気まぐれ神様の物語 真剣恋Ver.   作:ジーザスルージュ

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13話

「それではこれよりテストを開始します」

 

「了解。火を入れます」

 

 明滅するディスプレイの電光。

 球体の中心に座り、上下左右、360度を囲むモニターは周辺を具に映す。

 スイッチを入れて動力を起動させる。

 小さく、低い音が振動と共に座席を振るわせ、小気味いい感覚だ。

 外部との回線で繋がっている相手の声がスピーカーから響く。

 

「プラズマジェネレーター、出力基準値に到達。外部温度、並びに動力部周りに目立った変化なし」

 

「コンデンサーへの電力供給問題無し」

 

「T01、起動成功しました」

 

 この実験における本機のコールサインと共に告げられた成功報告。

 軍隊風なのはちょっとしたお茶目である。

 

「こちらT01。各部計器に異常見られません」

 

「こちらでも確認しました。しかし、こうして巨大ロボットが動くの目の当たりにすると未だ夢心地ですよ」

 

「いやー、ホントだよな。こういうロボットは男のロマンの1つだ」

 

「呵々、ともあれまだ操縦系周りは改善の余地があります故、量産にまではもう1、2年掛るでしょうが」

 

「これだけのモノを1年未満でここまで出来るってだけで凄いと思うけどなー」

 

 確かに。

 現行の技術力を踏まえて作った設計図とは言え、僅か半年程度で此処まで形にするとは思わなかった。

 無論、自分で提示したモノであるから技術部にまるっと投げてはいない。

 制御する為のOSとCPU周りは8割型手を掛けている。

 もっともノウハウはパーソナルトルーパーからなので、そう難しいモノでは無かったが。

 

「ありがとうございます。父上にそう言って頂ければ、頑張って作り上げてくれたスタッフ達も報われると言うモノです」

 

 空気がある程度弛緩した所でテストに戻ろう。

 

「では、テストを開始します」

 

「了解」

 

 手にしてあるレバーで機体を動かす。

 今日のテスト内容は腕部並びに脚部の強度実験。

 機体の5本指のマニピュレーターで5tの資材二つを重ねて持ち上げる。

 そのまま既定のコースを時間一杯に走り―――と言っても基本は背部の重力制御ユニットによって機体を僅かに地面から離し、ホバリング走行をする―――機体重量に合わせて各部モーターと間接強度の測定が主。

 また、階段などを直接脚部で踏みしめたり、コース上にはアスレチックになっており悪路におけるバランサーのテストも兼ねている。

 

 

 

 

「テスト終了。お疲れ様ですノルン様」

 

 そのまま特に目立った変化はなくテストは1時間で終了。

 前面部分が開きコックピットから降りる。

 

「いかがでした?」

 

「間接、モーター共に基準値以上だ。後は摩耗率から各部パーツの寿命の算出を入念に頼む」

 

「勿論です。他に不備等はありませんでしたか?」

 

「不備、ではないがマニピュレーターの出力が些か物足りぬ気がする。今少し供給効率を上げねば手首の関節の消耗が激しいと思うが」

 

「分かりました。なんとかやってみせましょう」

 

「予定の半分の時間で此処まで到ったのであれば、そう急く事もあるまい」

 

 実は、現行技術の問題は設計図のソレに達してないのが現状だ。

 当初は一年で今の状態持っていく予定だったので、かなりハイペースな現状に於いて焦らなければいけない要素は何処にもない。

 

「そも、未だ操縦系のシステム制御に改善の余地がある以上、急いても仕損じるばかりぞ?」

 

「ははっ、まぁこれも技術屋の性ってやつですよ」

 

 まぁ、それもこれもロマンありきなのだろう。

 然もあらん。

 そのまま退室して父上の元へ向かう。

 ちなみに、空調も完備しているので1時間乗っても汗一つかいてない。

 

「おう、お疲れだなノルン」

 

「有難うございます、父上」

 

