無個性な僕は丑の戦士に助けられた   作:シマユウ

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※※※※※※
↑場面や視点の変更の際に使います。



2話

 僕は帰宅すると丁度家に両親が居た。父親は『武器庫』の個性を持っていた。様々な武器を作り出す個性である。母親は『薬効』薬から毒まで作れる。二人から生まれる子供はさぞかし優れた個性で産まれてくると期待されたが産まれたのが無個性な僕であった。両親の期待を裏切った形となった。その後は両親の愛情は注がれる事はなく両親はヒーロー活動に専念しており家に居ないことが多かった。

 

 そんな両親が居ることに驚いていたが見知らぬ男の子が楽しげに話していることにもっと驚いた。誰だそいつは? リビングの入り口に居た僕に父親は気づくと

 

「……なんだ、帰っていたのか」

 

 蔑んだ目であしらわれた。僕は気にせず両親にというか見知らぬ子を指差し

 

「その子は誰ですか?」

 

 すると母親は笑顔で

 

「この子は養子として迎えるのよ。赤っていうの。この子はちゃんと個性をもっているのよ」

 

 ニコニコと笑っていた。するとその養子が立ち上がり

 

「どうも無個性さん。僕の個性は『刀剣』刃物の全てを作れます」

 

「はぁ、そうですか」

 

 養子の自己紹介が終わると母親は続けて話した

 

「だからこの子が居るからアナタはいらないの。この子はゆくゆくは雄英に行かせようと思っているの。出来ればあなたには施設とかに預けたいんだけど……」

 

 なるほど。厄介ばらいという事ですか、分かります。自分たちの個性に近い養子がいれば良いもんな。しかし

 

「嫌です」

 

「「………はぁ?」」

 

 僕は人生初の両親への反抗をみせた。父親はため息をつき

 

「お前はただの無個性だ」

 

「だから? ソイツはたかが刀とか作れるだけ」

 

「……なんだと」

 

「ていうか、よく考えるとあなた達も可笑しいよね。ただ武器とかを作るだ……」

 

 言い切る前に父は僕の首に剣を向けていた。言い過ぎたかな?

 

「無個性のただのガキが、調子乗ってんじゃねぇよ」

 

「………………」

 

 おいおい。これがヒーローの姿ですか。養子もビックリして引いてるよ。でも、この人達より彼の殺意の方が強く印象に残っている。怖くはない。

 

「……一年」

「なに?」

「一年後またこの家に戻ってくるよ。その時決闘を申し込む。勝った方が言うことを聞くってのはどう?」

 

 その提案に両親は話し合っていた。その間僕は二階にある僕の部屋で必要な物をバッグ等にまとめていた。一階に戻る頃には両親の話し合いは終わっていた。

 

「いいだろう。一年の猶予をやろう。その間はお互い干渉は無しだ。資金等も無いと思え」

 

「了解しました。そういうのは適当にやりくりします」

 

「荷をまとめたんだろう。さっさと出ていけ」

 

 僕は重い荷物を持ち出て行く前に

 

「それでは一年後までご機嫌よう」

 

 言い残し僕は清々しい気分で自宅を後にした。行き先は決まっていた。

 

※※※※※

 

「……そう言う訳で日から泊まっても良いですか?」

 

 僕は彼の住んでいる屋敷に来た。道中のコンビニで買ったクッキーの詰め合わせを渡した。

 

 

「……別に構わないが、そういうのは前もって言ってからの方が良いと思うぞ」

 

 一応詰め合わせは受け取ってくれた。

 

「まぁ、さっき説明したとおりです。これからよろしくお願いします」

 

「鍛え教えるのは構わないが……。キミは両親に認めてもらいたいのかね」

 

「どうでしょう……。多分そんな感じだと思います。その後はアナタのようなヒーローになります」

 

「ふっ、別に私はヒーローではないのだがね。今日は遅い。明日から死ぬ気で行う、覚悟してくように」

 

