「あのー、絶対に僕もやらないとダメなんですか?」
「ああ、達也くんだけ試させて君だけやらないとはいかないぞ。それでは不公平だからな」
「そうよ~、だから諦めてね。コノハくん」
最後の抵抗を試みるコノハだが呆気なく終わってしまった。
「はぁー、なら明日にしていただけないでしょうか?」
「あら、どうして?」
「このCADはあくまでも仮の物なので本当の僕が使うCADを明日持ってきますから。それで勘弁してください」
「本当の?」
「と言うか、それは仮なのか」
「はい、そうですよ。服部先輩」
コノハの言葉に全員が驚いていた。
「では、また明日後日と言うことでいいな?」
「はい。それでお願いします」
こうしてコノハの実力を図るための模擬戦は後日と言うかたちになった。
「さてでは、深雪さんはこのまま生徒会室に戻りましょう。達也くんとコノハくんはそのまま摩利の案内で風紀委員の本部に行くのよね」
「ああ、その通りだ。それでは二人とも着いてこい」
深雪はそのまま真由美たちと共に生徒会室に戻り、達也とコノハは摩利の案内のもとに風紀委員の本部へと向かった。
「少し散らかっているが、気にしないでくれ」
「「……」」
二人は本部につくなり絶句した。
(これが、少し…?)
目の前には机の上に乱雑置かれている資料に、段ボールからはみ出ている私物と思われる何かに、埃をかぶり整備されていないであろうCADが置かれていた。
「風紀委員は男所帯でね。整理整頓をいつも口酸っぱくして言い聞かせているんだが……。校内の巡回が主な仕事のせいで誰も片付けが出来ないのだ」
それでもこれは酷いと達也とコノハは心の中で思った。これではここがいつかゴミ屋敷ならぬゴミ本部になる前に二人は顔を見合わせ、互いに頷く。
「委員長、俺と影宮でここを片付けてもよろしいでしょうか?」
「なに?」
「いくらなんでもこれは見過ごせません!」
(徹底的に綺麗にしてやる!風紀委員本部、ゴミの補充は充分か!)
こうして達也とコノハによる風紀委員本部の大掃除が始まったのであった。
「ふぅ、こんなものかな」
「影宮、少し本気になりすぎじゃないか?それとそのエプロンはどこから……」
「このエプロンはさっき新品のものを見つけたから使ってみたんだ。でも、これくらいは綺麗にしておかないと僕は少し許せないからさ」
そう、コノハが幾度となく見た夢では
「……ここ、風紀委員会本部よね?あと、コノハくんのその格好素敵よ!」
「はぁ、ありがとうございます?」
「いきなりなご挨拶だな。それと真由美、コノハくんの頭を当然のごとく撫でているな。誤解されるぞ」
真由美は本部に訪れて早々に失礼なことを言うとコノハのエプロン姿に目を奪われ頭を撫でていた。
「だってねぇ…。リンちゃんがいくら注意してもあーちゃんがいくらお願いしても片付けなかったのに。どういう心境の変化なのかしら?」
「なに、この優秀な二人の新人のお陰さ」
「できればこれからは本当に整理整頓を心掛けてほしいですが」
「僕もかな?」
二人の言葉に摩利は苦笑いし浮かべることができなかった。
「そう言えば、会長と僕ってどこかであったことってありましたっけ?」
達也も同じことを聞こうとしていたが途中でやめた。なぜなら、真由美が小悪魔的な笑顔を浮かべていたからだ。
「そうかなぁ、そうなのかなぁ……。コノハくんは入学式よりも以前に私たちはであっていてあの日は運命の再会だったって!」
「えっ、あの……七草先輩?」
コノハはあたふたとふるが、真由美はそのまま話続ける。
「遠い昔に私たちは出会っていたかもしれない。運命によって引き裂かれた二人が、再び運命によってめぐり会えた、と!」
真由美が本気でいっていないことは何となく分かるが、コノハはどうしようもなかった。
「でも、残念なことにコノハくんとは入学式の日が初対面よ」
「なら、今までの芝居はいったいなんなんですか」
うふふふと笑う真由美を見る。
「ねえねえ、どう?運命を感じちゃったかな?」
「頭を撫でないでください。それとこれは
コノハの言葉に達也は同感だと思わんばかりに頷いていた。
「チッ……」
「七草先輩、淑女がそんな舌打ちなんてしちゃダメですよ」
「あら、なんのことかしら?」
「はぁ、折角美人なんですからそんなことしないでくださいね」
「ふぇ?」