 管制室で待っていた父は労いの言葉を掛けてくれる。

 有難いが、同時に忙しい父を家族の誰より接する機会が多いというのはどうなんだろうと思わなくはない。

 これのせいか最近ますますに母局さんの風当たりが強くなっているように思える。

 まぁ、普段の態度も原因の1つだが。

 話を戻す。

 

「御覧の通り、経過、結果共に順調。然るに私の目算では半年以内には完成に到りましょう」

 

「みたいだなー。それとスマン、よりにもよって引っ越す当日に入れちまって」

 

「御気になさらず。これも九鬼の為なれば、この程度のこと如何程(いかほど)のモノではありませぬ」

 

 そうなのだ。

 今現在春休み。

 小雪への説明も終わり―――かなりしぶられたが最終的に納得してもらった―――今日は引っ越しと武士道プランの申し子たちとの初顔合わせであったのだが、どうしても予定があかず、また最初の実験のみに付き合ってくれれば午前中に切り上げられるとの事だったのでこうして受けた次第。

 

「しかっし、もうちょっとあれの見た目何とかならなかったのか? 大玉に太い手足つけてランドセル背負ったズングリな姿はユーモラスだが微妙だぞ」

 

 それについてはどうにもならない。

 胴体部分の球体状は機体の防御や剛性の観点からして作業時には搭乗者の安全第一を主観に置いたためだ。

 手足の武骨さはより効率よくエネルギー伝達と強度を上げる為。

 腕の部分は360度回転して稼働範囲を上げ作業の効率化を図っている。

 重力制御ユニット兼水素プラズマスラスターのランドセルは元より、各部パーツはコックピットから取り外し可能にして整備性、持続性にも一役買っている。

 作業用に於いては実用性重視での設計しているため、父上の言葉には断じてノーである。

 ソレを告げた時の父上の顔は不満げで子供の様だったと言っておく。

 

「では父上、私はこれにて」

 

「おう、ご苦労さんだった。またなノルン」

 

「はい」

 

 念の為施設内のシャワーを浴びて身を清めてから九鬼所有の空港へ向かう。

 

 

 

 

 

 

「お待ちしておりました、ノルン様」

 

 アジア系の顔立ちのメイドが空港で出迎えてくれた。

 彼女の名前は(リー)静初(ジンチュー)

 元は暗殺者とかでクラウディオさん直下の部下と聞き及んでいる。

 序列は1000人単位いる中で33位とかなりのものだ。

 

「リー、出迎え御苦労さま」

 

「はい。お荷物は既に機内へ運んでおります」

 

「有難う」

 

 一礼する彼女を尻目に自家用ヘリに乗り、続いてメイドは操縦席へ。

 色々とこういう所は流石九鬼と言うべきか。

 ちなみに、然したる荷物が部屋にないため、旅行用のカバン1つあれば何処でも持ち出せる。

 教科書の類はあちらに置いてあるから荷物がより少なくて楽だ。

 ローター音を加速させ、ヘリが飛び立つ。

 独特の浮遊感と振動が身体を刺激する。

 島までの所要時間は約1時間だそうで、それまでは景色を眺めて無聊を慰めよう。

 眼下の海も日の当たり方や所々見受ける魚の群れによって反射の仕方や水面の色の濃淡が異なる為なかなか飽きない。

 などと思い思いに時間つぶし、あと10分も経たぬうちに目的地へ着くだろう時にソレは起こった。

 突如なり響く警報。

 操縦席の彼女が慌てて機器を弄っているが、芳しくない。

 

「トラブルか?」

 

「はっ、エンジンが急に不調に。このままでは止まります」

 

「ふむ、墜ちるか?」

 

「何とかしてみます。機器で危機を乗り越えてみせましょう」

 

「存外、李も余裕だな」

 

