無個性な僕は丑の戦士に助けられた   作:シマユウ

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10話

 プロが何と戦っているのか、何と向き合っているのか、それは途方もない悪意。

 

 おやおや、こんな事になるとはね。まさか(ヴィラン)が雄英に侵入してくるとは驚きだ。相澤先生は指示を出す。

 

「13号避難開始! 学校に連絡試せ! センサーの対策も頭にある敵だ。電波系の“個性”が妨害している可能性もある。上鳴おまえも“個性”で連絡を試せ」

 

「っス!」

 

 すると緑谷が相澤先生に

 

「先生は!? 一人でたたかうんですか!?」

 

「いや……。白井!!」

 

「はい」

 

「お前は俺のサポートをしろ」

 

「……分かりました」

 

 その言葉にみんなは驚いていた。

 

「マジか!?」

 

「先生!! それはあまりに危険なのでは」

 

「それなら俺も……」

 

 僕は剣をかかげた。みんなの注目を集めた。

 

「僕は大丈夫。なんたって僕は仮面ヒーロー」

 

 僕は相澤先生の隣に立った。

 

「白井、お前の役目は……」

 

「相手を遊撃し撹乱させます」

 

「……よし、行くぞ!!」

 

 僕は階段を一気に駆け下りた。

 

「おい、見ろよ。餓鬼がコッチに向かってくるぞ」

 

「死ににきたのか」

 

「へへっ、死ねぇ……あれ? 出ね…」

 

 僕に気を取られていたみたいだ。階段を飛び降りてきた相澤先生は手際よく三人を捕縛武器で縛り付けそのまま頭をぶつけ気絶させた。

 

「おい、アイツは……」

 

「あぁ、個性を消すっつう、イレイザーヘッドだ!!」

 

 敵も先生の存在にざわついていた。

 

「消すぅ~~!? へっへっへ。俺らみてえな異形型のも消し……」

 

「シッ!!」

 

「うがぁ!?」

 

 僕はソイツの背後から峰打ちをした。普通なら首の骨は折れているが異形型なら大丈夫だと思う。先生のお陰で敵は連携が遅れている。僕はまた駆け出し、敵を引っ掻き回した。

 

「くそ、何なんだこの餓鬼は!?」

 

「すばしっこい上にやたら強…ぎゃあ!!」

 

「そいつはどうもっ!!」

 

 すると敵の一人が大きい声で叫んだ。

 

「思い出した!! コイツはあの地下闘技場で強すぎた為出入り禁止になった『殺しの天才』だ!!!」

 

「殺しの天才だと!?」

 

「本当に存在したのかよ!?」

 

 いや、殺したのはそんなにいないよー。腕や足を切り落としたくらいだよー。そのお陰か敵の動きが更に鈍くなった。

 しかし戦っている隙にいつの間にか黒い霧の奴がみんなの所に居た。僕は敵が落とした武器を拾い上げ勢いよく投擲したが、どうやら物理攻撃を無効化するみたいだ。そしてみんなをどこかに飛ばしたみたいだ。何とかしてやりたいが、あの霧の奴はあっちに任せてここの敵を減らそう。

 

 なかなか数が多い。峰打ちとかで応戦しているから仕方ないが。

 

「───くっ!?」

 

 先生の様子がおかしい。良く見ると肘が怪我? いや、崩れている。あの不気味な奴にやられたのか?

 

「先生!!」

 

「白井、こっち来るな!!」

 

「でも、っ!? 先生危ない!!」

 

 脳みそ丸出しの化け物が襲いかかり、先生の頭から地面に叩きつけ、腕をへし折った。

 

「対平和の象徴改人“脳無”」

 

 僕は周りにいた敵の何人かの腕や足を切り落とし、相澤先生の方に向かった。敵は僕に萎縮しこちらには来ない。顔や腕に手を付けた奴が

 

「おいおい、ヒーローがそんな事して良いのかよ」

 

「黙れ、相澤先生を離せ。じゃないと殺す」

 

「今度は殺害予告か。……俺ら向きの奴だな」

 

「良いからさっさと離せ!!」

 

 僕は間合いを詰め脳無という奴の腕を切り落とそうとしたが脳無はそのまま僕に襲いかかってきた。

 

