ここだけの話、原作同様に10話の予定です。ただそこまでたどり着くのにどれだけかかるか・・・
みなさんの期待にそえるよう早めにやっていきたいですね。
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メレフはネフェルの口からそのことを聞いて驚く。 クーデターを首謀者をメレフだと思っていたこと。
「まさか…私がそんなことをすると!?」
「私も最初はそんなはずはないと思ってました――しかし兵士の会話を立ち聞きしていると、義姉さんが企てていると…」
「一体だれがそんな噂を…」
「それにクーデターが起きて私が逃げているとき、私は確信したんです。義姉さんが剣を持って私の名前を呼んでいた…切羽詰まっていたあの時、まるで私の命を狙っているかと―――」
「あの時私はクーデターを抑えようと…」
「もちろん後になって私は考えました。義姉さんがそんなことを起こすはずはないと。しかし新たな皇帝が即位し、義姉さんがその傍にいると知った時、私にはもう居場所はないのだと、そう思ったんです。それに今現れたとしても、義姉さんが、民が受け入れてくれると…そのことに不安で…」
ネフェルは大粒の涙を流し、地面に膝を落とした。メレフはゆっくりとむせび泣くネフェルの肩に手を回した。
「今までお前のことを忘れたことはない。それに今の今までお前に苦しい思いをさせてすまなかった―――」
必死の懺悔をメレフは口から漏らしていく。ネフェルは涙を、薄汚れた着物の袖でそっとこする。
「一つだけ聞きたいことがあるんです。今の皇帝カルマ…彼はどうして皇帝に即位することに?」
ネフェルにとってそれは疑問であった。カルマという名前は、即位するまで一切知らなかったのだ。何せ皇帝というのは忙しい身分。親族・親戚関係は小さな事しか聞き入れることができなかったからだ。
「彼の名は“カルマ・ノックス・スペルビア”。お前からすると遠い親戚だ。お前以外では私に次いで3番目の皇位継承権を持っている。しかしクーデターが起こるまで彼は行方知れずだった」
「行方知れず?どうして…」
「皇族でありながらもカルマの一族…ノックスの一族は皇位というものに興味がなかった。それゆえ我々とはほとんど一切の関わりを持たず、主にブレイドの研究を行っていた」
「ブレイドの研究を―――?」
メレフの口からカルマについての詳細が語られた。カルマの一族は皇位でありながらその立場に興味を持たずブレイドの研究をひたすら行う。
初めて聞くその情報にネフェルは興味津々であった。なにせノックスの一族は名前しか聞いたことが無かったからだ。深いことまでは知らされることはなかった……
「しかしブレイドの研究の中、
「それからどうして皇帝へと?」
「彼はスペルビアの内情について調べていたのだという。クーデターが何者かによって計画されていると……それから焦った反政府派はクーデターを引き起こした…それを押さえつけてくれたのがカルマだ。お前が死んだと噂された後―――次に皇帝に即位するのは誰かという話になった。最初はカルマのことを快く思っていなかったが、血液検査により皇族の血が流れていると判明し、カルマはクーデターを抑えた功績から皇帝へと即位した―――というわけだ」
「しかし義姉さんはなぜ皇帝にならなかったのです?女流皇帝というのは禁止されているわけではありません。私が生まれなかったら玉座にあなたが座っていたはずでしたし。あなたがなっても良かったはず…」
「私はあまりにも長く執権官の立場に身を置き過ぎた。選ばれなかったというより、私自ら辞退したんだ」
ネフェルはメレフから聞いたカルマの事実を聞き。考えを巡らせ、ある一つの問いを生んだ。
「本当にカルマは―――クーデターについて調べていたのでしょうか?もしかしたら、クーデターを首謀していたのは彼かも―――」
