魔法科高校の劣等生~錬鉄の継承者~   作:アゲハチョウ

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6話

ケーキ屋さん(という名のカフェ)についたコノハたちは早速気になっていたことを聞くことにした。

 

「それで影宮くんが使ってた布はなんだったの?」

「千葉さん、話すから落ち着いてください。それと近いですから」

「千葉さん、離れてやってくれ。それで影宮あの布はなんだ。魔法ではないんだろ?」

 

達也がエリカを落ち着かせたことでやっと話せるようになった。

 

「うん、あれは魔法じゃないよ。ゲームで言うとマジックアイテムみたいなものかな」

「マジックアイテムって言うとあれか、お助けアイテムみたいな」

「そうそう、レオくんのそれであっているよ」

「つまり、あれは魔法を補助するようなものなんですか?」

「うーん、あれは魔法を補助とかするようなものじゃないよ。見ての通りあれは相手を捕縛するためのものだからね」

 

美月の意見を否定して話を続ける。

 

「それでは起動式が展開されなかったのは何故ですか?」

「あれは僕が魔法を使って動かしている訳じゃないから起動式が展開されるわけじゃないんだ」

 

深雪は何処か不思議そうにしていたが納得してくれたようだ。

 

「それより気になることを言っていたな。あの布に巻き付かれている間は男性は魔法はおろか異能の力も使えないと」

「あ、確かにそんなことを言ってました」

「言ってた」

 

達也の発言にほのかと雫ものりだした。

 

「ああ、それを説明するのと一緒にこれの名前とか話さないとね。これはマグダラの聖女マリアが聖人の遺体を包んだ布でね。名前をマグダラの聖骸布。力に関しては皆が見た通り相手をって言っても男性に限られるけど、束縛して力を封じることだよ」

 

まるで何てこと無いように話すコノハだがその話を聞いて皆が目を丸くした。それもそうだ。いきなり聖人の遺体を包んだ布で男性に対しては束縛して力を封じるものだと言われても信じれるものではなかった。

 

「お前、よくそんなものを持っていたな」

「ああ、レオの言うとおりだ。よくそんなものを持っていたな」

「偶々だよ」

「それって本当は女の人が使うものじゃないの?」

「どういう意味、雫?」

 

雫の中々に鋭い質問にコノハは感心してしまった。

 

「そう、雫の言うとおりこれは本来女性が男性を束縛するための物だよ。だから、本当は女性が使った方が良いんだ」

 

夢で見た記憶の中でも使っていた女性だったし、被害にあっていたのもあの紅い槍をもった槍兵だった。

 

「これが僕が話せる全てかな?何か質問とかある?」

 

質問があるか聞くと誰も特に質問がないようだ。

 

「そう言えば達也くんは起動式が読み取れるんだね」

「ああ、それがどうかしたのか?」

「ううん。ただ僕も読み取れるんだけど魔力を多く消費するやり方だから出来ればあまり魔力を消費しないやり方を教えて貰おうかなって」

「え?影宮さんも読み取れるんですか?」

「うーん、読み取れると言うよりかは僕は解析してるんだ。そのせいで結構魔力を消費するんだ」

 

深雪の問いに曖昧に答えた。流石に解析魔術を使って読み取っているとか話せるわけがない。

 

「すまないが魔力を消費しないやり方は俺は知らない」

「そうなんだ。ごめんね、変なことを聞いて」

「いいや、気にしていないさ」

 

そのまま皆でワイワイ楽しく談笑していた。

 

 

 

広がるのは荒野。夕時なのか朝方なのか分からない厚い雲に覆われた空。そこには歯車が浮かんでいるか地面に埋まっている。そして、地面に突き刺さっているのは無限に近い剣だった。

■■■■が投影したのはガラスのような長い双剣。そして夢の僕も見て同じものを投影する。

 

投影、開始(トレース オン)!』

 

そして僕は■■■■に向かって走り出す。

 

『ふっ!』

『てああぁぁぁ!』

 

お互いに剣をぶつけ合う。何度も、何度もぶつけ合う。

 

『うおおおぉぉぉぉ!ふっ!てぇっ!』

 

■■■■の攻撃をなんとか防いでいるがやはり未来の自分が相手となると経験のさが大きかった。

 

『ふっ!』

『テイ!』

『やあぁ!』

 

そして等々夢の僕の方の剣が砕けてしまった。

 

『お前の剣製と俺の剣製が同等とでも思ったかっ!』

 

夢の中の僕は左肩を斬られ、突き飛ばされる。それでも諦めずに立ち上がった。

 

『お前はまだまだ基本骨子の想定が甘い』

『うるせぇ!』

 

