「僕はもっと男らしくなりたい!!」
そう叫ぶライフィセットに、アイゼンとロクロウは一瞬呆気に取られた。
「なんだライフィセット、お前男らしくなりたいのか?何かあったのか?」
「僕気が付いたんだ、ベルベットやエレノアになんだか男として見られてない!・・・って言うか、なんていうか・・・う~ん・・・」
「ん?そんな事ないと思うが・・・まぁ、そう思っても悪くはないか?」
「あ・・・やっぱり、そう思うロクロウ?」
「おい・・・」
アイゼンが僅かにロクロウを睨みつけると、
「あ、いや、俺はただ・・・ライフィセットも男子たる者、如何に有るべきか!とな・・・そう考えても良いと思っただけだ」
「男子たる者、如何に有るべきか、か・・・」
「あぁ・・・確かにライフィセット、お前も自分が男としてどう生きるべきか、考えるのも良いだろう・・・」
「ロクロウとアイゼンはどう生きようと考えてるの?」
「ん?俺か?前にも言ったかもしれんが、目の前にどんな困難があろうが斬り捨てて進んでいくのみだ、がっはっは」
「なるほど・・・アイゼンは?」
「俺も前に言った通りだ・・・自分の舵は自分で取れ・・・・と言ってもそうだな、俺の別の考えも言っておくか・・・己に強いられた運命という荒波に翻弄などされず、乗りこなして見せると言ったところか」
「死神の呪いの事だね・・・」
「別にそれだけじゃない、俺達聖隷は許容量以上の穢れで己を失いドラゴン化する・・・人間よりも生きる上で得手とする面もあるが、そうでない面もある」
「ふっ、つまりつらい運命に泣きごと言わずに、斬り捨てろ!と言う事だな!」
「・・・・・・まぁそれでもいい・・・」
「そっか・・・僕も女の子と間違えられたり、可愛い何て言われてもそんな自分のこういう姿なんか気にせず、乗り越えろ、と言う事だね」
「まぁそういう事だな、だがライフィセット?お前はそんな女々しいか?」
「ああ、そうだな。カノヌシとの戦いでもお前はベルベットを命がけで守ろうとした。中々勇ましかったぞ、今のお前は中身の点で然程恥じる事は無い・・・今のまま己を磨いていけば、いずれ外見も中身に合わせたものへと変わっていくだろう、時が経てば解決する事だ」
「あの時は、アイゼンも助けてくれたよ・・・そっか、そのうち・・・ありがとう・・・けど、僕は・・・」
「ん?なんだまだ何かあるのか?」
「え・・・えっと実はその・・・」
翌日
朝、街の宿屋でエレノアがベルベットに尋ねている。
「ベルベット、ライフィセットを知りませんか?」
「ライフィセットを?そういえば、最近余り一緒にいないわね・・・どうしたのかしら?」
「そうなんです、ここ数日寝る時も私の中で休むのを拒む事が多いんです・・・その為夜も何処かに行ってしまって・・・私何かライフィセットに気に障る事をしましたでしょうか・・・?」
「う~~ん、確かに変ね・・・あたしも避けられているような気もしなくもないか・・・」
「ベルベットもですか?ま、まさか・・・ライフィセットは誰か悪い人達と付き合いが出来て、それで私達を避けて・・・い、いけません!このままでは穢れでライフィセットが不良化どころかドラゴン化してしまいます!なんとしてでも原因を追
究し止めなくては!」
「悪い人達・・・ねぇ・・・まぁあたし達も人の事言えないけど・・・そんなフィーに限って・・・
『ライフィセット、もうあんなおばさん達の所には帰るんじゃないわよ、あたし達と一緒にくらしましょ?』
『うん、僕今までどうしてあんな人を好きだっただろ?やっぱり同じ年の娘が良いや』
・・・、・・・だ、駄目よ!!フィー!!そっちに行っちゃダメ、あんたにはあたしが!!」
「おぅわ!ど、どうしましたか?ベルベット!!」
「え?ああ・・・な、なんでもないわ・・・確かにエレノアの言う通り、原因を突きとめた方が良さそうね」
そこにマギルゥが顔を出す。
「どうしたんじゃ、お主ら?朝から元気がありあまっとるの~」
