フェイタル・バレット的な日常   作:鉄夜

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フェイタル・バレットにどハマりした作者が書いたものです。

主人公の設定過多。

トゥルーエンド後です。

ご注意ください。

軽いキャラ設定
カチューシャ/御城飾
GGOでの姿。
白髪の1本結び
目の色は両目とも赤
服装はスナイパージャケット、上下共に色は白。



少女の孤独を癒すのは・・・。

GGO《ガンゲイルオンライン》

 

SBCグロッケン。

 

自身のスコードロンのホームの中でカチューシャはどこか浮かない顔をしていた。

 

「はぁ。」

 

本日何度目かのため息を吐いた彼女を、

彼女のサポートAI、アファシスであるコハクと、

カチューシャの幼馴染であるクレハ、

そして、スコードロンのメンバーであるクラインが心配そうに見ていた。

 

「マスターは朝からずっとあの調子なのです。」

 

「一件いつも通りだけど・・・。」

 

「たしかに少し元気がねぇなぁ。

・・・リアルで何かあったんじゃねぇか?」

 

クラインの言葉に、クレハは「まかせて。」

と言うとカチューシャに歩み寄っていく。

 

「カチューシャ。」

 

「なに?クレハ。」

 

「リアルで何かあった?」

 

遠くから聞こえてきたどストレートな言葉に、クラインとコハクはズッコケそうになった。

 

「どうしたの?急に・・・。」

 

「なんか元気なさそうだから聞いただけよ。

で、そんな顔するってことは何かあったのね? 」

 

「まぁ、何かあっと言えばあったけど大したことじゃないし」

 

「じゃあなんで今日そんなに元気ないの?」

 

「昨日目当ての武器が出るまで粘ってたから。」

 

「誘った私が言うのもなんだけど本当にどハマりしたわねあんた。

で、それはそれとしてリアルで何があったの?」

 

「リアルのことを聞くのはマナー違反だよクレハ。」

 

「はぁ?

そんなこと言えばなんとかなると思ってるの?

アンタが私に隠し事なんて百年早いのよ!」

 

「うーん、でもなぁ・・・。」

 

戸惑うカチューシャに、クレハはトドメとばかりに詰め寄る。

 

「ほら、観念してゲロっちゃいなさい!」

 

「あ・・・あう・・・」

 

「あらあらだめよ、クレハちゃん。」

 

クレハの背後から、ツェリスカがツカツカと歩み寄って言う。

 

「話したがらない相手から無理やりリアルの話を聞き出そうなんて。

可哀想じゃない。」

 

ツェリスカはカチューシャの前に立つ。

 

「ねぇ、カチューシャちゃん。

何があったのか分からないけど。

私たちでよければ相談に乗るわよ?」

 

「ツェリスカの言う通りだ、カチューシャ。」

 

カチューシャの周りに、

キリトやアスナ達スコードロンのメンバーが近寄っていく。

 

「こういう時に助け合うのが仲間ってものだろ。」

 

「話すだけでも楽になるよ?」

 

「私もいますよ!マスター!」

 

カチューシャは全員の顔を見渡すと、

 

「本当に大したことないんだけどなぁ。」

 

ポツリポツリと語り出した。

 

「この間みんながログインしてない時に、

知らない人達からパーティに誘われて、

私も一人で暇だったから参加したんだ。

すごく盛り上がって、楽しくってさ、

フィールドから出た後オフ会に誘われて、

ついつい乗っちゃったんだよね。」

 

「なに?そのオフ会でトラブったの?」

 

クレハの指摘にカチューシャは首を振った。

 

「オフ会はとっても楽しかったんだ、

でも解散するってなった時、そのパーティメンバーの1人が声をかけてきて、しつこく電話番号とかを聞いてきたんだよ。」

 

「もしかして、それで教えちゃったの?」

 

「ううん、しつこかったけどなんとか追い払ったんだ・・・けど・・・。」

 

「けど?」

 

カチューシャは真顔で言う。

 

「家までつけられちゃったみたいなんだよね。」

 

周りの空気が凍った。

 

「それから三日間ぐらいかなぁ。

夜に窓から外見ると家の前の電柱からこっち見てるんだよね。

一体何が楽しいんだろうね・・・ってどうしたのみんな。」

 

キョトンとしたカチューシャに、クレハが怒鳴る。

 

「どうしたのじゃないわよ!

