巴マミと出会うのは間違っているだろうか   作:銀剣士

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2話

 エイナに挨拶をしてギルドを後にしたベルとマミは、所属することになったファミリアへと辿り着いた。

 

「ここが……」

 

 ベル曰く、此処は神が降りてくる前の時代に信仰されていた宗教の教会跡なのだそうな。

 

「良いんじゃないかしら」

 

 これから過ごすホーム、そこを見たマミに何を言われるかと思いきや、返ってきたのは好意的な言葉。不思議に思うベルの顔を見て微笑んだマミはその理由を謳う様に語る。

 

「白の英雄と呼ばれた男の始まりの地は、廃れた教会でした……なんて英雄譚の始まりとしてはきっとありふれているのかも知れないけれど、素敵な導入だと思うわ」

 

 それを聞いたベルの顔は一気に朱に染まり、ぎこちなく体を動かしてマミを廃教会にエスコートした。

 

 

 

 

「君がベルくんが言っていた巴マミさんだね」

 

 案内された地下の部屋で待っていたのは豊かな黒髪を左右で縛った少女。一部はマミにもひけをとらない程に豊満である。

 

「はい、巴マミと申します、女神ヘスティア」

 

 出会った事のある人々とは一線を隔すその雰囲気は、何とも神聖さを思わせるそれは、嘗て共にあった佐倉杏子が感じさせたその雰囲気に似ているものだった。

 

「そんなにかしこまらなくても良いさ、神と言ったところで力の大半を封じた、ただの不老不死な存在ってだけだよ」

 

 それはそれで十二分に凄いと思うとは口にしない。

 

「さて、そんな事よりもだ、ベルくんから聞いているけど、君の言葉で聞かせて欲しい、ボクのファミリアに入ってくれるかい?」

 

「こちらからお願いしたいと思っておりました、是非お願いいたします」

 

 頭を下げたマミに、ヘスティアはよしっと気合い一発、早速神の恩恵を刻もうかと提案し、そこに居るベルをからかうように『マミは君に裸を見せられるほど仲が良いのかい?』と口にすれば、ベルは慌てて地上に向かって駆け出していった。

 

「じゃあ上着を脱いでベッドに俯せになっておくれ、神の恩恵は背中に刻むからね」

 

「わかりました」

 

 女同士であるからか、マミも躊躇いなく上着と下着を脱いで、ベッドに横になる。

 

(うーんこれはかなりの逸材……ファミリアの規模はまだまだ負けてはいるけれど、彼女の戦闘力はロキの奴にハンカチ噛ませさせるには十分だ)

 

 それをどこを見て思ったかはお察しである。

 

「刻むと言ってもボクの血を垂らすだけだから気にしなくても良い、じゃあいくよ」

 

 机から取り出した針で指先に血溜まりを作って一滴垂らす、するとマミの背中に光が宿り、文字が浮き上がる。だが、浮き上がった文字にヘスティアは思わず眉をひそめ、間の抜けた声を漏らす。

 

 

 

Lv:3

 

力:C629

耐久:D541

俊敏:A859

器用:S939

魔力:S912

 

スキル

【一機必勝(ワンチャンアレバカテルゥー)】

・『神』又はそれに近しい者以外と相対する時発動

・発動時一部ステイタスに上方補正

・『レガーレ』発動時間短縮及び拘束強度上昇

 

 

【魔法少女(ピュエラ マギ)】

・魔石から直接『経験値』を取得可能

・ステイタス更新時最終値上昇補正

・『契約』による独自の魔法習得

・『穢れ』の蓄積可能量は『経験値』で増幅する

・『穢れ』は魔法を使うと蓄積され〓〓Κ∮&

 

error

・error

・error

 

 

 

(……スキル……ではある、うん、レアとかってレベルじゃないくらいあれだけど一部なんか文字化けしてるしこの三つ目に至ってはなんだいこれ……と言うかこのステイタスなにさ!?レベルが3……これ彼女がなにか事を成せばすぐに4になるぞっていうか何でここまで上がってるのに4じゃないのさ……っと、どこまで知らせたものか……)

 

 ベルくんは普通だったのになぁと思いつつも、マミに一つだけ聞いてみることにした、それは【魔法少女】の項目にある『契約』についてだ、神の恩恵を授ける事を『契約』とは言わない、するとマミの口から語られたのは、信じられないものであった。

 

「命の冒涜甚だしいね、もしもこの世界にそのキュウべぇと言うのが居れば、ボクたち神々は決してその存在を認めないだろう。ボクたちは、願いを叶える一助にはなると信じて『神の恩恵』を授ける事もあるけど、願いその物を叶える事はしない、当然無理にダンジョンでモンスターを狩れとも言わない、戦いが嫌いな子にはね」

