・・・可能な限り助けよう。
・・・あれから、一週間がたった。
少なくともあれから、一週間がたった。
覚えている限りで7回は太陽が昇っていたので少なくとも確実に一週間はたった。
やっと、サトゥーがこの廃村にやってきた。
◆◆◆
標識の横で修行し始めて3時間ほどたつとそもそもここに来ないのではないかと不安になってきたが、もしここを離れてからサトゥーがきたらと思うと離れることもできない。
だから、僕は修行にいっそう集中して過ごした。しかし、レベルが上がってからここまで長時間修行だけをすることはなかったからか、目標はすぐ達成してしまい精度も満足できるレベルに約1日で達した。
途中で二度目の星降りがあったが、地面に振動を伝えないように迷彩を改良して某猫型ロボットのように数ミリ浮いていたので足で振動は感じなかった。
むしろ、耳に展開した音限定のシックスセンスの便利さを実感できた。フィルターを通すことによって、爆音で音が聞こえなくなるということがなくなったのだ。
そのあとは、やることがなくなったので方針の再確認と、何というか恥ずかしいけど覚悟を決めた。 覚悟といっても自分の中の優先順位を確認しただけだけど・・・
一番はサトゥーたちのことだ。もし、自分のことを優先して原作より嫌なことが起こったら何をしても楽しめず、ずっと後悔することになるだろう。だから、命ぐらいはかけてみせると誓った。
二番目は僕を転生させてくれた神のことだ。しかし、はっきり言って、原作の情報をもってしてもどの神なのかわからないのと、サトゥーたちよりは優先順位が低いから、神の欠片をサトゥーに切らないように頼んでおくのと成長させることぐらいだ。しかも、神の時間感覚は億年とかそういうレベルなので今は後回しになる。
感謝しているんだけど、本当にどの神なのかわからないのがつらい。ただ、サトゥーと敵対しないで欲しいと思う。なんで性転換したのか疑問もあるけど、わからないことが多すぎて今考えても無駄だった。
三番目にやっと自分のことだ。といっても、ユニークスキルのおかげで疲れ知らずなので原作が終わったと確信したら一週間ぐらいずっとベットの上でゴロゴロしたいっていうのと、折角女の子に生まれたので可愛く着飾ってみたいということぐらいだ。
今も貫頭衣に首輪だ。もう慣れたし、これはこれでいいんだけど、眼帯とかローブとかマントとか欲しい。下着はいらない・・・はいたら、犯罪っぽいし。
それにしても、反転って最高。単体で、帝国の次代の勇者の
……流石に白鬼王は言い過ぎたか。あまり覚えてないけど、魔力系2種でブラックホールを連射したり、凄まじいレベルの空間創造系のやつがあったりしたはずだ。
他は正直そこまで手が回らないと思う。
そう結論づけたあとの僕は何かおかしかったのだろう。
ヨナさんの肉のこともサトゥーを見つけてから思い出したほどだ。
完全迷彩ができても範囲攻撃が当たったらおしまいだ。それまで、これは当たり前のことでその上でこの技術を極めようとしていた。
しかし、このとき僕はそれをどうにかしようと色々と考えた。結果、攻撃は透過してしまえばいいと考えた。
亜空間にでも逃げてしまえば、禁呪でもなければ攻撃は効かない。そして、魔法で干渉できるのなら魔力操作でもできると思ったのだ。
その結果。
新しく「空間感知」のスキルを取り魔力を空間に干渉させ、強制的に歪曲させることによって魔素以外の物質全てが勝手に迷彩と同じように動くようにすることができるようになった。宝物庫という参考になるものもあったし。
・・・できるようになったが、多分これ空間魔法使いとかにはばればれだ。しかも、シックスセンスは使えるが元の五感は一切使えないし、すぐ「動けない」。
迷彩は動いてこそ効果を発揮する。例えば、森で迷彩柄の服を着てもそのまま立っていてはすぐ撃たれてしまう。
もちろん、ただ立っていてもばれない自信はあるが、動いていればそこにいると確信されても次の瞬間には見失なわせられる。
歪曲した空間が僕自身の移動も妨げ、動けないなんて本末転倒だ。しかし、反転に代わる防御手段ができたことは素直に嬉しい。
最初はいった通り、亜空間にいこうとしたが、全力でやってもゴムのように伸びたりするばかりで空間に穴を穿つことができなかった。
で、今できる方法で頑張った結果がこれだ。
それで、魔素迷彩と空間歪曲の修行をしながらシックスセンスで周囲を見渡しているときに、地平線の上に走っているサトゥーを見つけたのだ。
ただ、見つけたと同時にヨナさんのことを思い出した。
(・・・このまま、尾行するか)
罪悪感が凄まじいが、今までも割と不定期だったし大丈夫だろうという思考の元、決断を下す。
「あれ、ここに誰かがいたはず。レーダーにも反応がないな。隠れたのか?」
(・・・)
久しぶりの日本語だったが、その内容に冷や汗が流れる。
空間歪曲で空間をねじ切って、亜空間に行くために魔素隠蔽をやめたときか?レーダーに映ったのは。
「マーカーはっと。・・・現在地不明?」
(マーカー!?)
