あーしとヒキオと。   作:よっちい

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ご無沙汰しております。よっちいです。

「中編ないし後編はまだなのか!」と思っていた方がいらっしゃったら、
遅くなりまして本当に申し訳ありません!
そして、そんな感情を持ってくださりありがとうございます。

前回から実に2年半ぶりの投稿となります。
これ以上長くなるとあれなので、残りはあとがきで。
それでは、どうぞ。


あーしがヒキオに。後。

 結衣、雪ノ下さん、川崎さん、生徒会長の4人と話した後店を出たあーし。この1年一緒に居た結衣の気持ちを考えてあーしの気持ちと告白した事を話した。雪ノ下さんも結衣と同じ奉仕部として色々相談に乗って貰った手前、あーしのことは話しておかなきゃいけないと思った。

 

 川崎さんは昨日のこともあったし、ちゃんと話したいと思った。生徒会長は隼人を隠れ蓑にしてヒキオにベタベタしてるし、お互い隼人を意識してたのに気づいたらお互いヒキオを意識してるんだからこいつも言っておかなきゃいけないと思った。

 

 4人はそれぞれの驚き方をしてたけど、あーしとしてはちゃんと話が出来て良かったと思う。ほとんど一方的だけどね。

 

 家に向かって歩き空を見ると、真っ黒な雲が覆ってる。いくらもしないで雨が降るかなーって思ってたら降ってきた。傘無いし、閉めかけの文具屋さんで少し雨宿りさせて貰おう。この文具屋さんオンボロ過ぎてちょっと気味悪いけど、こういう時代にも残ってる辺りちょっと老舗っぽい感じあるね。

 

 とりあえず近くのコンビニをスマホで探す。走っても5分・・・・・・。これは雨の弱まり次第だけど、ずぶ濡れは覚悟しなきゃいけないか。少し弱くなるか待ってみる。

 

 なかなか弱くならない雨、人通りも車通りも少ない。色々混ざって薄気味悪さを感じる。

 そういえば、ヒキオに助けてもらったあの日も雨こそ降ってなかったけど同じように人が少なかったっけ。

 

『あーし、急いでっから』

『急いでるならもっと早く歩いてるでしょ? 嘘は良くないな〜』

 

 何人かの男に絡まれてた。あの時はほんと危なかったけどヒキオのおかげで何とかなったんだよね。ヒキオは警察官に間違えられてたけどね。

 

『もうすぐ警察来ますよ。ここ交番から近いですし』

 

『こらこら〜。駅前で何を騒いでいるんだい? 君が女子高生にナンパしてるって男か?』

 

『ひょっとして君がナンパされている人がいるって通報してくれたのかな?』

『さぁ。ちょっとわかんないです。たまたま居ただけなんで』

 

 あの時のヒキオは意味のないところで見栄を張ってたっけ。あーしにはバレバレだっての。思い出して少し声に出して笑っちゃったけど、誰も聞いてないよね? と辺りを見ると遠くから黒い影が近づいてくる。服は上下黒で、傘も黒。アレは明らかに怪しいっしょ。普通に怖いし、絡まれないようにケータイいじっとこ。

 

 近づいてきた上下黒の人。やっぱり怖い。何もありませんように。

 

 祈りが届いたのか、歩く速度はゆっくりなものの過ぎ去ってくれた。あーしもしかして観察されてた・・・・・・? だとしたらつけられてた? とりあえず表情に出ないようにしなきゃ。

 

 過ぎ去った方を見ると黒の人は止まった。え。怖い。普通に怖いし。いや、最悪後ろの文具屋さんに助けを求めれば・・・・・・

 

「あの、三浦か? 間違ってたらすみません」

 

 上下黒の人はヒキオだった・・・・・・。脅かすなし! ほんとに!

