魔法少女リリカルなのは -Crime seeker-   作:鹿丸

7 / 35
Ⅵ 2nd rushing into entrance

「……涼しいな」

 

「でも環境は最悪だね」

 

《そこの角を右です》

 

「了解」

 

 

――現在、フェイトとオレは下水道を通っている。

 

今回の現場の銀行の突入口は正面、裏口、屋上の三つがあった。

 

しかし裏口は犯人が張っている可能性があるし、正面は論外。

 

ならば屋上、という選択肢もあるわけだが、このご時世で航空魔導師の存在を知らない無知者はいない。

 

という事は向こうからしたら、当然上からの突入も視野に浮かぶ。

 

 

――ならば地下はどうだろうか?

 

地下ならば必ず何処かに繋がっているし、一般的にも使用されない。

 

盲点があるとすれば、ここなのだ。

 

その提案をしたところ、フェイトはやや考え、行動に移した。

 

オレが先程見つけたマンホールから地下に潜り、目的の銀行下まで目指している。

 

ナビゲーションは念話を使い、局から流してもらっている。

 

《そのまま真っ直ぐです》

 

「了解」

 

しかし下水道であるせいか、当然臭いがキツイ。

 

「あ~……しばらく臭いとれねぇなコレ」

 

「髪の毛、結べばよかったな……」

 

「イザとなったら髪の毛ごと持ち上げてやるよ」

 

「ナンパ臭い匂いが付いたらヤダからいい」

 

「厳しいねぇ……」

 

さすが、腹違いとはいえクロノの妹。

 

「それよか、アイツらどう思う?」

 

「……確かに質量兵器を持っていたけど、私達が追っている事件とは規模が違い過ぎる」

 

考えてみれば、確かに連中は兵器は持っていても、その量はやや心許ない。

 

「組織の末端じゃねぇのか?」

 

「それでもそれなりの規模はあったよ。でもどの道見逃せないからね」

 

見逃せない、か。

 

《次を左です》

 

「はい」

 

それに従い、左に曲がる。

 

その時、目の前に人影が見えた。

 

「だ、誰だっ!!?」

 

瞬間、火薬が爆ぜる音。

 

「チィッ!!!」

 

舌打ちをかます間に、跳弾が下水道で暴れる。

 

どうやら、連中の一人と鉢合わせたようだ。アンラッキー。

 

 

オレは物陰に隠れた。フェイトも同様に。

 

「何人見えた?」

 

「一人だぜ、執務官殿」

 

ただ、拳銃を保持しているが。

 

「オレは射撃は苦手なんで、頼むわ」

 

「……じゃあ、見ててよっ!!」

 

「勉強させてもらいます」

 

フェイトはバルディッシュを起動させずに、手の平から光球を浮かばせる。

 

誘導制御された光球は真っ直ぐに、銃を構える一味の一人に向かった。

 

そして、直撃。

 

「かッ……!!」

 

犯人は倒れ、銃を手放す。

 

「勉強させてもらいました」

 

オレは犯人に近寄り、銃を回収する。

 

フェイトは気絶しているそいつにバインドをかけ、念話で局に回収にくるよう要請した。

 

「……どうやら敵さん。新しいオモチャで暴れたがりのガキじゃないみたいだな」

 

地下からの突入も想定できる判断力を持ち合わせた集団犯罪。

 

そして厄介なのが、それを実行に移せる程の戦力だ。

 

どうやら連中の戦力は5人6人に収まるほど小さくはないらしい。

 

「それよりも、さっきの発砲で場所が割れちゃうよ」

 

「だな」

 

モタモタしてたら、シャレにならない鉛玉を相手にしなきゃならない。

 

だが、同時にそれは戦力を引きずる事もできる。

 

「なら、もっと派手にいくか」

 

オレは拾った銃を彼方へ向け、引き金を引きまくった。

 

「キャッ!!?」

 

発砲音が下水道内でこだまする。うん、やかましい。

 

「何してるのっ!!」

 

「敵をひきずりだす。早くするぞ」

 

「……もうっ!!」

 

フェイトは今だに納得してないようだが、今は会話より行動だ。

 

オレはその場に銃を捨て、下水道を再び移動し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆★

 

 

 

 

 

 

 

「こっちだ」

 

