魔法少女リリカルなのは -Crime seeker- 作:鹿丸
PROLOGUE
さぁて我が息子よ、いい子はさっさと寝るもんだ。
何、寝れない?
何でだ? ははぁ、さては母ちゃんが一緒じゃないと寝れないってヤツか?
……そこまでガキじゃないか、じゃあなんで寝たくないんだ?
……お話してほしい? やれやれ、我が息子はまだまだケツが青いようだ。
だがそのケツの青い息子の相手が、親父であるオレの仕事だ。
枕を持ってベッドに入れ我が息子。オレがとびきり面白い話をしてやろう。
――さて、何を話してやろうか……
……そうだな、じゃあオレがまだお前くらいケツが青かった時の話をしてやろう。
まぁケツが青いと言っても、その時は既にもう経験済みだったがな……
おっと、これは母ちゃんには内緒な。バレたら黒焦げにされて明日の燃えるゴミに出されちまう。
そう、あれはオレが26の時だった……
☆★☆
――声も、出なかった。
あの時の周囲の状況を端的に説明するなら――最悪。
周りの地面や空間は崩壊し、詰まりそうな周囲の雰囲気の空気が、さらに圧を増す。
そして、なにより……
――目の前にいたハズの母さんが、崩れゆく地に飲まれた事だ。
崩壊が加速する地面は容赦なく母とその母が大切にしていた私の“源”を奪い去り、もう後戻りのきかない虚数空間へと引きずり込んだ。
その時の自分の頭の中は、きっと驚愕と絶望と後悔が絶妙なブレンドで混ざり合っていただろう。
そんな理性の飛んだ思考が下したのは、とにかく追い縋る事。
私は崩れ落ちる地面の端から、小さくなっていく母さんと“源”の姿を見つめ続けた。
――やがてそれは点となり、見えなくなった。
その瞬間、私の頭の中から絶妙にブレンドされた感情が去り、なんとも言い難い虚無感で満たされた。
ショックじゃない、と言えば嘘になる。
怖くなかった、と言っても嘘になる。
ただ私は、悲しかったのだ。
ただみんなで、あの頃のみんなで幸せになりたかっただけなのに。
もう一度、母さんの笑顔が見たかっただけなのに……
――母さんは最後まで、私を見ようとしなかった。
☆★☆
「――ッ!!?」
瞬間、ガバリとシーツを退け、金色の髪が重く靡いた。
「ハァ……ハァ……」
荒く息遣いをし、額に滲む嫌な脂汗を手の甲で払う。
「ハァ……」
フェイトは息を止め、口の中の生唾を飲み込んだ。
――まただ。
また、この夢だ。
最近多い。
あの時から既に、十年以上が過ぎているというのに。
「…………」
今まではこんなことなかったのだ。
確かに簡単に忘れられるほど、荷の軽い出来事ではなかったが、夢でうなされるほど自分を追い詰めていた覚えもない。
ただ最近になって、よくこの夢を見る。
「……母さん……アリシア……」
一体、何を意味しているのだろう?
この夢は、何を伝えたいんだろう?
――もしかしたら自分は……まだ苦しまねばならないのだろうか?