 

「ひ、ヒキオ・・・・・・?」

「おう。よかった。あってたわ。どしたのこんなところで」

「傘、無くて。あと全身黒の怪しい人が近づいてきて怖くて・・・・・・」

「暗いもんな。不審者みたいでなんかごめんね?」

 

 確かに不審者みたいだった。そりゃそうだ、全身黒で猫背でのっそり歩く。怪しいことこの上ない。

 

「でも、ヒキオでよかったし」

「そ、そうか。アレだったら送るぞ」

「へ? あ、じゃあ・・・・・・お願い」

 

 ちょっとびっくりしたけど、濡れずに済むし怪しい人に絡まれずに済むし、送ってもらうことした。

 

「しかし、ずいぶん変なところにいたな」

「出かけてて帰る途中で、こんな雨がね。ちょうど良いところに閉まりかけの文具屋さんがあったから屋根を借りたってわけ。そんでコンビニ行こうとしてたら怪しい人が来たんだし」

「怪しい人で悪かったな」

「まあ、結果的に傘買う金が浮いてラッキーだけどね」

 

 結構な雨が降る中、家を目指す。時折小話はするものの、さすがヒキオ。あんまり話が続かない。でも、傘と地面に当たる雨の音がある中での相合い傘は乙女的にはエモい。

 これで黒の傘じゃ無くてもっと映える色だったらきっともっとエモさに浸って居たかもしれない。

 

 ヒキオも最初の頃と違い、気まずい感じはないようだ。やっとあーしに慣れてきたのかね。

 

「ねぇ。ちょっと寄ってかない?」

 

 あーしは通りがかった公園を指さす。雨だから当然誰も居ない。電気が付いてはいるものの決して明るくはない公園だった。

 

「ん。わかった」

 

 捻くれた事を何か言うかと思っていたが、素直に受け入れてくれた。

 

 雨はまだそこそこに強く、止む気配はない。時々車が打ちつける雨を潜る音が公園の向こうから聞こえた。少しお互いにダンマリだった。

 

「今日・・・・・・」

「ん? なんだ?」

 

 雨の音であまりうまく聞こえなかったようだ。もう少ししっかり・・・・・・

 

「今日さ、結衣達と話をしてたんだ」

「そうか」

「それで、あーしの気持ちを、あーしの言ったことを話した。分かってると思うけど、結衣達だからいう必要があったんだ」

「ああ」

 

 『結衣達』とは言ったものの、厳密に誰とは言わない。そこまで言ってしまうのは女の子的にさすがに憚られる。分かりきってる子はともかく、ヒキオの性格上分かりにくい子に関してはあーしの口から言うことじゃないし。

 

「前にで、デートしてからいくらか経ってっけど、あーしの気持ちちゃんと言わせて貰えなかったじゃん」

「それは、その、悪かった・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「だからねヒキオ。あーしはヒキオが好き」

 

 

 

 

 

 

 先週、ヒキオはあーしの言葉を遮った。勘違いだと言ってあーしの気持ちを拒んだ。でも、待って欲しいと言われた。ヒキオの中で整理がついてない事もあるだろうし、純粋に捻くれた理解をしたのかもしれない。それでもヒキオは考えると言ってくれた。だからこそ、あーしの気持ちをちゃんと言いたかった。

 

「ありがとな。三浦。あの時、遮っちまった手前、本当は俺から言うべきだったのに、わざわざ言い直してくれてありがとう」

 

 素直なヒキオの言葉。ちょっとびっくりした。

 

「三浦が想ってくれたこと、話してくれたことをこの1週間、ずっと考えてた。なんで俺なんだろうって。俺は知っての通り捻くれてるから、なんか裏があるんじゃないかって、つい疑ってな・・・・・・。もちろん、まっすぐ向き合ってくれる三浦にそんなこと思うはずないのに、内心そんな気持ちを感じた」

「ふーん・・・・・・。そっ」

 

 ヒキオなりに色々考えてくれていたのが嬉しいけどちょっと恥ずかしい。ヒキオは頭の後ろをガシガシしながら、そんな話をしてくれた。

 