なにが大したことないよ!

思いっきりストーカーされてるじゃない!」

 

「あーうん、そーだね。」

 

表情に一片の曇もないカチューシャに、キリトが問いかける。

 

「やけに冷静だな。

怖くないのか。」

 

「まぁ、一人暮らしだとこういうの偶にあるし。」

 

「はぁ!?あんた今一人暮らしなの!?

おじさんとおばさんは!?」

 

焦った様子で聞くクレハに、カチューシャは淡々と答える。

 

「えっと、会社が海外に事業を展開することになって。

中一の頃に二人とも転勤しちゃって。」

 

「中一!?そんな前から1人なわけ!?

なんでそういうこと早く言わないの!?」

 

激昂するクレハにキリトが尋ねる。

 

「落ち着いてくれクレハ。

話が全く見えない。」

 

「あぁ、ごめん。

この子の両親同じ会社のプログラマーなのよ。」

 

「それで一人暮らしって・・・両親は反対はしなかったのか?」

 

「反対というか・・・私から言い出したことじゃなくて『あなたなら大丈夫だよね』って、

両親が・・・。」

 

「へぇ、信頼されてるのね。」

 

そう言ったクレハに、カチューシャは微笑んで答える。

 

「はは、ホントにね。」

 

その笑顔が、クレハにはどこか悲しげに見えた。

 

「あんた・・・。」

 

「でもよー。」

 

クレハの言葉を遮るようにクラインが言う。

 

「それならなおのこと何とかした方がいいんじゃねぇか?」

 

「大丈夫、こういう時の対処法は心得てる。」

 

「対処法?」

 

首を傾げるアスナに、カチューシャは頷く。

 

「もちろん、拳で抵抗。」

 

『ダメに決まってるでしょ!』

 

女性陣が、カチューシャに総ツッコミをする。

 

「大丈夫、護身術には自信がある。」

 

そう言ったカチューシャの肩を、ツェリスカが掴むと言い聞かせるように言う。

 

「そういう問題じゃないの!

カチューシャちゃんは女の子なんだから、

危ないことをしちゃダメよ!分かった!?」

 

「分かったけど・・・こわいよ?ツェリスカ。」

 

ツェリスカがそばから離れると、カチューシャは全員にいう。

 

「心配してくれるのはありがたいけど、

この件は警察に言ってあるから大丈夫だよ。」

 

「それでも捕まるまで危ないわよ。」

 

「アスナの言う通りだな

だな。

誰かが様子を見に行った方がいいんじゃないか?」

 

「あんたが住んでるのって〇〇の当たりよね。」

 

「うん。」

 

「この中でそこに一番近いのは・・・」

 

全員の視線が、一人に集中する。

 

「・・・え?」

 

視線の先にいたクラインは、ついつい間抜けな声を出した。

 

#####

 

翌日の夕方、壷井遼太郎(クライン)は高校の校門前に居た。

 

(まさかリアルのカチューシャに会うことになるとわな・・・。

でもまぁ、こういう時に女を守るのが男の役目ってもんだよな。

・・・それに)

 

クラインは顔をニヤつかせる。

 

(ここでいいとこ見せれば、ツェリスカとデートできるかもしれねぇしなぁ。

ぐふふ。)

 

と、そんな邪念に満ちた事を考えていると

 

「もしもし警察ですか、校門に何やらニヤついている不審者がいます。」

 

「ま・・・待ってくれ!俺は怪しいものじゃ・・・ってこの声は・・・。」

 

クラインが顔を上げると、制服姿の少女が居た。

、

少女はクラインを見てクスクスと笑っていた。

 

「リアルでもあっちでもあんまりキャラ変わらないんだね。」

 

「やっぱりカチューシャか、脅かすなよ・・・。」

 

「ごめんごめん、でも高校の前でニヤニヤするのはやめた方がいいよ?

