無個性な僕は丑の戦士に助けられた   作:シマユウ

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16話

 僕は控え室を出て観覧席に向かう途中に切島と鉄哲が担架で運ばれていた。切島達と言うことは、残る試合は爆豪VS麗日になるな。これは見ものだな。僕は急いで観覧席に向かった。

 

「あっ、黒ちゃん!! こっちこっち!!」

 

 僕に気づいた芦戸が呼んできた。芦戸と蛙水の間が空いてるのでそこに座った。すると芦戸が

 

「私も梅雨ちゃんと一緒で黒ちゃんの事が好きなんだ!!」

 

「ウェイッ!!?」

 

 驚きのあまり上鳴の言葉が出てしまった。蛙水と芦戸を交互に見る。彼女たちの目は本気のようだ。しかし、どうしたものか。答えなんて出せるかぁ? そんな事を考えていたら蛙水が

 

「別にすぐって訳じゃないわよ。今は彼女が二人と考えればいいじゃない」

 

「そうそう、ハーレム! ハーレム!」

 

 芦戸は僕の腕に抱きついてきた。照れながらも蛙水も腕に抱きついてきて、二人に挟まれている状態になっている。なんだ、この状況は……。

 

「そ、そろそろ試合が始まるから二人の応援しようか!」

 

 二人はその言葉に名残惜しそうに離してくれた。そうでもしないと後ろの峰田の血涙が止まりそうになかった。しかし、この試合は…。

 

『一回戦最後の組だな……』

『中学からちょっとした有名人!! 堅気の顔じゃねえ ヒーロー科爆豪勝己  VS  俺こっち応援したい!! ヒーロー科麗日お茶子』

 

「お茶子ちゃん、勝てるかしら?」

 

「爆豪が手を抜いてれば勝てるよ。でも……」

 

『START!!!』

 

 麗日は開始と同時に駆け出した。身体に触れば麗日の勝ちは決まる。しかし爆豪は迎撃の爆破をお見舞いした。

 

「やっぱり手を抜くなんてことはしないね」

 

 麗日の煙幕による奇襲にも爆豪は見てから迎撃した。良い反射神経だ。

 

『麗日間髪入れず再突進!!』

 

 しかし、それも迎撃される。爆発音が響きわたる。

 

「お茶子ちゃん……!」

 

 心配なのか僕の服をギュッと掴む。

 

『休むことなく突撃を続けるが……。これは……』

 

 誰もが無謀と感じる戦いになっている。爆豪がいたぶっているように見えたのか

 

「女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!!」

 

「そーだ。そーだ」

 

 一部の観客からブーイングが出始めた。ブーイングしているプロヒーローは本当にプロなのか? すると

 

『今、遊んでるっつったのプロか? 何年目だ? シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ』

 

 相澤先生の言葉にブーイングするプロヒーローは止まった。

 

『ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろが』

 

 僕は空中をみた。良い武器が出来ている。麗日の作戦は見事だ。麗日は個性を解除すると、空中から瓦礫が降り注いだ。

 

『流星群ーー!!!』

 

 麗日は距離をつめようとした。これで爆豪に触れば麗日の勝ちだ。しかし今日一番の爆発音が鳴り響いた。恐らく戦闘訓練の際の爆破で一蹴した。

 

「………終わりか」

 

 僕の言葉通り麗日は倒れてしまった。キャパオーバーみたいだ。ミッドナイトの判断は

 

「麗日さん……行動不能。二回戦進出 爆豪くん──!」

 

 僕は背筋を伸ばして立ち上がった。芦戸は

 

「あれ? どっか行くの?」

 

「小休憩みたいだし、ちょっと飲み物買いにいってくるね」

 

「うん! 気をつけてね!」

 

 僕は観覧席を後にした。

 

 自販機で缶コーヒーを勝っていると切島VS鉄哲の腕相撲が始まっていた。勝ったのは切島だ。ベスト8は決まったみたいだな。ベンチに腰掛けていると近くの控え室から轟が出てきた。

 

「よぉ、轟」

 