「年末にな、由比ヶ浜と雪ノ下と色々話したんだ。本当に色々。その前に平塚先生とも色々な話をした。色々聞いて、色々話して、色々考えて。傲慢だと分かっていても俺の本心は他人を理解したい。穿った考え方を持ってるのも自覚してる。それでも俺は本物が欲しいと言った」

 

 平塚先生まで出てくるのは驚いたけど、何かと絡んでるし納得と言えば納得か。奉仕部の顧問だし。それに深くは教えてくれなかったけど結衣達とそんなにしっかり話しているとは思ってなかった。

 

「先週ポートタワーで聞いてくれたろ。楽しかったかって。俺もその、なんだ、楽しかった。1日一緒に居てもっと三浦を知りたいと、もっと一緒に居たいと思った。だからな、三浦。俺はその本物が三浦であればいいなと思ってる。」

 

 

 

 

 

 

 

「俺も三浦が好きだ。俺と付き合って下さい」

 

 

 

 

 

 ヒキオが・・・・・・ヒキオがここまで考えてくれた。それだけでも嬉しい。その上で告白してくれて。あーしの気持ちが届いて嬉しい。これからあーしがヒキオと一緒に入れることが嬉しい。だから、あーしは・・・・・・

 

「・・・・・・はい!」

 

 嬉しくて声が裏返ってしまいそうになる。ヒキオがちゃんと考えて出してくれた答え。ヒキオが考えた上で発してくれた言葉。それにちゃんと答えたい。そんな返事。

 

「その、なんだ。俺はボッチだから、ダメなとこもあると思うけど、許してくれ」

「もうボッチじゃないっしょ。あーしがいる。あーしとヒキオでいる」

「そうだな」

「でも、根っから叩き直してやっから、覚悟しとけし!」

「お手柔らかに頼むわ」

 

 そんなこんなで、あーしとヒキオが恋人になった。

 

「じゃあヒキオ。帰ろっか」

「おう」

「来年はクラス一緒かなー。あーしも文系だし」

「早速甘々じゃん! ってか俺の進路知ってたのか」

「結衣が散々言ってたからねー。でも、やっぱり一緒がいいし」

「だな」

 

 公園を後にするあーしとヒキオ。長いこと話していたからか、雨はほとんど降ってない。遠くの方には青空も見えてるし、今日はもう止んで降らなくなるかな。

 

 

 

〜Fin〜




誤字脱字などありましたらご指摘願います。

たった5話ですが、処女作が無事描き終えました。
本当に拙い文ですが、この作品が好きと言ってくれる方も居ました。
それも、執筆していた時だろうがそうでない時だろうが。
本当にありがたい話でした。

この作品を描き始めた頃はまだ学生でしたが、今では一端の社会人です。
投稿期間長い割には、文は短いねと言われたらその通りです。
ただ、短いながらも皆さんの心に何かしら届いたら良いなと思います。

社会人になってからはある意味処女作ですが、また何か新しい作品を始めたいと思ってます。
何せ優美子が描かれる作品は少ないですからね、自給自足ですね。

ところで今まで何してたの?って方もいらっしゃるかと思います。
他の趣味としてゲームがありますが、せっかくプレイしているものを思い出として残そうと動画編集したりしていました。
もしご興味ありましたら、下記URLよりご覧いただければ幸いです。
https://youtube.com/channel/UCalysaCuiAhCSdWCoBr3XAg

本投稿までにUA約30,000、PV約46,000と思っても見なかった数の方にご覧いたたげました。
読んでくださった方々皆様に、心より御礼申し上げます。

もし、感想などいただけましたらしっかり拝見させていただきますので、ぜひお願いいたします。
もちろん、叱責なども真摯に受け止めていきたい所存です。

改めてになりますが、最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。
それではまたどこかでお会いしましょう。
決してさようならではありません。
読んでくださった方に感謝。

Twitter: @sea258xyz
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