転生したら、異常な程事件が起きる世界だったんだが   作:紫最槻鱗

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遅れてすいません。

有言実行出来ませんでした。
すいません。

今回は少し笑い?有りです。
では、楽しんで頂けると幸いです。


五話

結局、先程の休み時間以外で帯人に話し掛ける勇者は居なかった。

まあ何度か話し掛けようとした人間は居るには居たのだが、帯人の無表情と謎の威圧感と雰囲気に呑まれて話し掛けるには至らなかったようだ。

 

しかし誰も話し掛けてこないという状況に一番驚いていたのは、話し掛けづらい要素を凝れでもかと出している帯人だった。

 

確かに無愛想で威圧的で、普通ならビビって話し掛けられない人間トップ3に入る様な帯人だが、普通に分類されないであろう人間であり、ある意味大蛇丸に似た探究心を持った人物・・・つまり新一ならば積極的に自分に疑問をぶつけてくるのではないかと思っていた。

そう予測していた、と言ってもいい。

だが結果はどうだ?

そろそろ4時間目も終わる頃だというのにそれまでの休み時間、ついぞ新一が話しかけてくることは無かった。

その分探るような視線はグサグサと帯人に刺さって居た訳だが、それだけだ。

しかも他のクラスメイトの様に話し掛けようとする素振りすらなかったのだ。

 

そしてそれを疑問に思っていたのは帯人だけではなかった。

新一の幼馴染である蘭と園子も、帯人程ではないにしろ驚いていた。

 

それもその筈、彼女等にしてみれば工藤新一とは先程言った通り幼馴染の関係に当たる。

その分、彼がどの様な人間なのかは此処に居る誰よりも知ってるのだ。

つまり、好奇心旺盛と言えるあの工藤新一が、疑問を感じたら直ぐにでも解決しようとするあの工藤新一が、転入生である団扇帯人という少年に4時間目が終わるのではないかというこの時間まで、まだ話しかけていないのだ。

此れは驚くしか無いだろう。

 

しかし簡単な話、新一も帯人の威圧感と雰囲気に呑まれていただけだった。

 

常人とは違う頭脳と精神力、そして好奇心(狂気)を持っていたからこそ、新一は帯人の謎の威圧感と雰囲気を他の誰よりも感じていた。

その正体こそ解っていないが、流石に罪深い程の愛情(狂気)を持ち、この世界よりも圧倒的に物騒な世界で黒幕として暗躍して居た帯人が発する威圧感と雰囲気は、少々堪えたらしい。

 

まぁ、故に新一は帯人に更なる疑問を持ったようだが、これは仕方がないだろう。

なにせ、殺人事件等様々な事件にも物怖じしない程の今現在の彼自身が帯人に呑まれていると実感し、且つ抗えないのだから気にするな、という方が無理である。

例えて言うのなら、常人が天才達の中に投げ入れられ、その場の卓越した才能の差と雰囲気に後退り呑まれるのと同じことだ。

 

今の帯人と新一には其れ程の差が有ると言ってもいい。

片や愛故の狂気、片や好奇心故の狂気、同じ狂気を持っているにしても、その差は雲泥の差、月とすっぽんである。

世界を相手取る程の愛の狂気にとって、異常でも何でもないただの事件の真実を知りたいという好奇心の狂気は、それこそ赤子のようなものだからだ。

 

結果、帯人は自分が異常だとは理解しているが其れが周囲に与える影響を分かっていないため、新一が何故話し掛けて来ないかが分からず、新一は本能的に帯人に恐れに近いものを抱いていて話し掛ける至らなかった。

二人の現状を言葉にすればこんなものである。

 

故に帯人は新一からの視線を感じていても警戒を緩めず、帯人が警戒心を緩め無いのをまた本能で感じたのか、新一は4時間目が終わった後に帯人に話し掛ける気満々になった。

 

そして4時間目が終わる。

 

「起立!気を付け、礼!」

 

『ありがとうございました』

 

授業を終えた生徒が弁当を取り出す。

学食へ行く生徒も居る。

そんな中新一はぐるんと身体の向きを変え、帯人に向き直る。

 

「なあ団扇、一緒にメシ食わないか?」

 

それに帯人は驚いた様子もなく少し間を置いてから

 

「学食で無いなら構わんぞ」

 

オレは然程食わんからなと了承する。

 

「おう、俺も今日は学食じゃねえから丁度良い。

ああ、あと二人居るけどいいか?」

 

「構わん」

 

その中で二人に近付くのは安定の蘭と園子の二人だ。

 

