学校に向かう途中で達也と深雪に出会ったコノハは一緒に登校していた。更に途中にエリカ、レオ、美月と会い一緒に第一高校へと向かっていた。
「そう言えばさ、司波くんと影宮くんって生徒会長と前から知り合いなの?」
「いや、入学式の時が初対面の……はず」
「僕も入学式の日が初対面だよ」
達也とコノハは初対面だと言い切る。
「ですが、とてもお二人に親しげでしなよね」
「ああしかも名前呼びだったじゃねぇか」
「それに走って向かってくるくらいだしね」
エリカは後ろに視線を向けながら、ニヤニヤと人の悪い笑顔をしていた。何故なら後ろには笑顔でしかもコノハと達也の名前を呼びながらこちらに向かってくる真由美がいるからだ。
(お願いですから、そのコノハく~んと呼ぶのやめてください。周りの視線がヤバイです)
朝からラブコメもののアニメみたいな呼び声め名前を呼ばれると言う大変恥ずかしい体験と周りからの特に男子からの嫉妬の視線に晒されるはめになったコノハと達也だった。
「深雪の勧誘が目的のはずなのに何故俺たちも呼ばれいるんだ?」
「そんなの僕も知りたいよ」
呼ばれている理由がまったくもって見当がつかない二人を他所に真由美はコノハたちの前にやって来た。
「達也くんと深雪さん、おはようございます。コノハくんもオハヨ~」
(あれ?二人より挨拶がぞんざいではないだろうか……)
明らかに達也と深雪の二人より違う態様に疑問に思うが口に出すことはしなかった。
「おはようございます、会長」
「おはようございます、七草先輩」
達也が先に挨拶を返しながら一礼すると深雪も続くように一礼する。コノハも二人の後に挨拶を返した。
「お一人ですか、会長?」
「えぇ、朝は特に待ち合わせはしていないの」
「副会長とかとは一緒に来ないんですか?」
「はんぞーくんとは方向が逆だし、他のメンバーも時間帯が違うもの」
ここにいるメンバー(達也を除く)は真由美がいった一言に疑問を持った。
(((((はんぞーくんって誰?(でしょうか?))))))
「はんぞーくんとはもしかして服部副会長のことでしょうか?」
「ええ、そうよ?」
「失礼を存じ上げますが、会長と副会長はその……男女のお付き合いをなさっているのでしょうか」
深雪の質問に真由美は少し驚きながら答えた。
「えっ?違うわよ、深雪さん。長い付き合いをしている人や私が特に親しい人には渾名をつけて呼んでいるのよ」
この言葉を聞いた瞬間皆思った。「この人に渾名を付けられる機会がやって来たらキッパリと断ろう」と。
(と言うか、達也くんは良くわかったなぁー)
達也がどうしてあれで人の名前を把握できたのかを疑問に思いながらも感心していた。
「ところで深雪さんと少しお話ししたいこともあるし……ご一緒しても構わないかしら?」
「はい、それは構いませんが……」
「あっ、別に内緒話をするわけじゃないから。それとも、また、後にしましょうか?」
人の良い笑顔を向けたのは一歩後ろにいた三人の方だった。
「それより七草先輩、約一名だけ扱いが違うように感じるんですが」
「あら、そうだったかしら」
明らかに白を切っているのは明らかだったが、コノハはそれ以上深くは追求することはしなかった。何故なら……。
(もういいや。なんだか深く追求しても意味はないと思うし)
落ち着いた思考回路で大人な結論に至っていた。と言うのも夢で見たあの赤い悪魔や白い小悪魔、黒い後輩、虎のような姉の存在に振り回されたことに比べれば真由美のやっているのとなど可愛いものだと思ったからだ。
「お話と言うのは生徒会のことでしょうか」
「ええ。一度、ゆっくりご説明したいと思って。お昼はどうするご予定かしら?」
「食堂でいただくことになると思います」
「コノハくんと達也くんと一緒に?」
「いえ、影宮さんとは一緒ですが兄とはクラスも違いますし……」
「プライド高い人たちが一緒にいて、達也くんたちと食事を一緒にすることを許さないんですよ」
「以外と毒を吐くのね、コノハくん。そうね、変なことを気にする生徒が多いですものね」
コノハが見た目に似合わない毒をはいたことに驚きならも真由美は周りを見た。一科生と生徒会長が二科生と一緒にいることをあり得ないものを見るかのような視線を向けていた。
「じゃあ、生徒会室でお昼をご一緒しない?ランチボックスでよければ、自配機があるし」
「自配機があるんですか?」
コノハは好奇心で質問した。
「入ってもらう前からこう言うことを言いたくはなのだけど、遅くまで仕事をすることがあるので」
バツの悪そうな顔を浮かべながら勧誘を続けていた。
「生徒会室なら、コノハくんと達也くんが一緒でも問題ありませんし」
「……問題ならあるでしょう。副会長と揉め事なんてゴメンですよ。俺は」
「なんで僕まで行くことになっているんですか?僕は生徒会とは関係ないですから、妄りに入ったりしたらいけないんじゃないんですか」
達也とコノハは遠回しではあるが断ったが。
「それなら平気よ。はんぞーくんは部室で食べてるし、風紀委員の摩利だって生徒会室で一緒に食べているもの。だから、二人が来たって平気よ」
逃げ道はあっさりと真由美によって塞がれてしまった。
「何だったら、皆さんで来ていただいてもいいんですよ。生徒会の活動を知ってもらうのも役員の務めですから」
社交的な申し出ではあったが、それを意外な人物が断った。
「せっかくですけど、あたしたちはご遠慮します」
断ったのはエリカだった。普段の彼女なら悪のりでもして誘いを受けるのだが、今日の彼女はいつもとは雰囲気が違うように感じた。
「そうですか。じゃあ、深雪さんたちだけでも」
正直、コノハは断りたかった。だが、どんなに逃げ道を作ろうとも真由美に塞がれてしまうと考えた。
「分かりました。昼休みそちらに伺います」
「本当!?良かったわ。深雪さんと達也くんはどうしますか」
「……分かりました。俺たちもお邪魔させていただきます」
「そうですか。良かった。詳しいお話はその時に。お待ちしてます」
真由美はそのままスキップしそうな勢いでさっていった。
「なんだか、台風みたいな人だね」
「あれは台風より厄介だろ」
「それよりごめんね。僕が了承したせいで断れないみたいにしちゃって……」
「気にしないでください。どのみちいずれは誘われていたと思いますから」
「深雪の言うとおりだ。あの手この手で違う日に誘われていたさ」
気にするなと二人が言ってくれた。コノハは気が軽くなった。
そのまま達也たちと別れ各自の教室へと向かっていった。
「おはよう、雫にほのか」
「おはよう、コノハ。それに深雪も」
「おはようございます、コノハくんに司波さん」
教室に入ったコノハは雫とほのかに挨拶した。
「お昼休み前に早退したい」
「ど、どうしたの?コノハくん」
「実は今日、お昼を生徒会室でとることになったのですが」
「七草先輩にその誘いの前にいじられて疲れた。と言うか、嫌な予感がする」
(主に達也くんが被害に合うような)
そのあと、雫とほのかにお昼は一緒にとれないことを謝罪した。気にしなくても良いと言われたがコノハは後でケーキをおごることを二人に約束した。