もう、マーカーの機能を見つけたのか!?
確かに、時間はあった。つけるのに、十分な理由もある。
(うぅ)
・・・指名手配された犯罪者の気分だ。幸い、個人情報までは見ていないようだけど、マーカーをつけられた。
(今、でるか?時間をかけるほど印象が悪化しそうだ)
「隠しクエストか?だとすればフラグは村か?」
(か、隠しクエスト!?)
「読めん・・・『エニケイ村へようこそ』『セーリュー市まで32km』『カゾ王国まで105km』って読める! ・・・というか日本語か!」」
サトゥーが廃村に歩いていった。
う、うーん。もしかして、首の皮一枚で繋がった? ファーストコンタクトは迷宮にしようと思ったけど、ここでしないとまずいよね。
僕は完全迷彩をし空間歪曲を直してからサトゥーの後ろを歩き出した。
(なんか、ストーカーっぽいなぁ)
しかし、なんとかいいタイミングを見つけて登場しないと・・・!僕のこれからの人生がかかっているのだ。
◆◆◆
(う、う~ん)
サトゥーは廃村に着いた後、村全体を見渡した後、クワをとっていろいろやりだした。
なにをしているかわかるから、邪魔できなかった。
その後もだ。
共同墓地兼祠のお供えの時、姿を現そうかとも思ったけど、ちょっと遠慮してタイミングを逃してしまった。
なので、川の上流の水をアイテムボックスから出してお供えして手を合わせていると、サトゥーに逃げられたのだ。
そして、慌てて空を飛んで街道を見てみると、追いつけそうなところを歩いていたので走って追いかけたんだけど、途中で走り出して置いていかれたのだ。
(え、えー)
サトゥーさん、隠しクエストは!隠しクエストはどうしたんですか!
(はやく、追いつかないと!他の人がいる前で姿は現わせない!)
しかし、実はそこまで速く走っていなかったみたいで割とはやく追いついたがタイミングがつかめない。
いや、正しくは話しかける勇気がない。
(リザとはちゃんと話せたよね?ヨナさんとも。二年間のブランクではないとすると主人公と話すことに対する緊張?)
(いや、今話しかけないといけないんだ!)
そう、決意してから数時間。
・・・城門についた。
なんて話しかければいいのか未だ全くわからない。僕の自己紹介?あなたは僕のいた世界の本の登場人物です?
ちょっと決まっても次のことを考えている内にこれでいいのか不安になってくる。
それは本当に話してしまっていいことなのか、そもそも話すべきことなのか。みたいに。
それに、自分で言うとなんだけど、完全迷彩って怖いよね。
(いや、サトゥーが着替え終わったら話しかけるぞ!)
このままだと、好感度がマイナスになってしまう!
「・・・さ、サトゥ」
(無理!やっぱり迷宮でいいよね!)
緊張で、体が震える。それに、ちょっと頭がクラクラする。
「ん?」
ーギィィィ
「あぁ、門が開いたのか。また、誰かがオレを佐藤と呼んだような気がしたんだが」
(えっ! そんなバカな! 迷彩は完璧なはず。音も一切外に漏らさないようにしていたはずなのに!)
さっきのは、練習だ。話しかける前の予行練習のつもりだった。
何故だ、勘だとでも言うつもりか!
勘です。
※イケニエではない。