魔法科高校の劣等生~錬鉄の継承者~   作:アゲハチョウ

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2話

僕と達也くんが読書を開始してからそれなりの時間が経ってきた。

 

「ふぅ。入学式まで後どれくらいで開始になるの。達也くん」

「後三十分ってところか」

 

三十分か。そろそろ移動しないとダメだよね。

 

「新入生ですね?開場の時間ですよ」

 

栞を挟んで本を閉じ、胸ポケットにしまい込んで顔をあげるとそこには自分より少しばかり背の低い女子がいた。

 

(腕に着いているのってCAD?確か校内でCADの着用が許可されているのは生徒会と風紀委員に他の特定の委員会のみだったよね)

 

「ありがとうございます。すぐに行きます」

「丁度、移動しようと思っていたところでした」

 

僕と達也くんはそのまま会場ねと向かおうとしていた。でも、先輩だと思われるこの女子は達也くんが持っていた端末に興味を惹かれたようだ。

 

「感心ですね。スクリーン型ですか」

「ええ、第一高校では仮想型は持ち込みが禁止されていますから。それに仮想型は読書に不向きです」

 

僕に言ったこととほとんど変わらない理由を述べた達也くんに更に感心した様子で頷いていた。

 

「動画ではなくて読書ですか。更に感心しますね。そちらの君は何かしていたのかな?」

「僕ですか?僕はこれを読んでいました」

「あら、もっと珍しいわね。今は電子書籍の方が流通していて書籍なんて中々売っていないのに」

 

今度は僕に感心を向けてきた。

 

(まるで好奇心が強い猫みたいな人だね)

 

「でも、二人って同じ中学なのかしら?二科生と一科生が仲良く同じベンチで読書なんてしないわよ」

「いえ、今日が初対面です」

「はい、今日から友達になった関係です」

「そう、他の生徒も貴方達みたいになってくれればいいのだけど上手くいかないのよね」

 

先輩と思われる女子はそのまま困ったと言わんばかりの表情をしていた。

 

「あっ、そう言えば自己紹介がまだだったわね。私は第一高校の生徒会長を務めています、七草真由美です。『ななくさ』と書いて『さえぐさ』とよみます。よろしくね」

 

七草先輩はそのままウィンクでもしそうなのりで自己紹介をした。

 

(『七草』、『七』の数字付き(ナンバーズ)の家系)

 

魔法師の中で遺伝的に優秀な魔法を使う家系。そして、七草は四葉の家系と同じくらいの強い魔法師を産み出している。

 

「俺、いえ、自分は司波達也です」

「僕は影宮コノハです」

 

僕と達也くんが自己紹介すると七草先輩は少し驚いていた。

 

「司波達也くんに影宮コノハさん……、そう、貴方たちが司波くんに影宮さんなのね。先生たちの間では二人とも話題になっているわよ」

 

なぜ話題になっているのか不思議に思うが、特に気にすることはしなかった。

 

「司波くんは入学試験で七教科の平均点が百点満点中九十六点で特に魔法工学と魔法理論は小論文を含めて文句なしの満点という前代未聞の高得点を出した生徒だって。影宮さんは司波くんに続いての七教科の平均点が百点満点中九十五点。魔法工学については少し減点されたけどその他の教科でも高得点を出して、今年の女子の新入生の中では司波深雪さんと同じくらいの期待の新入生だって噂になっているのよ」

 

なんだか、自分のことのように話している七草会長を見ると自分に姉がいたらこんな感じなんだろうかと思っていた。

 

(あれ、そう言えば僕がシレット女子って扱いにされているんだけど)

 

そう、達也くんだけをさっきから君付けで呼んでいるのが不思議だったけど、納得した。先生までもが僕を女子扱いしていたようだ。

 

「あの七草先輩、影宮は男ですが」

「え?そうなの?」

「はい、こんな見た目ですが僕は正真正銘の男です」

「そ、そうだったのね。ごめんなさいね、気を悪くしたかしら」

「い、いえ!もう慣れてしまいましたから」

 

何故だろう。男子の制服を着ているのに女子に間違われるんだと真面目に不思議に思った。

 

「それより早く会場に行こうか。達也くん」

「そうだな。それでは俺達はこれで失礼しす」

 

僕は達也くんに会場にいく用促し、逃げるようにその場を去った。

 

