プロローグ
夕焼け空と星空が混ざる美しい刻…
その空の下、石畳の小さな広場に少年と少女の小さな影があった。少女が言った。
「明日、月上りの刻に約束の丘で待ってるからね!」
「わーかってるよ」
少年が答える。
「約束だからね!」
少女は天使のような笑顔でそう言った。
―
1 . いつもの朝
ケラスムの月 第2日
少女は朝早く起きた。しかしそれはいつもの事だ。布団から起き上がり、階段を降りる。オリュザの炊けるいい香りがする。母が朝ご飯の用意をしている。
「おはよう…お母さん」
「ルナ、おきたの?顔を洗ってらっしゃい」
「うん…」
目をこすりながら、棚の引き出しをあけ、麻のタオルを手に取り、裏口のドアを開け裏庭に行く。緑の地平線から太陽が半分姿を見せている。黄金色の朝日に目を細める。今は夏だが明朝なので空気はまだ涼しい。
「うーんっ!ふわぁ」
大きく背伸びをし、あくびをする。
井戸の釣瓶を落とし水を汲み上げ顔を洗う。
「ううっ。冷たい!」
夏でもここの井戸水はいつもキンキンに冷えている。眠り姫でもこの冷たさなら一発で目が覚めるだろう。タオルで顔を拭く。石組み作り家の屋根にある煙突から煙が出ている。
ルナは家に戻り、台所に向かう。
「なにか手伝うよ」
「ありがとう、じゃあゼアの実を3マスとってこっちの鍋にいれてくれる?」
「うん」
昨日テネリおばあちゃんから大量に貰ったゼアの実を3マスきちんと計り、水が入った鍋に入れる。
「そしたら、ミルクを2マス、ダシの実をひとつまみ入れて」
「はーい」
「そしてそのまま10ミニほど混ぜてくれる?」
「わかった」
ルナは木ベラでゆっくり混ぜる。ルナは毎日とはいかないが、よくこうして母の料理の手伝いをしている。
「そろそろね、見せて」
「こんな感じになったよ」
「いい感じじゃない。上手にできたわね」
美味しそうなクリーム色のゼアスープが作れた。
「ルナ、お皿並べてくれる?」
「うん」
アカシザの木で作られたお皿を3枚、お椀を3枚、コップを3個、スプーンとフォークを3本ずつ食器棚から出し、机に並べる。
「お母さんがついでおくからお父さん起こしてきて」
「わかった」
―
しばらくして父はルナに引っ張られながらふらふらと起きてきた。そしてドスンと席につく。
「おはよう貴方」
「あぁ…おはよう…ステラ。ふわぁぁお。」
熊がするような大きなあくび。
「お父さんだらしないよ」
「ごめんごめん。昨日は深夜すぎまで村で会議があって疲れてるんだ」
「だから昨日帰ってこなかっんだね、また酒場に行ったのかと思ったよ」
「でも酒臭いのはなんででしょうね?」
「んぐっ!」
ミンチェの葉で口臭は抑えたはずだがあまり効き目がなかったようだ。妻と娘に冷たい目で見られ流石に父は言った。
「悪かった。確かには飲んだよ、でも会議があったのは本当なんだ」
「どんな話だったの?」
ルナが聞く。
「そうだな、まだそれが言えないんだな」
「えー?どうしてー?」
「まだルナには早い。そんなことより早く食べよう。母さんが作ってくれたご飯が冷めるぞ」
「ごまかしてるんじゃないのー?」
「はい、そこまで。お父さんは今日も鍛冶で忙しんだから許してあげなさい。」
「はーい」
「今日は炊き込みオリュザ、マブシウリとパミドールのサラダ、そしてルナが作ったゼアスープよ。」
「うわぁ美味しそうだな。ゼアスープ、ルナが作ったのか、偉いぞ」
「えへへ」
「では、天の神スリバムと地の神セリべラムに感謝を。グラティアス…」
「「グラティアス…」」
―
楽しい食事を終え母は片付け、父は離れにある鍛冶屋を開ける準備をする。
ルナは学校の準備のために部屋に戻った。
「今日は法術の授業があるから楽しみだな」
ピンク色のパジャマから水色のワンピースに着替え、小さな革のカバンに教科書を詰め肩にかける。部屋を出、玄関に向かい水色の靴を履き、靴紐を結ぶ。
「はい、お弁当。ひっくり返さないようにね。」
「ありがとう。こけたりしないよぉ。お母さんこそお腹に赤ちゃんいるんだから無理しないでよ」
「そうね。ありがとね」
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
1人の少女が緑の坂道を下っていった。
はじめまして、櫛原薫です。久しぶりに小説を書くので緊張しています。しばらく訂正が続くと思いますがすみません。いきなりネタバレになりますが、今回はただのファンタジー小説ではなく夢の中の話です。しかし普通の夢とは違い、次の日夢を見ても、続きの夢を見るという能力をもった少年の話です。ある日をきっかけに毎日この少年は夢を見るようになります。夢を見るのが楽しみになるような小説を書いていこうと思うのでよろしくお願いします。