鎌月鈴乃さんに変な属性をつけた話。(はたらく魔王様)   作:ほりぃー

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属性10 卑怯者 前篇

「漆原がいったぞ!」

 真奥は手に持った赤い銃をリロードしながら、鈴乃に言った。

「わかった!」

 鈴乃は真奥とは色の違う青い銃で「漆原」を狙い撃つ。電子的な発砲音がして、モニターの中で「漆原」がのた打ち回っている。

「とどめだ!」

 真奥もリロードの終わった銃で「漆原」をめった撃ちにした。たまらず「漆原」は悲鳴を上げて。倒れこんだ。しかし、最後に真奥と鈴乃に血走った目を向けて言った。

『僕を倒しても……第二、第三の僕が現れる……』

 それから「漆原」は赤い霧になって消えて行った。真奥と鈴乃はそれでも、銃を構えたまま油断しない。「前のステージ」ではやったと思った時に奇襲を受けたからだ。だが、真奥達の目の前にスタッフロールが始まり、製作者の名前は流れ始めた。

「や、やったのか」

 真奥はやっと銃を下ろして、呟いた。そう言ってから彼は、だんだんと胸にこみ上げてくる喜びに堪えられなくなった。

「そのようだな……まお」

「やったぜ、鈴乃! 漆原を倒した」

 真奥は思わず鈴乃に抱き着く、子供の様に彼は鈴乃へ笑顔を向けてはしゃいだ。だが鈴乃にはたまったものではない。

「なななのんあにうてょい」

 なにを言っているのか、鈴乃は悲鳴を上げる。それでも真奥は気がつかずに言う。

「千円以上コンテニューしたからなー。本気で嬉しい……。あ? 嬉しくねえのか、鈴乃」

「は、はなれろおお」

「おっと、わり」

 鈴乃の言葉に自分が抱き着いていることを自覚した真奥は、すっと彼女から離れた。別段恥ずかしそうにしているわけでもなく、抱き着いたのは本当に無意識かつ、漆原打倒で嬉しくなったからだろう。しかし、反面に鈴乃はそんな余裕などない。

「お、お前は、げ、ゲームぐらいで、こども。のように、そ、の恥ずかしくないのか」

「なんだよ、鈴乃だってすげえむきになってたじぇねえか。ラスボスが漆原に似ているからってよ」

「し、しかないだろう。いちいちあの顔で挑発されては腹も立つ……」

 

 彼らのやっていたのは無論ゲームである。

 ゲームセンターでは定番と言ってもいい、ガンシューティングを行っていた。当初は一人一人でプレイしていたのだが、この手のゲームはなかなかに難易度が高く、結局は一時休戦という形で二人プレイをしてしまったのだ。

 ちなみに彼らの言う「漆原」とはゲーム内のラストボスの顔が、ニートに似ていたためにそう呼んでいただけで。本当のニートは滅んでいない。設定上はこのゲーム内の「漆原」は吸血鬼の末裔らしい。

 真奥と鈴乃はそれぞれコードが筺体から伸びた銃を返してから、お互いに顔を見合わせた。真奥はその赤い目で鈴乃を見下ろす。鈴乃は、一瞬だけ目を合わせただけで、顔を背けてしまった。

「んだよ……。そんなに怒るなって……」

 真奥は言うのだが、鈴乃は怒っているのではない。これはコーヒーショップを選んだ時と同じ反応である。しかし、そんなことを気取られたくはない鈴乃は口をとがらせたまま言った。声は不機嫌にしないと不自然であるから、そうする。

