竜の使い魔   作:超高校級の切望

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土くれは学園を強襲する

 夢を見た。

 幸せな夢だ。父が、母が、手品が得意な召使いが、土産を持ってやってくる伯父が、その夢の主にはいた。

 

『見て、父様!』

 

 夢の主はそう言って風を器用に操り人形を踊らせる。その人形の名はタバサ。夢の主の名はシャルロット。

 場面が変わる。

 父の死を聞く母。

 心が狂わされた母。

 シャルロットは任務に向かわされる。そこで知り合った女性が死ぬ。

 シャルロットは、復讐を果たすとその女性と誓った。その日から、シャルロットはタバサと名を変えた。

 

 

 

「───ん……く…ん!───ジーク君!!」

「………………」

 

 ジャンヌの心配そうな顔が眼前に現れる。

 

「マスター!良かったー!」

「ぐっ……」

 

 そしてアストルフォが飛びついてきた。

 

「良かった~、良かったよ~……」

「ライダー、少しジーク君の身体を調べたい、ので………離れてください!」

「むぎゅう…」

 

 ジークに引っ付いていたアストルフォ(筋力D)を引き剥がすジャンヌ(筋力B)。

 ジークの胸に手を当てる。霊基に乱れは無い。呪いか何かを受けた様子もない。となると…

 

「聖杯に何か異変が?」

「ああ……何かに共鳴したような感覚だ………もう収まったが」

 

 とはいえ、大聖杯が共鳴するものなどそうあるのだろうか?

 

「取り敢えず収まった………心配かけたな」

「全くだぜ。大丈夫なのか?」

「ああ」

 

 才人が手を差し伸べてくる。さっきとは反対だな、と思いながらその手を掴み立ち上がるジーク。

 

「今日はもう休んだ方が良い。ベッド、使う?」

 

 現在ジーク達はタバサが貰ってきたシーツを使い三人で寝ていた。が、調子が悪いならベッドで寝た方がいいと提案するタバサ。その好意に甘えようと思った瞬間───

 ドォォン!と腹の底に響く爆音が響いた。

 

「「「───!?」」」

 

 すぐ其方に向かってかけるタバサ、ジーク、アストルフォとジャンヌが向かう。

 流石に馴れているだけある。その四人の迅速な行動を見て、固まっていた一同も後を追いかけた。

 

 

 

「うわ!でっかいゴーレム、キャスターの量産品よりでかいかも!」

 

 辿り着けばそこにいたのは塔を殴る巨大なゴーレム。ウサミミ付きパーカーを着ていたアストルフォが、白い服を着ていたジャンヌの服装が変わる。

 

「フーちゃん!ヒポグリフ!」

 

 アストルフォがピュィ!と口笛を吹くとあの後学院の上質な肉に味を占め居座り続けている風竜とアストルフォの宝具のヒポグリフが現れる。アストルフォはヒポグリフに乗りジークとジャンヌは風竜の背に乗る。

 先程ゴーレムの頭に人影が見えた。そこを狙う。

 

「そこの方!すぐに破壊行動をやめなさい!」

 

 ジャンヌが叫ぶが返答は岩の弾丸だった。それを旗で弾き飛ばすが次々と飛んでくる。

 

「うお!?何だありゃ!」

「ゴーレムだ!」

「あれが!?お前のワルキューレと全然違うじゃねーか!」

「ギーシュはドット、メイジとしては最下級よ、あれは最低でもトライアングルよ!」

 

 才人達が来たようだ。才人の叫び声にルイズが補足した。トライアングル、つまりメイジとしては高位に位置する実力者。そしてゴーレムを使う盗人に、ルイズ達は心当たりがあった。

 巷を騒がせる『土くれ』のフーケだ。その二つ名の通り倉庫を錬金で土塊に変え、或いは巨大なゴーレム破壊する盗賊。それが魔法学院にまで来たのだ。

 

「当直の職員は何をやっているんだね!?」

「魔法学院の先生達がここを襲われるなんて考えてるわけ無いじゃない!来るまで暫くかかるわ」

「それまで僕らで相手しなければならないわけか………逃げて良いかな?」

 

 キュルケの言葉にギーシュが顔をひきつらせる。

 

「良い訳ないでしょ!魔法が使える者を貴族と言うんじゃない、敵に背を向けない者を貴族と呼ぶのよ!」

 

 と、ギーシュの言葉に反発するルイズ。と、ゴーレムがルイズ達に気づき踏み潰そうとする。

 

「させません!」

 

 しかしゴーレムの足はルイズ達を潰すことなく地上に降りたジャンヌが受け止めた。

 

「はぁ!」

「うそぉ!?」

 

 そしてそのままゴーレムの足を破壊した。才人が目を見開き叫ぶがそれは全員の総意だろう。

 

「………再生ですか」

 

 片足を失いバランスを崩したゴーレムはしかし破壊された箇所を地面に押しつけた瞬間周りの土を吸収して足を生やした。

 

「ライダー!」

「ほいほーい!『触れれば転倒!』(トラップ・オブ・アルガリア)!」

 

 ジークの意図を理解したアストルフォは槍を顕現させゴーレムの体に突き刺す。途端、ゴーレムの足が崩れた。

 

「チィ!」

 

