ゼノブレイド2.5   作:ナマリ

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ゼノブレイド2のSS、なかなかたくさんありますが今のところほとんどの作品を見れていません。ようやく楽園の子をすべて見たところなのです。
面白いゼノブレイド2のSSがあったら教えてください。見てほしいって自分の作品を宣伝するんでもいいのです。なんならこれから書いてもらっても構いません。
見た作品をこれからの糧としていきたいですね。
そのためにもまずはこの5話の早期完結を…
早く6話に…



"正体"

 

◇◇◇◇◇◇

 

夜も更け、リュウギ達はカルマに言われた通りルクスリア王宮内で一日を終えた。

それまでは特に目立ったことはなく、安全に一日を終えることができた。しかしリュウギは翌朝、カルマへの返事をどうするか未だ悩んでいた。

そんなことを考えながら、日は昇る。

普段吹雪くルクスリアは珍しく快晴。部屋に空いた小さな窓からもその光が確かに確認できるほどだ。

 

リュウギはまだ暖かい布団を上げ、部屋を出て外へ出た。

特有の気候のため、晴れていてもその寒さは変わらないが、昨日よりは温かく感じられた。

 

ルクスリアの巨神獣、ゲンブの体から見えるそびえたつ世界樹は今日も不思議な輝きを放っていた。しかし一度、大きな蛇のような影がそれを横切った。巨神獣だろうかと考えたが、そんな巨神獣は見たことも聞いたこともない…

すると後ろから誰かがコツコツとあるいてくる音が響いてきた。物陰に姿を隠し、誰が来たかを確認する。

青い髪をしたカルマ皇帝であった。いつもの秘書、ゴウは連れておらず一人でこの晴れたルクスリアを、神妙な表情で見ている。さしずめリュウギの答えが自分の思い通りのものではないと思っているのだろう。

そこに今度はルクスリアの国王、ゼーリッヒが杖をこんこんとつきながら歩いてきた。その両脇には二人のルクスリア兵士。

 

「ゼーリッヒ国王。この度は王宮を貸していただき感謝いたします」

 

「なに、我々にとって今回の件はとても重大だからな。今の世界樹に彼らを向かわせるわけにはいかないからな。どんな理由をつけてでも彼らを引き留めなければ。」

 

ゼーリッヒは重く口を開いた。リュウギはこの言葉に少し驚いていた。保護というのは嘘なのだろうか、世界樹で一体何が起きているのか…ついつい聞こうと前に出ようと思ったが、ことがややこしくなると困るので踏みとどまった。

 

「我々の巨神獣船を使用しようとも思いましたが、整備にコアクリスタルの管理、その他ペルフィキオらの調査書類の検査などで繁忙していましてね」

 

「ペルフィキオか…今巷で跋扈しているテロ組織のことか。前に王都で彼らによる爆発事件があった。その時の後処理は実に大変なものであった。」

 

「彼らの逮捕・調査は我々スペルビアが中心に行っております。それに彼らにあの少年が渡れば…」

 

カルマはゆっくりと地面に目を向けた。ゼーリッヒはたずさえた立派な白髭を一度さすり口を開いた。

 

「そろそろ時間にもなろう。私は別室で待機している。君の技量に期待している」

 

ゼーリッヒはそう言い残して、両脇の兵士を連れて屋内へと入っていった。途中、兵士がカルマの方を振り向いてその仮面の間から目を覗かせ、カルマはそれに対し不敵な笑みを浮かべた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「それで、私たちはここで待ってればいいの?」

 

ルクスリアの食堂に再び集まったミント達。リュウギとカルマ皇帝の話し合いが終わるまでここで待っていろと言う。

 

「ああ。なるべく早めに終わらせるよ」

 

「私たちのことなんか気にせず、あんたの思うこと考えてることを言えばいいよ」

 

ミントは少々強めにリュウギの肩を叩いた。

 

「しっかしスペルビアは好き勝手にうちの王宮使うなぁ。親父の許可を得てるとはいえ…」

 

「確かに。親父さんも知らんうちに丸くなったんかなぁ?」

 

サイカがジークに答えた。ジークは顎を触りながら考え事をしているようだ。

アスカはこの状況に少し不安と疑問を抱いていた。彼らの周りにはルクスリアの兵士たちが護衛、というより警護についている。

しかしなぜスペルビアの兵士ではなくルクスリアの兵士なのか…そんなことを考えていた。

 

そんなことを気にもせず、リュウギはカルマの待っている部屋の中へと入っていく。

その部屋は王室に似ている様相だったが、ところどころにほこりがかぶっている。昔使われていたのか、それとも倉庫のようなものか…いや、倉庫というのは違うだろう。明らかにその広さを見て考え直した。