私じゃ無かったらマジで警察呼ばれるかもだし。」

 

「そ・・・それもそうだな。」

 

クラインは恥ずかしそうに後頭部を書きながらも、カチューシャの姿を確認する。

 

美しい黒髪のショートヘアに、中性的な顔立ちは美少女と呼んで差し支えないものだった。

 

(なるほどな、直結厨がほっとかない訳だ。)

 

クラインが考えていると、カチューシャは彼に二歩近づいて微笑む。

 

「御城飾(みしろかざり)です。

よろしくね、えっと・・・」

 

「壷井遼太郎だ、呼ぶ時はクラインでいいぞ。

そっちの方が呼び慣れてるだろ。」

 

「うん、じゃあ私もカチューシャで。」

 

二人が自己紹介を終えると、

 

「マスター!私もクラインとお話したいのです!」

 

「あ、そうだね。」

 

「え?今の声・・・どこから?」

 

キョロキョロとしているクラインに、カチューシャは自分のスマホを見せる。

 

すると、画面の端からコハクが姿を見せた。

 

「うお!?」

 

「こんにちはなのです!クライン!」

 

「なんだこりゃ!どういう仕掛けだよカチューシャ!」

 

「ユイやプレミアみたいに、コハクもいろんなところに連れていけたらなぁと思って。

GGOのシステムから切り離して、プログラミングしてみたんだ。」

 

「そうなのです!これで私とマスターはいつでもどこでも一緒にいれるのです!

あ、もちろん今まで通りGGOでのアファシスとしても働けるのです!」

 

「おいおい、そんなことしてもいいのか? 」

 

「大丈夫、元々がアイテム扱いだったから簡単に切り離せたし、ツェリスカには許可を取ってあるから。

ていうかむしろデイジーも同じことを出来るようにして欲しいって頼まれてる」

 

「あはは、アイツもアイツで親バカだからな。」

 

「それにしても・・・。」

 

コハクはクラインの顔を見て言う。

 

「リアルのクラインはゲームの中より老けて見えるのです。」

 

「な・・・なんだとアホシス!」

 

「あははは。」

 

「笑ってないで否定してくれよカチューシャ!」

 

和やかな空気がその場を包みこんだ。

 

#####

 

(ここがカチューシャの家・・・か。)

 

クラインがカチューシャに連れられて辿り着いたのは、二階建てのそこそこ大きな家であった。

 

(この家に1人で・・・。)

 

クラインが家を眺めていると、カチューシャが礼を言ってくる。

 

「わざわざ送ってくれてありがとう、クライン。」

 

「いいってことよ、レディを守るのは男の役目だからな。

それじゃあ、俺はそろそろ帰るとするわ。」

 

「あ、ちょっとまって。

折角だから晩御飯食べていかない?」

 

「・・・いけねぇなぁカチューシャ。

男をホイホイ家にあげるもんじゃねぇぞ?」

 

「たしかにほかの男の人はそうかもだけど・・・」

 

カチューシャはニッコリと微笑んでいう。

 

「クラインの事は信頼してるから。」

 

カチューシャがそう言うと、クラインは恥ずかしそうに後頭部を掻く。

 

「そんじゃあ・・・馳走になるとするか。」

 

「やったぁ!」

 

嬉しそうにするカチューシャのあとを付いて、

家の中に入っていく。

 

「お邪魔しまーす。」

 

「フフ、いらっしゃい。」

 

クラインはリビングに通され、テーベルの前の座布団に座る。

 

カチューシャはリビングにあるパソコンを起動する。

 

起動して少しすると、モニターにコハクが現れた。

 

「ただいま!なのです!」

 

「ネット繋がってりゃどこにでも行けんだな。 」

 

「今のところ近くのネットワークだけなのです。

つまりはクラインのスマホにも入っていたずらし放題なのです。」

 

「おいやめろ。」

 

カチューシャは二人の会話にクスクスと笑うと、立ち上がる。

 

「それじゃあ、晩御飯作ってくるね。」

 

「お?何作ってくれるんだ?」

 

「うーん、そうだなぁ。

折角だから私の得意料理食べてもらおうかな。」

 

「得意料理?なんだそりゃ。」

 

カチューシャは人差し指を口に当て、

ウインクをして言う。

 

「ナイショ♪」

 

そう言ってキッチンに向かっていった。

 

「やっべぇ・・・今キュンときた。」

 

カチューシャが去ったあと、

胸を抑えながらクラインは言った。

 

「クライン・・・マスターに粗相をしたらクレハに報告しますからね。」

 

「分かってるけどよ・・・あの人懐っこさは卑怯だろ。」

 

「まぁ、気持ちはわかるのです。

学校でもあの調子で男女ともにモテモテなのです。」

 

モニターの中のコハクは自慢げに話す。

 

「それにマスターは面倒見がいいですから後輩にも慕われているのです。

先生からの信頼も厚いですし、

成績優秀、文武両道、容姿端麗!