 使っていない部屋を貸してもらい今日は就寝する事にした。明日から頑張ろう。

 

※※※※※

 

 朝、動きやすい格好になりストレッチも終わり、彼の方を見ると明らかに見た目めちゃくちゃ重そうな剣が用意されている。彼はそれを片手で一回素振りをした。

 

「これを軽く500回くらい振ってみたまえ」

 

「は、はい」

 

「それが終わったら軽く20kmを走る」

 

「……は、はい」

 

 なるほど彼は人に何かを教えた事が本当にないんだな。加減と言うのを知らない。

 

「これを軽く5セット行う」

 

「…………はい…」

 

 ……いや、不可能でしょう。

 

「あのぉ、これで強くなるんですか?」

 

「まぁ、恐らくは」

 

「恐らくはって………」

 

 彼は僕に重そうな剣を渡した。……この剣、本当に重いです。

 

「とりあえずは一度やってみたまえ。出来なければ少しは調整する」

 

 そうだ。死ぬ気でやるって決めたんだ。やってやるぞ。僕は勢いで素振りを始めた。その間彼は読書をしていた。

 

 

 ようやく終わりました。夕方になりました。てこを使っても動けないよ。息も絶え絶えな僕に追い打ち

 

「では実戦訓練に入る。そこにある剣を選び持ちたまえ」

 

 そこには様々な種類の剣が並んでいた。その中で彼と同じような剣があった。僕はそれを指差し

 

「あの、これは……」

 

「うん? あぁ、それかね。私が使っているのと同じサーベルだよ」

 

「これが……」

 

 見た目は別段特別な訳ではなくただのサーベルだと感じた。彼は説明してくれた。

 

「このサーベルの銘は牛蒡剣。……と言ってもこれ自体は特別なものではない」

 

「そ、そうなのですか!?」

 

「あぁ、しかし重宝している」

 

「……………」

 

 僕はその、牛蒡剣を手に取った。

 

「ほう、それにするのかね」

 

「はい。アナタを目指すならこの剣にします」

 

 すると彼は剣を鞘から抜きそして構えた。

 

「それでは、よく私の動きをしっかりみるのだな。キミが死なない程度で教えよう」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

 実戦形式で行われた。もちろん防戦一方だ。しかし彼の一太刀、一太刀をかろうじて見る事ができた。その防御も甘ければそこを攻撃してくる。全て峰打ちだったがもはやボロボロだった。立っているのもやっとってとこだ。

 

「まぁ、最初にしては良い方だ。しっかりこちらの攻撃を見る事を怠らなかった。しかしそればかりに集中して防御がおざなりだったがね」

 

 いや、ついてくのに必死だったんです。不格好な防御が出来てただけ誉めて欲しいです。彼は評価を終えるとまた剣を構えた。

 

「それを踏まえた上でやってみたまえ」

 

 まだやるんですね。でも彼みたいになるんだ。立ち上がり剣を構えた

 

「お願いします!!」

 

「今度はそちらも攻撃してくるように。……では、いくぞ」

 

 しかしまたも防戦一方だった。せめて一太刀。せめて一太刀と思い攻撃が収まってきた瞬間を狙い仕掛けた。だが彼に当たることもなく避けられた。その後は言うまでもなかった。もはや気力だけで立っている状態だった。それを察してか彼は剣を鞘収め

 

「今日はこの辺にしておこう」

 

「……は、はい」

 

 その言葉に僕は倒れ込んでしまった。

 

「ほら、これを飲みたまえ」

 

 彼にミネラルウォーターを渡された。水ってこんなに美味しいんだなと実感していた。

 

「明日からはもっと長く訓練を行うつもりだ。気を引き締めるんだな」

 

「わ、分かりました」

 

「では、そろそろ夕食にしよう。汗を流してきたまえ」

 

 浴室を教えて貰い汗を流した。所々の峰打ちの箇所が痛い。でもこの痛みを忘れずに明日の訓練に望む。そう思いながら僕は汗を流した。……でも痛い。

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