「まさか。自ら首謀して自ら抑えつけるなど…」
「自作自演。そういう可能性もあるのではないですか?自らクーデターを操り、それを抑えつけた風にする…そして功績と自らの血から皇帝に上りつめようと…」
メレフはその言葉を聞いて、カルマに対する疑いを覚えた。それと同時にあることを思い出す。
カルマがなぜ少年のことを聞いた途端に目の色を変えたこと、「私の目の前に連れてきてくれ」という言葉…心の底に会った皇帝陛下への不信感が、大きくなったような気がしたのだ。
「いや、カルマはただ皇帝に即位することが目的なのではない…もし、何かしらの計画を立てて皇帝の座に―――」
「カルマが計画を?」
「私は行かなければならない。この胸騒ぎ―――ただの焦燥ではない。ネフェル。必ず私が迎えに来る。だから決してここを離れるな」
「分かっていますよ。この生活もつまらないわけではないですが―――あのままというのも悔しいですから」
メレフはネフェルの顔を覚え、最後に敬礼をしてから再び王宮のほうへと走っていった。
「バイバイ!マタネー!」
ターキンは走り去るメレフに手を振った。
◇◇◇◇◇◇
メレフからネフェルとの会話の一部始終を話した。ジークは顎をさすりながら、サイカは腕を組んで聞いていた。
「カルマがペルフィキオのボスなんやら、最初から銀ボンのことを狙っていたと…?」
「いや、ペルフィキオはリュウギじゃなくて“あの女”って人を探してた。もしかしたらリュウギに関係のある人物かも…」
「どちらにせよ、カルマの言葉通りなら少年のことを最初から狙っていたのは確かだ。皇帝というあらゆる情報が入ってくるその立場を利用し…」
「確かにリュウギは強いも!だけどペルフィキオにとって大きな戦力になるのかも?しかもリュウギが納得いってないなら、おとなしく従うはずがないも!」
「確かに。リュウギの力を奪おうとしてるとか…?」
リリオの言葉に一同はハッとした。ペルフィキオの狙いがリュウギの力を奪うことなら…命を奪うのと同じことかもしれない。ミントは力を失った武器を硬い石のドアにたたきつける。
「このままここに閉じ込められてたって、リュウギを助けられない!早く行かないと!」
「だがどうやって脱出するんだ?適当にぶん殴ってたって拳が痛くなるだけだろ?」
ツバキの言葉にムッとするミント。「うるさい!殴ってればひびぐらい入るでしょ!」と荒々しく答え、壁殴りを続ける。
「やれやれ…」
呆れるツバキ。それと同時にアスカは何かを感じたようで、ミントを壁から引きはがす。
「ちょっと!?何すんの!」
「ブレイドの気配を感じます。今扉の向こうに―――」
そういい終わる直前、扉が吹き飛ばされた。とびちった破片が頭に当たり、リリオは後ろに倒れてしまった。
その先に居たのは2匹のターキンにワダツミ…
「ターキン…?まさかネフェル!」
ワダツミの後ろから現れたのは青い髪の男…ネフェルだった。
「なかなか迎えにこないから、こちらから迎えに来ましたよ」
「兵士に掴まっているところを助けてくれてね。あー、陛下?いやネフェル…」
今は皇帝の座ではないネフェルのことをなんと呼べばいいやらと少し困惑するワダツミ。「あなたの好きなように呼んでください」と言われたので、ワダツミは小さな声で「陛下」と呼ぶ。
「さきほど、二人の男が少年を抱えながらゲンブ港に向かうのが見えました。嫌な予感がしたので義姉さんたちにこのことを伝えようと思ったんです」
「なら、リュウギはゲンブ港に連れ去られた…なら急ごう!」
ミントがそう言うと、一同は武器を手に進む準備だ。しかしジークは指してほしいとばかりに突然手を挙げた。
「悪いがワイは親父のところに先へ行く。すぐに追い付くから先行っといてくれ」
「すまんなぁ、王子ずっと親父さんのこと心配してて」
「大丈夫!ジークは親父さん助けに行ってきて!」
