気まぐれ神様の物語 真剣恋Ver.   作:ジーザスルージュ

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5話

「さーて、今日はなんで遊ぶ?」

 

 時は放課後。

 用心棒を頼まれて風間翔一ことキャップの仲間に入ってから更に1年経った。

 軍師こと大和は周りにいる皆に問う。その横ではモモが大和の肩に腕を回している。

 なんでも、大和の事が気に入ったらしく姉弟の契りを交わしたとかでモモは大和を舎弟として扱い、大和はモモの事を姉さんと呼んでいるとか。

 いったい2人に何があったのやら気にはなるが、それはそれ、2人だけの誓いという事で深く言及はしていない。

 ただ言える事は、他と違って2人の間だけ上下関係が確りしているということだけ。

 

「ここは初心に帰って、鬼ごっこなんてどうだ?」

 

「鬼ごっこならドロケーで良くね?」

 

「かんけりとかはー?」

 

「空き缶を何処で調達する?この間使って隠してた奴無くなってたぞ?」

 

「恐らく、ボランティアの者達にゴミと見なされ捨てられたのであろうな」

 

「じゃあ、ドロケーにする?」

 

「ふっ、無邪気なモノだ」

 

「大和は相変わらずだな」

 

 キャップ達の仲間に入ってからは放課後は何時もこうして遊んでいる。

 例えば―――

 

 

回想・野球

 

「それでは、プレイボール!」

 

 バッター岳人、ピッチャー百代、キャッチャーノルンのポジション。

 他はベースの護り。

 

「ゆくぞー岳人!」

 

「おう!何時でもいいぜ、モモ先輩!」

 

 言葉と共にモモは思いっきり振りかぶる。

 

「ま、待たれよ!モ―――」

 

「必殺、消える魔球!」

 

 投げられたボールは宣言通り消えた。

 轟音と共に手に吸い込まれ、こちらの身体を吹き飛ばさんとするも、何とかふんばって3mにまで抑える。

 心眼の感覚を頼りに予めグローブ外しておいて良かった。然もなければグローブは確実に木端微塵である。

 その光景を見ていたモモ以外の皆は一様に呆然。

 岳人に至っては尻もちまで付いてしまっている。

 

「こ、の、戯け…あのような勢いで投げる奴があるか!」

 

「ちょ、悪かったってば」

 

「あわわ・・・ど、どうしたら」

 

「放っておいた方が身のためだぞ」

 

 

 

回想・缶けり

 

「じゃ、缶けりやるぞー」

 

「「「「おーーー!」」」」

 

「お、おー…」

 

「ほら、モロ。恥ずかしがらずに」

 

「ふっ、みんな良くはしゃぐな。」

 

「大和もそろそろ、そのニヒル被れをなんとかせねばなぁ…」

 

 などと戯れ合いながら、ジャンケンで鬼を決める。

 その結果。

 

「私が鬼か」

 

「意外とノルンってジャンケン弱いよね」

 

「純粋な確立勝負だとこんなものだ。持ち前の能力をジャンケンで使えば、私やモモは常に勝ってしまう」

 

「どんだけなのさ!」

 

「良いから始めるぞー」

 

 そういって、置いた缶をモモは全力で蹴りあげる。

 缶は星になった。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……モモ、何ぞ言う事は無いか?」

 

「…正直、スマンかった」

 

 

 

回想・サッカー

 

 時には学校の校庭で遊ぶ事も度々ある。

 

「はぁ!」

 

「なんの!」

 

「これで!」

 

「まだまだ!」

 

「なにこのリアル小○サッカー…」

 

 ボールがキッカーとキーパーとの間を凄まじい勢いで飛び交う。

 その速度たるや、とてもではないが2人以外に止められるものではない。

 今にもボールが空気摩擦で火でも起こりそうな勢いである。

 どうみてもやり過ぎだ。

 やがて、破裂音と共にサッカーボールは天寿を全うした。

 

「「あ」」

 

「ふたりとも自重」

 

「「サーセン」」

 

―――回想終了

 

 

 

 何やら思い出される想い出が随分と物騒な気がするが気にしない。

 同じ轍を踏まない様にはしているので問題は無いだろう。

 多分。

 何はともあれ、遊びに集中する。

 このグループのリーダーたるキャップは今は不在の為、決めるのにそれなりに時間が掛ってしまった。

 なぜキャップがいないかと言えば、冒険家の父親に連れられて他県の方に旅行だそうだ。

 よって今は6人で遊んでいる。

 で、結局何で遊ぶか相談の末ゾンビ鬼に決定した。

 これは鬼ごっこをベースにした遊びで、元の遊びとの相違は最初の鬼役にはアラーム機能を付けたモノを持たせ、制限時間内に全員を捕まえれば鬼役の勝ち。

 制限時間まで逃げ切れば鬼以外の勝ちである。

 他にも鬼に触れられたモノは鬼に変わり、他の逃げ役を追う側に変わる等のルールがある。

 

