「うんしょ」
換気口から出た私は最初に薄暗く広い通路を目撃した。
明るく照らす筈の照明が壊れている為だろう。
「此処は何処なのだろうか?」
慎重に壁を着きながら降り立つ。
「ん?」
降りた時に異変に気付いた。
「これは…」
鉄の扉の前に落ちていた硬質な紙(カード)を拾う。
「…確か此処は」
…先程私が居た部屋の扉じゃないのか?
「待て!どうして。何でこれが此処に」
…可笑しいじゃないか。
此処は見た限りでは酷い有り様じゃないか。
何故管理者たる存在がこの有り様を収束していない?
「…!」
先程は気付かなかったが扉の横にはこの紙を挿入するらしい場所があるじゃないか。
「…ッ」
最悪な予感が過った。
「…もしあのまま部屋でのんびりとしていたらこの場所に入っていった謎の存在に自分は殺されていた可能性があった?」
こんな所に好き好んで来る奴だ。
頭が狂ってる可能性が高いだろう。
「…だが、これを落としたと言う事はこの部屋からは出られないと言う事か?」
一途の望みが脳内を支配する。
「…だが、其れ程までに慌てていたと言う事でもある?」
理性ある存在が:仮に:この場所に来た場合どのような理由が考えられる?
「生存者を探していたレスキュー隊の人がこの部屋に入っていったのか?だから誤った拍子にこれを落とした。
つまりこれを落としたのは扉を潜り閉まる直前の間」
手で顎を隠し考え込む。
「もしそうであるならこれを使うまでこの中に入っていった人は部屋に閉じ込められる事になる」
息を浅く呑んだ。
唾が渇いていて余計に口の中が渇いてしまう。
「…だが、そうでなかったら?」
私は手に持つカードを見やる。
「理性がある存在なら何故やけに静かなのだ?」
扉をジッと見る。
「人であるならこの出来事に慌てふためくはずだ。
なのに部屋の中から声が聞こえてこない」
そう言い先程通ってきた上を見やる。
「声を張り上げれば…。
慌ただしい物音がするならば…。
…先程の換気口から音が漏れる筈だ」
私は一歩二歩その扉から離れる。
「開けない方が良いのだろうと私の本能が告げている」
視線を扉から暗黒に染まる通路の先に移す。
「此処が何処なのか調べる必要がある」
歩き始める。
「名も知らない人。お前が落としたこれを有り難く頂戴するぞ」
そう言い扉を後にした。
キィイイイイイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい…。
まるで黒板に爪を立てるかのような音が内部から
か細い音として誰もいない薄暗い通路に響く。