「マギルゥ、あんたライフィセットを知らない?」
「そうです、知りませんか?」
「坊?ふ~~む、何処に行ったのかの~、きっとお主らに愛想を尽かしたんじゃの~・・・って、のわーーー!」
ベルベットは恐ろしい形相で左手の業魔手をかざし、エレノアは槍を向ける。
「一撃じゃ生温い・・・」
「全てを滅する刃と化せ・・・」
「おお、おおお、お主ら、儂の小粋なジョークになんじゃ、その怖い顔はああ!!」
「マギルゥ、あんたまさかライフィセットの居場所を知ってるじゃないでしょうね?」
「全くです、隠すとタメになりませんよ?」
「ぎゃあああ!!儂が何をしたと言うんじゃ?坊が何処に居るかなど露ほども知らんぞ!・・・マギンプイに誓って本当に知らんぞ!」
「・・・本当に知らないみたいですね・・・」
「嘘だったら、あんたただじゃおかないからね」
「ハァハァ・・・全く、例え居場所が判ったとしてもお主らにはぜーーったい教えんからな、覚えとれーーーー!!」
「全く、マギルゥのおかげでとんだ時間を喰ったわ」
「全くです、早くライフィセットを探しましょう」
そこにその彼がやって来る。
「ライフィセット!!・・・もう、何処に行ってたんですか?」
「フィー!!・・・あんた、心配させるんじゃ・・・もう、何処に行ってたのよ」
「うっ・・・何処に行ってたって別に良いだろ・・・」
「はぁ!?あんた何言ってんのよ?自分独りで勝手に出歩くんじゃないわよ!」
「そうです、心配するじゃないですか!」
「う、・・・うるさい!!僕がどうしようと僕の自由だ!二人には関係ない!」
思いもよらなかったライフィセットの返しに二人は一瞬唖然とし、
「あ・・・あんたまさか、どこかの・・・わ、悪い女にでもひっかかったんじゃないでしょうね・・・」
「駄目です!いけません!あなたにはまだ早いです、そんな事は私も許しません!」
「・・・はっ?なんのこと言っているか判らないけど、とにかく僕の事にあまり干渉しないで、それじゃあ!」
「あ?待ちなさいフィー!話はまだ終わってないのよ!」
「はぁ~・・・行ってしまいましたね・・・」
「まさか!?反抗期かしら・・・」
「聖隷にも反抗期ですか?・・・確かにあるかもしれませんが」
「とにかく、ライフィセットだって器であるエレノアの所に戻らざるを得ない時もあるでしょう?その時に改めて聞くのよ、良い?」
「勿論です!ライフィセットを不良になんかさせるものですか?」
そこに男組二人がやってくる
「おー、どうしたお前らこんな所で?」
「ライフィセットがどうのと揉めてたようだな」
先程の彼の事を二人は話し、
「あ~・・・不良だとか悪い女との付き合いを断つとか言っているが、要はお前達にライフィセットが距離を取り始めたと言う事か?」
「成程な・・・それがあいつなりの答えか、ふっ・・・」
ベルベットの目が怪しく光り出す。
「ちょっと・・・アイゼン、あんた何か知ってるの?」
「まぁそうだな・・・昨日俺達が・・・」
その事を二人に話すと、
「ちょっと待って下さい、なんでそれで私達から離れようとするんですか?」
「そうよ!男らしく?・・・あたし達はライフィセットを1人の男の子としてちゃんと見てるわ!」
「お~そうか?」
「例えお前達がそう思っててもライフィセットはそう思わなかったんだろ?」
「男女七つにして席を同ぜず、とも言うからな?それかもしれんぞ、なぁアイゼン」
「ん?まぁ・・・そうだな、お前らも少しはほおっておけ、そのうち良い距離間になるだろう、それまで待て」
「待て・・・ですって?いつよそれ?」
「二、三年か・・・それ位だろう?」
「はぁあ??なに言ってんのよアイゼン!それまでフィーとこんな寂しい関係でいなきゃならないの?その間に悪い虫でも付いたらどうするのよ!」
「全くです!早急な関係改善を求めます!」
「お、・・・おお~・・・ははは、ライフィセットの気持ちも少しは判るか」
