血濡れの銃剣士   作:榊晃輔

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 修正が入っているだけになります。

 ミスで削除してしまった為上げ直しです


十四回目。アイドル?

十四回目

 

 

 

 

 

 

夕陽が目にしみるこの時間からご協力頂くのはちょっとマズイので何処かで時間を潰しつつ探そうかな?

 

フラフラと裏通りに入り酒場へ辿り着いた俺は一番端の席へと座り品定めを始める事にした。

 

 

 

「ソーマさんが御一人なんて珍しいですね」

 

「えぇ…今日は満月ですから」

 

「そうですか。ごゆっくりどうぞ」

 

 

 

コトンと音を立ててグラスがひとつ自分の前へと置かれた。

 

注文しなくても何かしら出てくるっていうのは常連客の良い所だよね。

 

グラスを持ち上げ透き通るような透明な液体を口へと運ぶ。

 

うん、強過ぎて倒れそう。

 

毎回思うが何故これが一番初めに出されるのかよく分からない。

 

多分エマさんとおんなじだと思われてるんだろうけど俺にはキツすぎる。

 

因みに中身はウォッカだ。

 

 

 

「ふぅ…相変わらずな味だわ」

 

 

 

さて、酒を楽しんでるというか嗜んでいるというか…そんな事をしに来たわけではないので本来の目的を達成する為に周りの席を見渡す。

 

客入りはこの時間にしてはそれなりに多いと思う。

 

まぁまだギリギリ日が出ているのだから満席状態だったらちょっと…色々とダメだね。

 

 

 

「あーどうしようか…」

 

 

 

正直、選ぶのは中々苦労するというか選り好みしてしまう所があるので時間がかかる。

 

俺と同じくしてカウンターに座っている女の人が一人。

 

見た目からして多分媚館の方だろうが仕事の前にここに来るなんて大丈夫なのか?

 

アリだけれどとりあえずは保留でいこうかな。

 

テーブル席で二人組で座っている女の子が…いや、あれどう考えても未成年だろ。

 

確かにココでは酒に年齢制限とか無いけど流石に暗黙の了解とかあるよ?

 

うわぁ…身なり的には冒険者か?装備もソコソコっぽいし。

 

あぁ…もしかして見た目は子供中身は大人ってやつか?

 

頭脳は知らん…ああいうのはアホの子が多い気がするから楽かなぁ…

 

とりあえず俺は変態紳士ではないので…でも中身がソコソコなら…

 

 

 

「…イカン…酔ってるな」

 

 

 

危ない考えに走ってしまったのを酔のせいにして次に向かう。

 

同じくテーブル席で座っている女性が一人。

 

後ろ姿しか見えないので何とも言えないがどうだろう?

 

肩ぐらいに整えられた髪は黒でサラッとしている感じは綺麗そうなんだが…振り向いてくれないかな?

 

振り向けぇと念じてじっと見ていたら振り向いたその女性と目があってしまった。

 

少しばかり幼い感じを残すその顔はとても整っていて美しい。

 

数秒の間視線が重なっていたが見つめているのはどうかと思い俺が逸らした。

 

 

 

「隣…良いかな?」

 

「あぁ」

 

 

 

逆効果だったようだ。

 

先程まで見つめていた女性が隣に来ちゃうとかどうするんだよちょっと気不味いよ!

 

話し掛けるにも何を話すべきか…謝罪したほうがいいかこれ?

 

グラスを傾けながら少しばかり考える。

 

 

 

「キミ…人間じゃないよねー?」

 

「…」

 

 

 

予想外の切り出しに反応が遅れてしまった。

 

どの場面でバレた?目と目が合う瞬間か?少しでも動揺したらその時点でアウトだ。

 

聞き流すかのようにしてグラスの中身を一気に流し込み一呼吸置いて話をすることにした。

 

 

 

「どうしてそう思う?」

 

「なんとなく…かな?」

 

「あっそ…んで人間じゃないとしたらどうすんの?」

 

「どうもしませんよーだ」

 

 

 

何だよコイツ…調子狂うというかなんというかやりづれぇ…

 

突き止めたところでなんの特にもならないなら聞いて来るなよ。

 

興味本位で人を疑うのは良くないぞ?まぁあってるからなんとも言えないけど…

 

 

 

「キミ、名前は?」

 

「ソーマだ」

 

「アタシはリッカ。よろしくソーマ」

 

「あぁ」

 

 

 

何がよろしくなんだよ?つか何で自己紹介したんだ?

 

その後も特に何がある訳でもなく時たま飛んでくる質問に対して適当に返しながら酒を煽っていた。

 

そうしたらまぁ…俺は勿論大丈夫だったのだが…リッカはそうもいかず…

 

 

 

「あはっソーマぁ…もっと飲もうよぉ」

 

「ダメに決まってんだろ…馬鹿かお前は…」

 

「やぁーだぁー」

 

 

 

めんどくせぇ!だいたい自分で立てなくなるまで飲むんじゃねぇよ!

 

外に出てから肩を貸しやってるがこの調子だ。

 

しょうがないから今日の獲物は彼女でいいか…どうせ吸血時は魅了使うし記憶無いから大丈夫だろ。

 

貧血で倒れるほどヤワでは無さそうだしな。

 

 

 

「ったく…ほら、しゃーなし休むから行くぞ」

 

「行く行くー」

 

 

 

腕を絡ませながらしなだれ掛かってくるリッカ。

 

控えめながらもしっかりとした柔らかさを伝えてくる女性特有の2つの膨らみが押し潰さんばかりに腕にくっつけてくる。

 

…正直、辛抱たまらん。

 

と言うかホントに分かっていつてきてるのかすら怪しいな。

 

そのまま俺は近場にあった宿の部屋を一部屋借りてリッカをベッドに寝かせた。

 

怪しい店じゃなくて普通の宿だからな?勘違いするなよ?