「新一、団扇君、良い?」

 

「新一君、団扇君、良いかしら?」

 

「おう、良いってよ」

 

そしてそのまま自己紹介に入るようだ。

 

「団扇、俺は工藤新一だ、よろしく」

 

「私は毛利蘭、よろしくね」

 

「私は鈴木園子よ、この夫婦の幼馴染。

よろしくね」

 

「「夫婦言うな!」」

 

「ククッああ、さっきも言ったように団扇帯人だ。

宜しく」

 

「「そこは笑わない!」」

 

「相変わらず息揃ってるわねぇ」ニヤニヤ

 

「確かに夫婦だな」ニヨニヨ

 

「お前ら、なんでンなに息揃ってんだよ」

 

「と言うか、今の少しの間で団扇君の印象すっごく変わったんだけど・・・」

 

「ふふっ、あんた達が面白いのよ。

ねえ、団扇君」

 

「ククッああ、見ていると愉しい」

 

「グッ今のたのしい、ぜってぇ楽しいじゃなかった!

愉しいだった!そんで俺も団扇の印象がすげぇ変わったわ」

 

「そうか?」

 

「おう、もっと堅物っぽいのかと思ってた」

 

「私も」

 

「あっ私も」

 

「堅物・・・・では無いな。」

 

「まあ、良いじゃない。

それで団扇君、私貴方と気が合いそうなんだけど気のせいかしら?」

 

「さあ、どうだろうな」

 

「あら、愉しかったでしょ?」

 

「ああ、現在進行形で愉しいな」

 

ふふっククッと二人の笑い声がこだまする。

 

「・・・なあ蘭、俺は今あの二人を合わせたことを猛烈に後悔してる」

 

「新一も?私もちょっと後悔してるよ。

と言うか、団扇君が予想外すぎたね」

 

「ああ、やっぱ話してみねぇとわかんねぇもんだな」

 

少し死んだ目の疲れた二人が居る。

今の少しの間で園子の夫婦弄りに帯人がノったことで嫌な予感がしたようだ。

そして帯人がこんなにノってくる理由は簡単である。

 

前の世界でオビトはトビとして暁のデイダラを「せんぱ~い」とおちょくっていた。

最初は飽くまで演技だったのだが、結構愉しかったのか最後辺りは演技関係無くおちょくっていたのだ。

此処で間違っていけないのは、"楽しかった"では無く、"愉しかった"と言うことだ。

つまり帯人はオビトの時に愉悦を覚えたが為に味を占めたのだ。

ハイ其処、黒幕が何やってんだとか言わない。

マダラの戦闘狂も愉悦ってるのがあるから。

もともと素質有ったんだよ多分。

其れがずっと"マダラ"やってて開花しただけだから。

仕方なかったことなんだから。

Sは無自覚なSを引き付けてSに進化させるから。

あの感染力は凄いから。

G並だから。

 

閑古休題

 

 

「で、メシは食わんのか?」

 

「そうそう、二人とも戻ってきなさいよ」

 

「「ハッ」」

 

二人の目に生気が戻る。

 

「机移動させようか」

 

「そうだね」

 

と思ったら黙々と机を移動させている。

その元凶である二人と言えば・・・

 

「・・・・・・ッ」フルフルフル

 

「・・・・・・ククッ」プルプルプル

 

「・・・フフッ漏れてるわよ団扇君」フルフル

 

「・・・ククッお前もだろう鈴木」プルプル

 

嗤っていた。それはもう愉しそうに愉しそうに。

 

はいせーの

 

「「このドSコンビ‼(泣)」」

 

だがそれは悪手だ

 

「ふふふっあんた達が面白いのが悪いのよ」フルフル

 

「・・・・ッ」プルプルプル

 

「フフッほら、団扇君呼吸困難になってるじゃない」フルフル

 

「・・・ククッお前等面白いな」プルプル

 

「「其処まで嗤わなくたって良いだろ(でしょ)!!!」」

 

 




五話、終わりました。
句読点の量を少し減らしてみましたが、もし読みづらかったのなら教えて頂けると助かります。

作中で書いたようにSって凄いですよね。
知ってました?SとSって+じゃなくて×になるんですよ。
はっきり言ってMとMも面倒臭いけれど、其れ以上に面倒なんですよね。
だってSって感染しますから。
ノーマルもSになるんですよ。
そんでもって目覚めるんですよ。
愉悦に。

さて、次で帯人と新一達の出合い編?は終わりにするつもりです。

またお会いできたら嬉しいです。

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