 呼び止めると轟は振り返り

 

「白井か……。なんか用か?」

 

「まぁ、なんだ。試合頑張れよ」

 

「そうだな、これに勝ってお前にも勝つ」

 

「それは決勝で会おうってやつかな?」

 

「そういう意味だ。じゃあな」

 

 轟はそのままステージに向かった。僕はその後ろ姿に向かって

 

「轟、全力で自分の力で戦えよ!!!」

 

 轟は一旦止まったがそのまま何も言わずに試合に向かった。僕も観覧席に戻った。

 

 観覧席に戻ると試合はもう始まっていた。既に緑谷の指は2本折れているみたいだ。僕は急いで席に座った。蛙水に

 

「遅かったわね、黒ちゃん」

 

「あははっ、欲しかった飲み物が売り切れでね。控え室のとこで買ってきた」

 

「そうだったのね」

 

 そんな話をしていると氷を砕く音と同時に冷たい風が観覧席にまで届いた。風圧すげぇ。しかし、これで緑谷の右手は使えない。それを逃さない轟は距離をつめ氷結が緑谷を襲おうとしたが、先ほどよりも強い威力で轟から距離をとった。代償として左も使えなさそうだな。

 

『圧倒的に攻め続けた轟!! とどめの氷結を──…』

 

 すると、また氷を砕く風圧。緑谷は壊れた指で弾いたみたいだ。すると緑谷はボロボロの右手を握りしめ

 

「全力でかかって来い!!」

 

 緑谷の根性すげえ。それに苛ついたのか轟は前に出たが、先ほどより動きが鈍い。緑谷の拳が腹に入った。

 

『モロだぁーーーー。生々しいの入ったあ!!』

 

 轟は反撃しようとするが先ほどよりも氷の勢いが弱まってる。しかし緑谷も拳は握れないだろう。凍らせようとするが、緑谷は頬の内側で親指を弾いた。

 

「期待に応えたいんだ…! 笑って答えられるような……。カッコイイヒーローに……なりたいんだ。だから全力でやってんだ皆!」

 

 緑谷はふらふらになりながらも轟に体当たりをする。

 

「全力も出さないで一番になって、完全否定なんてフザけるなって今は思ってる!」

 

 轟は氷を出そうにも寒さで出せそうにない。

 

「だから……僕は勝つ!! 君を超えてっ!!」

 

 そこを緑谷の拳がまた腹に入る。しかし、緑谷って……。

 

「なぁ、爆豪」

 

「あん?」

 

「緑谷っていつもこんな感じなの? お節介っていうか、なんていうか」

 

「ケッ、知るかよ! クソナードのことなんて」

 

「なんだよ。幼なじみじゃないのかよ」

 

「てめぇ殺すぞ、シロ野郎!!」

 

 するとすごい熱風がきた。なるほどこれが轟の全力か。炎と氷。これが轟焦凍か。

 

「これはすごい……」

 

 決勝に行けば本気の轟と戦えるのか……。そんな事を考えていると一際大きな爆発が鳴り響きそれと同時に爆風がきた。

 

『何今の……。おまえのクラス何なの……』

 

『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され膨張したんだ』

 

『それでもこの爆風て、どんだけ高熱だよ! ったく何も見えねー。オイこれ勝負』

 

 煙幕が晴れてそこに立っていたのは……。

 

「緑谷くん……場外。轟くん──…三回戦進出!!」

 

 緑谷はリカバリーガールの所に運ばれた。それを心配してか何人かが向かった。僕は立ち上がった。芦戸は首を傾げて

 

「どうしたの、黒ちゃん?」

 

「試合前の精神統一ってやつさ。僕の応援よろしくね、梅雨ちゃん、三奈ちゃん」

 

「もちろんよ」

 

「応援任せてよお!」

 

 僕はその場を後にし控え室に向かった。

 

二回戦第2試合 飯田VS塩崎の試合は飯田が『レシプロバースト』で背を取りそのまま押して場外にした。さて、僕の試合だ。僕は発目に渡されたサポートアイテムを持ち試合に望むことにした。

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