気まぐれ神様の物語 真剣恋Ver.   作:ジーザスルージュ

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幼少期 ファミリー達との邂逅
1話


 暗い、暗い中、身じろぎも満足にできないその中で、思う。

 あぁ、またかと。それはとても慣れ親しんでいるもので、温かくとも同時に鬱屈な時間帯でもあった。

 

「ありがとう、生まれてきてくれて。私の赤ちゃん」

 

はてさて、どうなることやら…

願わくば、面倒事にならない事を祈るばかりである。

 

 

―――――月日は流れて―――――

 

 

 無事に転生して現在1年半、ようやく意識が明確になってきた。

 突然なにを言っているんだと、常人ならば思うだろうが、己にとってこれは繰り返してきた謂わば通過儀礼のひとつである。今更、珍しい事は無い。

 

「ごはんですよー」

 

「わかったーいまいくよー」

 

 おっと今の(・・)母が呼んでいる、行かねば。

 え?説明になってない?失礼、名前はノルン。神奈川県は川神市在住で母と二人暮らし。歳はざっと12億とんで1270ってところ。

 しがない人間であり、幻想種であり、もう自分でも呆れるくらいに色んな平行世界に転生したり召喚されたりしてるテラチートな神様である。

 

 時に、川神市っては何処だろうか

 

 

 ――――再び幾ばくかの時が流れて久しく。

 

 

 神奈川に在る川神と呼ばれる都市。

 政令指定都市に認定されているこの土地は随分と奇抜な土地らしい。

 少し感覚を広げるだけで、莫大な力を1つ、それに準ずる力を3つ感じる事ができる。それも一箇所に集まっているのだからとんでもない町だ。

 なにせ莫大なモノ一つで、少なくとも日本の自衛隊レベルの戦力では相手に成らずに鎮圧出来ると思わせられる程だ。他の3つも、内2つはとても洗練されており、かなりの武芸者である事が伺える。残り一つは力自体は4つの中で2番目の量だ。しかし前者3つとは比べるべくも無い程雑である為、恐らく子供であろう。それが証拠に、最も大きい力の保持者に気配が似てる。

 

(親兄弟の類、にしては些か遠い所をみると祖父母と孫か?)

 

 己の経験は元より、直感が自身の推測を肯定している辺り、粗間違いない。

この身の直感とはそういうものなのだから。

 

「くっ、我が子ながら可愛げ無いなぁ、もう!」

 

「ははっ、それはしょーがないというものだ母よ」

 

「言う事も可愛くない!」

 

 風を切りながら飛来する小太刀の間合いを見切って回避。ただいま母と鍛錬の最中である。

 "今回の母"こと筱宮幸恵は武芸者である。

 この人もかなりの実力者で、信号を無視してきた車を素手で殴り止められる猛者なのだ。しかも、周囲の人間は驚くのは最初だけで、挙ってみな『あぁ、あの人か』とか『彼女なら大丈夫だな』等、色々逸話をお持ちらしい。

 本気でこの街の異常差がより際立った出来事だった。川神ってなのだろうか。

 やがて母は、徐に小太刀を下す。

 

「今日の鍛錬はここまで」

 

「ありがとうざいましたー」

 

 互いに一礼。

 一応相応に礼節が求められる場だ。身内相手であろうとしっかり行う。

 さもなくば後で説教モノだ。加えて武芸に関してはサバけている母にしては長いので極力避けるに越した事は無い。

 

「はぁ…うちは小太刀が基本なのに、なんで身の丈にあった奴じゃなくて標準サイズを使うの?」

 

「それがあってるから」

 

「あっさり言いおるわ、こやつめ。あぁ、鍛錬を始めさせたのは良いけど、なんで自分の身長近い得物をそんな軽々使えるとか…しかもアタシを軽くあしらって。ホントにこども? あなた」

 

「うん、ぼくこどもだよ?それいがいのなににみえる?」

 

「うわーその言い方ハラタツ」

 

「いやぁ…」

 

「褒めてないからね!?」

 

「それほどでも」

 

「褒めてないっつうに!」

 

 良いリアクションを返してくれる母である。ついついからかいたくなる。

 だが良い母だ。魂がどんな両親から転生しようとも、この身の容姿は決して親に似る事は無い。

 

