑問に思った。
「あのような状況…?王様、王様なら世界樹で何が起きたのか知ってるんですか?」リュウギが質問した。
「本当に知りたいのなら自分で確かめに行くといい」
「…それで、条件というのは何ですか?」アスカが聞いた。
「このルクスリア、
「サンタクロ…?」ミントが言った。
「サンクトスチェイン。でもどうしてわざわざそれを?」サイカが言った。
「あれは先のイーラの出来事の後、我がルクスリア王国が再びサンクトスチェインを管理することになった」王は説明を始めた。
「なぜ回収を命じるのか。近頃ゲンブの様子がおかしく、サンクトスチェインによる影響があるという可能性が浮上した。そのため君たちに回収を頼みたい」
ジークは少し考えてから口を開いた。
「なんでワイらなんや?兵士に行かせればええやないか」
「彼らでは少々危険が伴う。それに道を詳しく知っているジークとサイカが行けば…と思ってな。約束通り手形は出す」
「なるほど、ただじゃ世界樹までの手形はくれない…ってわけか」リリオが言った。
「リリオ、王様の前」クロヒョウが指摘した。
「なるほど、分かった。ってわけでとっとと回収してとっとと戻ってくるで」ジークが言った。
「くれぐれも怪我のないようにな」王が言った。
王からの命令はゲンブの頭はへ行き、サンクトスチェインを回収すること。しかしどのように頭へと行くのか…
ミントは王宮から出た後、この都市テオスアウレがとても高いところに位置しているのを思い出した。
「ねぇジーク、どうやってゲンブの…頭まで行くの?」
「ああ、それなら下層まで下りていけばすぐに着くで」心配ないというようにジークが言った。
「下層まで…?」ミントは驚いた。どのようにして下まで行くのか…