プロローグ『その日俺は…』
プロローグ『その日俺は…』
当たり前だと思ってた…当たり前の日常…ミッドチルダで父さんや母さん異母兄弟達と暮らす健やかな日々…
毎日が楽しくて飽きない…そんな日常が何時までも続く…そう…本当に思ってた…
……新暦70年……冬が肌寒くなる季節が近づく中、俺は管理局のゼスト隊に所属していて、とある違法研究所…かのジェイル・スカリエッティの研究所が発見されたという報告が上がり、取り締まりのための突入作戦が敢行された。
しかし、それはどこからか情報が漏れていた。
『くそぉ!』
俺はただ嘆きながらルミナスザッパーを振るう。
魔力刃と実体刃の混合しているその剣はいとも簡単に鋼鉄の装甲を切り裂き、俺達の命を刈り取ろうとする機械達…ジェイル・スカリエッティの下部達と相手取る。
『はぁ……はぁ…こいつら何体いるんだ』
既に息が切れかけている…体も上手く動かないし、魔力ももう残り少ない…頼れるのは自分の気力と…今も後ろを守ってくれている…同じ隊員であるメガーヌさんだけ…
ゼスト隊長とは、はぐれクイントさんは俺達が揺動している内に単騎で敵陣を突破していった。
他の隊員は…もう…
唇を甘く噛み絶望的な現状に悲観に思う中後ろにいるメガーヌさんに話しかける。
『…どうします…この現状…』
「正直に言えば私達2人ともここまでかしらね…」
やっぱりメガーヌさんも同じ心境か……此処で果てるならもっと……楽しみたかったな……
「でも1人なら何とかなるわ」
『え…っ!?』
突然のことで声を上げたのも束の間俺の足元にベルカ式の魔法陣…しかもこれは多分次元転移魔法!?
取り乱した顔でまたメガーヌさんをみると戦い中とは思えない笑みを浮かべていて…その時俺は察してしまった。
この人は残りの魔力で俺を助けようとしている。
『メガーヌさ…』
名前を呼ぼうとしたけど途中で意識が途切れる。次に目を覚ました時…見た光景は…転移させる前の研究所でもなくましてや故郷であるミッドチルダでもない別の世界だ。
今いるところはオフィスビルの屋上のようだが下を見ると車や人が往来して、上には真夜中ということで星が輝き月が1つ…辺りを照らしていた。
『…………』
何も言えない……ただ吐いた白い吐息を見つめながら空を見上げた。
失った……仲間も友達も家族もいるべき居場所も……
残っているのは右手に持っている相棒、一振り……
あんなに暖かい日常が散華する花のごとく吹き飛んだ……俺はただ…それだけあれば良かったのに……
『うわあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!』
ただ虚しく雄叫びを上げる
その日俺は…自身の相棒を残し全てを失った