「侵入者かっ!?」

 

「わからない。ただ発砲があった」

 

「急ぐぞっ!!」

 

階段から次々と質量兵器で武装した兵士が降りて来る。

 

その数は、ゆうに10を越える。

 

それを物陰から見ていたオレとフェイトは声を殺し、奴らが降りてきた階段を上がった。

 

「やっぱり、シャレになんないな」

 

「でも、組織との関連が強くなったよ」

 

「それは生きて出られてから話そうか」

 

正直、オレは驚いていた。

 

様子見であの人数……

 

大雑把に考えても、まずその総戦力は確実に40から50人はいく。

 

ヘタに突入すれば、どれだけ被害を被るかは目に見えていた。

 

 

「ここは?」

 

《銀行のちょうど下辺り……地下一階です》

 

「人質は?」

 

《恐らく、一階の受付に纏められています》

 

「いいね。わかりやすい」

 

オレは階段から下水道までの扉をロックした。

 

「さて、外にいるバカどもが逸る前に終わらすか」

 

「そうだね」

 

互いに頷き合い、オレはデバイスを取り出した。

 

「起きろ、ストレイジ」

 

右耳のピアスが刀剣に変わり、右手に収まる。

 

「ドアが前衛、私が後衛でいいね?」

 

「無論だ」

 

互いに近接型だが、射撃の腕を考えればそれが当然だ。

 

オレは前に出て、銀行の廊下を歩き始めた。

 

まずは階段を見つけなければならない。

 

「職員達も人質か?」

 

「多分そうだよ」

 

「……ふ~ん」

 

オレはストレイジを構え直し、周囲に目を懲らす。

 

そういえば質量兵器にばかり目を取られていたが、敵に魔導師がいないとは言い切れない。

 

むしろ、魔導師と質量兵器というコンビはある意味最悪だ。

 

 

 

そんな中、階段を見つけた。

 

「あった」

 

オレは躊躇いなく、足を階段にかけた。

 

瞬間、鉛がオレの右を掠めた。

 

「っ!!?」

 

頭上を見ると、踊り場から銃を構えている兵士が一人。

 

オレはストレイジを上に振り抜き、上の階の天井を斬った。

 

「ぐっ……」

 

上にいた兵士は呻き声を上げ、倒れ込む。

 

手応えとして、どうやら足を掠めたようだ。

 

「あっぶね~」

 

「もうちょっと慎重に行こうね。執務官志望の……」

 

 

瞬間、今度はフェイトの眼前に弾丸が通過した。

 

「っ!!?」

 

フェイトは弾かれたように反応し、光球を飛ばし、右にいた兵士に手痛い一撃をぶち込んだ。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「もうちょっと周りを見ようぜ。執務官さん」

 

「…………」

 

フェイトは返す言葉がないのか、悔しそうに唇を噛む。

 

まぁいい、お互い怪我がないのなら。

 

オレとフェイトは階段を上がり、一階にたどり着く。

 

一階の踊り場では、予想通り足を斬られてのたうち回る兵士がいたので、バインドをかけた。

 

まず最優先すべきは、人質の解放だ。

 

犯人の確保は、その後でも遅くはない。

 

「人質はどこに?」

 

《はい、そこを真っ直ぐ行けば受付に出ます》

 

「真っ直ぐ、ね」

 

オレとフェイトはさっきの教訓を生かしつつ、周囲を警戒しながら進んだ。

 

「……手薄だな」

 

「きっと受付に戦力を集めてるんだよ」

 

だと、いいが。

 

にしては、さっきから見張りに会わないのは何故だ?

 

というかそもそも、なんで受付近くに5人しか人を置かないんだ?

 

地下に10人送る位だ。受付にもっといたって不思議じゃない。

 

5人なんて、管理局側からナメられるに決まっている。

 

そんなんだから突入なんて考えが安易にうか……

 

「っ!!?」

 

不意に、一つ仮説が浮かんだ。

 

オレは立ち止まり、考える。

 

「…………」

 

「どうしたの?」

 

「そういや、屋上の方見たっけ?」

 

「……見てないよ」

 

瞬間は、オレは床を蹴った。

 

「っ!? ちょっとっ!!」

 

「悪い、屋上見てくる」

 

オレは走りだした。

 

階段に向かって。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。