「準備はいいか?」

 

「おいノルン。やり過ぎたら承知しないぞ?」

 

「案ずるな。と言うか、モモ。其方(そなた)には言われとうないな」

 

「あたしはいいわよ」

 

「オレ様も、何時でもいいぜ」

 

「僕もいいよ」

 

「ほんじゃ、ゲーム開始だ」

 

 合図と共に鬼以外が散らばるのであった。

 え?鬼は誰かって?幸運Eの私だが何か?

 

 

 

 

 まず手始めに敵回すと厄介な大和を最優先に捕え、続いて矢継ぎばやに足の比較的遅いモロ、岳人を捕獲する。

 これで、グンと相手を捕まえやすくなった。

 それから直ぐにワン子を捕える。

 しかし、問題はここからだ。残りはモモ1人。

 この手のゲームでは常に上位組なだけあって強い。

 負ける事もしばしばあるのだ。油断できない。

 残り時間は後5分。半分はあるが正直厳しい。

 全員で当たっているがなかなか突破口が開けん。

 かと言って全力を出せばモモもそれに対応してきて実質1対1になる

 此処は相談すべく何故か離れてこちらを眺めている大和の元へ向かえば―――

 

「ぼくも仲間にいれて―」

 

 見知らぬ少女と話していた。

 

「定員オーバーだ。余所をあたれ」

 

「そ、そんなこと言わないで…ぼくも仲間にいれてよ。入れてくれたら、これあげるから」

 

「ましゅまろ?いらないよ、そんなの」

 

 少女の方は必死に頼み込んでいる。

 それにしても、自分と同じぐらいに真っ白い少女だ。

 目が赤い所を見ると恐らく先天性色素欠乏症、俗に言うアルビノ体質だろう。

 だが、それよりも気になったのは少女の瞳に宿る感情である。

 

(異様なまでの怯えの色が伺える…それに、身体の挙動も不自然に引きずっておる。これは…)

 

 少女の有り様から直ぐにある"可能性"が浮かぶ。

 ともなれば此処で取るべき行動は1つだけ。

 

「仲間に、入りたいのか?キミは」

 

「ノルン!?ビックリさせるな」

 

「それは済まなんだ。それより、入りたいのであれば一向に構わぬよ」

 

「え…ホ、ホント!?」

 

「待ったノルン!キャップがいないのに勝手なこと―――」

 

「皆!ちょっと来てくれ!」

 

「ちょっ」

 

 何やら大和が喚いているがスルー。

 呼び声に応じて皆が駆け寄ってくる。

 真っ先に辿り着いたのはワン子だ。

 

「なになに、どうしたの?」

 

「この子が仲間に入れて欲しいそうなんだ」

 

「この子が?」

 

 首を傾げて少女を見るワン子。

 やがて残りの面子も集まってきた。

 

「おい、何だよいったい?」

 

「なにかあったの?」

 

「ん?なんだそのカワユイ子は?」

 

「あ、あの…」

 

 視線に慣れていないのかモジモジとして挙動不審も不審気味な少女。

 言葉が詰まって上手く話せなくなってしまった。

 

「私達の仲間に入りたいそうなのだが、どうだろう?入れてみるのは」

 

「あたしは別にいいと思うけど」

 

「私も構わん。こんなカワユイ子なら歓迎だ」

 

「でもよーキャップがいないのに良いのかね?」

 

「そう、だよね…」

 

「だろう?悪いけど他を―――」

 

 大和が尚も抵抗を見せるが、喋る間を与えるつもりは無い。

 

「なにも正式に仲間に入れようという訳で無いぞ。まずは試しに遊んでみて、最終的にキャップが戻ってきた時に改めて仲間に入れるかの是非を問う、と言うのは如何(いかが)か?」

 

「まぁ、それなら良いんじゃないか?」

 

「そうだね」

 

「うむ。して、大和。これでも何ぞ言いたい事はあるか?」

 

「……無いよ。みんなが良いなら構わない」

 

「と、言う訳でキミも今から一緒に遊ぼうではないか」

 

「い、良いの?」

 

「勿論だ」

 