三拍子揃ったまさに完璧な方なのです!」

 

「へぇ、そりゃすげえなぁ。」

 

「はい!すごいのです!」

 

と、ここ待て自慢げに話していたコハクだが、その表情が急に暗くなった。

 

「でも・・・家にいる時のマスターは時々すごくさみしそうな顔をするのです。

GGOでは・・・あんなに楽しそうなのに。」

 

「・・・だろうな。」

 

クラインはもう一度家の中を見渡す。

 

この家は、一人で住むには広すぎた。

 

「そんな時、いつも思うのです。

なんで私は・・・人間に生まれなかったんだろうって・・・もし人間だったらマスターに寂しい思いをさせずに済むのにって・・・。」

 

コハクの声が微かに震える。

 

「私は・・・無力です。」

 

「・・・レイ。」

 

落ち込むコハクに、クラインは優しく声をかける。

 

「そう落ち込むな、お前さんは無力なんかじゃねぇさ。」

 

「でも・・・」

 

「たしかにお前はあいつに触れられないかもしれない。

それでも、そばにいて話し相手になるだけでもあいつは救われてると思うぜ。」

 

「クライン・・・。」

 

クラインはコハクに笑顔でいう。

 

「だからお前はいつも通り笑ってろ。

じゃねぇと、大事なご主人様が心配するぞ。」

 

「・・・なんだかクラインが大人に見えるのです。」

 

「なんだとアホシス!」

 

「アホシスじゃないのです!」

 

こうして、いつもの口喧嘩が始まったのであった。

 

#####

 

「クライン、おまたせ。」

 

しばらくすると、カチューシャが数枚の皿を乗せたお盆を持ってリビングに戻ってくる。

 

カチューシャは、箸、白米、おかずの順番で机の上に並べていく。

 

「カチューシャ・・・こ・・・これってまさか。」

 

カチューシャはにっこり笑う。

 

「肉じゃが。

私が母さんに一番最初に教わった料理なんだ・・・って何泣いてるのクライン。」

 

カチューシャは片手で顔を覆っているクラインに尋ねる。

 

「まさか・・・まさかリアルでお袋以外の女子手作りの肉じゃがが食える日が来るなんて・・・思わなかったから。」

 

「少しはリアルに希望を持とうよクライン。」

 

カチューシャは苦笑いをしながらもクラインの正面に座り、手を合わせる。

 

それを見てクラインも、同じく手を合わせる。

 

「いただきます。」

 

「い・・・いただきます。」

 

クラインは肉じゃがを一口食べて、天を仰いだ。

 

「う・・・うまい・・・」

 

「大袈裟じゃない?」

 

「ホントだって、今すぐにだって嫁に行けるぜこりゃあ。」

 

「あはは、ありがとう。」

 

カチューシャも一口肉じゃがを口に運ぶ。

 

「うん、なかなかいい出来。」

 

そういうとかすかに微笑んだ。

 

クラインは肉じゃがを夢中になって頬張る。

 

そしてふと正面を見ると、カチューシャが頬杖をついて微笑みながら自分を見ていることに気づいた。

 

「な・・・なんだよ。」

 

「あ、ごめんごめん。

なんというかその・・・嬉しくてさ。」

 

「うれしい?」

 

「うん、誰かと食卓を囲むのなんて・・・本当に久しぶりだから。」

 

「だからってそんなに見つめるなよ、

惚れちまったらどうすんだよ。」

 

「クラインのそういうところ私嫌いじゃないよ。」

 

その様子を見ていたコハクが声を上げる。

 

「マスター!私も肉じゃが食べたいのです!」

 

「うーん、じゃあアスナに相談して再現してみよっかなぁ。」

 

「わーい!」

 

和やかな会話をしながら食事を楽しみ、

しばらくしてクラインは肉じゃがを完食した。

 

「いやー、くったくったぁ。」

 

「ふふ、お粗末様。」

 

しばらくぼーっとしていたが、クラインは気になったことを聞いてみることにした。

 