「おう!」
ジークは大剣を手にする。しかし出発の前にネフェルから一言。
「ここに来た時、いや王都全体で兵士の様子がおかしいんです。気を付けてください」
「確かに、ルクスリアの兵士が突然我らに刃を向けた…さらに国王であるゼーリッヒに対しても、と」
「ここの兵士は親父に対して忠誠を誓っとる。クーデターなんて起こさへんと思うが…カルマにたとえ賄賂を渡されたとしてもな」
「とにかく今は助けに行くことが先決じゃないか?カルマにアイツを背負ったまま逃げられたら…厄介なことになるぞ?」
確かにツバキの言う通りだ。ミント達とジークは分かれ、それぞれは走り出す。
◇◇◇◇◇◇
ミント達と分かれ、父であるゼーリッヒを助けに行くため王宮テオスカルディア内を駆け回るジークとサイカ。
ジークを見るや否や刃を向けてくるルクスリアの兵士に対し、ジークはすまないとつぶやきながら叩き斬っていく。
ここの兵士のことは王子である彼は分かっているつもりだった。しかしどうしてカルマの側についたのか―――
それを考えながらジークとサイカは王宮を再び駆けていく。ゼーリッヒが捕まっている場所…ともかくしらみつぶしに探していく。
王宮をもう何周しただろうか。未だ父は見つかっていない。
「親父ィ!一体どこにおるんや!」
「もしかして既にもう…」
「何を演技悪いこと言ってんねん!あの親父がそう簡単に死ぬか?」
小さな喧嘩をしている二人の前に、再び兵士が現れる。ジークはそのサイカの剣でアーツを繰り出していく。時折サイカに武器を渡し、必殺技を繰り出しながら。
サイカの武器が兵士の槍と一瞬つば競り合いになる。その時、サイカは戦いの中であることに気づく。
兵士の目に…光が無い。どこか虚ろで…
しかし襲い掛かってくる相手に油断はできない。行動不能に一度落とす。
「なあ王子、この兵士たち…目が虚ろになってたんや。それにそれに、いくら呼びかけても返事すらせんし…」
「返事が無い…確かにな。こいつらただワイらに反旗を翻してるんじゃない…どことなくそんな気すんな」
まだ王宮に探していない場所がないかと、王宮をもう一周することに。その途中でジークはあることを思い出す。
「そういや…前にエーテル加速機があった場所、まだ見てないな」
「確かに。あれから立ち入り禁止になっとったから…」
「たぶんそこや、とっとと行くで!」
エーテル加速機と呼ばれる物がある場所…白雪の回廊と呼ばれる場所へ向かうため、王宮を下へ下へと降りていく。その途中で何度も何度も兵士と剣を交える。戦いを繰り返し疲弊した体に鞭打ち、ようやく最下層へとやってきた。
「やはりここやな。普段はここ大きな扉で閉められとるはずや。でも今は開放されとる…」
階段を降り、巨大な機械が中心にズーンと佇む巨大な広間へと出てきた。その機械の前で縛られているのは…まぎれもなく父親のゼーリッヒであった。
「親父!大丈夫か!」
駆け寄ろうとするジークだったが、目の前に鉄の弾丸が撃たれ後退する。
「誰や!」と叫ぶ。弾丸の現れた場所はエーテル加速機の上。金髪の男がスペルビアの兵士の常備武器、機関煙銃を肩に乗せる。そしてブレイド研究所から盗んだセイバーを片手に座っている。
「ようやく来たかぁ。雷轟のジークさんよぉ!」
何メートルもあるエーテル加速器の上から男がジャンプで降りてくる。落下ダメージは無いようだ。
「お前、何もんや?」
「ペルフィキオのメンバー、アルジェント…そのジジイは牢屋に入れようと思ったが、別の場所で縛っておいたら誰が来るかと思ってなぁ」
「人の親父好きに扱いやがって…!」
「なぁに、俺に勝てば素直に返してやるよ」
しかしジークとサイカはそれを聞いて失笑する。男が持っている武器はスペルビアの銃に人工ブレイドの武器。ただの人間が扱うものではない。
