◇◇◇◇◇
「ふぅ、今日はほんっとうにいい天気だねぇ!」
双樹の丘。野盗のアジトのすぐ外。既に真上に上がった太陽に照らされながら、ミントが伸びをする。
その後ろには、野盗からサルベージャー達を救った少年が自分の大剣を磨いていた。
「それにしても…」
ミントが後ろを振り返った。
「あんたがブレイドだったとはねぇ―――驚きだよ。確かに普通の人間が炎とか水を出せるわけじゃないし…」
少年に近づき、その顔を覗く。
「あんたのドライバーさんは?どこに居るの?―――もしかして、迷子になっちゃったとか?」
バカにしたような笑いをしながら、少年の肩を叩く。
「―――言い忘れてたけど、俺はブレイドじゃない。」
「へ?どゆこと?」
目を丸くしたあと、少し考える。
「じゃあ…いわゆるマンイーターとか?」
「違う」
「ブレイドイーター?」
少年が首を横に振る。
「じゃあ…あんた一体なんなの?」
「知ぃらない。生まれつきこういう能力持ってたんだ。炎とか水を操る能力。戦い以外ではあんまり人前で見せないようにはしてるんだけど。」
少年が立ち上がり、剣を右手で支えながら言う。
「へぇ…そういえば確かに、さっきお母さんがいるとか言ってたしね。」
「―――あぁ。旅に出てからはもう数年会ってないけど。」
少年がすこし悲しげな目をする。
「旅…ね。どうしてあなたは旅をしてるの?」
少年はその問いを聞き、すこし間を空けてから口を開いた。
「楽園…知ってるだろ?世界樹の上にあるっていう…」
双樹の丘から少しだけ見える…海の中にそびえたつ、大きな樹。
世界樹と呼ばれたそれは、昼夜不思議な輝きを放っている。
「楽園に行って、父さんを探しに行くんだ。」
「父さんを?」
「…ああ。俺が幼い頃に楽園へ行ったまま。母さんと約束したんだ。
必ず、父さんを連れて帰ってくるって。」
少年は拳を握り締めて言った。ミントはそれを聞いて即答した。
「連れて行ってあげてもいいよ。楽園に!」
「…へ!?ほ、本当に!?」
少年が目を大きくしてミントを見つめる。
「ま、楽園とまではいかないけど世界樹の下らへんまでは行ったことあるし…」
その後、付け足して言った。
「それに私、サルベージャーだし。こう見えて色々なところ行ったことあるんだよ?」
「本当に―――いいのか!?俺を…楽園まで連れて行ってくれるって…!」
「いいよ!」
その言葉の後、ミントはピースサインを少年に突きつけた。
「サルベージャーの合言葉その2!“助けられたら助け返せ”…だからねっ!仲間まで助けてもらった上に、私の命だって救ってくれたんだもん。お礼せずに帰ることなんてできないよ。」
ミントが優しい声で少年の肩を叩いた。
「いやー…人助けってするもんだなぁ!」
少年が嬉しそうな声を出した。
そしてミントに目をやると、ミントは握手を出していた。
「そういえば、自己紹介がまだだったよね。私はミント!見ての通りサルベージャーだよ。あんたは?」
「俺はリュウギ。まぁ…旅人かな。」
「へぇ――…面白い名前だね。よろしくね!リュウギ!」
リュウギがミントの手を軽く握り、初めて大きな笑顔でミントを見つめた。
第1話 「出逢い」