ニアちゃんはかわいいですね。1年以上経ってもそう思います
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「なるほど、ゼーリッヒ王も頭が良い。あそこまでおびき寄せるとは」
スペルビアの皇帝、カルマが画面を見ながらつぶやいた。エーテルカメラで撮影している映像だ。ゼーリッヒ王の玉座の間を映している。
「しかしこれで我らの捕獲作戦も完遂できるというわけだ。ゼーリッヒ王には感謝しかない。」
「捕獲作戦…?」カルマの横で書類を読んでいたメレフが言う。
「言い方が悪かったかな。しかしジーフリト王子が彼らと行動を共にしているとは。確か君の旧友だったかな?」カルマがメレフのほうを向いた。
「ただの旧友です。少年らを捕まえるには彼を利用するのも手かと」メレフが冷たく言い放った。
「確かに。しかしあまり親睦を深められても困るな。彼が予想外な行動を起こして邪魔をしては…」
そう言った途端、カルマ達の乗っていた巨神獣船が大きな音を立てて止まった。
「ようやくルクスリアに着いたか。ゴウ、準備を」
カルマが言うと、奥からゴウが現れた。ぐちぐちとぼやきながら迫ってきた。
「皇帝陛下、通常より早く船を動かしたためにエンジンは整備工場行きです。ここまで急ぐ必要が…」
カルマは指でゴウの口をおさえた。
「急ぐ必要がある。それに帰りは“この船”じゃない…」カルマは小さな笑みを浮かべた。
「さぁまずはゼーリッヒ王に謁見だ。時間がないから兵士に執権官、それとゴウ、急ぐぞ」
カルマは早歩きになり、部屋を出ていった。メレフは近くに置いてあったサーベルを腰のさやに装着し、カルマと同じように早歩きで部屋を出ていった。
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リュウギたちは下層へと向かうため、街から出た遺跡を通っていく。遺跡は何百年も経っており、雪の間から見える床は今にも崩れ落ちそうなほど
ひびで割れていた。
「ねぇこれ大丈夫?歩くたびにみしみし言うんだけど…」ミントが不安そうにサイカに話しかけた。
「あぁ大丈夫やで?意外としぶとくてなぁ。アーツ百発打ちこんだって崩れへんで?」
「本当かなぁ…」ミントが不安そうに床を見つめた。
「もももーっ!」ウマがバランスを崩し、遺跡から落ちそうになった。リリオがなんとか手を引いたので落ちずにすんだ。
「よそ見せずに歩けよ?」リリオが言った。
「死ぬかと思ったも…」ウマがほっと胸をなでおろした。
狭い足場に音がみしみしと立つ。歩くだけで不安がどっと押し寄せる。さらに下に降りるたびに風は強くなり、さらに体が冷える。道中モンスターが現れ、戦闘をしなければ体は温まらなかっただろう。スパイドやモスーンなど虫のモンスターが多く、あまり虫を好まないミントはキャーキャー言いながら戦っていた。
「ねぇ、倒した?倒した?」
「大丈夫。もう動かない」リュウギが剣の先っぽで蜘蛛形モンスターのスパイドをつんつんと突く。
「いちいち虫に怯えてるようじゃプロのドライバーにはなれんぞ?」ツバキが言った。
「小さいのはいいの、小さいのは!ここのは全部おっきいし…それに私サルベージゃーだから!」
「気温が低いとその分モンスターも大きくなるのかもなぁ、いや、そんなことはないか…?」ジークが一人で考えていた。
そんな話をしているうちに最下層へと着いた。しっかりの地面がある感覚に一同はホッとした。ジークとサイカは慣れっこというような感じだったが。
ジークの話によると、サンクトスチェインがある方は大きな門のようなところだという。雪の中にほのかに光る大きな赤い光がそれだとはっきり分かった。
下層からはさっきまで居たテオスアウレが遠く上に見える。
「あれがテオスアウレ?」リュウギが浮かぶテオスアウレを見ながら言った。
「ずいぶんと高いところにあるやろ?それで落ちないのはやっぱゲンブのご加護…みたいなもんやな」ジークが言った。
テオスアウレの下を見ると、緑の光が下層の地面と繋がっているのが見えた。ゲンブのエーテルエネルギーであの街が空に浮かんでいるのだろう。
この世界の不思議の一つをじーっと見つめていると、後ろからターキンの群れが弓矢を乱射しながら迫ってきた。
「野生のターキン!?」ミントが叫んだ。
「ターキンは社会的だから野生なんて存在しないも」ウマが冷静に突っ込んだ。
「さしずめ旅人狙いでしょうね」アスカが言った。
「邪魔するんゆうなら容赦はしないでぇ!」ジークが大剣を振りかざして叫んだ。
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ゲンブ港にスペルビアの巨神獣が停泊した。いかつい兵士達の先導しているのは特別執権官メレフ。兵士たちに守られているのは皇帝カルマ。
雪道を超え王都テオスアウレへ。ルクスリアの民は突然のスペルビアの来航に驚いていた。興味を持った子供がスペルビア兵のもとへ走っていくのをその母が止めた。
「あれが王宮か。ゼーリッヒ王とは私が話す。メレフ達はここで護衛に回ってくれ」
カルマが命令すると、兵士たちはすぐに持ち場についた。王宮を守るように固まった。メレフはというと、自らの2体のブレイドと共に王都の中を歩き始めた。
「メレフ様、知っていますか?」カグツチが話しかけた。
「どうやらネフェル陛下がこのルクスリアで生きているという噂…」カグツチは周りの兵士に聞こえないように静かに話した。
「まさか、そんなことあり得るはずがないだろう」メレフが言った。
「しかし実際にネフェル陛下と思われる人物がこの街に…」
その一言にメレフは神妙な面持ちで地面を見つめた。