「よーし、次の対戦相手はこいつらだ!!」
「Bチームが『ヒーロー』!! Eチームが『敵』だ!!」
よし、僕達の番だ。相手は轟と障子か。把握テストで見た感じでいうと……。僕は芦戸に話掛けた。
「ねぇ、三奈ちゃん」
「うん? どうしたの、黒ちゃん?」
「三奈ちゃんの個性を教えてくれる」
「私の個性は『酸』で溶解液が出せるよ!」
なるほど『酸』か。
「それって濃度とかって調整できる?」
「うん、出来るよ!」
よし、作戦を立てよう。僕はビルに入りながら彼女に作戦を伝えた。とりあえず5階の東側に核兵器をセッティングした。そして訓練スタート。
****
「5階東側の広間に1人はいる。そこから動いてはいな……むっ」
「……どうした?」
「もう1人が居ない」
「居ないだと? どういう事だ?」
「それは分からないが、警戒はしておくべきだ」
障子の話を聞いた。俺のやることは変わらない。
「分かった。外に出てろ、危ねえから」
俺はビル全体を凍らせた。そして五階の東側に向かおうとしたら
「なに、轟……うおっ!?」
無線で障子の声が聞こえた。
「おい、どうした、障子?」
しかし返答がなかった。何が起きてるんだ。すると後ろから
「ヒーローを発見した。直ちに応戦する……なんてね」
振り返ると剣を片手に持った白井がそこにいた。
*****
轟は顔には出ていないが驚いているようだ。
「白井……。障子はどうした?」
「障子くんは確保テープでぐるぐるに巻いてきたよ」
僕は確保テープを見せつけていた。それでも納得がいかない轟だ。
「何故凍っていない?」
「僕は外に出て剣を外壁に刺して剣でぶら下がっていただけ。そしてビルが凍り始めたから飛び降りた。その後外にいた障子くんを奇襲して確保したのさ」
そうです、僕は外でスタンバイしてました。芦戸に無線で連絡を入れる。
「三奈ちゃん。そっちはどう? 核兵器の氷は溶けそうかな?」
「うん。何とか溶けれそう!」
「それじゃあ、そこからB地点に移動して」
「りょうかーい!」
無線している間、ずっと氷で攻撃してくる。突き刺さりそうだ。その氷を切り刻んでいる。
「どうする? 降参するかい?」
「誰が……するか!!」
さて、このまま時間まで遊んでいても良いけど、時間も有限だしサクッと終わらせよう。
僕は距離を詰めた。轟も氷で応戦するが氷を切り刻みながら進んだ。近づくと轟の顔めがけて突き刺そうとした。しかしこれを轟は避ける。轟の頬を掠めた。
「っつ!?」
轟は自分を中心に氷を発生させる。僕は一旦距離をとった。
「……おしい」
「くそっ!?」
再度氷で攻撃をしてくる。僕はそれを切り刻んだ。
「氷ブロックを作ってる感じだよ」
「……馬鹿にしてるのか」
「そんな事はないよ。……というか君は寒くないのかい?」
「…………」
「氷の勢いも最初より弱く感じるよ」
「……黙れ」
「……身体震えてる。それは冷えからきているものだね。それに対する対処くらいあるだろ。それを使えば?」
「……俺は左を使う気はない」
ほう、氷以外にも何かあるのか。それを使えば対処ができる。それを敢えて使わない。それが命とりにならなきゃ良いけどね。
「じゃあ、次で最後だよ」
「やれるもんならやっ……」
白井は先ほどよりも速く走り距離を縮めた。轟には一瞬で近づかれたと思っただろう。
「なにっ!?」
白井は剣を振り上げた。轟は死を連想し目を閉じてしまった。
「ハイ、終了!!」
轟の首にはご丁寧に蝶々結びで確保テープをつけられていた。『ヒーローを確保』した
「敵チーム……WIIIIIIIN!!」
僕と芦戸は合流してハイタッチした。
「黒ちゃん、やったねー!」
「三奈ちゃんも核兵器の防衛お疲れ様」
二人で労いながらモニタールームに向かった。
※※※※※
授業は終わった。緑谷以外は怪我もなく終えた。オールマイトは急いで戻っていった。僕らは着替えて教室に戻った。
着替え終えクラスに入ると皆が何か話し合っている。僕が居るのを気づいた芦戸が手を振っていた。
「あー、黒ちゃん! こっちこっち!」
「三奈ちゃん?」
「今ね、皆で訓練の反省会をしてたんだ」
「へぇー、面白そうだね」
「うん。やろうやろう! おーい、みんな~。黒ちゃんきたよー!」
その言葉に僕を囲うようにみんなが集まった。
「おめー、すげぇな!! 無個性なのに、推薦組を倒すなんてな。俺ぁ、切島 鋭児郎」
「あぁ、僕は白井黒。よろしくね」
「あぁ、よろしくな」
