ゼノブレイド2もそろそろ3週目のクライマックスまで遊んでます。毎回書くたびにやってますからね。それでも矛盾が出てしまう…設定が細かになっているので、そろそろオフィシャルアートワークスとかが欲しいところです。
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アルジェントからルクスリア兵に渡ったメレフとカグツチ。兵士の群れはルクスリアの王宮、テオスカルディアの硬い廊下を歩いていく。
冷たい風がふきすさぶ道を抜け、怪しい翠玉色の光を放つラインが走る頑丈な牢屋が見えてきた。その中へ気絶しているメレフとカグツチをまるでゴミを捨てるように乱暴に投げ入れた。投げられた衝撃でメレフは「ぐぅっ」と声を上げた。
そのメレフに駆け寄ったのは茶色のポニーテールのミント。髪を揺らしながらメレフの肩を叩きながら起こそうとする。
「おい、どこ行くつもりや!」
ジークは青い刃を失った大剣を振りかざすが、兵士に当たる前にその硬い石の扉が閉められてしまった。
「ったく…一体全体どうなっとんねん!急に衛兵が襲い掛かってきて…」
「その上こんなところに閉じ込められて…」
サイカは大きなため息をついた。青い刃を失った、ジークの抱える大剣を見つめながら。
「この感覚…エーテル遮断網を使われているのと同じですね……」
「でもでも、ウマたちぐるぐる巻きにされてないも?」
「この牢屋全体にエーテル遮断網と同じのが張られてる。いうなら結界みたいなもんや。この中じゃエーテルエネルギーを使ったアーツを撃つことはできん。つまりは……どうしようもないってことや」
ジークは座り込んで、今日の朝剃った短いひげを擦る。この牢屋全体に張られたエーテル遮断の光は見る分にはとても綺麗だが、同時に恨めしく思える。ジークはすっと倒れているメレフに目を向ける。メレフはうっすらを目を開く。
「おうメレフ、ようやく気ぃついたか」
「メレフ様!大丈夫ですか!?」
ミントがメレフの耳元で叫ぶ。あまりに大声だったので、気がはっきりと醒めた。
「あ、あぁ…大丈夫だ」
「あんまり大声出さないでくれる?ただでさえこの牢屋狭いんだから」
横で倒れこんでいたカグツチも起き上がる。床に座り込むジーク、壁に走る翠玉色のラインを見て、二人は頭を抱えた。
「この部屋は…王宮の牢屋か。ここではブレイドの武器を使えない…」
「さてメレフ。上で何があったか話してもらおうか」
ジークは大剣を床に置き、胡坐をかいてメレフを見つめる。
「そういえばリュウギは?メレフ様は来たのに…」
「すまない。少年は…カルマ陛下、いやカルマに攫われた」
「攫われた?無理やりなんて話が違うやないけ。まさか話を断ったからワイらは…」
「まさか。裏切ったのはカルマのほうだ」
「カルマ…皇帝陛下が?なぜ?」
ツバキの問いに、メレフとカグツチは上であった出来事を話した。カルマがペルフィキオのボスであったこと、ゴウがブレイドであったこと、リュウギが連れ去られたこと…
「おいおいちょっと待て、カルマ皇帝が…ペルフィキオのボスやて!?」
「驚きやわ!そんな人には見えへんかったで!?」
ジークとサイカは漫画のような驚き方をして後ろにすってんころりんと転んだ。
「カルマの近くに居ながら気付けなかった私の責任だ―――申し訳ない」
「メレフ様は悪くないですよ。誰だって裏の顔がある…それには普通気づかないものだもの」
ミントの励ましにメレフの強張った顔は解かれた。
「だけどリュウギが連れ去られたこと…それは見過ごしておけないよ。早く助けに行かないと!」
「しかし一体ここからどうやって抜け出す?武器が使えなきゃアーツは撃てない。それに分厚いここの壁…破壊ってのも無理な話だ」
リリオの言うことはもっともだった。窓は格子どころか存在しないし、ここは城の中でも中心部。破壊して出るのは不可能に近い。
「なぁメレフ、前ここからどうやって出たんや?」
ジークが問いただす。その話によると、昔メレフは同じこの部屋に閉じ込められことがあるらしいが、仲間の協力も得て脱出できたという。
「ハナの力で脱出できたんだ。だが…」
「残念だけどあれは人工ブレイドのエーテル炉を使って脱出できたの。今ここに居るブレイドは全員、天の聖杯でもなければ人工ブレイドでもない―――武器が使えない今、その脱出法は使えないわね」
全員、カグツチの言葉を聞いて肩をがっくしと落とした。
「そうだウマ、ウマって人工ブレイドの技術を使って何か作ってるとか…もしかしたらエーテル炉とか?」