 

 だが、マミが語る魔法少女は、戦いを決して避けられない、ソウルジェムという物を見せて貰ったが、それから感じるのは人の魂その物、フレイヤ辺りに見せれば嫌悪を示すだろう、彼女は人に宿る魂の色を見るのが好きなのだ。

 

「それにグリーフシードだっけ?そんなものは残念だけど何処にもないんじゃないかな、と言うかこのスキルの項目を見るに、浄化そのものはさして必要じゃないのかもしれないよ?」

 

 自身のステイタスを書かれているのであろうその紙には、読めない文字が書き列ねられている。

 

「マミ、どうしたのさ?」

 

「えっと……読めません……」

 

 それを聞いたヘスティアの行動は早かった、ベルに留守番を頼み、ギルドへと向かう。そのギルドでベルの担当となった受付嬢、エイナの元に行き冒険者手続きをマミの代理として済ませると、エイナに向かい。

 

「済まないけれど、彼女に読み書きの基本を教えられる本を貸して欲しい」

 

 ギルドでは共通語の教育も行われる事もある、理由としては簡単で、オラリオに集う人種は多岐に渡り修得言語も必然的にそれに準じて様々なのだが、それではオラリオという『世界』に於いて不都合極まりない。それ故にギルドに申請すれば、ファミリアに所属・非所属関係無く学ばせてくれる。

 

 勿論、先程のヘスティアの様に必要資材の貸し出しを望めば、ファミリア単位にではあるが貸し出しも行っている。

 

「少々お待ち下さい、ご用意致します」

 

 ベルが共通語を修得しているのは知っている為、必要数を訊ねる事無くエイナは席を外す。

 

「本当ならこのギルド内で開かれる共通語教室で学んで貰っても良いんだけど、折角なんだしボクと色々話をしながらで良いだろう?」

 

 ベルには明日、此処での講習会が待っている、文字さえ読み書き出来るのであればマミもそれに参加出来るはずだったのだが、それは致し方無い。ヘスティアの申し出は既に断れない状況ではあるが、元より断るつもりもないと言うことで、お願いしますと頭を下げるのだった。

 

 

 

 

 マミが共通語の修得を始めてから十日、ベルは余裕をもって地下2層に潜れるようになり、稼ぎもその日のジャガ丸くんが二個に増やせる程度には増えている。

 

 さてマミはと言えばヘスティアのバイトを手伝っている、主に新しいジャガ丸くん開発ではあるが。

 

「マミ!新作のゴロ丸くんとメンチくん、それにチーズ派おジャガ丸くんの売り上げは今日も絶好調だぜ!」

 

 ゴロ丸くんは従来のファン層を中心に、メンチくんは男性や冒険者に、チーズ派おジャガ丸くんは女性や子供を中心に流行し、オーナー曰く開店以来初めての売上を記録しているそうだ。

 

「そう、良かったわ、みんな受け入れてくれているのね」

 

 マミ自身が店頭に余り立つことはないが、こうして材料の買い出しや。

 

「うん、あ、そうだ、ヘファイストスのところへの配達分出来てるよ、持っていっておくれ」

 

 と、こうして各ファミリアからの注文を承けて届ける、要するにデリバリーを任されている。

 

「ええ、確かに」

 

 このデリバリーは前日に発注を承けて、当日作って持っていくという物で、始めてから一週間他ファミリアからの評判はそこそこに良く、早くも固定客としてヘファイストス・ファミリアとミアハ・ファミリアが着いていて、幸先は良いだろうとはオーナー談。

 

「あの……チーズ派おジャガ丸くんを……えっと10個ください」

 

「はいよ、ちょーっと待ってておくれチーズ派の作り置きはちょうど切らしてしまっててね、すぐに作るよ!」

 

 個人の固定客も増えてきているのは実に有難い、今注文をした金髪金眼の少女はチーズ派の大ファンとなってくれた。

 

「いつも買ってくれるのは嬉しいけれど、そんなに食べて平気かい?」

 

「うん、ダンジョンに潜れば何ともない」

 

 簡単な運動でもするかのように言うが、ダンジョンはそんなに優しくはない、だが少女にとって見れば遠征で潜るほどでない浅い階層はその程度のものである。

 

 レベル5『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

「それにもうすぐ大遠征があるから、お腹いっぱい食べておきたい」

 

 ベルとの邂逅まで後僅か……




【ゴロ丸くん】
・ジャガイモの食感を楽しめる一品、ホクホク感もアップ!

【メンチくん】
・牛粗びき肉を大胆に使った一品、溢れる肉汁はアツアツ!

【チーズ派おジャガ丸】
・ジャガ丸くんのタネにチーズを入れた一品、トロリ蕩けるアツアツを楽しもう!
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