他の人とも一通り自己紹介をした。みんな良い人そうで良かった。すると緑谷が入ってきた。みんなで緑谷の所に向かった。僕も緑谷に自己紹介をした。
「僕の名前は白井 黒。よろしくね緑谷くん」
「う、うん。よろしく」
自己紹介も終わると緑谷は爆豪を探しに教室を後にした。僕らもそろそろ帰ろうとしたら蛙水が僕の方にきた。
「ねぇ、黒ちゃん……」
「ん? どうしたの、梅雨ちゃん」
「アナタ、巷で有名な『仮面ヒーロー』なの?」
「ぶっ!?」
『えっ、仮面ヒーロー!?』
僕は吹き出してしまった。みんなは僕と蛙水の所に集まってきた。
「知ってるよ! 仮面ヒーロー!」
「颯爽とヴィランを倒して、そして颯爽と立ち去る」
「謎が多いヒーローだね」
「仮面つけてるから仮面ヒーローって呼ばれてる。まぁ、安直だけどな」
みんなは夢中になって仮面ヒーローの事を話していた。蛙水は真剣な目で僕を見ていた。
「どうしてそう思ったの?」
「昨日アナタに助けて貰ったのよ」
昨日………。あの時は確かチンピラを倒した。その際いた女の子の姿は………。
「あの時の梅雨ちゃんだっ……」
ヤバい。口が滑った。それを聞きつけてか、話を聞いていたのか、切島含めみんなが
「おぉー! 本当に白井が仮面ヒーローだったのか!!」
「ねぇ、握手して!」
「ついでにサインも!!」
ヤバいヤバい。冷静にならなきゃ。
「な、何を言ってるんだみんな? 僕は仮面ヒーローでは……」
「じゃあ、コレは?」
蛙水の手にはいつも使っている仮面が合った。目が点になった。
「悪いと思ったけど、あなたの鞄の中を探させて貰ったわ。そしたらコレが出てきたのよ」
「…………」
何も言えない。まさかバレるとは思わなかった。どうしたものか。騒いでいたみんなも黙って僕と蛙水を見ていた。
「それをどうするの? 梅雨ちゃん」
「ケロ。ただお礼がしたかったのよ。昨日はありがとうね」
「ど、どういたしまして」
助けた人にお礼を言われるのは初めてだ。少し恥ずかしい。
「でも何でこんな事しているの?」
難しい質問だな。なんて返すか…。すると
「……俺もその話聞きたいな」
その声はまさか!? 教壇を見ると寝袋に包まれていた相澤先生がいた。少し眉間にシワが寄っているみたいだ。寝袋から出てきて僕の方にゆっくり歩いてきた。そして
「少し面談しようか、白井」
「わ、分かり…ました」
僕は相澤先生が使う捕縛武器によって腕を拘束され教室をでた。向かった先は職員室だ。
「YEAH!! イレイザーどうした?」
相澤先生のもとにプレゼントマイクが寄ってきた。
「……巷で有名な仮面ヒーローを連れてきた」
「HAHAHA。そいつあシヴィー!! 一体どんな……」
「あはは。どうも」
「マジでかぁーーー!!」
「五月蝿い。行くぞ、白井」
「は、はい」
僕は応接室に通され椅子に腰掛けた。そして相澤先生を含め何人かの先生が僕の前に座った。面接のような感じだ。
「白井。全部喋ったほうがいいぞ」
プレッシャーがハンパない。仕方ない。
「……分かりました」
僕はこれまでの事を全て話した。彼の事も話した。
「なるほど……、それがお前の強さか、白井」
「そうなりますかね?」
「キミは子供なんだぞ! こんな事していて良いと思っているのか!」
「でも、何十人のヴィランを倒しているのも事実」
「私としては地下闘技場ってのが気になるわ。これを放置は危険じゃない?」
すると相澤先生の肩にいた根津校長が聞いてきた。
「君はどんなヒーローになりたいのかな?」
どんなヒーロー……。僕の中のヒーロー像は
「僕は……正しい事を正しく行えるヒーローになりたいです」
僕はそう言いきった。根津校長は頷いて
「……分かったよ。とりあえず今回の件は不問にしておくよ」
「校長!?」
「ただし、もうヒーロー活動はやらない事。良いね?」
「わ、分かりました」
鍛錬の場が無くなったよ。他の先生から口酸っぱく注意を受けた。
精神的にボロボロになって教室に戻り荷物を取りにいこうとしたら職員室の外で蛙水が僕の荷物を持って待っててくれた。
「梅雨ちゃん……」
「大変だったわね、黒ちゃん」
「まぁ、自業自得かな? いつかはバレる事だし、それが早まっただけだよ」
蛙水から荷物を受け取った。ふむ。これからどうしよう。少し小腹が減った。
「梅雨ちゃん、一緒にマックでも行かない?」
「ケロ、別に良いわよ。今日の反省もしたいし」
そうと決まれば僕らはマックに行くことにした。お腹も膨れ、反省会もでき、とても有意義な時間を過ごせた。