 ゴーレムの上に乗っていた影は即座に足を再生させようとするが何故か再生が始まらない。

 

「無駄だよー。サーヴァントの足だって強制的に霊体化するんだ。魔力を流さなきゃ直せない以上ゴーレムの足だって直せない」

 

 と、アストルフォが馬上槍を影の首筋に添える。

 

「はい。じゃ、大人しく……お?」

 

 アストルフォの言葉に盗賊は舌打ちにして、次の瞬間ゴーレムが砂に変わる。

 

「わわ!?」

 

 唐突に足場が崩れバランスを崩すアストルフォ。あたり一面砂煙に包まれた。

 

「この、ウィンド!」

 

 ルイズが叫んだ瞬間ドォン!と爆音が響きパラパラ小石が降ってくる。

 

「ちょっとヴァリエール!どうせ成功しないんだから何もしないでよ!」

「何ですって!」

「ウィンド………」

 

 キュルケがルイズを非難しルイズが心外だとばかりに叫ぶ。タバサは周りを無視してルイズが使おうとしていた魔法を使い砂煙を払う。

 砂煙が晴れると塔の一部が罅割れているのが見えた。どうやらルイズが爆発させたのは彼処らしい。

 と、その罅に岩の固まりがぶつかり穴を開けた。

 

「させるか!」

「じゃますんじゃないよ!」

 

 ジーク達が覆おうとするが地面から石の槍が複数生えてくる。サーヴァント達には一瞬の足止めにしかならない。が、今度は2メイルサイズの複数のゴーレムが邪魔をしてきた。

 即座に破壊しようとしたジーク達だが泥に変わり腕が沈む。その瞬間に鉄に錬成された。

 

「待て!」

 

 拘束を破壊したジーク達だが盗賊は5メイルのゴーレムに何かを運ばせ逃げ出すところだった。

 

 

 

 翌日、破壊された宝物庫の壁とそこに書かれた『破壊の鎚と花嫁の棺、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』という文字が発見された。

 

「……ふむ、まさかアレに価値を見出す者が現れるとは………やばい、目、覚ましたらワシ殺されるかも」

 

 壁の文字を見つめながら髭をすり、頭を抱えるオスマン。

 

「いやワシのせいじゃないし?平気だよね……?でも彼奴何言ってるか全然わかんないからなぁ。顔は良いのに勿体ない」

「オールド・オスマン!聞いているのですか?」

「む?えっと……何じゃねゴトー君」

「ギトーです。今回の件の責任を………」

「責任?では君は杖を持たず、魔法が使えない状態でフーケに挑めたのかね?当直をこなしたことはあるのかね?」

 

 オスマンの言葉にばつが悪そうに顔を逸らす教師達。彼等もメイジが数多くいる魔法学院が狙われるとは夢にも思っていなかったのだ。

 

「して、君達が目撃者だね………何か犯人に特徴は?」

「すまない。暗闇だったためあまり………ただ、声からして女だった」

「平民の貴様には聞いていない!」

「こっちだって普段当直をさぼってる人達に話してるわけじゃなーい」

 

 ギトーの言葉にアストルフォが言うと杖を抜こうとするギトー。オスマンが杖を振るうとギトーの杖が吹っ飛んだ。

 

「ふむ。他にはないかね?」

「一瞬だが、フードの中で何かが月光を反射していた。アレはきっと眼鏡だ」

「ほう……」

 

 と、オスマンが頷いた時、ドアが勢いよく開け放たれた。

 

「遅れて申し訳ありません!」

「ミス・ロングビル。何処に行ってたのかね?まあ良い、ひとまず此方で掴んだ情報を渡そう。土くれのフーケは女で、眼鏡をかけてるらしい」

「そ、そうですか………いえ、実は情報を集めていて。その、森にフードの男が入っていくのを見たという目撃証言が」

「男?まあ、暗闇なら見間違える可能性もあるな。それに複数犯の可能性もある……よし、ではワシが向かおう」

「オールド・オスマン!?何をおっしゃいます!」

「この非常時にただ椅子の上でふんぞり返るなど出来るものか!ワシと共にフーケを捕らえる名誉が欲しい者は杖を掲げよ!」

 

 

 

 

「で、来たのが生徒だけかー。あの頭の上が寂しい人は連れてこなくて良かったの?」

 

 馬車に揺られながらアストルフォがオスマンに尋ねるとキュルケがクスクス笑った。

 

「アストルフォ、あの先生は変わり者でおまけに臆病で有名な人よ?役に立つ訳ないじゃない」

「え?でもここにいる中じゃ勝てるのおじいちゃんだけじゃないの?」

 

 フーケ討伐隊に参加したのかルイズ、その使い魔才人と才人が危険な場所に行くならと付いてきたキュルケ、二人を心配したタバサとその使い魔ジーク、ジークのサーヴァントアストルフォ、そしてジャンヌだ。

 馬車を御するのはロングビル。

 

「ところでおじいちゃん何で花持ってきてるの?」

「いや………怒ってたらこれで機嫌直してもらおうかなーって………」

「この後女の子にでも会いに行くの?」

「いや、寝たきりの使い魔じゃ……」

「「「「?」」」」

 

 一同は意味が分からず首を傾げたのだった。




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