変な奇声を挙げる真由美。その顔を見てみるとまるで茹でたてのタコのように真っ赤になっていた。
「あれ?どうかしましたか、顔が赤いですけど?熱でもあるんですか?」
「はひゃあ!?」
自身のデコと真由美のデコを合わせてまるで恋人同士が熱を測るかのようにする。
「委員長、もしかして会長って」
「ああ、突発的な行動に弱い。しかもコノハくんは下心などなく純粋な厚意であれをやっているのだ。真由美もらしくなく動揺している」
そのあと真由美は慌ててコノハから離れて元気であるとアピールして生徒会室へと戻っていった。
そしてそのあと何人かの風紀委員の先輩たちと挨拶を済ませて今日のところは帰ることになった。
飛んできた武器たちはアーチャーに突き刺さっていた。
『理解したか。それが本物の重みというものだ。偽物は早くゴミになるがいい』
現れた金髪の青年■■■■■■■の後ろからは何かゲートのような物から武器が大量に現れアーチャーに襲いかかった。
『ぐあああ、ぐっ!ああああああああ』
『アーチャー!』
アーチャーに容赦なく刺さっていく武器。あまりの量に土煙が舞い、視界が悪くなってしまった。
『お前が倒せ。お前なら勝てる』
煙が晴れていく、そこにはアーチャーの姿はなかった。
『このぉ!良くもあたしのアーチャーをっ!』
■■が■■■■■■■に攻撃するも何か結界のようなもので防がれた。そして■■に向かって武器を投げる。
『下がって』
■■■■が跳躍してそれを弾く。そしてそのあとに室内に何故か煙が発生しはじめた。
『埃で汚れる。命拾いしたな、クズども』
『逃げるのですか』
『聖杯の完成を急がねばならん。もし、依り代を失って溢れでもしたら、アヤツなにをしでかすか分からぬからな』
そのまま■■■■■■■は去っていった。僕たちも慌てて外に出る。
『アイツ、柳洞寺で聖杯を完成させるつもりだわ』
『攻め込むのですね』
『貴女は山門で■■■■■■■を食い止めて。私と■■は裏手から回り込むから』
『まて!■■■■が奴と戦うのは不利だ』
■■の作戦に夢の中の僕は反論した。
『何故です』
『奴の強さは戦争そのものだ。同じ類いの力じゃなきゃ対抗できない』
『では、誰なら』
そのことを話すために一旦自分の家に帰る。そこで作戦会議が行われた。
『同じ類いの力……』
『奴の相手は…』
『貴方がするって言うんでしょ』
どうやら■■にはお見通しだったようだ。
『あれに対抗できる力はアーチャーが使った固有結界しかない』
そう、そして
『しかし、それには膨大な魔力が必要です』
そう、魔力である。夢の中の僕は魔力が少なく固有結界を作れるほどの量はないのだ。
『自分で補えない分は他所から持ってくるのが魔術師ってものよ。だからね』
急に恥ずかしそうにする■■を見て顔を見合せて不思議に思う。
『その……』
訳が分からなかった。
『魔術刻印の移植なんて出来るのか』
何故、僕は上半身はだかなのだろう。それは魔術刻印の移植のためだからだそうだ。
『他に方法はないわ。もし成功すれば固有結界を使いこなすだけの魔力を私から■■に供給できる。意識を集中して。始めるわよ』
『うん』
こうして夢の中の僕は刻印の移植をすることになった。そしてそこから見えてくるのは■■の記憶?なのかな?流れてくるのか、それとも解析魔術を無意識に使って読み取っているのか分からないけど記憶が流れ込んできた。
『……っ!?成功したのか?』
左肩を見てみると魚のような形をした刻印が浮かんでいた。
『後は貴方の頑張り次第よ』
『ああ、ありがとう■■。■■?』
見てみると彼女はなんだか恥ずかしそうに枕を抱き寄せていた。
『えっと…』
確かに見てしまったがわざとではない。だが、彼女にそんなことをなしても意味がないだろう。それに若干涙を浮かべていた。
『この、獣!』
枕を投げられベットから落ちる。
「ぐへぇ!」
どうやらリアルでも落ちていたようだ。
「うーん。なんだかちょっと危ない夢だったな」
こんな内容の話は他の人にはできないな。
「そうだ。あれの準備をしておかないと」
僕はそのまま自分が愛用している中華剣に似た武装一体型CADと弓型のCADが入っているクローゼットを開ける。
「さて、持っていこうか」
僕はそのまま中華剣の武装一体型CADを専用のカバーに入れて学校へと向かうのであった。