「カチューシャ、お前、寂しくねぇか?」

 

「どうしたの?急に。」

 

「いやその・・・何となく。」

 

「うーん、そうだなぁ。

たしかに寂しいけど・・・最初の頃よりマシかな。」

 

カチューシャはそう言って微笑むと、

ポツポツと語り出した。

 

「私、昔は本当にダメでさ。

泣き虫でひ弱で、クレハの後ろをずっとついて歩いてた。

自慢できることといえばゲームの腕くらいだったんだ。

でも、クレハが引っ越しちゃって『このままじゃダメだ。』って思ったんだ。

だから一生懸命頑張って、一人でなんでもできるようになろうって思ったんだ。」

 

「それで有言実行出来てるマスターはすごいのです!」

 

「ありがとう、コハク。

でもね、いいことばかりってわけじゃないんだよ。」

 

「え?そうなのですか。」

 

「たしかに昔に比べて私は強くなった。

大抵の事は一人で出来るようになったし、

人に頼られるようにもなった。

でも・・・いつの間にか人に甘える・・・頼ることを忘れてた。」

 

カチューシャは自嘲するように笑う。

 

「そして私は・・・父さんと母さんに『行かないで』って言えなかった。

いつも通り、『大丈夫』って言っちゃったんだ。」

 

「・・・カチューシャ。」

 

「それからはずっと後悔してた。

一人で泣いた時もあった。

すごく・・・寂しかった。

慣れるまで結構時間かかったんだ。」

 

心配そうに見つめるクラインに、カチューシャは微笑んで言う。

 

「でもGGOを始めて、みんなと出会えて全部変わった。

前より寂しくなくなったし、人に頼ったり頼られたりするってことがどういうことか思い出した気がする。」

 

カチューシャはそこまで言うと、少し恥ずかしそうにはにかんで、

 

「だからその・・・ありがとね、コハク、クライン。

私に出会ってくれてありがとう。」

 

そう言った。

 

「私も・・・私もマスターに会えてよがったのですぅぅぅぅ!」

 

「あはは、泣きすぎだよコハク。」

 

「カチューシャ、今の言葉みんなに言った方がいいんじゃねぇか。」

 

「む・・・無理、恥ずか死ぬ。

絶対内緒だからね。」

 

「無理って言ったら?」

 

「クラインを女子高生の自宅に上がり込んだ直結厨として運営(ツェリスカ)に通報する。」

 

「やめろ!垢BANされる!

つうか自分で上げといてそりゃねぇだろ!」

 

「あははは。」

 

楽しそうに笑うカチューシャをみて、クラインは言う。

 

「まぁ、何かあったらいつでも頼れ。

出来る限り助けてやるからよ。」

 

「うん、ありがとう。

・・・じゃあ早速だけど。」

 

カチューシャは格闘ゲームのソフトを取り出すと、

 

「頼っていいかな?」

 

クラインに向けてニィっと笑った。

 

#####

 

数分後、

 

カチューシャはクラインを見送るために家の外に出ていた。

 

「今日はありがとう、クライン。

すごく楽しかった。」

 

「おうよ、今度は負けねぇからな。」

 

「いいよ、またいつでもおいで。

ボコボコにしてあげるから。」

 

「なにをぉ!?」

 

「あははは。」

 

クラインはカチューシャの頭にポンと手を置く。

 

「クライン?」

 

「さっきも言ったが、何かあったら呼べよ?

子供は大人に迷惑をかけるもんだ。」

 

「うん、ありがとう、クライン。」

 

「おう、じゃあな。

アホシスもまたな。」

 

「はい!さようならなのです・・・ってアホじゃないのです!」

 

クラインは手を振って帰っていく。

 

カチューシャはクラインの姿が見えなくなるまで見送ると、大きく背伸びをする。

 

「さて、コハク。

片付けてお風呂入ろっか。」

 

「はい、マスター!」

 

そうやって家に戻ろうとした時。

 

ガシッ!