 クラウディオさんの影響ではあるのだろうが、如何せんこんな所まで忠実でなくともと思う。

 まぁ、ユーモアに関しては私も他人の事は言えないが。

 ともあれ静観している場合でもなさそうだ。

 エンジンは完全にその動きを止め、浮遊感が生まれる。

 

「む、これでは堕つも已む無しか」

 

「呑気すぎるのでは!?」

 

 先程さりげなくギャグを囁いた者に言われたくはない。

 悲しいかな、こんな不運は慣れっこである。

 幸い、パイロットは李1人であるので好都合だ。

 ヘリには申し訳ないが沈む以外の末路はない。

 手早く置いてあったカバンを掴み、続いて李を座席から自分の方へ引き寄せる。

 半ば抱きつかせる様にしてしまったが、我慢してもらおう。

 何やら顔が赤くて青いが。

 スライドする側面ドアを開け、飛び降りる。

 パラシュートの類は付けてない。

 

「な、なに―――」

 

「一瞬の事とはいえ、黙っておらねばと舌を噛み得るぞ?」

 

 島まで約16キロ。

 圏境で場所は把握済みであり、充分に縮地"跳べる"範囲だ。

 

 瞬く間すらなく、気付けば浜辺に立っている。

 

 余りにも現実離れした光景だからか、無表情な彼女が眼を丸くして口を半開きにしている。

 なかなかどうして、貴重な光景ではないだろうか。

 

「うむ、無事にとは言い難いが、着いた事には着いたな」

 

「……」

 

「李、案内を頼む」

 

「……」

 

「李」

 

「……」

 

「李!」

 

「ハッ……も、申し訳ありません」

 

「や、良い。ちなみに、現在地点は島の北西部の海岸地帯だ」

 

「わ、分かりました。こちらです」

 

 海岸伝いをしばらく歩く。

 自然豊かな島は動植物も多くありそうで、なかなかどうして見事な景観だ。

 しばらく観察を続けていると崖の上、木々の茂みの奥にガードレールらしきものが見えたので李に尋ねるとどうやら目的地への道らしい。

 再び李の手を引き、上まで縮地で跳ぶ。

 二車線の舗装路。

 崖の上なのでまた景色が一段と素晴らしい。

 李が若干疲れた顔しているのが気になるが。

 

「大事ないか?」

 

「はい……」

 

 まぁ、是非もないか。

 人間慣れない事には必要以上に気を使うと言うモノ。

 色々と短時間であり過ぎた。

 予定時間からみれば猶予はあるのだが、なにぶんヘリの墜落後となれば悠長にしてはいられない。

 携帯等はと尋ねられれば圏外ですと答える。

 よって、なるだけ早く行きたいが李の疲労が気になるところ。

 縮地なら一発というツッコミだが、実のところこの技は扱える当事者にとってはホイホイと連続使用はできるが、空間を跳び越える際の感覚が独特であり随伴者にとっては個人差はあるが凄まじい疲労が蓄積する。

 今の彼女の状態でもう一回使用したら恐らくリバースはまのがれない筈。

 少し休もうとしても真面目な彼女の事、かならず否というだろう。

 なので―――

 

「な、なにを!?」

 

 ―――彼女を抱きあげる。

 厳密に言うとお姫様だっこだ。

 

「なに、大分疲労が蓄積しておるものと見受けたのでな。先も急がねばならぬし……」

 

「だ、だからと言ってこの状態は従者として余りにも」

 

 あたふたと顔を赤らめて可愛らしい事。

 しかし、ソレは想定通り。

 

「これは嫌か?」

 

「む、無論です!」

 

「うむ、然れど連絡が付かぬ以上急がねばならぬし、如何(いかが)だろう? 代案としておぶさると言うのは」

 

「……歩いて行くというのは―――」

 

「―――無論、却下する」

 

「…………分かりました」

 

 ガクッと首を降ろして提案を受け入れてくれた。

 そうときまればと脇においてあるカバンを"蔵"に入れて、しゃがみ込み彼女を背に乗せる。

 