 

 

 

「ほら、このまま寝てろ」

 

「じゃあ一緒に寝よー」

 

「バカ言うな…大人しく寝ろって」

 

 

 

近場にあった椅子に座って窓のそばへと移動し外を眺める。

 

随分と遅くなってしまった…メルが心配してそうだなぁ…ちゃっちゃと切り上げて帰ろうか。

 

ここなら放置していったところで問題にならないだろうし。

 

そう思って椅子から立ち上がろうとした時に窓に映る影が一つ。

 

咄嗟にカドラを腰から引き抜いて剣の部分を相手の首元へと持っていく。

 

同時に冷たい金属の感覚が2つ…首の両側からだ。

 

 

 

「おいおい…一緒に飲んだ仲なのにその仕打ちはどうなんだ?」

 

 

 

目の前に立つ女性の顔には満面の笑みが浮かんでいる。

 

えぇ…何か怖いよ…殺人鬼か何かかよこいつは?

 

 

 

「えー?だってキミ魔族でしょ?なら討伐対象だし」

 

「…はぁ?」

 

「アタシこれでもソコソコ名の通ったデビルハンターなんだけど知らないのー?」

 

「知らんけど」

 

「えー?武装都市バルマスケで"戦うアイドル"と言えばこのアタシのことだよ?」

 

 

 

あ、いや、そんなドヤァみたいな顔されてもこっちは反応しづらいんですけどどうすればいいですかね?

 

武装都市バルマスケかぁ…またえらく遠いところから来たなリッカも。

 

デビルハンターって事は悪どい魔族や魔物等を専門にしている月風館の人間か。

 

 

 

「あそこの人間って害ある奴だけ狩るんじゃないのかよ…」

 

「害になる前に狩るのも一つの仕事かなー」

 

「んで?俺は害になると」

 

「多分ねー」

 

 

 

コイツっ!?

 

ちょっとイラッと来て殺気が漏れたのか首筋に感じる刃が少し食い込んだ気がする。

 

 

 

「そんなに殺気出さないでよー!」

 

「…」

 

「睨むのもやめてほしいなー」

 

「…はぁ」

 

 

 

もうさっさと吸血して帰りたい。

 

魅了使おうかと思ったけどそういう類の耐性は付けてるだろうしめんどくせー。

 

カドラを腰に戻してもう一度ため息を一つ。

 

 

 

「面倒だから帰るわ。じゃあな」

 

「動かないで」

 

 

 

くるっと後ろを向いたら今度は首と心臓に狙いを決めて剣を突き立てられる。

 

…もう決めた。

 

ちょっとだけ本気出す。

 

 

 

「…おい」

 

「何かな?」

 

「もうウンザリだ…ちょっと反撃させてもらうぞ」

 

 

 

首元に当てられた剣を素手で摑み肩を軸にしてへし折る。

 

その瞬間心臓に目掛けて剣を突き出してくるが…勿論到達するはずも無くマントに食い込む程度だ。

 

 

 

「そん…な」

 

「やれると思ったか?悪いけどそんな装備じゃ無理だな。コイツを貫きたきゃSランククラスを持ってこい」

 

 

 

形成は逆転して今度はこちらが追い詰める番だ。

 

一本になった片手剣を両手で握り締めて構えているが腰が引けているのでなんともまぁ…

 

 

 

「こ…来ないでくれると嬉しいな」

 

「ヤダ」

 

「聞くけど…どうするつもりかな?」

 

「そうだなぁ…リッカ、お前の血を寄越せよ」

 

「…悪趣味だなあ。人間の血を飲むなんて」

 

「仕方が無い。必要な事だからな」

 

 

 

構えていた剣の先端をつまんで床に向かって投げるように下げて突き刺す。

 

手持ちの武器が無くなるとリッカは諦めたかのようにベッドに腰掛けた。

 

 

 

「血を飲まないといけない…その真っ赤な目…ソーマ、もしかして」

 

「そうだなぁ…考えてる通りだろ」

 

「じゃあアタシじゃあ無理だよー…痛くないように殺してね」

 

「…あぁ」

 

 

 

自ら首を差し出してくるリッカ。

 

そこに俺は牙を突き立てて少し食い込ませる。

 

そして口に広がる血の味…何故かコレがとてつもなく美味しく感じてしまうところがヴァンパイアらしいっちゃらしいか。

 

 

 

「…ぅん…ぁ…」

 

 

 

この間に何かしらアクションを起こすと思っていたがリッカは大人しく血を吸われていた。

 

その艶かしい声も漏らさないでくれると嬉しいんだけどなぁ。

 

 

 

「…うっしごちそーさん。もういいぞ」

 

「あっ…」

 

「…?どうした?」

 

「な、何でもないよー?それよりもういいのー?」

 

「あぁ、300mlもあれば全く問題ないからな」

 

「そう」

 

 

 

何でそんなに残念そうなんだろうか?

 

とりあえず目的も果たしたしこれ以上遅くなるのも良くないな。

 

俺の身的にも依頼もあるし。

 

外套を翻して窓を開け放ちベッドに座っているリッカに向けて一言。

 

 

 

「" De plus, elle est jusqu'au jour une jeune femme qui rencontre "(また逢う日までお嬢さん)」

 

 

 

ボーッとして聞いていたリッカは何を言っているか分からないという顔をしていたがむしろ分かってもらったら問題だ。

 

そのまま窓から飛び降りた俺は音も無く闇へと溶け込んでいった。

 

後に残るのはリッカのみ。

 

 

 

 

 

「…また逢えるかな?」

 

 

 

 

 

 

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