登校し、持ってきたCADを登録するために職員室に向かい登録を済ませたあと教室にやって来た。
「おはよう、ほのかに雫。それに司波さんも」
「おはようコノハ君」
「おはよう、コノハ」
「おはようございます。影宮さん」
教室に入り、ほのかと雫と深雪に挨拶し少しばかり雑談する。勿論、美少女の部類に入る三人と親し気に話しているコノハには男子からの羨望や嫉妬による殺気などが向けられているが、本人は気しないことにした。
「あ、そうだ。司波さん。七草会長に今日CADを約束通りに持ってきたのでって伝えといてくれないかな」
「わかりました。では昼休みの時に報告しておきますんね」
「お願いします」
「コノハ、何かするの?」
「ちょっと模擬戦をね。昨日、達也くんが成り行きで実力を示さなくちゃならないことが起きてね。そしてついでに僕の実力を知りたいんだって」
二人の会話に興味を持った雫がそんなことを聞いてきた。
「私、コノハの戦うところ見てみたい」
「えっ?」
「私も見てみたいな」
「ほのかまで…。司波さん、なんとか二人を説得してもらえませんか」
「そうですね。一度聞いてみましょう。それでだめでしたら二人とも諦めてくださいね」
「「分かった(うん!)」」
(なんだろう。すごく嫌な予感がするんだけど…)
一抹の不安を感じながらも真由美からの返答に期待するしかなかった。
「ほのか、雫。朝の件なのだけれども無事に七草会長から許可がとれたわ」
「本当!やったね、雫」
「うん。これでコノハの勇姿が見れる」
「なんでさ…」
そんな報告を受けたコノハは項垂れた。対称的にほのかと雫は喜びを顕にした。
「なんでも人数が多いほうがコノハ君の実力を証明するのに都合がいいでしょ、だそうよ」
「非公認の試合のはずなのに…」
「あと、エリカたちも来るみたいよ。二時間目休み時間に偶然お兄様たちと会ってそのことを話したらエリカたちも見たいと言っていたから」
(なんでだろう。あの人の邪悪な笑みが頭を過ぎったような気がするんだけど)
そんなこんなで運命の放課後になった。
「で、なんで相手が千葉さんに変わってるんですか!!」
「まぁ良いじゃないか。君の実力を見るためなんだ。相手は問題じゃないのだよ」
「そんで私が代わりの立候補したのよ。達也君から聞いたけど武術習ってたんでしょ?しかもそのCADを見る限り接近戦が得意みたいだしさ」
それを聞いたコノハは達也へと抗議の視線を向ける。
「話さないでほしいとは言われてなっかたからな。俺は聞かれたことに答えただけだ」
「でも、意外ね。コノハ君あんな見た目なのにあんなCADを使うなんて」
「会長に見た目のあれやこれや言われるのは影宮君にとっては屈辱でしょうね」
「たしかに真由美は童顔だからな。それに体も幼児体型だからな」
「ちょっと二人ともどういう意味よ」
「でも変わった形をしてますね」
「武装一体型のようだが。二刀流といった点も珍しい」
「ところで、七草先輩。そちらの男子は」
一人だけ明らかに高校生という年齢からは考えられないような肉体をもつ男子がいた。
(凄い筋肉だ。背も高い。既に完成している肉体なんだろう。才能だけじゃなくて血が滲むような鍛錬をしていたのかもしれない)
「自己紹介がまだだったな。俺は部活連の会頭を務めている十文字克人だ。七草から話は聞いている。俺も部活連の会頭として影宮の実力をこの目で確認しておきたい」
最初に声を聞いたときコノハは何処か既視感のある声に驚きはしたがすぐに切り替えた。
「初めまして、十文字先輩。自分の実力なんて大したことはありません。ですが、見られても恥ずかしくないよう努力はするつもりです」
「では、双方位置についてください」
真由美がそう声をかけると、エリカと向き合うように位置につく。そして目をつむり深呼吸する。
(余計なことは考えるな。イメージしろ、いつも特訓しているときのように負けるイメージはするな。常に勝つイメージを。最強の自分をイメージしろ)
自身が持っているのは使い慣れた中華剣ではないが形は同等のものだ。なら、いつもと違うのは相手が実在する人物なだけだ。
「ルールは前回と同じく相手を死に至らす魔法と体の一部を損壊するような魔法は禁止。勿論、回復不可能な障碍を負わす魔法も禁止する。ただし、捻挫程度の怪我を負わす魔法は許可する。武器の仕様は禁止だが、素手などの攻撃は許す。蹴り技を使用する場合は指定のソフトシューズに変えるんだ。勝敗に関しては一方が負けを認めるか、審判が続行不可能と判断した場合のみで決まります。では、開始線まで下がって合図があるまでCADを起動しないでください」
一通り真由美が説明すると、摩利が合図を出すの待つ。
「なんだか緊張するね」
「ほのかが緊張してどうするの」
「お兄様、この勝負どちらが勝つとお思いですか」
「そうだな。二人の実力をきちんと把握していないから分からないが、どちらも武術に秀でているのは間違いないだろう。コノハの武術の腕は予測しかできないが、エリカは相当手強い相手だというのは分かる」
「達也の予想は兎も角、俺個人としてはコノハに勝ってほしいけどな」
「レオ、そんなこと言ってるとまたエリカに怒られるぞ」
達也たちは二人の勝敗の行方を予想を話していた。
「それでは始め!」
合図ともにコノハは誰にもバレないように強化魔術を使用する。そして一気にエリカとの距離を詰める。
「自己加速術式!?」
「シッ」
「ちょ、速っ」
エリカはギリギリで防ぐが、そこに空かさず蹴りを入れる。が、エリカに自己加速術式で避けられてしまう。
「今度はこっちから行くわよ!」
自己加速術式を駆使してコノハにそれぞれ別の方向から攻撃を仕掛ける。それら全てをいなしながら合間合間で反撃する。時折、中国拳法の八極拳の動きを取り入れた攻撃を仕掛けてエリカを翻弄する。
(このままだとジリ貧だな…。一つ賭けに出るか)
ここでコノハは初めて魔法を使う。
「何かするつもり、ね」
「ハッ」
「ちょ、武器を投げる」
ふたふりあった片方を投げつける。だが、簡単に避けられてしまう。
「もらった」
「後ろ、気をつけたほうが良いよ」
「えっ」
先程投げられたCADが目の前に迫っていたのであった。
「危なっ」
「はい、チェックメイト」
バランスを崩したエリカの足を払い、倒れたエリカの首にはCADの先を向けてた。
「まだやる?」
「はぁー、私の負けよ」
「そこまで!勝者影宮コノハ」
こうして模擬戦は幕をおろした。