「おっと、危ない」

 

 そのおかげか相澤先生は解放され、僕は脳無と対峙する形になった。相澤先生を見ると両腕とも折れていて、意識がない。手を付けた奴は首を掻きながら

 

「やれ、脳無」

 

 指示を合図に僕に攻撃を仕掛けてきた。僕は脳無の動きを見る。攻撃…予測。動作…予測。速さ…予測。

 

「そこっ!!」

 

 僕は紙一重に回避しながら交わし際に急所数ヶ所を刺した。普通ならこれで動けなくなる筈だ。それを見た手の奴は

 

「斬るじゃなく刺しにきたのか。お前頭良いな。だが……」

 

 脳無は僕の方に突進してきた。僕はギョッとしたがどうにか避けた。

 

「流石はオールマイト対策だね。なかなか強いね」

 

「なら、さっさと死ね」

 

「僕は存外しぶといよ」

 

 脳無の攻撃を避けながら飄々と話していた。……敵には悟られないように話した。本当は脳無の攻撃をどうにか避けるので精一杯である。

 

「死柄木 弔」

 

「黒霧、13号はやったのか」

 

 黒い霧の奴が現れた。これは本当にヤバいね。脳無の攻略法が見つからない。強そうなのが二人いる。

 

「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒がおりまして……。一名逃げられました」

 

 つまりは誰かが援軍を呼びに行ったということか。すると手の奴……死柄木は首をかきむしり、大きなため息をついた。

 

「黒霧、おまえ。おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ…」

「さすがに何十人ものプロ相手じゃ適わない。ゲームオーバーだ。今回はゲームオーバーだ。帰ろっか」

 

 脳無も動きを止めた。この男は何を考えているんだ。理解出来ない。

 

「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでも……」

 

 辺りを見渡すと水難ゾーンに緑谷と峰田と蛙水が居た。コイツが何をしようとしているのか分かった。僕は死柄木よりも速く三人の前に立った。

 

「チッ、勘がいいな、お前。おい、脳……」

 

「ちょっと待った。取引しないか?」

 

「あ?」

 

 僕は剣をしまい手を挙げた。

 

「もう、脳無とかいう奴の攻撃を避けるのは難しい。対価を支払う代わりに後ろの三人は見逃してくれないか?」

 

 実のところ僕は満身創痍なのは確かである。死柄木は首を掻きながら少し考えた後。

 

「へぇ、それで? 対価は?」

 

「それなら………僕の腕一本ってのはどうだい?」

 

「……ほう」

 

 死柄木の表情は明らかに変わった。無邪気な、そして不気味な笑みをこぼしていた。

 

「腕の落とし方はそっちで決めてよ」

 

 後ろでは「し、白井!?」「白井くん、ダメだ!!」「黒ちゃん!!」と叫んでいる。僕は三人に

 

「良いかい。絶対に動いちゃだめだよ」

 

 僕は少し振り返りニコッと笑った。死柄木も決まったらしく

 

「じゃあ、俺の個性で腕を貰おうか」

 

「どうぞ。遠慮なく」

 

 僕は右腕を前に出した。腕を掴む前に死柄木が

 

「お前、名前は?」

 

「……白井黒」

 

「そうか、覚えておくよ」

 

 死柄木は僕の腕を強く掴んだ。

 

「─────っ!!!!」

 

 僕の腕が崩れていく。痛みで意識を失いそうになるが、痛みで我に帰る。それの繰り返しだ。

 

「やめろぉおおお!!」

 

 後ろから緑谷が飛び出してきて死柄木に殴りかかろうとした。

 

「バカっ!?」

 

 どうにかしたくても掴まれていて何も出来ない。

 

「くくくっ。脳無」

 

 脳無が割って入って緑谷のパンチを受け止めた。脳無は緑谷の腕を掴もうとした。その時入り口のドアが壊された。

 

「もう大丈夫。私が来た!」

 

『オールマイトーーー!!!!』

 

 あぁ、オールマイトが来たのか。すると死柄木は興味を無くしたのか僕の腕を放した。

 

「待ってたよヒーロー。社会のごみめ」

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