とある街の平凡な日々。   作:水崎 鳴呼

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_____第零地点▽___




とある街の平凡な日々。

 

()()()()()()()()()()()()

皆が自分に対して願いを掛けてきて、それを叶えれば喜んでくれた。

「いつかお礼がしたい」「お祭りでの舞を見てほしい」「この子にあってほしい」

皆がそう言うから、何とか頑張って人の身体を覚えた。だって自分には何も無いから。そうして皆と一緒の姿をしたら皆が望んだとおりに何もかも出来ると思ってたのに。

 

_____■月■日 天外通り六番路地にて。___

 

冷たい雨が頬に当たる、自身の体から弾ける稲妻が焼いた火傷に染みていく、これは恐らく痛みなのだろう。

冷たく硬い地面を裸足で歩く、この地面は混凝土と言うらしい、初めて歩く地面だ、歩きづらい。

とうとう脚が絡まり倒れ込む。雨が降っている。冷たくて冷たくてああもう、眠たくて――

 

ふと目の前に足があった。足があるということは人がいるという事だろうか、先程は誰もいない道だったのに。倒れ込んだままじぃっと足を観察してると不意に違和感に襲われた。

足だ、黒いズボンを履いた大きな足、おそらく体格が良い男性だろう。だが靴の紐やズボンの皺を観察しようとするとぼやけてしまう、ソレを注意深く観察しようとすると脳髄に麻酔が回るかのようにぼやけてしまうのだ。

なんて考えていると急に視界が回った、おそらく目の前の者に抱き起こされたのだろうか、自分の姿勢から察するに抱き寄せられる様な格好だろうか、だが今はそれどころでは無い。目の前の者は―――いや、モノか。ソレは人ではなかった。首から上が霧のような実体に覆われてそれでなお何が蠢き申し訳程度の輪郭だけの顔がこちらを見ている。よく感じればこちらを抱き留める腕や身体からその霧のような実体が渦巻き混ざり合い何とか人の形を成しているような姿だった。

 

「ーー ̄ ̄ー-ー‐¿」

話しかけられたが何か違和感があってよく聞くとそれは言葉の様に聞こえる雑音であった、身体の安否を聞かれたので「だいじょ、うぶかな」と途切れ途切れに答えると安堵の音が聞こえた。

と、すると不意に目が眩んだ。クラクラと回り出す視界にようやく自分の身体が限界を迎えた事が分かった。

何かを言う余裕もなく視界が暗くなって、最後に見たのはやけに焦る不定形の顔だった。

 

遠くで聞きなれた祭りの笛がなっているような気がした。

 

 

 

 

 

_____■月■■日 某所にて。___

 

 

 

「……あ」

気が付くと知らない部屋に横たわっていた、申し訳程度の家具と妙に柔らかい木の床に乱雑に置かれたアングラな雑誌類、黒く煤けたYシャツが掛けられたハンガー。

キョロキョロと部屋を見渡していると奥の廊下から影が近づいてきた、おそらく先ほどのモノだろう。

「お前…さっきの奴だよな」

「- ̄ ̄‐-‐ ̄¿」

「か、身体?身体は、さっきよりは、マシだけど」

相変わらずノイズにしか聞こえない声を聞いてペタペタと身体を触るが先ほどの様に稲妻は零れておらず残った火傷痕も顔の右半分と左頬の所以外は大体完治していた。

驚いた、確かに身体の治りは早いとは思ってたが数時間で治るなんて。と感傷に浸っていると影がまたノイズを発する。

この街のこと、自分のこと、世話になっている奴がいること、()()()()()()()()()()()()()()()

「─‐‐___▅▂▂▂▅▅▂¿」

そして問い掛けてくる。どうしたい?と、器用に首を傾げるジェスチャーまでして。

街にいる間はある程度面倒を見てくれるらしいし悪いヤツでは無い、恐らく自分に対しては。

「……先に言っとくけど俺なんにも知らないからな」

「▂▅▅■▂▅___¿」

「それに多分、これから面倒な事がどんどん起きるぞ、それでもいいのか?」

「―――-- ̄ ̄ ̄-‐」

「そっか、別にお前の縄張りとかじゃないから良いのか…拍子抜けした……」

肩を落として貌の無いソレを見る。深く焼けて痛む表情筋を酷使して口角を吊り上げる。

 

「それじゃあ宜しく、邪神サマ?」

 

 

 

 

 

 

 

_____■■■■■にて。___

 

「あいつ誰だ」

「ああ、アレですか?」

「そうそう火傷の奴」

「アレは私の旧知の…いやあなた知ってますよね?バリバリ名前知ってますよね?」

「しらなーい、教えて奈々ー」

「えぇ…あなたネタバレ嫌いとかいうじゃないですか……」

「別にアレが宇迦之御魂神の名も無き分霊であろうと外宇宙の使者の役割を分け与えられた役者であろうともヒトの願いを叶える為に生まれたカミサマであろうとも俺に関係ないし」

「知ってるじゃないですか」

「まぁウカの話はいいよもう、今後たっぷり読めるし。それより次だ、お前お気に入りのアイツ」

「ああ、あの人間ですか?」

「そうそう!アイツは良い主人公だ、見てて飽きない」

「あっそうですか」

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「……あなたもそろそろその矛盾治してくださいよ」

「やだ」

「はぁ、じゃあ私は舞台に戻りますので」

「ん」

 

「……だって悲しいじゃないか」

 

「人は死ぬ、とても悲しい」

 

「だから俺はこの箱庭を作ったんだよ」

 

「人は不老不死を求める」

 

「この街は永遠に死ぬ事は無い」

 

「ほら、誰も悲しまないし俺も楽しい!」

 

「ずっとずーっと、この日々を繰り返そうじゃないか!」

 

 

 

 




まぁループなんですよこれがまた(壮大なネタバレ)

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