「恐縮なのですが、ソレは一体どういう仕組みなんですか?」

 

「気になるか?」

 

「えぇ。暗器使いとしてその収納方法はとても興味深くあります」

 

「残念ながら、これは私にしか出来ぬのでな。教えようにも教えられぬ」

 

「むぅ…分かりました。残念です」

 

 立ちあがっていざ行かんと歩みを進めようとして―――

 

「あのー」

 

 ―――背後からの声に阻まれた。

 

 

 

 

 

 坂道を下り、少女は予定場所へとその歩みを進める。

 最初は戸惑ったモノだが1年も此処で暮らせば否が応にも順応するだろう。

 もっとも少女はそんなこと気にも留めない。

 

(この分なら走らなくても間に合いそうかな)

 

 太陽の日差しと吹き抜ける潮風の心地良さとを噛みしめながら道を行く。

 ついつい鼻歌を歌うくらいに気持ちが良い。

 

(あれ?)

 

 そんな中、道中で少女の眼に入ったのはメイドである。

 気分でも悪くしたのか、膝元まである白髪の少女(・・)におぶさっている。

 普通ならばメイド自体見て驚くだろうが、少女にとってメイドと言うのは割と目にする機会に恵まれた(?)為か、そこは問題では無かった。

 

(大変、助けなきゃ!)

 

 問題は小柄とは言え、大人の女性を少女(?)がおぶさっていると言う事だ。

 少女も力にはそれなりに自信があったので手助けができたらと、その背に声を投げかける。

 

「あのー……」

 

 そうして振り向いた少女(?)は、何か、とアルトボイスで返事をする。

 凛と響く声は良く耳に通った。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あぁ、実は彼女が少し疲れてしまいまして。先を急がねばならぬ故、こうしておぶさった次第」

 

「そうだったんですか。あの、私にもお手伝いさせてください」

 

「いえ、それには及びませぬよ」

 

 メイドをおぶさったまま眼の前の少女(?)はやんわりと断ってくる。

 しかし、手助けを願い出る少女もこの状態でハイそうですかと放っておけるほど薄情では無かった。

 

「大丈夫、こう見えても結構力あるんですよ」

 

「申し出は有難いのですが、曲りなりにも男子が力で女子に、それも見ず知らずの方に頼ると言うのも格好悪いでしょう?」

 

 軽く冗談めかしに少女(?)は笑う。

 しかし、もう一方にとってそれは思いがけない一言であった。

 

「え?」

 

「む?」

 

 場が固まったとはこの事か。

 

 

 

 

「本当にごめんなさい! 私ったら勘違いしちゃって……」

 

 申し訳なさげに頭を下げる少女。

 とは言え、この身の容姿が中性的なため、良く間違われる。

 

「気にしておりませぬよ。自分の容姿や声が女に見えると言うのは心得ておりますし、そんなに恐縮されてはかえって気になります」

 

「はぁ……」

 

 未だ申し訳なさそうにしているが、こっちとしても同じだ。

 改めて少女を見据えてみる。

 

(なにやら、窮屈そうに見受けるな……)

 

 立ち振る舞いがとても清楚な彼女。

 しかし、どうにも何某か抑圧されているように見えて仕方が無い。

 容姿端麗ではあるがそれ以上に滲み出るカリスマ性は九鬼の家族に通じるモノを感じる。

 後の楽しみと武士道プランの申し子たちの資料は一切目を通していないので、ひょっとすると、ひょっとするかも知れない。

 

(それにしても、容姿おろか、声も雪花に似ておるとは。雪花の方がややつり目気味で色が違うが)

 

 内心、驚愕で一杯だった。

 声の方は雪花の方が低め。

 

「? どうかしましたか?」

 

 いかん、見つめすぎたか。

 

「や、失礼。見女麗しいモノで、つい見とれておったのです」

 

「ふぇっ!?」

 

 顔を赤らめて恥ずかしそうに顔を俯けてしまった。

 