「ふん。いきなり抱き着かれ……、あ、んなことをされてば、怒りたくもなる」

 噛みつつも鈴乃はなんとか真奥へ言う。真奥はさすが軽率だったと反省するのだが、本当に軽率だったのかはどうだろう。

「悪かったって。じゃあ、次のゲームはお前が選んでいいからさっ」

「…………」

「どうした?」

「いや、今私たちは休戦中だったな?」

 確かにそうである。ガンシューティングのゲームをクリアするために二人は勝負を一時預けている。真奥は少し考えた、「そうだな」と返した。

 鈴乃は真奥の返答を片耳で聞きながらも何も言わない。どことなく、そわそわしているようにも見える。真奥はいぶかしげに、彼女の顔を覗き込んだ。

「それがどうしたんだ?」

 真奥の目を見て、鈴乃は小さく肩を震わせた。だが今度は無言を通すことはなく、彼女は真奥へ提案する。

「あ、いや。どうせなら、休戦中にやっておけるものはしておかないと、といや別にいやならば」

「あっ」

 察した真奥が途端ににやにやし始めた。その顔に鈴乃は一歩下がったが真奥は一歩近づく。真奥にじっと見られて、鈴乃の目が泳ぐ。

「ななんだ、真奥」

「鈴乃。いろんなゲームを遊びたくなったんだろ?」

「っぐ」

「仕方ねーなー。休戦を少しだけ伸ばして、協力プレイできそうなやつとかかたっぱしからやるか―」

「わ、私はそんなことを言ってはいない!」 

 たしかにまだ言ってはいない。だから真奥は振り返った。彼は鈴乃と付き合いは数か月ではあるが、その性格上、意地を張ることは知っている。

「じゃあ、おれが鈴乃と遊びたい」

「は?」

 呆けた顔で鈴乃は「折れた」真奥を見る。真奥は鈴乃を見返しつつ、ふっと笑った。

「だから。俺が、遊びたいんだって。それじゃダメか?」

「えっ。い、いや。き、貴様がそういうのならば、別に」

「じゃあ決まりだなっ。良し、太鼓をたたきに行くぞ、さっき見つけた」

「太鼓? そんなものが置いてあるのか」

 鈴乃の返答を聞いた真奥はクルリと踵を返して歩き始めた。鈴乃はその後ろから、少し嬉しそうについていく。今の対応から真奥は自分を気遣ってくれたのだと彼女は思っているから、一層心が温かい。

 そんな鈴乃の前を行く魔王の顔は、邪悪な笑みを浮かべていた。

(くくく。まさかおれも他のゲームしたかったなんて、思ってないだろうな。ふはは、人間よ我が望みの糧となるがいい)

 糧と言うのはつまるところ、真奥も勝負抜きで遊びたかったのだが言い出しかねていたところ、鈴乃の態度を利用したということだ。先に鈴乃は意地っ張りであると書いたが、真奥も同じである。つまり先に言いだすのが真奥か鈴乃かのに鈴乃が言ってしまったのだ。

 つまるところ真奥も鈴乃と遊びたかった。

 

 ――もう一回遊べるドン 

「だあ? 意外に難しいなこれっ」

「いや、真奥が不用意にむずかしいモードにばかりするからだろう……。というよりも、貴様はここにきてからずっと難易度を高いものばかりにしていないか?」

 太鼓の達人を二人で並んでしながら、鈴乃は真奥の難易度のチョイスにあきれていた。マオリカートしかりDDRしかり、初心者のくせに真奥はとりあえず難しいものばかりに挑戦する傾向がある。

「だってよ。難しいもんをクリアした方が、達成感があるだろ」

「……それでさっきの踊るゲームでは私に完敗したのだな?」

「がっ、あ、あれは鈴乃が聖法気使ってただろっ」

「…………い、言い訳か。魔王も地に落ちたな」

 今日二度目のしょうもない言い争いをしつつ真奥と鈴乃は太鼓のばちを振るう。

 

 次に真奥達の来たのはメダルコーナーだった。最初真奥はメダルでゲームをすることを知らずに百円をゲームに投入しようとしたが、隣の人に諌められてなんとかメダルの存在を知った。