「うわー、きれーに半分に分かれているね」

「差別意識が強いのは差別している方ではなく差別を受けている方なのだろう」

 

そう、会場に入ると前半分には一科生が後ろ半分には二科生がそれぞれ席に座っていた。しかも誰かに統率されたかのように綺麗に分かれて座っているのだ。

 

「どうする?達也くんも僕と一緒に前に座るかい?」

「いや、入学式早々目をつけられたくない。それに妹の姿くらいなら後ろでも見える」

「妹さん?もしかして七草先輩がいっていた司波深雪さんが妹なの?」

「ああ、そうだが良く分かったな」

「いや、司波って苗字はそうそう居ないからね」

 

もしかして天然なのかと疑ってしまったが本人は本気でいっているのかそれとも冗談なのか分からない表情をしていた。

 

「確か今年の新入生の総代だよね」

「よく知っているな」

「たまたま小耳に挟んだんだ。それ以外は何も知らないよ」

 

司波深雪という名前は七草会長から聞く前にも知っていた名前なのだがいかんせん誰かが話していたのがたまたま聞こえてきただけなのであまり詳しくは知らないのだ。

 

「後ろの方には座らない方が良いよね」

「そうだな、一科生全員を敵には回したくはないだろ」

「まあ、ね」

 

そのまま僕と達也くんはこの法則に従って席につくことにした。

「ここでいいかな」

 

三十分前という事でそれなりに空いている席を見つけるのに苦労した。

 

(それにしても達也くんのあれは魔法で無理矢理力を抑え込んでいるんだよね。しかも、恐らくは解く役割を担っている人も同等の魔法で力を押さえ込んで互いに枷として生きていくみたいな感じだった)

 

それはまるで自由に生きられない籠の中の鳥のようだと思った。

 

「あの、隣に座っても大丈夫ですか?」

「え?ああ、別に平気だよ。特に誰かが座る予定はないから」

 

声をかけてきたのは二人の女子だった。

 

「ほ、本当ですか?!」

「良かったね、ほのか」

 

なんと言うか全くもって正反対な二人組だな。

 

「あ、あの私は光井ほのかって言います」

「私は北山雫」

「僕は影宮コノハだよ。好きなように呼んでいいから」

 

二人の苗字に多生なりとも驚いたがそれを表情に出さなかった。

 

(光のエレメンツの家系に大企業のご令嬢、か。すごい人たちと知り合ったな)

 

先程の七草先輩といいこの二人といい第一高校には有名人がいっぱい居そうだ。

 

「静粛に。今から入学式を始めます」

「あ、始まるみたいだよ」

 

いよいよ、入学式が始まる。

長い…長すぎる。校長の話が長すぎる。なんで、一人で20分以上話が続けられるんだよ。

 

「な、長いね。ここの校長先生の話…」

「長い、よく一人であれだけ話せる」

「あ、やっと終わるのか……」

 

長かった校長の話もようやく終わり、次へと駒を進めることができた。

 

「答辞。新入生代表司波深雪」

 

壇上に立っていたのはここにいる全員が100%美人だと評価を下すであろう女子がたっていた。

 

(あの子が達也くんの妹さん……。目の色とか雰囲気は正しく兄妹だよね)

 

答辞の内容はなんと言うか誰かのためを思って書いたように感じた。

 

(結構際どい台詞のオンパレードだね。まあ……)

 

周りを見てその事に気づいているのは兄である達也くんと僕位だと思った。

 

(皆、あの美貌の虜みたいだね)

 

一科生は憧れとその美しさに見惚れ、二科生は羨望と諦めたよくな雰囲気で見ていた。

 

「やっと、入学式が終わったー」

「コノハ、IDカード貰いにいかないの?」

「おっと、忘れるところだった。ありがとう、北山さん」

「雫でいい。私もコノハって呼ぶから」

「あの、私のこともほのかって呼んでください。私もコノハ君と呼んでいいですか?」

「うん、いいよ。好きなように呼んでくれて構わないって言ったしね」

 

入学式の最初から友達を作れるなんて幸運なのかな?

 

「二人ともなん組だった?」

「私はA組です」

「私もほのかと同じ。コノハは?」

「僕かい?僕も二人と同じA組だよ」

 

ほら、とIDカードを見せる。

 

「本当ですね!なら、これからよろしくお願いします」

「私もよろしく」

「こちらこそ仲良くしようね」

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