カルマは奥の椅子に座り、こちらに目を向けた。

 

「さてリュウギ君…と言ったかな?君の答えは決まったか…」

 

カルマは歩き出し、リュウギのもとへと近づいた。

 

「我々のもとで保護されるか、それとも逮捕されるか…少なくとも逮捕より保護のほうが君にとっても仲間にとっても有益だとは思うが」

 

「気持ちはありがたいです。でも俺は母さんとの約束で…」

 

「君の母親か…」

 

カルマは小さく微笑む。どこか考えを巡らせているように。

 

「深くは聞かなかったが、君の言う母との約束……確か父を探しに楽園に行くと?」

 

リュウギは小さくうなずき答えた。

 

「俺が幼い頃に、楽園に行ったっきり。だから俺が行って連れ帰るんだ」

 

「何故君の父は楽園に行った?もう無くなったあの“楽園”に」

 

「楽園が…無くなった?」

 

リュウギは驚きのまなざしでカルマを見つめる。

 

「既に楽園など存在しないのだよ。とうの昔からね。今あるのは世界樹にそれに連なる太古のテクノロジー…君の父は何故楽園に―――いや世界樹に向かった?」

 

「俺は知らない。母さんも知らない。ただ楽園に行ったとだけ…」

 

「なるほど、知らないとは…あの男もずいぶんと説明不足なのだな」

 

「あの…男?」

 

カルマは頭を掻きながら言葉を連ねていく。

 

「君の父と私は会ったことがある。何度もね」

 

「父さんと…会ったことが…!?」

 

「本当に…勇敢で…正義感に溢れ…強き男だった。おかげで我々の計画に大きく泥を塗った」

 

カルマの足はだんだんと小刻みに歩き出す。まるでいらだっているかのように。

 

「そうそう、我々から君には特上タルタリ焼きに、自由を与えるといったな。少し嘘が混じっていた」

 

カルマはリュウギのほうへ振り返りこう言った。

 

「“我々”というのはスペルビアではない…ということだな」

 

「スペルビアじゃない…?どういうことだ…?」

 

リュウギは彼の言葉をまったく理解していないようであった。すると突然カルマは顔の色を変えリュウギの腕を強くつかんだ。

 

「お前を探すためにどれほどの時間と金をかけたか―――!お前の母から聞き出そうと思っていたが手間が省けた…ようやく見つけたぞ、ハーフブレイド!!」

 

まさに鬼のような形相でリュウギの黄色い瞳を睨む。まるでその瞳に誰かを重ねるように。

 

しかし、その空間に別の声色が響いた。

 

「その話、私にも聞かせてくれないだろうか?カルマ陛下」

 

カルマが目を向けたその先には、ワダツミが腕を組んで壁にもたれかかっていた。

 

「ワダツミ…!?なぜここに…!?」

 

カルマの目の色がさらに変わった。

 

「メレフに頼まれてね。君の行動に存在が怪しいと踏んだからだ。どうやら彼女のカンは当たっていたようだな」

 

「今の話をすべて聞いていたか?」

 

「もちろん。首から尾までね。」

 

カルマは震え、得意な顔をしているワダツミを睨んだ。

 

「全く…ここまで周到に準備を重ね露見しないようにしてきたのだがな…」

 

ワダツミは腰に携えた青い刀を抜いた。カルマへの威嚇だろうか。カルマは武器という武器は何も持っておらず、抵抗する術はない。

リュウギはそっとカルマに掴まれた腕を外し、二歩ほど後ろへ下がる。

 

「カルマ皇帝陛下―――やはりあなたがあのクーデターを首謀したのだな」

 

突然ワダツミの後ろから、青い刀身のサーベルを両手に持ったメレフ、そしてカグツチが地面を怒りからなのか踏みしめながら現れた。

 

「すべてはネフェルから聞きました。あなたが彼を陥れたと」

 

カグツチの口から発された「ネフェル」という名前。スペルビアの前皇帝の名…リュウギは母からその名を度々聞いたことがあった。

 

「ネフェルが生きていただと…?まさか、彼の心音が止まったのは確実に確かめたはずだが…」

 

カルマはその一言を言ってしまい、口を手で覆う。

 

「おっと、つい口が滑ってしまったようだな。だがもう既に信頼は地に落ちているようだ―――メレフ、君はとっても優秀な左腕だった。ネフェルが君を信用していたのも当然だな」

 

「その少年を何に利用しようとしていた?皇帝の立場にまで上りつめ、いったい何を企んで…」

 

その瞬間、水を纏った別のサーベルがメレフの背中を切り裂いた。突然の攻撃に倒れこむメレフ。カグツチが「メレフ様!」と叫び肩に手をのせた。

 

「ぐあぁっ……… お、お前は――?」

 