「ふっ、お前らもそれぐらい少しは我慢しろ」
「アイゼン・・・あんた、妹が居るって言ってたけど、妹が兄さんと話したくないって言い出したら、それでも平気でいられるって言うの?」
「・・・うぐっ・・・」
アイゼンは平静を装うとするが、心の中で動揺した。
「そうです、ロクロウはシグレ様から嫌われたらどうしますか?」
「・・・それがどうかしたか?」
「・・・、えっ~と、そうでしたね、ロクロウはシグレ様を斬ろうとしてますもんね」
「応っ!シグレを斬るのはこの俺だ!」
「じゃ、じゃあ、シグレ様が誰かに殺されたら、どうしますか?やっぱり悲しいですか?」
「悲しい?・・・はっはっは、シグレが誰かに殺されれば、その時はその時だ、今度はおれがそいつに勝負を挑んで勝つだけだ!別に何も考える事無いだろう?」
「・・・・・・聞いた私がバカでした」
「しょ~がないのぉ~、ここは儂の出番かの~」
「ところでアイゼン、フィーの事でまだ他に何か隠してるんじゃないでしょうね・・・」
「むっ・・・」
「こりゃー!儂を無視するでない!」
「マギルゥ、あんたに用は無いのよ!」
「ほぉ~儂にそんな事言って良いのかの~、坊が何故お主らを嫌いになったか折角教えてやろうと思ったのにの~」
「・・・っ、フィーがあたしの事嫌いに・・・な、なる訳ないでしょ・・・」
「わ、私だって特に心当たりは・・・」
「全く、お主らは自分と言うものをな~んも見えとらんの~仕方ない、ここはマギルゥ様がずぶしっと答えを言ってやるから、心してきけぃ!・・・ビエンフーや」
「はい、でフ―!お答えしまふでフ―!」
「え?ビエンフーが答えるんですか?」
「そう・・・あれは、僕が夜中目を覚まし、ライフィセットが何やらごそごそと」
「ビエンフー・・・何を話してるのかな・・・?」
「ビエー!!ラ、ライフィセット!お、おおおおどかさないで欲しいでフ―」
「「ライフィセット!!」」
「はぁ~・・・確かにちょっと、二人には心配させてごめん・・・」
「ライフィセット?不良の友達とかはいないんですよね?」
「わ、悪いおん・・・そういうよくない手合いとつきあってないわよね?」
「・・・?二人の言っている事が良く判らないけど、ただ一つ、そのあんまり・・・二人が僕の事を考えてくれるのは判っているけど、もう少し信用して欲しいな」
「そうじゃの~・・・二人の過保護な母親がおっては、幾ら坊でも息がつまるからの~」
「あ・・・あたしは別に・・・いや、ちょっとそうだったかもね・・・」
「まぁ確かに・・・言われてみれば・・・」
「判ったわ、フィー。少しはあたし達もあんたを信用して干渉し過ぎないようにするわ」
「そうですね、あれこれなんでも言われるのは嫌ですよね」
一同一息つき、
「なんじゃつまらんの~・・・一波乱あってもよかろうに~」
「姐さんも素直でないでフね~」
「ビエンフーお主何か言ったか?」
2人は帰り、1人はその聖隷を弄り倒しながら去っていった。残った男三人は
「ふぅー・・・どうやら内緒にしてくれたみたいだね、ありがとう」
「おう、まぁ男なら判らんでもないからな!」
「安心しろライフィセット、そのうちその感情とも上手く付き合えるようになる、それまで女とは距離を置くのは賢明な判断だ」
「・・・・・・」
ライフィセットは先日の一件を思い出していた、それは・・・
『もう、フィーそんなに恥ずかしがらないの』
『べ、べべべベルベット、ちちちち近いよ!!!(顔とか唇とか色々!!)』
『穢れを抑えるコツを掴んだの・・・だから、少しくらいあたしといても大丈夫でしょ?今日くらいあたしと寝て、ね?』
『いや・・・ええ・・・ああ、ぼ、僕エレノアの中で寝なきゃ!』
『だめよ!今夜は帰さないんだから!・・・どう、あたしの胸暖かい?』
『え・・・え~と、(い、いいいいいいい色々とダメだよ、ベルベットオオオオオ!!!!)』