ミントがウマの方を向く。しかしウマは首を横に振った。
「残念ながらまだ未完成なんだも。エーテル炉も超小型サイズでしかもエーテルエネルギーを生産することにまだ成功してないんだも!」
それを聞いて、全員再び肩を落とした。メレフは光る壁に手をつけた。
「すまないネフェル。お前の願いを叶えられそうもない…」
「ネフェル…?そういやお前昨日突然出て行ったよな?どこに行っとったんや?」
涙交じりの瞳のメレフに問う。メレフは深く息を吸った後に答えた。
「ネフェルは…生きていたんだ。今回カルマの悪行を暴けたのもネフェルのおかげだ―――」
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「どこだ―――どこにいる―――ネフェル!」
メレフは王都の中を、輝くペンダントを手に走る。
このペンダントはスペルビアの皇家のみが持っているもの。カルマはまた別のを持っている。しかし柄に、金色のふちに青い模様。これはまさにスペルビアの前皇帝、ネフェルが持っていたもの。
ネフェルが生まれたすぐ後、メレフは皇家の鍛冶職人からこのペンダントを渡してくれと頼まれた。この赤子が次の皇帝となる。その証としてこのペンダントを、と。
男同然に育てられてきたメレフは、心に潜むいわば「女心」を隠してきた。本当はかわいいものが好きなのに、そんな些細なことも隠して。
そんな彼女にとって赤ん坊なんてそれはかわいいかわいいもの。会いたくて仕方なかった。ネフェルに会いに行くことを最初は父に断られていたが、カグツチはそんな父を食い止め、メレフは渡されたペンダントを届けにスペルビアの荒れ地を駆けて行った。
皇室御用達の産婦人科へ行き、自らが皇室のものだと伝えようやくネフェルのもとへたどり着き、このペンダントを首にかけた。
それからネフェルは成長し、首にかけることはなくなったが、このペンダントを肌身離さず持ち続けていた。
そんな思い出のペンダント。メレフは忘れるわけがない。
ネフェルが死んでしまう前日、このペンダントを持っているのを確かに見た。もし生きているのなら、これを持っていたはずだ…
王都テオスアウレはとても冷えている。しかしそんな寒さを顧みず、ただ最愛の義弟を探しに走る。
走る中、目の前に浮浪者と思われる人物が歩き去っていくところを見た。浮浪者はテオスアウレの奥のほうへ、奥のほうへと歩いていく。
メレフは静かにそれを追いかける。もしネフェルが生きていたとしたら、立場上、表には出れない…ならば浮浪者として生きているかもしれない。
そんな望みを持ちながら浮浪者の住むスラムへと入っていく。
「モット、モット撫デテ!」
「わかったわかった。ほらあまあまういんな。」
「コレモイイケド!モットン撫デテ!」
数匹のターキンに囲まれている男。その男の声に聞き覚えがあった。
メレフはゆっくりとその男の元へと歩いていく。
ボサボサにはなってしまっているが…青い髪。そしてかつてネフェルがかぶっていた羽の皇冠をかぶった一匹のターキン…
「ネフェル―――」
つい口から出てしまった。青い髪の男はターキンを両手に抱えながら、メレフを見つめる。
「義姉…さん…?」
男はターキンを抱えながら、後ろへと静かに下がる。
「ネフェル…本当に…ネフェルなのか―――?」
メレフはだんだんと彼に近づいていくが、あちらはだんだんと引き下がっていく。
「どうして…ここが…」
その瞬間、男が抱えていたターキンが槍を持ってメレフの前に立った。
「コノ人、傷ツケジャダメ!コノ人、イイ人!コンナ僕タチノコト、助ケテクレテ…コノ人、怯エテル!」
ターキンはメレフの膝のあたりを当たらないよう槍でつっつく。
「私は傷つけに来たんじゃない…探しに来たんだ…」
「もしそうなら…どうして今更…?」
男は立ち上がり、二匹のターキンを後ろに下げた。
「これだ…これを見てくれ!お前が生まれた日、私がプレゼントしたものだ―――」
メレフはペンダントを取り出す。しかしそれは一瞬でターキンに奪われてしまった。
「コレ!コノ人ガクレタモノ!」
「サッキ落トシタトオモッテタ!」
ターキンは武器を落としてメレフを見つめた。
「返シニ来テクレタノ?」
「あ、ああ…」
おぼつかない返事に、ネフェルは微笑を浮かびながら答えた。
「覚えてますよ。もちろん」
男の名はネフェル。ネフェル・エル・スペルビア。死んだと思われていたスペルビアの前皇帝だ。