メレフが後ろを振り向くと、両手にカグツチのとよく似たサーベルを携えたゴウが兵を率いて立っていた。

 

「やれやれ……カルマ、しっかりと周りに注意していないから…」

 

「この展開は予想の範囲外だったのでね。だがこうなった時お前が来てくれるのは想像してたがな」

 

ゴウはリュウギを目で追いながらカルマの元へと歩み寄っていく。

 

「ゴウ、そのサーベル…まさかお前は…?」

 

ワダツミがゴウの持つサーベルへと目を向ける。カグツチの炎とは異なり、水を宿しているようで、青い刀身からは水滴が垂れている。

 

「そう、私はブレイドだ。この姿のままでいるよりは人間のふりをして関わるほうが都合がいいのでね…ッ!」

 

ゴウはそう言うと、サーベルを伸ばしてワダツミに振りかざした。ワダツミは持っていた刀で防ぐが、伸びたサーベルが刀にからみつき、刀はその手から外れてしまった。ゴウはもう片方のサーベルをワダツミへぶつけ、壁に吹き飛ばした。

隙を見てリュウギは逃げようとしたが、ゴウの率いていた兵士…それもルクスリア兵によって両腕を掴まれた。今は武器を持っておらず、抵抗はできない。

 

「やれやれ、詮索していなければルクスリアごと穏やかに海の底へ沈めたものを」

 

カルマは倒れこんだメレフとワダツミらに目を向けてつぶやいた。

 

「しかし面倒なことになりました。こちらでプランBへ変更の旨を」

 

ゴウは連絡装置と思われる機械を取り出し、カルマへと手渡した。ピーッという機械音の後にカルマは口を開いた。

 

「ツナヨシか?予定外の事態が発生した。プランBへ移行する。あとは上手くやってくれ」

 

そう言うとカルマは機械をゴウへと戻した。

 

「ツナヨシ…まさかあんたって…!?」

 

リュウギは得意げになっているカルマのほうを見つめた。

 

「そう、スペルビアの皇帝というのは本来の私の立場のカモフラージュに過ぎない―――私の正体はペルフィキオのボス。メレフが邪魔さえしなければここまでの失敗はゼロだったのだがな…」

 

「貴様がペルフィキオの…ボスだと!?」

 

「そうそう。誰もまさか皇帝がテロ組織のリーダーとは思うまい。最高の立場であったよ――――その少年をこちらまで連れてこい」

 

ルクスリア兵士に掴まったリュウギがカルマの元へと運ばれていく。それを見たメレフが言葉を放った。

 

「ルクスリアの兵…まさかゼーリッヒ国王も貴様らと!?」

 

「まさか。彼はこんなことをするような悪人ではないよ。邪魔になるから今頃は牢屋にでも入っていると思うがね。それにお前の仲間も…」

 

カルマはリュウギの睨む目を見つめた。それを見てカルマは爆笑する。

 

「ハッハッハッ!長年待ち望んだ存在が今や目の前に…」

 

「俺はお前らの言いなりなんかに…ッ!」

 

言い切る瞬間、カルマの右拳が腹へ入った。衝撃にリュウギは気絶してしまう。

 

「この少年は我々が貰う。兵士、それに―――アルジェント。こいつらを王宮の牢屋にぶち込んでおけ」

 

兵士たちの後ろから金髪の男…アルジェントが現れた。

 

「貴様…ッ!」

 

カグツチはメレフの腰に携えていたサーベルを取り、アルジェントに攻撃しようとするが…突然サーベルの青い光が失われた。

 

「何故ッ…!?ああっ!」

 

アルジェントに蹴られてメレフの元へと吹き飛ばされてしまった。

 

「少々横暴がすぎるんじゃないか?アルジェント」

 

「せっかくこの王宮にはブレイドの力を無効化する機能がついてるんだ。使わなきゃ宝の持ち腐れだろ?」

 

アルジェントが傷ついたメレフとカグツチを担ぎ上げる。

 

「こいつらのことはお前に任せた―――それと、はどうした?」

 

「あれならツナヨシ達に渡しておいた。じゃ、気張っていけよ」

 

アルジェントは二人を持ち上げ、兵士は気絶したワダツミを運び、共に部屋を出ていった。

カルマは気を失ったリュウギの顎を持ち上げ、不敵な笑みを浮かべている。

 

「さて―――ここからが本番だ。 新たなる聖杯との同調――― その唯一の鍵―――」

 

カルマはゴウからサーベルを受け取り、部屋に張られた古びた大きな窓を水流で破壊。ゴウはリュウギを持ち上げ、二人は晴れたルクスリアの王都へと飛び出していった。

 

 

 

 




今回ので色々明らかになったと思います…第5話での衝撃展開はまだまだこれから。序の口です
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