「ブレイドもなしに…そんなものでどう戦うっていうねん?」
「俺にはむしろ十分すぎるぐらいさ」
アルジェントは弾丸を放ち、セイバーを振りかざす。しかしそれは雷轟のジークの前には無意味。その素早さで弾丸を打ち返し、セイバーを受け止める。
「なんや、威勢だけか?」
「ほんの小手調べだぜ?雷轟のジークさんがどの程度か知るためのな…ッ!」
アルジェントは銃を捨て、空いた片手に黒いエネルギーの弾を生み出し、それをジークの腹へと突きつける。突然の攻撃にジークは腹を抱えて倒れこむ。
「王子!大丈夫か!?」
サイカがジークへとエーテルの流れを止め、歩み寄る。
「なんや今の攻撃…お前、まさかブレイドか!?」
「どうだろうなぁ?もしそうだとしたら…どうする?」
アルジェントは再び手に黒き弾丸を生み出し、それをセイバーに宿す。
「ブレイドだろうが人間だろうが……親父に手ェ出すなら許さへんでぇ!」
ジークは飛び上がり、その大剣…紫電三式轟に何万ボルトかという電気を纏わせ、アルジェントに振りかざす。
「轟力降臨―――
その一撃は強力だった。セイバーで防ぎきれずアルジェントはエーテル加速機に打ち付けられ、失神した。
サイカは腰を痛がるジークをさする。二人はゼーリッヒの元へ行く。
「親父!大丈夫か!」
「ジークか…すまんな、あの男の目論みを見抜けず…」
「そんなことはええねん!怪我はしてないよな?老体に無理してないか…」
サイカは心配するジークを見て微笑んでいる。ジークはそれに不服そうである。
「なに笑っとんねん!」
「いや、親父さんのことそんなに心配する王子、全然見れんから!」
「ワイが未だに反抗期かなんかか思っとるんか?」
「そういうことやなくてなぁ…」
そう言いながらも二人は笑っている。
「って、そんなことより親父!本来の予定では、カルマと一体何を考えてたんや?」
「少年を保護し、世界樹へと行かせない……もしお前たちが世界樹へ行くなら―――どうしても行かせられない理由があるのだ」
「なんや水臭いなぁ!その理由、教えてくれんか?」
「悪いが各国の首脳しか知ることができないことなのだ。お前が王族でも、それを伝えられない理由がある……それに伝えたとなれば、ルクスリアは協定に反したとみなされ…」
「なんなら、別の首脳から聞いたるわ。ルクスリアに無駄な責任乗せられんしな」
「王子、話分かるようになったんやなぁ、偉いわぁ」
「さっきからワイのことバカにしすぎやろ?…ともかく、無事なら安心したわ。これから銀ボン…あいつのことを助けに行く。親父は別のところに避難しといてや」
「ジーク…ありがとう」
その言葉にジークは顔をほてらせ、頭を恥ずかし気に掻きむしる。
「なんや、“ありがとう”て…恥ずかしくなるやないか」
「ウチが親父さん安心なところに連れて行くわ。王子は先行っといて」
「おう、任せたで!」
サイカが足腰の悪いゼーリッヒの肩を持ち、白雪の回廊を歩いていく。ジークはそれを少し見届けた後、大剣を背中に戻して出発の準備だ。
「よっし、行くで……」
そう歩き出したジークに後ろから再び黒い弾丸が撃たれた。その攻撃に倒れるジーク。
「お前…気絶してなかったんか…!?」
「あの程度で気絶するほど俺は弱くねぇよ。しっかし父子の愛かぁ…素晴らしいねぇ」
倒れこむジークの周りをまわるように歩くアルジェント。ジークに近づき、髪の毛を掴んでその顔を前に持ってくる。
「どうしてお前んとこの兵士が裏切ったか…気になるよなぁ?…俺の力だよ。人の脳に入り込み思考や行動を操る力…指を一発鳴らすだけで俺の思い通りに動く。」
「洗脳か…うちの大事な大事な兵士を操りやがってぇ……!」
「見たところお前はあいつらの元へ行くみたいだな…ちょうどいい。お前は役に立ちそうだ」
アルジェントは得意げな顔を見せつけ、髪を掴んだ手とは逆の手で指をパッチンと鳴らした。