「ははは」

 と世界を震わせた真奥が知らなかったことを取り繕う為に、乾いた笑うを浮かべていた。

ちなみにその時、冷や汗をかきつつ鈴乃はそっぽをむいて、知らない人のふりをしていたから真奥は言う。

「ひ、卑怯者」

「ぐう」

 鈴乃はなにかに打ちのめされるように後ろへ下がる。真奥としても本気で罵倒しているわけではないから、完全にじゃれあいである。

 気分を取り直しつつ、真奥と鈴乃はメダルコーナーの中を見回した。ビデオゲームコーナーとは違って、モニターのついたゲームは少なく、代わりに装束が華美で巨大なガラス張りの筺体がおかれている。中には、メダルが入っているので、それを取る遊びだろうとなんとなく真奥は理解した。

 鈴乃はじゃらじゃらとメダルの鳴る音を聞きながら、真奥の後ろについていく。筺体の間は狭いのでそうしなければうまく歩けないのだ。

「うおお!?」

 真奥の声に鈴乃は体を震わせた。純粋に驚いたのだ。

「どうした?」

「見ろよっ鈴乃! 競馬をやってるぞ」

「ケイバ? ……競馬か? 馬鹿な、そんなものをやっているわけないだろう。こんな狭い場所で……」

 鈴乃は真奥を押しのけて彼の前に出た。何を見間違えたんだと内心では呆れながらである。もちろん真奥もそれを察してか、むっとした。

しかし、次の瞬間に鈴乃の表情が凍った。

 巨大なスクリーンが其処にはあった。その中にはでは、多くの馬がその速さを競っている。スクリーンの前には観客が座る用だろう、手元にミニモニターのついた椅子が整然と並んでいた。数は十から十五はあるだろう。

「こ、こんなところで競馬だと、ど、どうなっているのだ」

 鈴乃は目を見開いて驚いた。スクリーンに映っているのだCGによる疑似競馬なのだが、そんなことをとっさにわかるほど彼女は文明人ではない。

 真奥は鈴乃の横に立って言った。

「鈴乃さん? さっきこんなところでなんだって?」

「…………」

 鈴乃は己の間違いを的確についてくる悪魔の王へ肩を震わせつつ、思いっきりその悪魔の王の足を踏んだ。

「いってええ!」

 

 真奥と鈴乃はとにかくかたっぱしからやりこんでいった。時には、音ゲーと言われるような専門性の高いものから、はたまたアイスを取るような簡単なクレーンゲーム。ただし、さっきやったUFOキャッチャーには絶対に近づかなかった。

 休戦協定を結んでいるはずなのだが、時々思い出して二人は勝負した。それからまた忘れたかのように二人で遊ぶ。つまるところ勝負と銘打っているが遊んでいるだけである。

 まあ、当たり前のなのかもしれない。デートなのだから。

 真奥と鈴乃はさっきやったゲームについて、話ながら歩く。

「戦場の絆とか言うのは、すげえ操作難しかったな」

「ああ、貴様はなにをしたのか知らないが、敵に真っ向から突っ込んでいったからな」

「う、うるせい。ていうかビルの間に挟まってたやつにいわれたくないやい」

「な、なんだと。あ、あれはだな、この世界での銃撃戦では建物に隠れながらやるのがセオリーなんだ!」

「……後ろにまわりこまれてたくせに」

「く。貴様こそ、弾が切れたからと言って泣き言を言って気だろうが!」

 仲よく歩いていた二人は、数歩歩くだけで喧嘩をし始めた。それはそれで気が合っているのかもしれないが、彼らは一応のこと勝負中なので言い争いではすまない。

「いいだろう。真奥。決着をつけてやるっ」

「望むところだっ」

 いがみ合っているように「見える」二人の最終決戦が始まった。ちなみに彼らは今までやってきた勝敗の合計を覚えていなかった。

 

 ストリートファイターII。それが真奥と鈴乃の選んだ、最後にゲームだった。

 このゲームは、格闘ゲームの金字塔と言っていいほどに人気を博した、伝説のゲームである。1991年に発売されてから、爆発的な人気を誇り、一時期はこのゲームの勝敗によって乱闘が起こったこともあるといういわくつきでもある。