「あ、その……ありがとう、ございます」

 

(思ったより軟派なのですね、ノルン様は)

 

「軟派とは心外だな、李」

 

「!?」

 

 背中に彼女の驚愕した様子が伝わる。

 

「呵々、何となくカマを掛けてみたのだが図星であったな」

 

「む……」

 

「ヒュームにも言ったが、私は他者への称賛と好意は包み隠さず惜しみなくが信条ぞ。美人に美人と言ってそも何の不都合があろうか」

 

「あぅ……」

 

「それは、確かにそうかもしれませんね」

 

 然もあらん。

 なんて悠長に雑談している場合では無い。

 先を急ぐと告げて歩みを進めるとしよう。

 

「あ、なら私もこっちなんで途中までご一緒しても?」

 

「構いませぬ」

 

 歩みを進め、無事に目的地に到着。

 本部とは大きさは違うが、それでもこんな離島には些か以上に浮く外観の建物だ。

 

「ひょっとして、此処だったんですか?」

 

「うむ。ひょっとして、貴方も?」

 

「えぇ、そうなんですけど……」

 

 これはもう、確定と見ていいか。

 

「では、私は是にて」

 

「あ、はい。さようなら」

 

 清楚に別れを告げる少女。

 

「んー……恐らく、そう間をおかず合えると思いますよ?」

 

「え?」

 

 不思議がる少女を尻目に、その場を去る。

 ちなみに、李は入り口前で既に降ろしている。

 エレベーターで上の階へ。

 

 

 

 

 フロアの一室にノックし、中の人物に許しを貰って入る。

 其処には全身黒づくめの老婆がいた。

 老婆と言っても物腰は緩やかながら芯を感じさせ、老婆、と言う表現が不釣り合いだ。

 彼女こそ従者部隊序列2位にして星の図書館の異名を持つ女性。

 マープルその人である。

 

「これはノルン様! ヘリの反応が途絶えたと聞き、心配しておりました」

 

「うむ、済まぬなマープル、心配をかけた。何せエンジンが突然とまってな。対処むなしく堕ちてしまったのだ」

 

「そうでしたか……どこかお怪我はされておりませんか?」

 

「見ての通り、大事ない」

 

 それから、自力で李と島へ到着した事やここまで歩いてきた事を伝えた。

 ヘリの方も直ぐに九鬼のモノが調査に向かっているそうで、こちらの安否が確認された事を伝えると言う。

 一通り報告を終えて、いよいよ本題だ。

 

「それで、武士道プランの申し子達は?」

 

「は。先程全員到着したと。しかし、お身体の方はよろしいので?」

 

「心配無用だ。この身は姉上に負けず劣らずに頑丈である」

 

「承知しました。ではご案内致しましょう」

 

「うむ。李も下がってよいぞ」

 

「かしこまりました」

 

 去る背中に今日はゆるりと休めと告げる。

 渋る彼女に私が許すと、思う以上に疲労しているから無理せず休むようにと強引に説く。

 彼女は不服そうであったが。

 

「では参りましょう」

 

「ああ」

 

 李に続いて部屋を後にした。

 

 

 

 案内された部屋に入るとそこには4人の少年少女。

 女子3人に男子1人。

 いずれも容姿端麗で美男美女ぞろいだ。

 うち一人の少女が、あ、と声を上げる。

 先程の彼女だ。

 此処に集まっているのは全員武士道プランの申し子。

 やはり読みは正解だった。

 

「まずは足労を掛けて貰った事に感謝するぞ、4人とも有難う」

 

 一礼に対してポニーテールの子が、どういたしまして、と律儀に返してくれた。

 改めて、有難う、と返す。

 

「そして初めまして、私は九鬼家次男坊、名をノルンと言う。春から同じ中学へ通う事と相成ったため、今日は集うて貰った次第。みな見知りおいて欲しい」

 

 新たな縁が此処に結ばれたのだった。

 

 

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