 

後ろから腕を思いっきり掴まれた。

 

カチューシャが振り返ると、そこには一人の男がいた。

 

「よぉ・・・やっと会えたなカチューシャ。」

 

件のストーカーであった。

 

それを確認すると、カチューシャはスマホの中のコハクに小声で話す。

 

「コハク、クラインのスマホにアクセス出来る?」

 

「は・・・はい、大丈夫なのです。」

 

「じゃあ悪いけど呼んできてくれる?」

 

「で・・・でもマスター!」

 

「私は大丈夫だから・・・おねがい。」

 

「り・・・了解なのです!」

 

コハクは急いでクラインのスマホに飛んで行った。

 

#####

 

コハクから話を聞いたクラインは、カチューシャの元へ走っていた。

 

「クライン!急ぐのです!」

 

「分かってるっての!」

 

スマホの中のコハクに急かされ、さらに速度をあげる。

 

「カチューシャ・・・無事でいてくれ。」

 

そして目的地に到着した。

 

「カチューシャ!」

 

「畜生!離せこの女(あま)!」

 

クラインが見たのは、男の腕を背中に回し、地面に押さえつけているカチューシャの姿であった。

 

「はいはい、大人しくして。

下手に暴れると腕いためるよ?

・・・それとも。」

 

カチューシャら男の耳元に口を寄せ。

 

「このままへし折ってやろうか?」

 

その言葉と共に男の顔は青ざめ、大人しくなった。

 

「ふぅ。

あ、クライン。

ナイスタイミング、警察呼ぶからこれ抑えるの代ってくれない?」

 

「お・・・おう。」

 

クラインが代わりに男を取り押さえている間に、カチューシャが警察に通報をして、男は連行された。

 

遠ざかっていくパトカーを見送ってから、

カチューシャは背伸びをする。

 

「一件落着だね。」

 

「そうだな・・・いやちょっと待て。」

 

クラインはカチューシャの両肩を掴むと、

体を自分の方へ向ける。

 

「大丈夫か!?カチューシャ!

何もされてないか!?」

 

「うん、大丈夫だよ、ありがとうクライn」

 

例を言い終える前に、カチューシャはクラインに抱きしめられた。

 

「はぁー、よかったぁ。

コハクが来た時は肝が冷えたぜ・・・。」

 

「無事だって言ってるのに・・・大げさだよクライン。」

 

「バカ、何も出来なかったんだから心配くらいさせろ!」

 

そういったクラインの胸の中でカチューシャは、

 

(あぁ・・・なんだろう。

・・・すごく・・・暖かい)

 

そう心の中でつぶやき、静かに目を瞑った。

 

#####

 

SBCグロッケン。

 

スコードロンのホーム。

 

「というわけで無事解決しました、

お騒がせしました。」

 

カチューシャはスコードロンのメンバーに頭を下げた。

 

それを見て、キリトは苦笑いで返す。

 

「結局カチューシャの力技だけどな。」

 

「意外とヒョロくて簡単に制圧できた。」

 

「だからってあんまり危ないことしちゃダメよ?」

 

心配気味にアスナが言うと、クレハがカチューシャに詰め寄る。

 

「今度から簡単に知らないパーティのオフ会に参加しちゃダメよ?

VRMMOは性別を誤魔化せない分、直結厨が多いんだから。」

 

「うん、気をつける。」

 

カチューシャの回答に満足そうに頷くと、

クレハは視線を移す。

 

「で、護衛のために寄越したのに大したこと出来なかった誰かさん、なにか弁明は?」

 

その言葉にクラインは、うぐぐと気まずそうに言う。

 

「しゃあねぇだろ!

現場に着いたら全部終わってたんだからよ!

あーあー、俺はどうせ役立たずですよー。」

 

「そんなことないよ、クライン。」

 

カチューシャはクラインに歩み寄ると、

したから見上げるように微笑んで言う。

 

「呼んだら駆けつけて来てくれたところは、

すごくかっこいいと思う。」

 

「そ・・・そうか?」

 

「うん、またいつでもご飯食べに来てよ。

事前に連絡してくれれば作って待ってるから。」

 

「おう!カチューシャの手料理なら何倍でも食えるぜ!」

 

そういったクラインの両肩が、ものすごい力で握られる。

 

クラインが後ろを振り向くと、笑顔で殺気を放つクレハとツェリスカがいた。

 

「クライン?カチューシャの手料理がどうしたって?」

 

「お話聞かせてもらえるかしら?」

 

「ま・・・待ってくれ!

話せば・・・話せば分かる!」

 

2人に詰問されるクラインを見るカチューシャの頬は、微かに赤く染まっていた。

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