 ゲームの内容的には、いわゆる普通の格闘ゲームである。だが、勘違いしてはいけない。現行の数々の対戦格闘ゲームでいう「ふつう」を作り出したのは、ほかならぬこのストリートファイターIIである。

 今では当たり前な「コンボ」という概念を作ったのもこのゲームが奔りである。元々、単にバグの一種に過ぎなかったのだが、現在ではそれも広まり、格闘ゲームにはなくてはならない存在になっている。

 勿論、そんなことを真奥と鈴乃が知る由もない。彼らがこのゲームを選んだのは、単に二人で激高しあっていたときに、近くにあったからにすぎなかった。

 対戦用に作られたストリートファイターIIは筺体が向かい合うようになっている。真奥と鈴乃はそれぞれ反対側に座った。

「いいか鈴乃。この勝負に勝った方が最終的な勝者だからなっ。罰ゲーム忘れんなよっ」

 今の今まで完璧に罰ゲームを忘れていた真奥はそう鈴乃に言った。鈴乃は一端身を引きつつも、力強く言い返す。

「だ、誰が、貴様にき……などするか! 最初に言った通り、ほえ面をかくのは貴様だ。真奥!」

 筺体を間に挟んでいるので、二人は顔が良く見えない。しかし、お互いの気持ちが伝ったのか二人は互いに怒りの表情を見せた。「互いの気持ちが伝わる」とう状況で、怒りあうのはこの二人くらいのものである。

 真奥は筺体にお金を入れた。そして、さあゲームを始めようと――。

「なんだよ、鈴乃」

 いつの間にか、彼の横に鈴乃がいた。なんだか申し訳なさそうにしつつも、か細い声で彼女は言った。

「……お金を、ください……」

「お、おう」

 真奥は鈴乃にお金を使わせない宣言をして連れてきていたので、鈴乃は財布じたいもってきていない。真奥は複雑な心境で、鈴乃に数百円渡した。鈴乃は小さくお礼を言ってから、自分の席に戻った。

「よ、よし。始めようぜ」

「ああ……」

 真奥は必死に声をだして鈴乃を励ました。だが、なんだか鈴乃は彼の声を聞くたびに、情けなくなりそうだ。

「あーあー。こ、こんなにキャラクターがいるんだなー」

 真奥はわざとらしく、モニターに映ったキャラ選択画面について言った。

 ストリートファイターIIのキャラクターは、いろいろな国々の戦士や格闘家をモデルにしている。たとえば主人公のリュウは日本人であり、胴着に鉢巻と言う典型的な日本人格闘家の姿をしている。

 またはアメリカのガイルは金髪に筋骨隆々の軍人である。はたまた、中国では女性のキャラクターでチャイナドレスを着ている。余談だが、現在でも中国のキャラクターである春麗は人気が高い。

 しかし真奥の選んだのは、そのどれでもなかった。

(こ。こいつ。絶対強いだろ!)

真奥のの選んだのは全身を紅い衣装に包んだ大男である。その名はベガ。秘密組織シャドルーを束ねる悪の大物である。その顔には不敵な笑みを浮かべて、自信を現したような眼光が真奥にはストライクだった。蛇足になるが公式設定ではベガの好きなものは「世界征服」。真奥との相性はぴったりだった。

「勝ったな」

 真奥はそう言って勝利を確信した。鈴乃は特に声を上げることなく、黙ってキャラクターを選択している。彼女はなんとく優しそうな顔をした「ダルシム」を選択した。

画面が切り替わる。

 真奥と鈴乃は双方のキャラクターが、日本の京都を舞台に対峙する。何故ここにステージがなったかと言うと、単に真奥がてきとうに決めたからである。

「くくく。はははは」

 真奥は高笑いした。それもそうだろう、不気味な威圧感を持つベガに対して鈴乃のダルシムは貧相そのものの肉体である。真奥が侮ったのも当然である。

 その点では鈴乃も同じだった。

(まままずい)