図星だったから、悔しかったからがむしゃらに突っ込んでいった。

再び投影した剣が砕かれたとき僕に何かが流れ込んできた。

 

【体は…剣で出来ている。】

 

流れ込んでくるのは瓦礫と火の海に包まれた場所。

 

【血潮は鉄で心は硝子。】

 

今度は間近て見える火の海に包まれた場所。そこには見慣れたものの残骸が見えた。

 

【幾たびの戦場を越えて不敗。

 

ただ一度の敗走はなく、

 

ただ一度も理解されない。】

 

次に見えてきたのは剣が倒れた丘の上に剣や槍が刺さった誰かの姿が……。

 

【彼の者は常に独り。

 

剣の丘で……勝利に酔う】

 

その姿は未来の自分だった。

 

【故に生涯に意味はなく。

 

その体は、… きっと……

 

 

 

剣で出来ていた】

 

膝をついてしまった。見た光景が……あまりにも悲しいものだったから。

 

『今、お前は見たはずだ。未来に待ち受ける現実を。生涯、下らん幻想に囚われた紛い物を。それが自分の正体だと理解したか』

 

それでも認めるわけにはいかなかった。

 

『こんのぉぉぉぉぉ!』

 

いつのまにか固有結界も消えていた。

投影したのは黒と白の中華剣。それを無意識に投影して挑んでいった。

 

『くっ!』

『ふっ』

『テアァ!』

『お前は本当に英雄になりたいのかっ!』

 

剣を交わしながら、問いかけてくる。

 

『なりたいんじゃない!絶対になるんだ!』

『そうだろうなぁ!何故ならそれがお前にとって唯一の感情だからだ!』

 

問いかけている間に剣劇はお互いに増していった。

 

『何をっ!』

『お前はただ憧れただけだ。お前を助けたあの男の顔があまりにも幸せそうだったから、自分もそうなりたいと思っただけだ!お前の理想はただの借り物だ!』

『違う!』

 

刀身が砕けたがそれでも挑み続けた。

 

『この身は誰かの為にならなければならないと脅迫観念に突き動かされてきた!それが破綻しているとも気付かず、ただ走り続けた!』

 

動きながら剣を交わしていく、そしてまた今度は両方とも砕かれまた同じものを投影した。

 

『誰もが幸福であってほしい願いなど空想のお伽噺だ!』

 

夢の僕は右、左の交互に剣を振り下ろしたがそれらすべていなされてしまい、右肩を斬られてしまった。

 

『その夢を抱いてしか生きられないのであれば、抱いたまま溺死しろ!』

 

膝をつくまいと双剣を地面に突き刺した。体力も限界に近づき、また怪我を負いすぎて血も流しすぎた。

 

『体は……体は(つるぎ)で出来ている』

『貴様…まだ…』

『お前には負けない。誰かに負けるのは良い。けど、自分には負けられない』

『こいつ!』

 

力を振り絞って、僕は剣で勢いよく挑んだ。逆手に持った双剣で食らい付く。

 

『なんかじゃない!』

『叶わないと知って尚も挑みつづけるその愚かさ』

『間違いなんかじゃない!』

 

交差すると今度はア■■■ーの剣が砕けた。

 

『ううぅぅぅぅぅぅ!』

『うおおぉぉぉぉぉ!』

 

同じ剣がぶつかり合う。上手く逆手持ちから正しい持ち手に直しながら剣劇をぶつけ合う。

 

『それこそがオレの過ちだったはず!』

『けして間違いなんかじゃないんだから!』

 

激しいぶつかり合い。夢の僕が一気に押していく。

 

『うううおおぉぉぉぉぉぉ!てあぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

持っていた双剣の黒い方を後ろへと投げ、白い方の剣を心臓付近を刺し貫いた。

 

『俺の勝ちだ。…アーチャー』

『ああ、そして私の敗北だ』

 

未来の僕が、いやアーチャーが敗けを認めてしまった。

 

『未来に何が待っていようと後悔なんかしない。俺は乗り越える!』

『そうだったな……乗り越えなければ嘘だ』

 

アーチャーの声は何処か認めたような、気づかされたような声色だった。

 

『楽しませて貰ったぞ。偽物同士実に下らん戦いだった』

 

その声と共に飛んできたのは百を越える武器だった。

 

「うわあああ!」

 

目を覚ますと朝の六時だった。

 

「初めてだったな。こんなに長い夢を見たのは」

 

何度も夢を見てきたが長い時間見てきたわけではなく、途切れ途切れだったのだ。

 

「アーチャー……これは貴方の記憶ではないんですよね」

 

今日もまた夢を見れることを祈って、そして今度はアーチャーの真名と夢の中での自分の名前や大切な人たちの名前が思い出せるよう願って……。

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