 白く長い髪、アルビノも真っ青な病的な白い肌、自然的には絶対あり得ない紫の眼、既にこれだけで気持ち悪いであろうに、他にも何処からともなく拳大の紫の水晶が首に現れる。しかも取れないのだ。大多数の転生先ではこれ等の理由で捨てられる。

 だと言うのに、いまだに我が子として接してくれている。それだけの理由があるかも知れんが兎に角ありがたい。

 何やら前話と年齢が違うと言うツッコミがあるやもだが無視して欲しい。仕様だ。

 

「さて、今日は予定通り出かけるから支度しなさい」

 

「はーい」

 

「……歳相応な筈なのに、似合って無いのは何故かしら?」

 

 仕様ったら仕様なのだ。

 

 

―――――川神市内―――――

 

 

「ホイさ」

 

「……ッ!!」

 

「邪魔!」

 

「あぶぅッ!」

 

「おふぅっ!」

 

 ただいまコンビニ強盗相手に親子で無双中。

 

「おわりー」

 

「全く、なんだってんのよ。次から次へと引ったくりだったりスリだったり!」

 

 突然だが私の運は最悪である。

 それはもう凄まじいの一言で、一歩外に出ればこの程度の事が日常茶飯事なのだ。

寧ろ今回は少ない。

 

「さて、色々邪魔されたけど、目的地はもう目と鼻の先よ」

 

「だから、どこへいくの?」

 

「ひ・み・つ」

 

「………」

 

「ノーリアクション!?」

 

 なにやら母が騒いでいるが気にしない。

 気にしないったら気にしない。

 

 

 

 

「着いたわ。ここよ」

 

「おおきい、おてら?だねぇ…」

 

 疑問形であるのは目の前にあるのが門、家で言えば軒先だからだ。

 思わず見上げるであろう大きなソレは、中央に大きな提灯、左右に仁王像となかなかの迫力である。

 だが、そんな事すら些末な問題であろう。わざわざ感覚を延ばさずとも分かる。ここは、"あの"莫大な力を発する者たちが居る所であるからだ。

 門から1人の老人がやってくる。

 

「おぉ、よく来たの幸恵」

 

「お久しぶりです。鉄心様」

 

「うむ、相変わらずえぇ体しとるのう」

 

「セクハラです」

 

 などと母と和気藹々に話す目の前の老人こそ、4つの中で最も力を感じる御仁であった。

 よもや知り合いだったとは――思わなくはないか。

 

「冗談じゃて。して、その子が?」

 

「はい。私の息子です」

 

「はじめまして、ぼくは―――」

 

「おおい、じじいーー!」

 

 こちらの自己紹介を遮って、一人の女の子が門から出てきた。

 短く黒い髪、ワインを思わせるような赤い眼、見るからに快活そうな雰囲気で年の頃は同じくらいか1つ2つ上、将来はかなりの美人になるだろう思える容姿だ。

 

「こりゃ、モモ!人前で言葉使いはしっかりせよとあれ程教えたじゃろ!」

 

「そんなことより、なんかおおきなキをかんじたぞ!……ってしのみやさん、お久しぶりです!」

 

「お久しぶりねモモちゃん。相変わらず元気いっぱいだ」

 

「もちろんげんきですよ!それより、きょうはどうしたんです?」

 

「フフ。今日はね、息子を紹介に来たの」

 

「むすこって、かれですか?」

 

「そうよ。さぁ、挨拶して」

 

「あらためて、はじめまして。ぼくはノルン。しのみやノルン、6さいです」

 

「ほぅ、礼儀正しい子じゃな。しかしノルンとは…また、イタイ名を付けたものじゃな?」

 

「ん~…もっと色んな名前を考えてたんですけどね…。何故かこの子を見た時にその名前だ!って感じで頭に閃いてしまって」

 

「なんじゃそれは?」

 

「さぁ?私にもサッパリでして…」

 

 すまない母よ。この容姿と一緒で、それも私特有の仕様だ。

 

「ふーん。ヘンななまえだな。わたしのなまえはかわかみももよ。ぴちぴちの7さいでびしょうじょだ。よろしくな!」

 

 笑顔で手を差し出して、握手求めてきた彼女に応じて手を伸ばす。

 

(それにしても驚いた。子どもと言う目算はあっていたが―――)

 

 よもやあの大きな力の持ち主が、同じぐらいの子のモノとは思わなかった。

 

 

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