あわあわと内心鈴乃はあわてる。明らかにベガとダルシムでは見た目の格が違う。それでも負ければ罰ゲームであるのだから、たまったものではない。良く考えずに決めたことを鈴乃は後悔した。

「ま、真奥。もういちど、選択し直して」

「勝負の世界は非情なんだよっ。さあ、いくぜ!」

 真奥が目の前のスティックを動かす。操作説明はコンソールにシールで張ってあったから、問題ない。しかし、勝負の前にあんなことのあった鈴乃には、そんなものを確認する余裕などなかった。

「あ、ああ」

 鈴乃はあわてた。操作が良くわからない。それでもベガ近づいてくる。

(も、もう駄目だ)

 鈴乃は悲壮なことを思いつつ、手前のボタンを押した。それはなにか狙ったわけではなく、ただで負けるのは悔しいと思ったことが行わせた無意識の動きだった。

「ヨガ」

 ダルシムが動く。ベガが近寄る。鈴乃は目を閉じる。

「うおっおお?」

 暗闇の中で鈴乃の聞いたのは真奥の悲鳴だった。

「?」

 鈴乃は目を開けて、画面を確認する。するとどうであろうかベガの体力ゲージが減っているではないか。何が起こったのか鈴乃は分からずに驚く。

「く、くそ卑怯だぞ。鈴乃」

「は?」

 真奥がなにか言っているが鈴乃はさっぱり状況がつかめない。彼女はとりあえず、さっき推したボタンをも一度押した。ダルシムは変な声を上げる、

「ヨガ」 

 インドの怪僧のダルシムの手が「伸びて」ベガにパンチをする。ベガはのけぞって、体力を減らした。そのダルシムの驚異的なリーチは、優に二メートルはあるだろう。これはさしものベガも近寄れない。

「……」

 代わりに鈴乃のダルシムがベガに近寄ってきた。真奥はあわててスティックを動かして後退するが、いかんせんステージはそう大きいわけではないので簡単に追い詰められてしまう。

 かちゃかちゃと鈴乃がいわゆる「がちゃ操作」を行う。どのボタンがどういう動きを擦るのかわからない初心者の動きである。しかし、どんな熟練者でも読むことのできないとリッキーな動きをするのでかなり厄介である。

「ヨガ、ヨガヨガ」

 なにかしら鈴乃がダルシムを動かすたびにダルシムパンチやダルシムキックが炸裂するので、手もなくベガはのけぞり傷つく。真奥は操作説明を見ただけの「にわか」であるために対応できない。

 ベガはダルシムよりかなり離れたところで、キックしてみたりパンチしてみたりと、悪の大物にしては無様なことをしていた。

「べ、べがあ」

 変な声を上げる真奥。クッパの時もこんなんだった気が鈴乃にはする。

「ふ、ふふ。この勝負は私の勝ちの様だな……」

 優しそうだな、などと言う理由で選んだキャラクターを使い、鈴乃は有利に立ったのだが、彼女は得意そうな表情を浮かべた。

 ダルシムとは曲者ぞろいのストリートファイターⅡの中でもさらに、色物なキャラクターである。そもそも格闘家ではなく、ヨガの達人である。健康体操をどのようにしたのかはわからないが、手足がゴムのように伸びると言う全キャラクター中最長のリーチが最大の持ち味である。だが――。

 ――K・O

 画面に表示される、真奥の敗北の文字。ベガは力なく、地べたにたおれた。

「……これで、私の勝ちだ」

 鈴乃は筺体からほっとした顔で立ち上がりかけた。だが真奥はギラリとした目で彼女を制する。

「まだだ……このゲームは二勝した方が勝ちなんだよ。お、おれのベガはまだ負けてねえ」

「……いいだろう。どうせ貴様のベガとやらは近づけもしないんだ。何度でも勝ってやろう」

 絶対の自信とともに鈴乃は真奥とにらみ合った。

 




お疲れ様でした。

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