今回は失井さんの台詞を言わせたかっただけです
彼との生活で彼の事を少しずつ知ることが出来てきた。彼は戦場を歩き戦場では敵陣を例外なく全滅させる、通称『皆殺しの天才』と呼ばれていること。あの時僕を人質にしたヴィランの連中をあっさりと倒し殺してしまうのも納得がいく。ちなみに彼は外食が中心で見た目より良く食べる。
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1~2ヶ月。トレーニングをやるのもやっとだった。実戦訓練も僕はただのサンドバッグ状態だった。
3~4ヶ月。トレーニングをしてもそこまで息が切れなくなってきた。すると彼はトレーニング内容を二倍に変えた。
5~6ヶ月。実戦訓練は毎回防戦一方の為か防御は上手くなってきた。そして訓練中10回は攻撃を仕掛ける事も出来るようになった。全て掠りもしなかったけど、太刀筋は良かったと誉められた。
7~8ヶ月。トレーニングと実戦訓練のおかげで体つきも最初の頃に比べたら大分変わった。これも彼のおかげだ。
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9ヶ月目を迎えたある日のこと。僕は日課のトレーニングを終え剣を持って待っていたら
「今日から正真正銘の実戦を行う。ついて来たまえ」
彼に言われるがままついて行くと、とあるビルに着いた。そこに入り彼は受付の人と話をしエレベーターに向かった。エレベーターに乗り地下一階のボタンを押した。地下一階には何があるんだろう。そして実戦とはなんだろう。
………一向に地下一階に着かない。普通なら直ぐに着いても良さそうなのだがまだエレベーターの中にいる。彼の方を見ても彼は目を瞑っているだけだ。するとチーンと音がした。ようやく地下一階に着いたみたいだ。
一番に聞こえたのは大きな歓声。何事かと覗いてみればボロボロで立っている人と、ピクリとも動かず倒れている人がいた。
僕はこの光景に圧倒されていると後ろから彼が声をかけてきた。
「驚いたか?」
「は、はい」
「ここは観客達の道楽場でもある。ここで行われるのは決闘と名ばかりの非合法な戦いだ。ヒーローもヴィランも関係ない」
観客一人一人をみると新聞やテレビで見たことのある有名人や政治家などがいた。ちらほらプロヒーローもいる。するとアナウンスがなった。
『白井黒。461番の白井黒様。まもなく時間になります。ゲート入り口に来て下さい』
僕の名前が呼ばれた。混乱していると彼は
「呼ばれたぞ。ついて来たまえ」
「いや、何で僕の名前が……」
「それはエントリーしたからだ」
この人は勝手に何をしているんだ。移動しながら文句の一つでも言おうとしたら
「良いかね。これからは個性を使う者達と戦って貰う。君にはまだ経験が足りないからな」
……な、何も言えない。
「基本的に個性は発動型、変形型、異形型の3つだ」
「は、はい。それは知っています」
「ならば良い。頑張りたまえ」
「……出来ればアドバイスを下さい」
「そうだな……。相手は何であろうと人間だ。斬れない訳がない。そして相手を良く見ること。……以上だ」
うん、そんな気はしていた。僕は意を決してリングに上がった。
『さぁ、初参加にして史上最年少。461番白井 黒選手の入場だぁああ!!!!』
はちきれんばかりの歓声があがる。何を期待しているのだろうね。
『対するはこれまで10人を焼き殺した放火魔。35番可燃 炎選手の入場だぁああ!!』
可燃はガスマスクをして何かを背負っている。僕は準備運動をした。すると可燃が笑ってきた。
「くくくっ」
「……なんすか?」
「お前、みたいな、餓鬼を、燃殺する日が、来るなんて……。今日は、良い日だ」
へぇー。そうなのかー。念入りに準備運動をし彼と同じ牛蒡剣を取り出した。それをみて可燃はさらに笑った。
「ふはははっ。なんだ、その剣は。それで、俺を、斬ろうって、のか。」
「そりゃあ剣だもん。それしか使い方が無いよね」
レフリーっぽい人が中央に集まるように言われた。中央に行くまで相手を注視した。相手の初動を予測。攻撃の予測。個性の予測。予測。予測。予測………。
『さぁ、いよいよバトルが始まるぞぉおおお!! ルールなんてものはある訳ない!! 相手を倒す!! ただそれだけだぁああ!! 死んでも言い訳するなよぉおおお!!』
おーおー。実況が凄く仕事しているから観客もそれに応じて凄い盛り上がりようです。
『それでは、試合……開始!!!!』
可燃は構えて何かにをしようとしていた。観客も注目していた。でも
「………遅いよ」
僕は剣を喉目掛けて勢い良く投げた。
『……えっ?』
実況者と観客も目が点になっていた。僕は可燃の首に突き刺さった剣を抜いた。
「ゴメンね、斬るじゃなくて刺すだったね」
『な、なんていう事だぁあああ!! まさか可燃選手が敗れるとはぁああ!! 』
観客達のどよめきを背に僕はステージを降りた。降りた時彼が待っていてくれた。
「うむ、ご苦労様…といった所だな」
「どうもッス」
「評価を言っても良いがまずは……」
バサッと何かを渡された。どうやらタオルのようだ。
「洗って来たまえ。今のキミは血まみれだぞ」
………本当だ。無傷なのに血まみれだ。血を洗い流せる場所をスタッフの人に聞いた。スタッフの人は怯えていたが場所を教えてもらい血を洗い流した。
ふぅー。さっぱりしたぁ。彼は本を読んで待っていた。僕が戻ってきたのを分かったのか本を閉じた。
「うむ、では話そうか」
「よろしくお願いします」
「キミの判断は正しかった。ああいう手合いの者は動かれる前に先に処理するのが一番だ」
「そ、そうですか?」
やった。誉められた。
「しかし良く人を殺すのに物怖じしなかったね」
…………あっ。僕、人を……。でも……なんでだろう。あまりにも冷静である。コーヒーを飲んでいる彼に恐る恐る聞いてみた。
「僕は……おかしいですか?」
「そうだね。キミは常人とはかけ離れていると思う」
「そう……ですか…」
「キミは相手が殺す気できたからそれに対応した。ただそれだけだろう」
「……でも」
そう言われても何だか分からなくなった。これは正しいことだったのだろうか……。すると彼は
「キミが悩んでいるのは、先ほどの戦いに正しさがあったか、だろう? ヴィランに正しさを聞くのはどうかと思うがね」
それでも俯いている僕に彼は『正しいこと』について話始めた
「良いかね。人は、なんとなく、間違う。流れにそって、悪へと堕ちる。理由もなく、思想もなく、思い切りもなく、気付いたときには、当たり前のように、『道』を誤るものだ。しかしね、それに相反して、『気付かないうちに正しいことをしていた』とか、『いつのまにいた』とか、『うっかりいいことをしていた』とか、そういうことはない――絶対にない。意志がなくては正しさはない。正しい行動には、正しい意志が不可欠なのだ。正しいことは、しようと思わなければ、できない」
「正しいことをしていない人間は、できないのではなく、やらないだけということを、自認すべきだがね。キミもまったく、無理に正しいことをしなくてもいいが、それはできないわけではなく、やらないことを選んだのだということを、ゆめゆめ忘れぬことだ」
「つまり、正しき者はみな、①すると決めて、②する。きちんと段階を踏む事だ。①の段階にいながらにして、②を悩むのは、愚の骨頂だがね」
……難しい。だけどもなんとく、なんとなくだが、僕は彼の言うことを理解したいと思った。
なんか無理やりだった気がします。ごめんなさい