「あ、ありがとう!これ、仲間に入れてくれたお礼!」

 

 そういって嬉しそうに皆にマシュマロを配り出す。

 

「良いのか?これ」

 

「うん!」

 

「では頂くとしようか」

 

 全員貰ったマシュマロを食べる。

 甘くて美味しい。

 みんなにも総じて受けが良い。

 

「さて、んじゃ改めて再開しますか!って、そう言えば名前は?」

 

「おっと、ウッカリしておったな、名前を聞き忘れるとは。私は筱宮ノルンだ。キミの名前は?」

 

「ぼくの名前は…こゆきだよ!」

 

「こゆきかぁ、カワイイ名前だな。私は川神百代だ。よろしくな」

 

「あたしは、岡本一子!」

 

「オレ様は島津岳人だ」

 

「僕は師岡卓也」

 

「…直江大和だ」

 

「それでは遊ぶとしようか」

 

「うん!」

 

 こゆきに今やっている遊びのルールをモモ達が教えてゆく。

 嬉しそうにそれを聞き、理解したようなので仕切り直しにジャンケンで鬼を決め直した。

 でもやはり自分が鬼であった事は自らの不運を呪いたくなる。

 そうして鬼を変え、遊びを変え、思いっきり遊んで、やがて帰る時間になった

 

「今日はたのしかったよ!ありがとう」

 

「こっちこそな、こゆき」

 

「あたしも楽しかったわ!」

 

「オレ様もだぜ」

 

「にしても、こ、こゆきちゃんって運動神経良いよね」

 

「うむ、それは私も思っておった」

 

「それじゃあみんな、さよなら…」

 

「違うぞ、こゆき」

 

「え?」

 

「またな、だ」

 

「そうよ。さよならなんて悲しい言い方よりまたねの方が良いわ」

 

「……うん!またね!」

 

 明るい笑顔を浮かべて去ろうとするこゆき。

 その背中に待ったをかける。

 『異次元蔵(打ち出の宝珠)』から1つの小袋を手品の様に取り出す。

 外観は何の変哲もない神社で売っているようなお守りだ。

 見た目は(・・・・)

 

「お!お前、そんな剣道着の何処に持ってたんだそれ?」

 

「なに、コツがあるのだ」

 

 そう誤魔化しながら取り出したお守りをこゆきに渡す。

 

「こゆきにこれを」

 

「なーに?」

 

「幸運のお守りだ。どうか貰ってほしい」

 

「え、でも…」

 

 渋るこゆきに些か強引ではあるがお守りを持たせる。

 

「えっと、ありがとう」

 

「いや、強引で済まぬな。だがそのお守り、出来れば肌身離さず持ってて欲しい」

 

「うん、分かった!」

 

 頷いてから今度こそこゆきは帰っていった。

 その脊中を少し離れた所から面白くなさそうに大和は見つめている。

 

「ふっ、知らないぞ。突然異物が入ってくれば、否応なしにこちらに牙を剥く」

 

「大和。私は其方(そなた)のそのニヒルな振る舞いも嫌いではない。ある意味でそれは個性と言えよう」

 

「なんだ、説教か?」

 

「如何にも」

 

「ハッ、素直だな」

 

「ありがとう」

 

「皮肉だ、今のは」

 

「はっはっは。さて、軍師殿に言いたい事は多々あれど、今言うべきはひとつか」

 

「で?なにを俺に聞かせてくれる?」

 

「変化を恐れるな。変化を恐れる者は流れを読み取れず"機"を見落とすであろう。曲がりなりにも知恵者足るを自負するなら、流れや機を見切れずしては如何に頭が良かろうが2流止まりである」

 

「む、そんなこと言われなくても―――」

 

「現に其方は、こゆきと言う変化を恐れて、彼女の様子がおかしい事に気付いておきながら、見て見ぬフリをしたであろう」

 

「!!」

 

「他ならぬそれが答えだ」

 

 そう、こちらの勝手な見立てに過ぎぬが大和は恐らく少女への違和感を感じてたはず。

 元々彼はこの年にしてかなり空気を良く読める。

 将来は軍師のあだ名に相応しい人柄に育つであることは想像に難くない。

 だからこそ、彼女の僅かな違和感に気付けていると。

 己の心眼はそう告げる。

 それに、今あの少女を爪弾きにしてしまうと、将来必ず大和も自分も後悔するとも告げていた。

 大和は指摘されたことが図星だったようで俯いてしまった。

 

「いやはや、どうなる事やら…」

 

 これからを思案すればそんな事がつい漏れてしまう。

 

 

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